レット症候群の症状とは?に関する記事

レット症候群の症状~女の子に起こりやすい発達障害とは?

レット症候群の症状~女の子に起こりやすい発達障害とは?

レット症候群は聞きなれない病気ですが、広汎性発達障害の一つです。自閉症と症状が似ていますが、治療法が確立されていないため、早期の対応が必要。少しでも早く異常に気づいてあげるため、レット症候群についての基本的な知識を身につけましょう。

マーミーTOP  >  子育て  >  レット症候群の症状~女の子に起こりやすい発達障害とは?

レット症候群~女の子に多い発達障害を見逃さないために

「レット症候群」という病名を初めて聞いたという方は多いのではないでしょうか?発達障害の一つのトゥレット症候群と名前が似ていますが、まったく別の病気です。

赤ちゃんが生まれてから、日を追うごとにいろいろなことが出来るようになり、パパやママはその成長を見て癒されますね。首が座る、寝返りを打つ、お座りをする、歩く、食べる、しゃべる等、どれをとっても成長の証。

しかし、このレット症候群は、生まれてすぐには何ともないけれど、成長によって出来るようになったことが徐々にできなくなるという、不思議な病気なのです。

発症率は決して高くありませんが、重症化すると日常生活を送ることすら困難になることから、育児中のママはレット症候群の知識を持っていたほうがいいでしょう。

レット症候群(RTT)とは

はいはいする赤ちゃんのイラスト

レット症候群は、運動障害・知的障害・自閉傾向などが現れる進行性の神経系の発達障害です。1966年にオーストリアの医師のアンドレアス・レット博士が発見したことから、レット症候群と名付けられました。

生後6ヶ月から1歳6ヶ月の女の子が発症しやすいのが特徴です。有病率は1万のうち約0.9人の割合と低く、一般的な認知度が低い病気だといえます。

世界保健機関(WHO)が作成した国際疾病分類の10版「ICD-10」では、広汎性発達障害(PDD)に分類されています。(注1)

それに対し、2013年に作成されたアメリカ精神医学会の世界的な診断基準の第5版「DSM-5」では、関連する障害が自閉症スペクトラム障害に統合された際、自閉症とは関連がないとしてレット障害という病名が除外されました。

レット症候群が起こる原因

典型的なレット症候群は、MECP2と呼ばれる遺伝子の異常によって起こることが分かっています。遺伝子の異常は、家族内に例がなくても単発で現れる突然変異のため、遺伝性ではありません。

また、MECP2を持っていても、症状が軽くレット症候群にあてはまらない場合もあります。そのため、レット症候群は遺伝ではなく、あくまで症状に基づいて診断される病気なのです。

レット症候群が女の子に起こりやすい理由

赤ちゃんを抱っこするお母さんとお父さん

ヒトの性別が決まる性染色体は、父親と母親から1つずつもらって生まれてきます。

女の子の場合、母親と父親からもらったX染色体が対(XX)になっているのに対して、男の子は、母親のX染色体と父親のY染色体の対(XY)になっています。(注2)

レット症候群の原因であるMECPS遺伝子の変異は、X染色体がコピーされる際に起こることから、X染色体を2つ持つ女の子のリスクが高いのです。今のところ、MECPS遺伝子が変異する詳しい原因が分かっていません。

さらに、X染色体が2つある場合、過剰な情報の遺伝を防ぐために、どちらか一方のX染色体の遺伝情報が使われるので、変異したMECP2遺伝子を持つ女の子には、軽症で済む子もいれば、重症化してしまう子もいるのです。

MECP2遺伝子を持つ男の子はほとんどの場合、クラインフェルター症候群という病気を発症します。

非典型例のレット症候群の原因

MECPS遺伝子の異常が原因の典型的レット症候群のほかに、非典型的レット症候群として、乳児期に点頭てんかん(ウエスト症候群)などのてんかん症状が現れる「早期発症てんかん型」と、早い段階で重度の発達障害が現れる「先天型」があります。

早期発症てんかん型の場合はCDKL5という遺伝子、先天型の場合は、FOXG1遺伝子の異常が関係しています。

レット症候群の主な症状

植木鉢に水やりする女の子

レット症候群の症状は、自閉症や脳性麻痺と誤診されやすいため注意が必要です。また、症状の変化によって、次の4つに分けて考えられます。

  1. 発達停滞期
  2. 退行期
  3. 仮性安定期
  4. 晩期機能低下期

著明な症状の変化は、4歳くらいまでの発達停滞期から退行期にかけて見られます。ここからは、具体的なレット症候群の症状をいくつか紹介します。

言葉の遅れや退行

数カ月かけて言語機能が退行し、最終的には機能が完全に失われてしまいます。そのため、単語を発したり、簡単な会話ができていた子でも、まったく話すことができなくなってしまうのです。

ハイハイや歩行が上手にできない

筋緊張の異常や姿勢の変化のほか、歩行障害が出るために、月齢に応じたハイハイやあんよなどの成長がみられない子がいます。さらに、成長するにつれて、歩行困難になる場合もあります。

イライラや不機嫌

言語機能が退行してくるころ、だんだん不機嫌になったり、かんしゃくを起こして泣くことが多くなります。うまく感情を伝えられないことがイライラにつながるのです。

自閉の症状

視線が合わない、周囲に興味を示さないなどの、自閉特有の症状が出てきます。コミュニケーションの異常から自閉症が疑われることもあります。

てもみ等の常同行動

1歳6か月くらいから、細かな手の運動の退行が始まります。手の運動機能がなくなった後、「手をこすり合せる」「手絞り」「手叩き」「胸を叩く」等、常同運動と呼ばれる意味を持たない行動を繰り返すようになります。

てんかん発作

CDKL5遺伝子の変異による「早期発症てんかん型」の場合、1歳未満の乳児期から点頭てんかん等の発作がみられます。患者全体の半数程度がてんかんを発症します。

レット症候群の診断基準

2010年に改定されたレット症候群診断基準に基づいて診断されます。ここでは、典型的レット症候群、非典型的レット症候群の診断条件ほか、レット症候群の診断が行われる基準についてご紹介します。

典型的レット症候群の診断条件

  1. 明らかな退行が認められる
  2. 退行後に回復期や安定期が存在する
  3. 主要診断基準と除外診断基準を全て満たす

非典型的レット症候群の診断条件

お花を握っている子供
  1. 明らかな退行が認められる
  2. 退行後に回復期や安定期が存在する
  3. 主要診断基準のうち2つ以上を満たしている
  4. 支持的診断基準のうち5つ以上を満たしている

診断に必要となる3つの基準

1主要診断基準
  1. 手の運動機能の喪失
  2. 言語コミュニケーションの喪失
  3. 歩行障害
  4. 手の常同運動(無意識下で、手を揉むなど同じ行動を繰り返すこと)
2除外診断基準
  1. 原因が明確な脳障害がある
  2. 生後6か月までに精神運動発達が出現した
3支持的診断基準
小さい子供の手
  1. 覚醒時の呼吸異常
  2. 覚醒時の歯ぎしり
  3. 睡眠リズム障害
  4. 筋肉が強張る・硬くなる
  5. 末梢血管運動の反射異常
  6. 側弯・前弯などの背骨の湾曲
  7. 成長障害
  8. 手足が小さく冷たい
  9. 不適切に笑ったり叫んだりする
  10. 痛みへの反応が鈍い
  11. 目によるコミュニケーションができない

レット症候群で注意すべきこと

レット症候群を発症すると、運動能力の低下によって、普通に日常生活を起こることが困難になる場合はあります。合併症を予防するために、次のようなことに注意が必要です。

栄養管理

スムーズに食べ物を噛んだり飲み込んだりできないため、栄養失調になってしまうことがあります。栄養失調は、発育や免疫力にも影響するために、きちんと管理をしていくことが大切です。

症状に合わせて調理方法を工夫することで、栄養管理をしていきます。

誤嚥

片栗粉のイラスト

飲み込む機能が低下することで、食べ物や水分を飲み込む際に、気管に食べ物が入り込んでしまう誤嚥を起こしやすくなります。誤嚥は誤嚥性肺炎につながることから、飲み込みやすいメニューにすることが重要です。

特に、サラサラした水分は、飲み込む動きが早くなり誤嚥しやすいので、片栗粉などでとろみをつけると、食べ物がまとまり飲み込みやすい状態になります。

便秘

運動機能の退行によって運動量が減ると、腸の動きも悪くなるため便秘になることがあります。また、全体的に筋力が低下するため、うんちを押し出す力がなくなってしまうのです。

便秘になりやすいため、食物繊維やプルーンの摂取を心がけ排便を促します。

骨折

骨折をした女の子のイラスト

レット症候群では、骨密度が低くなり骨減少症を起こやすくなるため、骨折のリスクが高くなります。こまめに骨密度の計測を行って、常にフォローする必要があります。

また、日頃からカルシウムと、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの摂取を心がけることも大切です。

レット症候群の医療費負担

レット症候群を発症すると、生涯にわたり治療が必要です。また、治療法が確立されていないために、対症療法が重要となります。さらに、薬物療法や療育などの継続が必要なことから、親にかかる経済的負担も小さくありません。

そのため、国はレット症候群を難病と指定し、医療費の助成制度を設けているのです。(注3)

居住している都道府県に申請することで、長期間の医療による経済負担が軽減されます。そのほかに、最寄りの保健所などの相談窓口でも、相談や申請を受け付けています。

レット症候群であっても、一般的には成人まで成長しますが、背骨が変形する側彎が心肺機能に影響を及ぼすほか、栄養状態や体重減少のよる免疫力の低下から感染症にかかりやすくなります。

そのため、発症した時点から残された機能をサポートし、予後に関連した症状が起きないように注意を払っていくことが大切です。

スポンサーリンク

スポンサーリンク