K2シロップ投与の目的と方法に関する記事

K2シロップって何?助産院は投与なし?新生児に与える目的

K2シロップって何?助産院は投与なし?新生児に与える目的

K2シロップを、一体何の目的で飲ませるかご存知ですか?飲ませないことで防げるはずの赤ちゃんの病気を防げず、生後間もない命を危険にさらすことも…。こちらでは、必要性や飲ませ方、海外の様子、助産院とホメオパシー、副作用等についてご紹介します。

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K2シロップは新生児や赤ちゃんに必要?目的&飲ませ方や副作用

出産後、すぐ新生児に飲ませるK2シロップ。これから赤ちゃんを産むママも、新生児を子育て中のママも、赤ちゃんの口に入るものですので、しっかりと理解しておきたいですよね。助産院の方針によっては、K2シロップを与えないことがあるかもしれません。助産院で出産するママは特に、しっかりと読んでおきましょう。

こちらでは、K2シロップの目的と効果与えなかった場合の病気の危険性、飲ませ方、飲み忘れや吐いた時の対応などを解説します。K2シロップを飲ませる目的をしっかりと知っておくことで、赤ちゃんに起こりうる危険な病気の予防に役立ちますよ。

K2シロップって何?

新生児の赤ちゃん

K2シロップとは、ビタミンK2を飲みやすいシロップ状にした薬のことです。ビタミンKにはK1、K2、K3がありますが、ビタミンK1とK2はほとんど同じ働きをし、K3は食品などには含まれない物質で、毒性があるため使用できません。

ビタミンKには血液を固め、骨の形成に必要な栄養素ですので、不足すると出血が止まらなくなったり、血便や血尿、鼻血などの症状が引き起こされたりし、骨折もしやすくなります。新生児~生後5ヶ月の赤ちゃんには、一日に4㎍のビタミンKが必要とされていますが、この目安量も新生児に時にK2シロップを投与した赤ちゃんへの量として厚生労働相が示している量です。

ビタミンK1は主に緑黄色野菜や海藻類などに含まれています。また、ビタミンK2は微生物によって腸内で合成されるため、納豆菌が豊富な納豆などの発酵食品、肉や玉子などの動物由来の食品を食べることで摂ることができますよ。

K2シロップを飲ませる目的

新生児や乳児はビタミンK不足などの理由で、「新生児メレナ」や「乳児ビタミンK欠乏性出血症」という命にかかわる病気になる恐れがあります。そのため、病気を予防して赤ちゃんの命を守ることを目的として、生まれて間もない新生児や乳児へのビタミンK2シロップ投与が行われているのです。

ビタミンK欠乏性出血症とは

ビタミンK欠乏性出血症は2種類に分類されます。出生後7日までに体内で出血してしまう「新生児ビタミンK欠乏症出血症」と、それ以降の乳児が体内で出血してしまう「乳児ビタミンK欠乏性出血症」です。どちらも発症は稀ですが、特に乳児ビタミンK欠乏性出血症は頭蓋骨内で出血を引き起こして亡くなったり、後遺症が残ったりすることが多いとても危険な病気です。

新生児ビタミンK欠乏性出血の場合は、生後2~4日に起こることが多く、早い子で生後24時間以内に発症することも…。皮膚や消化管から出血する「新生児メレナ」が多く、検査などで注射針を皮膚に刺した時になかなか止血できない、血を吐く、血が混じったうんちを繰り返す、皮膚に内出血のような出血班が見られるなどの症状がみられます。

乳児ビタミンK欠乏性出血症の場合は、生後3週間~2ヶ月の母乳で育てている赤ちゃんに多く、特に突発性のものは男の子が女の子に比べて2倍も多いとも言われています。また、初夏から秋の終わりにかけて多く発症する傾向があり、その8割以上に頭蓋骨内出血が見られます。発症した後は回復が見込めないため、特に予防が大切。そのため、K2シロップを投与するのです。

なぜ新生児や乳児にK2シロップが必要?

母乳を飲み始めたばかりの新生児の場合、初めはビタミンK欠乏状態になっても仕方がない気がしますが、ママがビタミンKの豊富な食べ物を食べ、赤ちゃんもスクスク育っている場合でも、ビタミンK欠乏状態になることはあります。何故だと思いますか?そこには3つの理由が考えられます。

赤ちゃんがビタミンK欠乏状態になる理由

  • ビタミンKは胎盤を通りにくい性質を持っているため、赤ちゃんがお腹の中にいる間に体に蓄えられる量が少ない
  • 母乳に含まれるビタミンKが少ない
  • 発育が未熟なため、腸内でビタミンKが合成される量が少ない
母乳を飲んでいる赤ちゃん

ビタミンKの量は、季節や母親の食べた食品に影響を受けます。生まれて間もない赤ちゃんに、ママの努力だけで充分なビタミンKを与えるのが、非常に難しいのです。

また、なぜビタミンK1ではなくビタミンK2なのかという疑問も残りますよね。実は、母乳中のビタミンKはほとんどがビタミンK1であり、ビタミンK2はビタミンK1のおよそ5分の1しか含まれていないからなのです。

こうした経緯から、予防でK2シロップを与えたところ、ビタミンK欠乏性出血症の赤ちゃんは10分の1に減少しました。ただし、予防でK2シロップを飲ませても、稀にビタミンK欠乏性出血症を発症する赤ちゃんもいます。近年の研究ではビタミンKの不足だけではなく、肝臓に障害があることと関係しているのではないかとも考えられていますよ。

日本でのK2シロップの飲ませ方と回数

日本では基本的に3回、K2シロップ1ml(2mg)を飲ませることが決められています。1回目は出生時に数回赤ちゃんがおっぱいやミルクを飲んだことが確認された後。2回目は退院時、もしくは生後1週間の早い時期。3回目は1ヶ月健診時に飲ませることになっています。自宅でK2シロップを飲ませなければいけないママは、忘れずに与えましょうね。

2回目の飲ませ方

助産院の医師

2回目は退院時に飲ませたり、生後一週間後に飲ませたりと入院した病院や産院によって対応が違うため、よく分からない場合は必ず入院中に病院に確認しておきましょう。

基本的に日本では、「1回目、2回目ともに、滅菌した水で10倍に薄めて飲ませる」と、日本小児科学会新生児委員会のガイドラインで記されています。これは、海外で薄めないままK2シロップを低出生体重児に飲ませ、壊死性腸炎を起こした例が見られたためです。

壊死性腸炎(えしせいちょうえん)とは

腸への血液の流れに障害が起き、腸に傷がついてそこから細菌が感染し、腸が壊死する病気です。はっきりとした原因は分かっていませんが、その8割が1,500g未満の低出生体重児であり、最近の医療の進歩により、体の小さな赤ちゃんの命が助かることで発症数も多くなってきています。

K2シロップそのままでは浸透圧が高いため、赤ちゃんの腸を傷つけて、そこから細菌感染してしまう危険性があるのです。基本的にはどの赤ちゃんも2回目の投与を終えてからの退院となるはずですが、万が一にも自宅で2回目を投与することになった場合は、哺乳瓶やスポイトを使って10倍に薄めて飲ませましょう。

3回目の飲ませ方

3回目は病院で受診する1ヶ月健診時、もしくは自治体で行われる1ヶ月検診で与えてくれることがあります。母乳育児の場合は特にビタミンK不足になりやすいので、1ヶ月健診には必ず行きましょう。また、母乳育児のママは、1ヶ月健診を終えた後もビタミンK不足にならないように、食事で取れるように納豆や緑黄色野菜などをたっぷり食べましょうね。

病院によっては回数が多い?毎週?飲み忘れや吐いた時の対処

病院によっては、特別問題なく退院できた赤ちゃんにも、退院後~生後3ヶ月まで毎週K2シロップを飲ませるように指導しています。これは生後3ヶ月まで乳児ビタミンK欠乏性出血症が起こりやすいため。

自宅で毎週投与する場合の飲ませ方

薄めずにそのまま飲ませられます。ただし、気道に入る恐れがあるのでスティクのまま与えず、必ずスプーンや哺乳瓶の乳首に必ず移して飲ませてくださいね。

スマホを弄るお母さん

この時期の赤ちゃんは吐きやすいので、K2シロップを飲んだ後に吐いてしまうこともあるでしょう。そのような時は、飲ませてから2時間以上経過していなければ次回の分を飲ませ、後日不足する分を病院にもらいに行きましょう。

また、うっかり忘れたら、その週の分をすぐに飲ませましょう。次回からは予定されていた日に飲ませて下さいね。ただし、一度に2回分飲ませてはいけません。万が一多く飲ませてしまった場合は、病院に連絡して指示を仰いでください。スマホのスケジュール機能に登録したり、カレンダーにメモしておいたりすると、次回からは忘れにくいですよ。

早産で合併症がある新生児への注意

早産で合併症がある新生児や低体重児にビタミンKを与える場合は、赤ちゃんの状態によって与え方や量が違います。ママが独断で判断せず、必ず投与の方法を医師に確認しましょうね。

身体の状態が比較的良く、口から飲ませても大丈夫な状態

体重に応じてK2シロップの量を減らして飲ませます。ただし、ママが妊娠中に飲んでいた薬やセリアック病の影響でビタミンKを吸収できない場合は、医師の判断による処置が必要なこともありますので、いずれにせよ赤ちゃんが退院する時に、医師にシロップの量や投与の方法を確認しておきましょう。

呼吸障害等で口から飲ませることが難しい状態

注射器を持つ看護婦さん

まず、病院で静脈注射をしてくれます。その後、追加で与えるかどうかは、新生児の状態や検査結果をもとに医師が判断しますので、ママは心配しなくても大丈夫ですよ。医師の指示を聞き漏らさないようにメモを取るなどして、医療機関と連携して赤ちゃんを育てていきましょうね。

海外のビタミンK欠乏性出血症への対応

日本ではK2シロップを3回、口から飲ませる方法が一般的ですが、海外では、ドイツを除いて日本と異なるガイドラインの下でビタミンKの投与が行われています。ビタミンK欠乏性出血症の対応はまだまだ他の諸国でも様々な検討がなされている段階のようです。その中でも代表的なものをご紹介します。

アメリカ

アメリカの国旗にイラスト

アメリカでは日本と違い、ビタミンK製剤を口から飲ませるのではなくすべての新生児に筋肉注射。注射がいいのか、口から飲ませる方法がいいのかについては、「最も効果を得られる方法を検討する必要がある」という立場をとっています。でも、日本と違ってアメリカでは、ビタミンK製剤の1回の筋肉注射のみなので、毎週投与しているママにとっては羨ましい話かもしれませんね。

イギリス

イギリスの国旗にイラスト

健常正期産の新生児全てに、ビタミンK製剤1mgを筋肉注射、または口から飲ませる方法を取っています。また、母乳育児の赤ちゃんには3か月間、ビタミンK製剤を決められた少量だけ飲ませる、もしくは、産後すぐに2mgを飲ませ、以後1mgを週1回、3か月間飲ませるという方法を取っています。3か月間毎日、もしくは定期的に与えるという点で日本と違いがありますね。

フランス

フランスの国旗にイラスト

フランスはミルク育児と母乳育児で対応を分けています。

  • ミルク育児の場合
    出生時にビタミンK製剤を飲ませた後、出生後2日~7日の間に同量を飲ませる
  • 母乳育児の場合
    ミルク育児の時と同じように、2回ビタミンKを飲ませた後、母乳だけを飲ませる時期、つまり離乳食が始まる時期まで週1回2mg、もしくは毎日25μgを飲ませる
  • リスクが高い新生児の場合
    1回目だけビタミンK製剤を筋肉注射か静脈注射をするようです。

デンマーク・オランダ・ドイツ

その他、EU諸国は国によって対応が違います。

  • デンマーク
    出生時に2mgを赤ちゃんに口から飲ませ、それから3か月間は週1回1mgを飲ませる方法
  • オランダ
    出生時に1mgを筋肉内に投与、または飲ませる方法で、それから3ヵ月までは週に1回1mg飲ませるか、毎日25μgを飲ませる方法
  • ドイツ
    日本と同じで、出生時、一週間後、1か月前後の3回でそれぞれ2mgを飲ませる方法

K2シロップを飲ませない助産院とホメオパシー

平成22年9月までは、ホメオパシーと呼ばれる「自己治癒力を高め、病気を根本から治療し、健康増進を図る」といった考え方のもと、K2シロップを投与しない助産院がありました。そして、ある助産院で出産した乳児が亡くなり、助産師がK2シロップを正しく投与しなかったとして訴訟されました。

今、助産院での出産を控えているママや、検討中のママでK2シロップの投与について心配なママは、念のため助産院に確認しておくと安心ですね。

厚生労働相のK2シロップへの指導

助産院のイラスト

助産院でK2シロップを投与せずに乳児が亡くなったことにより、厚生労働省は産院でのK2シロップ投与に関する通達を出しました。そのため、現在は助産院や自宅での出産でもK2シロップの投与をきちんと守っているはずです。

もし、妊娠中のママがK2シロップの投与を望んでいなかったとしても、飲ませなかった時の危険性について、医師や助産師は十分に説明する必要があり、実施されているはずです。実態調査がなされている訳ではありませんので、「おかしい」と感じたら、確認するようにしましょうね。

K2シロップの副作用

特に副作用の報告はありませんが、与えなかったり与え方を間違えたりする場合は危険です。過去に海外で、低出生体重児に薄めないで与え、壊死腸炎症になったという報告があります。現在特に薄めないまま投与しているEU諸国では、副作用の報告はほとんどされていないそうですが、K2シロップを与える際は、きちんと医師の指示に従って、決められた分量や時期を確認してから与えるようにしましょうね。

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