癒着胎盤の原因と出産リスクに関する記事

癒着胎盤~帝王切開のリスクが高まる胎盤剥離の異常とは?

癒着胎盤~帝王切開のリスクが高まる胎盤剥離の異常とは?

癒着胎盤によって起こる出産トラブルにはどんなことがあるのでしょうか。妊婦さんの体が危険な状態になることも考えられることから、癒着胎盤について前もって知っておくことが大切です。胎盤が癒着する原因や診断された場合の対処法などをご紹介します。

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癒着胎盤~帝王切開のリスクが高くなる胎盤の癒着とは?

癒着胎盤になると、帝王切開での出産のリスクが高まるため、お産の前にきちんと準備しなければなりません。しかし、癒着胎盤について、あまり聞いたことがない人も多いのではないでしょうか。そもそも胎盤が、赤ちゃんにどのような働きをするのか知っていますか?今回は、癒着胎盤とはどういった状態なのか、引き起こされる症状やトラブル、診断後の対処方法などについてご説明します。

正常な胎盤と癒着胎盤の違い

癒着胎盤と診断された場合、正常な胎盤とは、どのような違いがあるのでしょうか。胎盤について知っておきたい基礎知識を確認してみましょう。

そもそも胎盤って何?

胎盤のイラスト

胎盤とは、妊娠した時にだけ子宮内にできる器官で、赤ちゃんは臍帯(へその緒)で胎盤とつながっています。ヒトの胎盤は、円盤のような形をしていることから盤状胎盤とも呼ばれています。

胎盤が作られ始めるのは妊娠5週頃から。初めに、絨毛(じゅうもう)と呼ばれる細かい毛のような細胞の先端が、子宮内膜の表面を覆う脱落膜にくっつきます。そして、妊娠4ヶ月頃になると胎盤が完成し、子宮としっかりつながり安定期に入るのです。

胎盤では、胎盤の中のプールのような場所で子宮側と血液のやり取りが行われています。絨毛を介して、ママから赤ちゃんには酸素や栄養分、赤ちゃんからママには二酸化炭素や老廃物が送られているのです。

絨毛がフィルターの役割を果すことで、ママと赤ちゃんの血液が直接混じりあうことはありません。そのため、ママと赤ちゃんの血液型が違っても問題がないのです。

赤ちゃんを無事出産したあと、役割を終えた胎盤は、通常、出産後の後産(あとざん)の際に自然に剥がれて、胎盤などの内容物は外に排出されます。後産の排出は、赤ちゃんを産んだあと、15分から30分程度で終わります。

子宮の収縮がうまくいかず胎盤が出てこない場合、子宮を収縮させる薬を使ったり、直接残ったへその緒を引っ張って胎盤を出したりすることがあります。

胎盤が剥離しない「癒着胎盤」とは?

子供と妊婦さん

癒着胎盤とは、絨毛が子宮内膜を貫通し、内側にある子宮筋層にまで入り込むことをいいます。胎盤が子宮に癒着してしまう異常妊娠の一つです。

胎盤が正常であれば、絨毛が子宮内膜の部分だけに根を張るので、産後の子宮収縮により、子宮内膜ごときれいにはがれます。胎盤が作られる際、付着している子宮内膜に脱落膜ができ、子宮筋層や近くにある膀胱に癒着しないようガードする仕組みが作られるのです。

しかし、癒着胎盤になると、絨毛が深い場所まで根を張ってしまい、出産後に胎盤が自然に剥がれ落ちない状態となるため、外に排出されずに残ってしまいます。胎盤が残ったままでは子宮収縮がうまくいかず、出血が続いて母体が危険な状態になる恐れがあるのです。

胎盤が癒着してしまうのは、子宮内膜を覆っている脱落膜の発育不全が原因と考えられています。特に、過去に帝王切開などの子宮手術の経験がある妊婦さんは、癒着胎盤のリスクが高いといわれています。

癒着胎盤が引き起こす主な症状

癒着胎盤により引き起こされる症状には、どのようなものがあるのでしょうか。主な症状は次のとおりです。

胎盤遺残

胎盤遺残とは、胎盤が後産で排出されずに、子宮の内部に残ってしまうことをいいます。胎盤が部分的に残る場合もあれば、胎盤全体が残る場合もあります。軽度の場合は、腹部のマッサージや直接手で剥がすことができますが、無理にはがすと急な出血を起こす恐れがあるため、慎重な処置が行われます。

大量出血

輸血のイラスト

癒着胎盤により、大量出血する危険性が高くなります。胎盤は血管の集まりのため、後産で剥がれる際には必ず出血が起き、通常の分娩でも、胎盤が剥がれる際に300cc程度出血します。しかし、癒着胎盤の場合、絨毛が子宮内膜の中に入り込んでいるため、大量に出血する可能性が高くなるのです。

万が一、大量出血が起きれば、急激に血圧が低下する出血性ショックを発症する恐れが。500cc以上の出血がみられる場合、「分娩時出血多量」と診断され、輸血が行われることになります。

DIC(播種性血管内凝固症候群)

癒着胎盤によって大量に出血した場合、血液を固める働きが弱まることで、全身の血管内で小さな血栓ができることがあります。そのため、血栓により血管が詰まるDICを発症することがあるのです。肝臓や腎臓でDICが起こることで、腎不全や肝不全を併発する場合があり、注意が必要です。

癒着胎盤の3つの種類

癒着胎盤の状態により、次の3つの種類に分けることができます。

1楔入胎盤(せつにゅうたいばん)

出産したばかりのお母さんと赤ちゃん

楔入胎盤とは、絨毛が子宮筋層の表面に癒着している状態のことをいいます。絨毛は通常、子宮内膜の中に根を張るのですが、子宮内膜のすぐ下にある子宮筋層にまで達してしまうことがあります。楔入胎盤では、まだ筋層内に入り込んでおらず、癒着胎盤としては軽度の段階に当たります。そのため、楔入胎盤であっても、産後に胎盤が自然に剥がれ落ちることもあります。

2嵌入胎盤(かんにゅうたいばん)

嵌入胎盤とは、絨毛が子宮筋層の内部に深く入り込んでいる状態のことをいいます。自然に剥離するのが難しく、胎盤遺残が起こる可能性が高くなるため、子宮を残すことが難しくなります。出産後に嵌入胎盤であることが分かり、胎盤をはがすのが難しい場合は、大量出血を避けるために、そのまま子宮摘出手術を行う可能性が高くなります

3穿通胎盤(せんつうたいばん)

穿通胎盤とは、絨毛が子宮筋層を突き抜けて、子宮の外側を覆っている子宮漿膜まで達している状態のことをいいます。子宮と膀胱との癒着が考えられるため、子宮の温存が難しく、出産後に子宮摘出手術を行う場合がほとんどです。

癒着胎盤の診断

MRI

癒着胎盤は、事前診断が大変難しい病気です。特に、ほとんどの場合、症状が軽い楔入胎盤は事前診断ができない場合がほとんどです。

嵌入胎盤や穿通胎盤は、MRIや超音波検査で「疑わしい」かどうかが分かるので、事前に告知される場合もあります。もし、癒着胎盤の可能性を指摘されたら、子宮摘出となることを覚悟しなければなりません。女性にとってはつらい選択ですが、命に関わることなので、母体の安全を考えると仕方のないことなのです。

癒着胎盤の治療方法

生まれたばかりの赤ちゃん

癒着胎盤は、基本的に事前診断ができないため、出産後に処置するしか方法がありません。軽度の楔入胎盤の場合は、自然に剥がれるのを待ったり、手で剥がしたりすることもあります。出産後、手で剥がすのが難しいと判断された場合は、開腹手術を行い胎盤の剥離を行いますが、最悪の場合は子宮摘出となります。

出産前に癒着胎盤が疑われる場合は、予定帝王切開での出産となり、早めに入院してお産の準備をします。大量出血に備えて、自分の血液を貯めておく自己血貯血が行われることもあります。貧血があると、自己血貯血ができない場合があるため、鉄分を豊富に含む食品を食べるように心がけましょう。

癒着胎盤のリスクが高い人

癒着胎盤が起こる確率はかなり低いですが、子宮内膜に炎症や傷があると発生率が上がるといわれています。過去に次のような経験がある妊婦さんは、癒着胎盤のリスクが高くなるので注意しましょう。

  • 帝王切開による出産
  • 前置胎盤
  • 子宮筋腫の摘出
  • 子宮内膜掻爬などの子宮手術

また、子宮手術の経験がない人でも、先天的な子宮内膜形成不全や子宮の奇形を持っている人、自然分娩での出産人数が多い人なども、癒着胎盤のリスクが高まる可能性があります。

癒着胎盤が引き起こす胎盤トラブル

癒着胎盤と併発しやすい胎盤トラブルとして、前置胎盤や低置胎盤があります。癒着胎盤と一緒に、これらの胎盤異常についても確認しておきましょう。

前置胎盤

前置胎盤のイラスト

前置胎盤とは、胎盤の位置が子宮口に一部かかっていたり、上にかぶさってしまったりする状態のことをいいます。胎盤は、子宮の上側にできるのが通常で、お産の時は赤ちゃんが先に出て、胎盤が後から出てくる仕組みとなっています。

しかし、子宮口付近で胎盤が作られる前置胎盤になると、赤ちゃんよりも胎盤が下となり、妊娠中やお産のリスクが高まってしまうのです。前置胎盤の妊婦さんのうち、5%から10%程度に胎盤癒着が見られると言われています。これを前置癒着胎盤といい、妊娠中や出産リスクがかなり高い状態となります。

低置胎盤

低置胎盤のイラスト

低置胎盤とは、胎盤が内子宮口から2cm以内に接している状態のことをいい、癒着胎盤を併発している恐れがあります。前置胎盤ほど危険ではありませんが、妊娠中や出産時の出血リスクが高いため、自然分娩か帝王切開かを慎重に判断します。

胎盤の位置が変わることもある

前置胎盤や低置胎盤の疑いがあっても、赤ちゃんの成長とともに、胎盤の位置が上がる場合があります。

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