子供の色覚異常に関する記事

色覚異常検査がなくなっていた…小学生男子に多い眼の病気

色覚異常検査がなくなっていた…小学生男子に多い眼の病気

色覚異常はどのような病気か、小学校での検査、識別しにくい色、男の子に多い理由や問題点、検査や治療法について詳しく解説します。異常を疑うべききっかけもご紹介しましたので、兆候が見られたら早めに眼科を受診しましょう。

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色覚異常はクラスに1人でも検査がない!男子に高確率な眼の病気

子供の身体は全て、パパやママから受け継がれた遺伝子から成り立っています。だからこそ、目や鼻の形、髪の毛の色などに自分や愛する人の片鱗を子供に見つけ、一層愛情が高まるわけですが、遺伝は目に見えるものだけではなく、目に見えない子供の性質にも大きな影響を与えています。それがいわゆる遺伝による疾患で、多く発現しやすいものの一つが色覚異常です。

今回は、色覚異常とはどのような病気か、原因や対処法、検査方法、問題点、子供の視覚異常の発見の仕方などについて、詳しくご紹介していきます。色覚異常はごくありふれた遺伝疾患で、自分の子供や孫に発現しないと言い切ることは誰にもできません。この機会に正しく理解しておきましょうね。

色覚異常ってどんな病気?

色ペン

「色覚異常」とは、色を識別することが難しい、もしくはできない状態をいいます。パパやママの年代であれば、「色盲」といったほうがわかりやすいかもしれませんね。この表現は昔から使われてきましたが、「色盲=全く色が区別できない」といった誤解を受け付けやすいので、現在では「色覚異常」という表現を使うようになっています。

色覚異常は私達が光を感じて物を見る役割を果たす、目の奥の網膜にある視細胞に含まれる錐体視物質に何らかの異常があったり、病気で機能が損なわれたりすることで発症する疾患です。

人間の視覚は、3つが密接に影響しあって成り立っています。

  • 物を見分ける視力
  • 周りを見渡す視野
  • 色を識別する色覚

色覚異常の子供達は、この3つのうちの色を識別する色覚の機能が上手く働きません。また、原因によっては色が識別できないだけでなく、物の見え方が変わってしまうことも…。そのため色覚異常が正しく理解されずに「弱視」とみなさるケースも多いのですが、色覚異常の子供は視力に異常はありません。誤解をしないようにしっかり理解しておきましょうね。

色覚異常は3タイプある

赤、緑と青の三原色

私達はさまざまな色に囲まれて生活をしていますが、人間の視細胞は赤・緑・青の3色しか認識できません。この3色を基本として、私達は微妙なトーンの色の違いを見分けることができるわけなのですが、色覚異常の場合は赤色と緑色の認識に支障がでます

色覚異常は認識できない色の種類や程度の個人差が大きく、色の認識や見え方などの症状は人それぞれで違うのですが、大きく分けて次の3つのタイプに分類することができます。

  • 1色型(全色盲)
    色を全く認識できず、視力自体も非常に弱く、見るもの全てが灰色に見えます
  • 2色型(色盲)
    赤色か緑色のどちらかが認識できない症状で、色の区別をすることが困難です
  • 異常3色型(色弱)
    赤色も緑色も認識できるものの、その感じ方が不十分で、微妙な色の違いが区別できません

小学生への色覚異常検査は無くなっていた!?

これまで色の見え方の異常については、視力の検査と同様に小学校の定期健康診断でカラフルな絵の中から文字や形を読み取る、石原色覚検査表を使って検査が行われてきました。ところが、視覚異常の子供に対する差別やイジメをなくすために、2003年に子供達が集団で検査を受ける方法は廃止され、希望する子供だけが検査を受けるように変更されました。

色覚検査用紙

集団で検査をうけることで色覚異常があることが友達に知られてしまい、子供が他の子から「こんな検査もできないの?」と心無い言葉をかけられたり、からかわれたりすることはとてもつらいことです。色覚検査の見直しはこういった面で子供達に良い効果をもたらしましたが、逆に子供の色覚異常に気が付かず、色覚異常の子供が充分なケアを受けにくくなったというデメリットも指摘されています。

色覚異常の子供は生まれたときからの色の見え方に「普通とは違う」という疑問を感じることはありませんし、子供のうちは色の見え方が他の子と違っても、生活で不都合が起きることはあまりありませんが、社会で生活する中で信号の色などのように危険をわかりやすく色で表示していることは多く、将来的に色覚異常が危険に繋がる可能性は十分にあります。

そういったリスクを避けるためにも、色覚異常の子供は早めに色の見え方を正しく理解するためのケアが必要ですので、パパやママが子供の言動から「あれ、なんだかおかしいな?」と感じたら、早めに眼科医を受診して、適切に対処していきましょう。

色覚異常を疑うべききっかけは?

紅葉を持つ男の子
  • 木々の紅葉の変化がわからない
  • 熟していない青いリンゴと、熟した赤いリンゴを見分けられない
  • 赤信号と黄信号の点滅を間違えてしまう
  • 携帯電話などの充電ランプの色を見分けられない
  • 花の色などの表現方法に間違いがある
  • カレンダーで平日と祝日が区別できない
  • 緑の黒板に赤いチョークで書かれた文字が読めない
  • 色分けされた円グラフが読めない
  • 独特な、現実とは違う色使いで絵を描く
  • 描いた絵の色使いがおかしいと言われた   など

色覚異常の子供が識別しにくい色

視力検査をしている子供のイラスト

私達にとって色とは、視細胞が受け取った光の刺激を脳で「色」として認識したもので、刺激の強さや3色の組み合わせで、数多くの色の判別をしています。一般的に色覚異常の子供は次の色の組み合わせが苦手です。子供の色覚に不安がある場合には、折り紙などを重ねて見せて、色を当てさせてみましょう。

  • 赤と緑
  • オレンジと黄緑
  • 緑と茶
  • 青と紫
  • ピンクと白
  • ピンクと灰色
  • 緑と灰色
  • 緑と黒
  • 赤と黒
  • ピンクと水色

ただし、苦手な色の組み合わせはあくまでもうまく機能しない視細胞に起因するもので、すべての色覚異常の子供がこの色の組み合わせが苦手というわけではありません。疲れて集中力が落ちているときや、周囲の明るさが足りないなどの要因で色の見方は結構違いが出ますので、自己判断はせず、色覚異常の判断はお医者さんにお願いしましょう

色覚異常はなぜ男の子に多い?遺伝と確率

一般的に、先天性で色覚異常の子供は女の子よりも男の子が多い傾向があります。これは、物を見る機能を受け持つ遺伝子が、XとYという、性別を決定する性染色体上にあることに起因しています。遺伝は親から子供へ受け継がれていく大事な性質です。偏見を持たずに正しく理解してくださいね。

色覚異常が男の子に多い理由

遊んでいる男の子

私達人間の性染色体は2つあり、男性はXY、女性はXXの遺伝子の組み合わせを持ちます。色覚を決定する遺伝子はXの遺伝子にあって、親から子供へと確実に受け継がれていきます。色覚異常の遺伝子は、親の性質が子供に現れにくい劣性遺伝なのですが、男の子の場合は母親から色覚異常のあるX染色体を1つ受け継ぐと、色覚異常となって自分の子供にも色素異常の遺伝子を伝えることになります。

これに対して女の子の場合は、子供に色素異常を持つ遺伝子を伝えても、本人は色覚異常をもつX染色体が2つ揃っていなければ症状が発現することはありません。つまり女の子は、母親から色覚異常のあるX染色体を受け継いでも、父親から受け継がなければ発病しません。そのため女性よりも男性の方が色覚異常の発症率が高いのです。

遺伝の確率

私達生き物は、両親から顔かたちや身体機能を特徴つける遺伝子を受け継ぎますが、親の遺伝的特徴を全てそのまま受け継ぐということはありません。なぜなら、私達は精子や卵子を作る時に自分の遺伝子をランダムに半分に分け、相手から受け継ぐ半分の遺伝子をつかって1つの人間の身体を作るからです。

両親から受け継いだ色素異常の遺伝子により症状が発現する確率は、男性で全人口の5%。1クラス男女半々で40人の場合、男の子は1人が色覚異常を発症しています。それに対して女性の場合は、色素異常の遺伝子をもつX染色体が2つ揃わなくてはいけないので発症する確率が低く、全人口の約0.4%程度しか発現しないという計算になります。

母親の保因率は10%

仲がいい親子

色素異常の遺伝子を受け継いでいるものの、本人の症状としては発現せず、次代へ性質を伝えていく人を、遺伝的な「保因者」と呼びます。色素異常の場合は女性の全人口の10%前後が保因者。つまり、本人の自覚のない保因者の女性は10人に1人と非常に多く、男性保因者の2倍という高い確率になります。

確率の数値が示す通り、色素異常は珍しい遺伝疾患ではなく、我が子にも起こることと考えることが大切です。女性保因者の場合は自分や夫に色素異常の症状がないために子供の色素異常に気付きにくく、また正しい知識が無いために、子供の異常を自分のせいにして自分を追い詰めてしまいがちなのですが、子供のケアをスムーズに進めるためにパパやママの協力が必要不可欠ですので、正しい知識を得て疾患を正しく理解することが大事ですね。

後天性の色覚異常と原因

メガネを掛けている子供のイラスト

色覚異常の大半は遺伝による先天性のものですが、中には病気などに起因する後天性のものもあります。先天性のものは症状が進行することはありませんが、後天性の場合は病気の進行とともに色を認識できる程度や物の見え方が変わっていくという特徴があり、視力が下がってきたことで後天性の色覚に気が付くことも多いです。

後天性の色覚異常を引き起こす原因としては、次のような病気がありますが、なかには心因性によるものや、加齢により視神経の衰えが影響していることもあります。

後天性色覚異常になる病気

  • 網膜病変
  • 緑内障
  • 視神経病変
  • 大脳性病変
  • 糖尿病性網膜症
  • 網膜剥離
  • 中心性漿液性網脈絡膜症
  • 網膜色素変性症 など

後天性の色覚異常は、原因となっている病気を根本から改善できれば、色の認識を改善することは十分期待できますので、早めに院を受診して、医師の指導に従って治療をすすめていくことが大事です。

色覚異常があることによる問題点

画家のイラスト

極端な近眼だった画家のモネが、自分の見ている世界を素晴らしい絵画に表現して喝采を得たように、色覚異常の子供の描く絵が独特の色遣いのため、「芸術性が高い」という良い評価を受けることもあります。身体機能が普通の子供と違うことは、決して悪いことばかりではありません。

ですが、色覚異常の子供が将来受けるかもしれない問題点を知っておくことは、とても大切なことです。パパやママとしても子供の受ける可能性のある問題点を把握して、しっかり対策を考えておきましょう。

できない遊びがある

赤や緑は目を引く強い色で、子供の興味を引くゲームなどにも多用されている色ですが、色覚異常があると色の判断がつきにくく、UNOやぷよぷよなどの色の識別をしなくては遊べないゲームについていくことができません。遊べても色を間違うことが多く、一緒に遊ぶお友達とトラブルになってしまうこともあります。

学校などで指示に従えないことがある

授業中の小学生達

子供は飽きっぽく、文字だけでは集中ができないので、学校教材や教科書には子供の目を引くような色がたくさん使われています。しかし、色覚異常のある子供は色を頼りに指示をされても、それに従うことができません

あらかじめ親が子供の色覚異常に気が付いて先生と情報を共有していれば、トラブルを回避することができますが、親が気付かずに放置をしてしまうと、子供が友達から「頭が悪い」とからかわれたり、先生から「真面目にやるように」と無用なレッテルを貼られたりしまいがちになります。

進路で不合格・不採用となることがある

以前は「色を識別できないと実験や実習を安全に行えない」などの理由で、学校の入学審査に色覚検査を義務付けるなどの制限も一部ありましたが、現在はそういった差別化は撤廃される方向にあります。

ですが、進路によっては正しい色の識別ができないと課題をクリアできず、卒業が難しいとう場合もありますので、進路を決める場合には色覚異常があっても問題は無いことを事前に確認する必要があります。

就業が困難な職種がある

基本的に視覚異常があっても働くことに支障はありませんが、航空機のパイロットや鉄道運転士、船舶航海士などのように光の表示や点滅などを敏感に察知して安全確保をしなくてはいけない仕事には、視覚異常があると就けません。適性検査を求められる仕事を選ぶ場合には、自分が基準をクリアできるか、しっかり確認をする必要があります。

程度により自動車免許が取得できない

自動車教習所

自動車の運転免許は、視覚異常があっても赤・青・黄色の区別が確実にできる場合には取得できますが、症状によっては取得が難しい場合もあります。

これは不当な差別ではなく、自分にとっても周りにとっても大事な命を守るためのルールですので、将来免許取得を考えて不安になった場合は、都道府県の免許センターなどに相談をして、適性検査を受けることをオススメします。

色覚異常と検査の大切さ

子供の描く絵や言動から、子供が自分と同じような色の識別をしていないのでないかと疑問を持った場合には、早めに眼科医による検査と診断を受けましょう。「色の見え方は、個人差があるから」と安易に考えるのは、好ましいことではありません。

色覚異常があっても、きちんと検査をして自分の色覚の症状を理解しておけば、間違えやすい色に対して対処ができるので、子供の生活はグッと楽になるはずですよ。

病院での色覚異常の検査には、まず石原色覚検査表などを使ったスクリーニング検査が行われ、異常と判定されれば更に詳細な検査をして視覚異常のタイプや症状を特定していきますので、検査が子供の身体の負担になることはありません。

子供にとっても早いうちに検査をうけ、それが自分の欠陥ではなく特徴の一つだと受け入れることが大事ですので、パパやママが前向きに検査を受ける意志を示すことで、子供にも前向きな姿勢を促していきましょう。

色覚異常の治療法

会話をしている親子のイラスト

後天性の色覚異常の場合は、原因となっている病気の治療をすることで色の味方を正常に戻していける可能性はありますが、残念ながら先天性の色覚異常の場合は、色を見分ける機能自体が視細胞から失われているので、色の見方を改善することはできません。

色覚異常であることを自覚し、検査に使われるテストのパターンを覚えて正しい回答を用意しておくことで、「色覚異常ではない」という振りを覚える子供がいて、色覚異常が治療で直るという誤解を受けることもありますが、これは疾患の根本的な解決にはなりません。

子供に「いつか治る」といったあいまいな希望を持たせるのではなく、「治らなくても、あなたは素晴らしい」という事実を、パパやママが教えていけるといいですね。

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