小児期崩壊性障害とは?に関する記事

小児期崩壊性障害とは?成長の退行が起こる発達障害の症状

小児期崩壊性障害とは?成長の退行が起こる発達障害の症状

「小児期崩壊性障害」とはどのような病気なのでしょう。一見すると自閉症と間違えやすいのですが、実は自閉症よりも珍しく、重度の症状を引き起こすことから、早期発見するためには、症状や自閉症との違いなどの正しい知識を身につけておくことが大切です。

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小児期崩壊性障害とは?知っておきたい自閉症との違い

発達障害と言えば、自閉症やアスペルガー症候群などが知られていますが、中にはあまり知られていないものもあります。ここでは、その中のひとつである「小児期崩壊性障害」についてご紹介します。

小児期崩壊性障害は、発症タイミングがほかの発達障害とは異なるため、早めに気づくことが難しい障害だといえます。そのため、早期発見のためには、小児期崩壊性障害の具体的な症状について知っておくことが大切です。

それでは、小児期崩壊性障害の具体的な症状や自閉症との違いなどについてみていきましょう。

小児期崩壊性障害ってどんな病気?

笑顔の男の子

小児期崩壊性障害とは、ある程度の年齢まで問題なく発達した状態で、言語機能や知的機能が崩壊する障害です。

世界保健機関(WHO)が作成した国際疾病分類の10版(ICD-10)では、「他の小児崩壊性障害」という名称で広汎性発達障害に分類されています。

それに対して、2013年にアメリカ精神医学会が作成した診断基準(DSM-5)では、自閉症スペクトラム障害に統合されました。

小児期崩壊性障害は2歳~5歳で発症しやすく、女の子に対して男の子の方が4~8倍多い傾向があります。2万人に1人の割合で発症することから、1000人に1~2人の割合で発症する自閉症に比べて珍しい障害だといえます。

順調な成長が、ある時点から半年ほどかけて退行することから、「折れ線型自閉症」と混同しやいため注意が必要です。

小児期崩壊性障害の症状

小児期崩壊性障害になると、具体的にどのような症状が出るのでしょうか。主な症状についてまとめました。

イライラしやすくなる

小児期崩壊性障害の初期症状として、言うことをきかなくなったり、不機嫌で怒りっぽくなったりすることがあります。この症状だけではこの病気と判断できないので、他の症状と合わせてチェックするとよいでしょう。

遊びや運動能力が後退する

遊んでいる子供達のイラスト

小児期崩壊性障害を発症すると、運動能力の低下によって、それまで普通にできていた遊びができなくなることがあります。

今まで上手にジャンプしていたのに急にできなくなったり、指先でつまめた物をうまくつまむことができなくなったりするなどの症状が出てきます。

排尿・排便のコントロールができなくなる

トイレトレーニングをしている男の子のイラスト

小児期崩壊性障害になると、排尿や排便のコントロールができなくなる傾向があります。トイレトレーニングが完了し、おしっこやうんちが一人でできていたのに、おもらしするようになる子供が多いです。

下に赤ちゃんが生まれたときに、このような症状が出ると、ママは赤ちゃん返りと勘違いしてしまうことがあるため、注意が必要です。

周囲に関心を示さなくなる

小児期崩壊性障害の特徴として、周りの人に興味を示さなくなることがあります。コミュニケーション能力の低下とともに、自閉症に似た症状が現れることも。

同じ動作を繰り返す「反復的な行動」、手をヒラヒラしたりピョンピョン飛び跳ねたりする「情動的な行動」などの症状は、だんだんと悪化していき、次第に子供とコミュニケーションが取りずらくなっていきます。

言葉を話さなくなる

一人で遊んでいる女の子

小児期崩壊性障害の一番分かりやすい症状として、言葉の後退があります。年齢相応に言葉が発達していたのに、意味のある言葉を話さなくなるのが特徴です。

急に会話ができなくなるので、親がおかしいと感じて、病院を受診するケースが多いようです。

自閉症との違いとは

笑顔の子供

小児期崩壊性障害と自閉症の大きな違いは、症状が現れる時期にあります。小児期崩壊性障害では、2歳~4歳までは年齢相応に順調な成長が見られ、その後に発達が後退します。

それに対して、自閉症の子供の場合、赤ちゃんの頃から症状が現れることが多いです。「目を合わせない」「笑わない」「抱っこを嫌がる」などの症状がよく見られます。

また、小児期崩壊性障害の方が、自閉症よりも知的障害や精神遅延などの症状が重い傾向にあります。適切な療育などによって改善する場合も望めますが、精神遅延が残るケースもあります。

小児期崩壊性障害の診断基準

小児期崩壊性障害では、発症までに獲得した、次のような能力の退行が見られる場合に診断が下されます。

小児期崩壊性障害の主なチェック項目

  • 言語能力
  • 排泄のコントロール
  • 遊び・運動能力
  • 社会的技能・適応行動
  • 自閉症に似た症状の出現

社会的技能や適応行動というのは、社会で人と強調しながら環境に適合していく能力のことをいいます。

また、自閉症に似た症状には、周囲への関心の喪失のほか、次のような反復性のある常同的な行動がみられます。

  • 手をひらひらさせる
  • ピョンピョン飛び跳ねる
  • 体を揺らす
  • グルグル回る
  • 奇声をあげる

自閉症児は小さい頃からこれらの行動を行い、成長に伴いおさまることがありますが、小児期崩壊性障害では言語の消失などの症状が徐々に進むのが特徴です。

小児期崩壊性障害の治療

小児期崩壊性障害は、原因がはっきりと分かっていないため、明確な治療法が確立されていません。ただし、自閉症と似た症状については、自閉症と同じ治療が行うことで改善が期待されます。

小児期崩壊性障害で行われる治療には、主な次のようなものがあります。

行動療法

ご褒美をもらった女の子

行動療法とは、問題行動を望ましい行動に変えていく治療法です。褒めることで望ましい行動を増やし、ご褒美を与えないなどの方法で問題行動を減らすことで、社会性を身につける目的があります。

小児期崩壊性障害で行われる行動療法では「応用行動療法(ABA)」が代表的です。ABAでは、子供が問題行動を起こした時に、親が強く叱ったりするのではなく、消極的に対応することで問題行動を減らしていきます。

例えば、泣き叫んでおもちゃを手に入れようとする子には、黙って売り場を去り、おもちゃを与えません。その代わり、お店で静かにできたら大いに褒め、おもちゃを与えます。

そうすることで、子供は泣いてもおもちゃが手に入らないことを理解し、お店で暴れるという問題行動が減っていくのです。

ABAは専門のセラピストによる指導を受けると効果が高いのですが、家庭でも取り組める部分があります。実践例が書いた書籍も多く出ているので参考にするとよいでしょう。

家庭で無理なく楽しくできるコミュニケーション課題30
家庭で無理なく楽しくできるコミュニケーション課題30

学研プラス

1,900円+税

家庭でのABAのやり方を分かりやすく説明した本で、コミュニケーションの取り方に特化した練習法が載っています。小学校に入る前の子供向きです。

http://hon.gakken.jp

発達障害のある子とお母さん・先生のための思いっきり支援ツール
発達障害のある子とお母さん・先生のための思いっきり支援ツール

エンパワメント研究所

1,800円+税

そのまま使える支援ツールが載っていて、家庭でABAに取り組む際に役立つ本です。小学校に入った後の子供の対応に役立ちます。

https://www.space96.com

薬物療法

動きが激しかったり、睡眠障害があったりするなど、日常生活に支障をきたすような症状がみられる場合は、薬物療法が用いられます。

薬物療法といわれると心配になるお母さんは多いかもしれませんが、精神薬とはいっても少量ずつなら子供に飲ませても危険ではありません。自閉症の治療に使われる薬には、次のような種類があります。

抗精神病薬
薬を飲んでいる子供

抗精神病薬とは、脳で分泌されるドーパミンを抑える薬で、興奮や不安の症状が強い場合に効果があります。この種類の薬では、副作用の少ないリスパダールなどが処方されます。

小さな子供に飲ませる場合は、液体の薬を体重に合わせて薄めて飲ませるのが一般的です。

中枢神経刺激薬
中枢神経刺激薬

中枢神経刺激薬とは、文字通り中枢神経を刺激することで、不安や興奮を抑えて、頭をスッキリとさせる薬です。ADHDのように、じっとしていられず衝動性が強い症状に処方されます。

コンサータやストラテラがよく使われており、6歳以上の子供への処方が可能で。

抗うつ薬

自閉症の治療では、落ち込みなどの抑うつ症状のほかに、不安や強迫観念、儀式的行動を抑える効果がある抗うつ薬が使われます。症状に合わせて、副作用の少ないSSRIや、即効性のある抗不安薬などが処方されます。

過去の嫌なことを思い出すフラッシュバックがひどい場合には、漢方薬が処方されることもあります。

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