乳幼児に増加中のくる病とは?に関する記事

くる病とは~近年再び乳幼児に増加している子供の骨の病気

くる病とは~近年再び乳幼児に増加している子供の骨の病気

最近乳幼児に増加している「くる病」。戦中や終戦直後は多かったためおばあちゃん達はよく知っている病気ですが、食糧事情の回復によって発症者はとても少なくなりました。ところがなぜ今頃になって増加しだしたのでしょう?

マーミーTOP  >  子育て  >  くる病とは~近年再び乳幼児に増加している子供の骨の病気

くる病が近年増加中!未熟児や子供によく見られる骨の病気

骨の構造

くる病とは食糧事情の悪かった戦後の子供達に多くみられた病気で、おじいちゃんおばあちゃん世代に聞いてみるとご存知の方が多いのです。国内の食糧事情が改善したことで子供のくる病も減ってきたのですが、近年また「くる病」になる子供が増加傾向にあります。なぜ栄養事情がよくなった現代の子供達の間で、くる病が増加しているのでしょう?

今回はくる病とはどのような病気か、原因や症状、対策などくる病について詳しくご説明していきます。

くる病とは?

くる病とはカルシウムが骨に沈着する石灰化に障害が起こることにより骨の成長が妨げられる病気で、成長期の子供の場合は「くる病」と呼ばれますが、成人すると「骨軟化症(こつなんかしょう)」と呼ばれるようになります。

「子供がくる病になる原因はビタミンD不足」とよく言われますが、中にはいくらビタミンDを摂取しても発症してしまうケースもあり、そうしたくる病は医学的に明確に定義されていない難病(不治の病)として国の指定を受けています。

くる病は低出生体重児、特に1000g未満の超低出生体重児(超未熟児)、1000~1500g未満の極低出生体重児(極小未熟児)にも頻発しますので、妊娠中や乳幼児のママは知識を持っておくことが大切です。(注1)

くる病の症状

子供がくる病になると骨が正常に成長することができないために、以下のような症状が見られるようになります。

  • O脚やX脚などの脚の変形
  • ひざやくるぶし、手首などの関節が肥大
  • 歩行の遅れや異常
  • 背骨(脊椎)の湾曲
  • 頭蓋骨が薄くなり押すと凹んでしまう
  • 大泉門閉鎖の遅れ
  • 胸に真珠が縦に並んだような腫れができる
  • 低身長などの成長障害
  • けいれん など

くる病になった子供に適切な治療が施されないと、将来歩行が難しく寝たきりになることもあります。(注3)
2歳までの赤ちゃんや幼児は通常O脚のため、病気によるものか正常なO脚か心配になるママが多いのですが、くる病などによる病的なO脚は左右の違いや痛みがある3cm以上左右の膝の間が空いているなど、生理的なO脚とは違うことが多いです。

過剰に心配して異常を入念に探す必要はありませんが、乳幼児のくる病は生理的O脚であると思われて見落とされるケースもあるため、日々のお世話の中で「おかしい!」と異常を感じた際は小児医に相談し、必要に応じて専門医への紹介状を書いてもらうとよいでしょう。

くる病と犬

桜の咲く公園で女性に抱っこされたプードル

ちなみに、くる病は人間の子供だけでなく犬もエサなどによってなることがあります。関節が腫れて足が変形し痛みもあるため、散歩ができなくなったり、足を引きずって歩いたりします。

散歩に連れて行ってもらえない犬や人間食を食べている犬はなりやすいため、犬を飼っているお宅では子供だけでなく犬のくる病にも気をつけましょう。

乳幼児に増加!ビタミンD欠乏性くる病

くる病には「ビタミンD欠乏性くる病」「ビタミンD抵抗性くる病」「ビタミンD依存性くる病」の3つの種類があります。子供のくる病の中で最も多いのが「ビタミンD欠乏性くる病」で、戦後の日本で増加し、近年再び子供達に増加しているのもこのビタミンD欠乏性くる病です。その名の通りビタミンDが欠乏することが原因で起こります。

なお、ビタミンD欠乏性くる病を除く2種類のくる病は難病です。

ビタミンD欠乏性くる病になるメカニズム

骨の成分解説イラスト

私たちの骨はカルシウムだけでできていると誤解している人が多いのですが、実はコラーゲン繊維を主体とする有機質に、カルシウムやリンを主体とした有機質が結合してできています。そして骨の形成に欠かせないリンやカルシウムの吸収への重要な働きを担っているのがビタミンDやマグネシウム、ビタミンKです。

中でもビタミンDは腸管でリンやカルシウムの吸収、および腎臓での再吸収などの役割を果していますので、ビタミンDが不足する→リンやカルシウムの吸収率が下がる→骨が成長しない(変形する)という悪循環が起こり、くる病になってしまうのです。

ビタミンD欠乏性くる病の原因は病的なものではなく栄養や生活環境によるものですので、親が意識して子供に生活させることで予防することが可能です!

乳幼児のビタミンD不足が起こる原因

「乳幼児のビタミンD不足が起こる4つの原因」イメージ

くる病で特に配慮すべき年齢は、幼稚園や小学校に入学する前の乳幼児及び胎児です。

園や学校などではくる病対策が行われていることが多いのですが、それまでの間は親が気をつけてあげないとビタミンD不足を引き起こしやすいので注意しましょう。

母乳の質の変化

産院等で推奨されているため母乳育児を選ぶママは多いのですが、母乳にはどうしてもミルクに比べてビタミンDが不足しやすいというデメリットがあります。

「昔のママも母乳育児をしていたはずなのになぜ?」といった疑問が頭をよぎるでしょうが、現代ではビタミンDを多く含んでいる魚離れが進んでいて、肉を好む人が増えたことなどにより母子ともにビタミンD不足になりやすいのです。

とはいえ母乳育児は赤ちゃんの免疫力がアップするなどメリットが多いので、母乳育児のママは赤ちゃんのお世話だけでなく自分の食事にも充分に気を配りましょう。

ビタミンDが豊富!くる病を防ぐ食材

ビタミンD食材イラスト
  • きくらげ
  • 干し椎茸 など

外遊び減少などによる日光不足

ビタミンDは日光紫外線により体内で生成されますが、1980年代にオゾンホールが発見されるなどして紫外線の有害性が広まって以来日光浴を避ける風潮が高まり、それに伴い乳幼児や妊婦、若い女性、高齢者の日焼け止めなども影響してビタミンD不足が起こっています。

もちろん紫外線には皮膚ガンなどの危険性もありますが、外出不足や日焼け止めなどで過剰に避けてしまうとビタミンDの合成ができなくなります

そのためある程度は日光を浴びる必要がありますので、赤ちゃんのうちは紫外線のきつくない朝や夕方を選んでベビーカーでお散歩してあげ、外遊びができるようになってからは帽子を被せて日当たりが強くない時間帯を選び、毎日少しでも良いので外で遊ぶ時間を作ってあげるとよいでしょう。

特に日照不足となりやすい秋冬、北海道などに日照時間が少ない地域はくる病の発症のリスクが高まるため注意が必要です。(注2)

食物アレルギーによる食事制限

近年食物アレルギーを持つ子供の数が増えていますが、アトピーや食物アレルギーによる食事制限によっても栄養バランスに偏りが生じ、ビタミンD不足が起こりやすくなります。

ビタミンDが豊富な卵や魚などにアレルギーがある場合代替食を与えてビタミンD不足を補っていればよいのですが、食事制限はされているのに代替食指導が行われないと子供の食事の栄養バランスが偏りやすく、ビタミンD欠乏性くる病になってしまう恐れがあるため気をつけましょう。

低体重出生

低体重出生児の場合は出生後しばらく母乳やミルクの摂取不足腸管での吸収不良が起こりやすく、骨の成長の早さに対してビタミンDやカルシウム、リンが不足してしまいやすいため、ビタミンD欠乏性くる病が起こりやすいです。
現在妊娠中のママは予定日まで1日でも長く赤ちゃんがお腹にいられるように、無理をしない生活を心掛けましょう。(注1)

難病指定される2種類のくる病

日本で難病指定されている病気は330種類。非常に稀な病気ではありますが「栄養や生活環境には問題がないのにどうもおかしい?」という場合、早期発見に繋がりやすくなりますので頭の片隅に入れておくとよいでしょう。

ビタミンD抵抗性くる病

「ビタミンD抵抗性くる病」は「低リン血症性くる病」とも呼ばれ、遺伝子の順番が変わったり欠けたりする変異が原因であることが多く、リンが尿として体外に過剰に排出されることで、骨の石灰化に障害が起こる病気です。

立って歩き回るようになる1~2歳で発見されることがほとんどですが、稀に成人してから発見されることもあり、年に100人ほど増えていると考えられています。

ビタミンDは体内で不活性型として合成されてから活性化した後に機能しますが、ビタミンD抵抗性くる病の治療にはリンと活性型ビタミンDの投与などが行われます。(注3、4)

ビタミンD依存性くる病

「ビタミンD依存性くる病」は「ビタミンD依存症」とも呼ばれ、遺伝の変異が原因となりビタミンDを活性化できない、あるいは結合できないことにより起こる病気で、異常をきたしている遺伝子によって「ビタミンD依存症1型」と「ビタミンD依存型2型」に分けられています。

生後数ヶ月以内にけいれんやくる病の症状などで病気が判明することが多くなっています。世界的に見ても報告例が100件程度と非常に珍しい病気で、国内の患者数は数十名とされています。

治療には活性型ビタミンDを投与しますが、長年にわたり薬の服用を継続する必要がある患者が殆どです。(注5、6)

くる病の検査と診断~血液とレントゲン

低体重出生児を除く子供のくる病の検査では、血液検査やレントゲン撮影が必要になります。その他に日常生活のヒアリングにより日光浴不足や食事制限などについて確認することもあります。

血液検査では体内にビタミンDがどれくらい蓄積されているか「血清25水酸化ビタミンD」の値を調べます。血清25水酸化ビタミンDの値が低い場合はビタミンD欠乏状態です。

他にも血液中の「低リン値」「血清ALP値」などの値、膝や手の関節の様子やレントゲンでくる病特有の症状の有無を調べ、ビタミンD不足によって起こるビタミンD欠乏性くる病、あるいは同じような症状が見られるビタミンD欠乏性低カルシウム血症の診断を行います。(注7)

ビタミンD欠乏性くる病の治療

子供がビタミンD欠乏性のくる病を患ってしまった場合、治療としてビタミンDを内服することになりますが、定期的な検尿血液検査で過剰摂取になっていないかを確認しながら治療をすすめます。

また医師の指導の下、日光を浴びる時間を増やしたり、食事内容を改善したりすることにより、症状の改善を目指します。

くる病予防におすすめ!肝油ドロップ

魚の形にした肝油

子供のくる病を予防のためには、外遊びや栄養に気をつけることが大切ですが、それでも心配なママは「肝油ドロップ」を活用してみましょう!

肝油ドロップはビタミンDを豊富に含んだ栄養補助食品で、1歳から食べることができ、園児に与えている幼稚園もあります。ただし子供が誤って喉に詰まらせたり、美味しいからと食べ過ぎたりしないように十分気をつけましょう。

スポンサーリンク

スポンサーリンク