妊娠中の味覚変化の原因に関する記事

妊娠で味覚が変わる!味覚異常・味覚障害の原因とは?

妊娠で味覚が変わる!味覚異常・味覚障害の原因とは?

妊娠初期に食べ物の嗜好が変わる妊婦さんは多いですが、中には味覚そのものに影響をきたし、「味を感じない」「口の中が苦い」といった味覚異常を訴える方がいます。妊娠中の味覚障害はなぜ起こるのか、原因や対処法をまとました。

マーミーTOP  >  出産  >  妊娠で味覚が変わる!味覚異常・味覚障害の原因とは?

妊娠で味覚が変わる?味が分からなくなる妊婦の味覚異常の原因

カップを持つ妊婦さん

妊娠すると酸っぱいものやしょっぱいものが恋しくなるなど特定の食べ物が無性に食べたい、又は食べたくないという症状が見られることは珍しくありません。多くは妊娠初期に起こるつわりの一種だと考えられており、妊娠中期に入る頃には自然と治まるケースが多いです。

一方で、単純な食べ物の嗜好の変化とも違い、妊娠してから食べ物の味がよくわからない塩気が感じられずいつも物足りないなにも食べていないのに口の中が苦いなどと訴える妊婦さんがいます。味覚障害とも考えられるような症状はなぜ起こるのでしょうか?

妊娠中の味覚変化の原因や対処法をご紹介します。

味覚異常・味覚障害とは?

味覚異常・味覚障害とは、なんらかの原因によって、食べ物の味がわからなくなる、普段に比べて感じにくくなる症状です。

味付けを濃くしないと味が感じられない味覚減退、濃い味付けをしても味が全くしない無味症、一定の味に対する感覚が鈍化する解離性無味症、食べ物を摂取していないのに口の中に苦みや塩気を感じる片側正常味覚、食べているものとまったく別の味を感じる錯味症などがあります。

味覚障害の症状がある場合、多くの人が食欲不振に陥り大きなストレスを感じます。また味覚減退や無味症の場合は、味付けを濃くしてしまいがちで健康面も心配です。特に妊娠中は塩分過多になると妊娠高血圧症のリスクを高めてしまいます。

妊娠中に味覚の変化・異常を感じた体験談

奈々枝
30代前半

料理の味付けができなくなりました

フライドポテト

妊娠初期の頃、味覚がおかしくなって料理の味付けができなくなりました。つわりもそこまでひどくなく、他の人がいうように、「フライドポテトが食べたい!」「酸っぱいものが食べたい!」ということはなく、自分では少し食欲はないけど、元気なつもりでした。

異常に気が付いたのは、妊娠8週目の頃に夫に「料理がしょっぱい」と指摘された時です。自分でも食べてみて、その時は特に味が濃いようにも感じなかったのですが…。それから、いつも決まった分量で作る料理を作ったら、ものすごく薄味に感じました。

これは私の味覚が鈍ってるの!?と衝撃な体験でしたね。

香川さち
32歳

水が苦くて飲めない!

ミネラルウォーターの写真

妊娠して、まずは食べ物の好みがガラリと変わりました。それまで大の甘党だったのですが、ケーキやチョコレートは気持ち悪くて食べられない。冷やし中華や柑橘類が無性に食べたくなりました。

妊娠10週の頃、ミネラルウォーターを飲んだら、苦みを感じました。最初は、「水がおかしい!」と騒いだのですが、夫は「そんなことない」と言います。それで、他の飲み物やフルーツを食べてみたらやっぱり苦い!

夏だから水分補給しないといけないのに、なにも飲みたくなくて弱りました。まったく苦みを感じないわけではないのですが、なんとかレモン系の炭酸飲料だけは飲めたので、それで水分補給をすることに…。健康的にはよくないですが、本当にこれが精いっぱいでした。

妊娠中に味覚が変わる原因?4つの仮説

妊娠中の味覚の変化について調査・検討を行った研究(注1)によると、健康な妊婦さん97名にアンケート調査を行ったところ、90名が食べ物の嗜好の変化を実感していました。特に酸味と塩味が欲しくなる妊婦さんが増加します。
また、54名が妊娠してからなんらかの味覚障害が出現しているという自覚を持っていました。

一般的な味覚障害の原因とこの研究によって示された妊婦さんの特徴から、妊娠中の味覚の変化がなぜ起こるのか、原因を探っていきましょう。

亜鉛不足

亜鉛を多く含むアーモンドの写真

人間が「味を感じる」ためには、舌の上にある味蕾(みらい)という器官、そして味蕾の中にある味細胞が味を識別し、脳に伝達するという一連の流れが必要です。

通常、味細胞は約1ヶ月のサイクルで生まれ変わります。しかし、この新たな味細胞を生み出す時期に亜鉛が不足していると、古い味細胞が味蕾の中に残ってしまいます。新しい味細胞が十分存在せず働きの鈍った味細胞が残り続けると、脳への伝達にも支障をきたします。これが亜鉛欠乏による味覚障害の仕組みです。

亜鉛を多く含む食品

  • 牡蠣
  • 煮干し
  • カニ
  • 卵黄
  • パルメザンチーズ
  • ゴマ
  • アーモンド
  • 小麦 など

亜鉛は体内全体の細胞に存在する成分。体内に入り込んだ細菌やウイルスが悪さをしないように免疫力を高め、新陳代謝を活性化させる作用があります。妊婦だけでなく胎児や乳幼児期の子供にとっても亜鉛は成長に欠かせない栄養素ですが、体内では生成できないので食事などによる摂取が基本です。

亜鉛が不足すると味覚が鈍化し、皮膚炎等の原因になることも知られています。

口腔内の乾燥

唾液は単に咀嚼(そしゃく)や消化を助けるだけでなく、味を認識するためにも重要な役割を担っています。唾液には食べ物の味物質を溶かし出し、味蕾の働きを活性化させるという働きがあります。そのため、口内の唾液が不足すると、必然的に味覚が鈍くなります。

先ほどの調査で行った「自分の唾液が気になりますか?」という質問に90人中50人の妊婦が、「口の中が乾きますか?」という質問には61名の妊婦がそれぞれYESと回答しています。妊娠中の口内の乾燥はよく見られる症状と言えます(注3)。口腔内の乾燥により唾液が不足して味覚異常や味覚障害を起こしているという考えは、なかなか説得力がありますね。

ただし、実はこの説も医学的な根拠はやや弱く、立証されていません。なぜなら、「口の中が乾く」と答えた妊婦を診察したところ、他覚的に明らかに口内乾燥をしている妊婦は一人もいなかったのです。

舌苔(ぜったい)

手を額に当てる女の人

舌の苔(こけ)と書いて舌苔(ぜったい)と呼びます。舌苔は舌の表面にある白い付着物で、古くなった細胞や細菌、食べ物のカスなどが蓄積されたものです。程度の差はありますが平常時でも誰にでもあるもので、免疫が低下すると厚くなったり色が変わったりします。舌苔が増えると口臭の原因となることもあります。

妊娠すると疲れやすい、風邪を引きやすいなどの体調不良は多くの妊婦さんが経験します。また、妊娠初期はつわりのせいで歯磨きが辛く、十分に磨けないという方もいらっしゃるでしょう。

一度、鏡の前で舌を出しながら舌苔の状態を確認してみましょう。舌の色がわからないほど舌苔が厚く付着している場合は自浄作用の低下、逆に全く苔がない場合はミネラルや鉄分の不足が疑われます。喫煙習慣がないのに舌苔が黄色い、黒い舌苔が見られる場合も異常が疑われます。

舌苔の清掃方法

  1. 鏡を見ながら、舌をベーと突き出し、鏡で確認できる1番奥から手前に舌ブラシ等を軽く引く。
  2. 舌ブラシを水で洗い、1~2回繰り返す。

免疫力の低下、栄養素の不足などが原因で舌苔が分厚くなっている場合、治療や生活習慣の改善が必要です。ですが今付着している舌苔は応急処置的に清掃によっても取り除くことができます。最近つわりで歯磨きが上手くできなかった方は、まずは舌清掃をしてみましょう。

舌清掃は舌ブラシがあればベストですが、なければ毛先の柔らかいコンパクト歯ブラシや目の粗いタオルを使いましょう。粘膜を傷つけないために1日1回までにしてくださいね。

また、息を止めながら行うと気持ち悪くなりにくいです。口臭対策としては起床時がおすすめですが、つわり中の妊婦さんはあまり無理せず体調が良い時を狙いましょう。

ホルモンバランスの変化

なぜ妊娠中に味覚が変わるのか、原因は仮説の段階を出ていません。妊婦さんが味覚異常や味覚障害を自覚する時期は妊娠初期のつわりの時期と重なるので、味覚の変化はつわりの一種とも考えられますが、そもそもつわりの原因も医学的によくわかっていないのが現状です。

ただ、やはり妊娠中の味覚異常や味覚障害があらわる時期は、黄体ホルモンやhcg(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が急増しホルモンバランスが変化する期間と重なっています。妊娠中の味覚の変化は妊娠初期を過ぎると徐々に回復しますので、妊娠初期のホルモンバランスの変化がなんらかの影響を及ぼしていると考えられます。

「妊婦の味覚変化=亜鉛不足」とは言えない

妊婦の味覚変化と亜鉛不足

味覚障害の原因が亜鉛欠乏によるものなら、妊娠中も積極的に亜鉛を摂取すれば予防できるはずです。「亜鉛は胎児の成長にも必要不可欠なので、胎児に優先的に栄養素が運ばれることで妊婦の味細胞を働かせるための亜鉛が欠乏してしまっている。」と、今までは考えられてきました。

ところが、先ほどの研究では妊婦の味覚異常と亜鉛欠乏を関連づけることは困難と結論づけられています(注2)。


妊娠中の味覚異常や味覚障害の多くは妊娠初期に起こりますが、同研究で味覚異常や味覚障害の自覚のある妊娠初期の妊婦の亜鉛量を調べたところ、亜鉛は正常値だったのです。確かに中期・後期にかけては亜鉛の減少が認められたのですが、これは味覚異常が発生した時期と一致しません。

もちろんこの研究だけで結論づけることはできません。亜鉛が含まれた食品を摂ることが無駄とは言い切れませんし、亜鉛は胎児の成長のためにも積極的に摂取するべき栄養素です。ですが、「妊娠中に起こる味覚障害=亜鉛不足」ではない可能性も十分にあり得るということは知っておきましょう。

味覚が変わる時期や味覚異常が終わる時期

妊娠中に味覚の変化や異常を感じましたか?

妊娠中に、味覚異常・味覚障害が起こりやすいのは妊娠初期です。妊娠中に味覚の変化、味覚の異常を感じた妊婦さん90名のうち88名は、それが妊娠初期に起こったと回答しています(注4)。

しかし、その後味覚の変化がいつまで続いたかというと、多くの方は妊娠初期の終わりころには改善が見られ、妊娠中期(安定期)に入り体調がよくなってくると味覚の変化に関しては意識しなくなっています。
まれに中期・後期まで続く方もいますが、妊娠中の味覚障害は基本的には一時的なものであるといえるでしょう。

ただ、味覚障害が妊娠とは関係のない病気の症状であることもゼロではありません。念のため産科の先生には相談しておき、慎重に経過を観察しましょう。

スポンサーリンク

おすすめコンテンツ