【年齢別】子どもの成長を育む絵本の選び方と読み聞かせに人気の定番おすすめ作品
お子さま向けの絵本は種類が非常に多く、どの本を選べば喜んでもらえるか、迷ってしまうパパ・ママも多いのではないでしょうか。絵本の読み聞かせは、親子のスキンシップを深めるだけでなく、お子さまの心と知性を育むための大切なツールです。
絵本がもたらす効果は、単なる知識の習得にとどまりません。物語を通して、言葉の力、豊かな想像力、他者への共感性といった、生きていく上で不可欠なさまざまな能力を身につけることができます。お子さまの年齢や発達段階に適した本を選ぶことが、絵本の効果を最大限に引き出す鍵となります。
ここでは、読み聞かせに最適な絵本の選び方のポイントと、多くの親子に長年愛され続けている人気の定番作品を厳選してご紹介します。お子さまの成長に寄り添う、お気に入りの一冊をぜひ見つけてください。
絵本の読み聞かせが子どもに与える効果
絵本の読み聞かせは、単に文字を追う行為以上の、多角的な教育的効果を持ちます。
- 言語能力の発達: 絵本特有のリズミカルな言葉や、日常会話では使わない豊かな表現に触れることで、語彙力や表現力が自然と身につきます。
- 想像力・思考力の育成: 絵と言葉から情景をイメージし、物語の展開を予測することで、想像力や論理的な思考力が養われます。
- 安心感と集中力: 親に抱かれながら聞く読み聞かせは、お子さまにほっとする安心感を与えます。また、物語に集中することで、自然と集中力を育むことができます。
- 共感性・社会性の芽生え: 物語の登場人物の気持ちに寄り添う体験を通して、他者への共感性や思いやりといった社会性を育みます。
- 愛情を伝える特別な時間: 絵本を読み聞かせる時間そのものが、言葉以上に愛情を伝えるスキンシップの機会になります。声のぬくもりや触れ合いを通して、お子さまは安心と愛情を実感し、親子の絆が深まります。
読み聞かせがこれほど幅広い力につながるのは、絵本が「ことば」「絵」「大人の声」「ぬくもり」を同時に届けてくれる道具だからです。子どもは、大人の声のトーンや表情から、お話の楽しさや登場人物の気持ちを受け取ります。つまり、絵本の内容そのものだけでなく、「大好きな人が自分のために読んでくれている」という体験が、ことばへの興味を引き出す土台になります。
こうした読み聞かせの意義は、国の施策にも位置づけられています。文部科学省が示す「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」でも、乳幼児期からの読み聞かせを推進することが重要だとされています。
夜、布団の中で絵本を開いたとき、さっきまで走り回っていた子が、ぴたっとおしりを落ち着けて絵を見つめる。そんな場面に心当たりがあるママ・パパも多いはずです。お話の世界に入る時間は、1日の終わりに親子でゆっくり向き合える貴重なひとときになります。
年齢別!絵本の選び方のポイント
絵本を選ぶ際には、お子さまの成長に合わせて、その時に最も興味を持つ要素を重視することが大切です。
- 0歳~2歳(乳幼児期):
- 視覚的な要素: はっきりした色使いやコントラストが強く、短い言葉で構成された本がおすすめです。
- 五感への刺激: 「いないいないばあ」のような仕掛け絵本や、擬音語・擬態語(オノマトペ)が多く、リズム感のある本が言葉の発達を促します。
- 触覚への刺激: 布絵本や、触って楽しめる感触遊びができる絵本もおすすめです。
- 3歳~5歳(幼児期):
- 物語性: ストーリーが豊かで、登場人物の気持ちの変化や問題解決のプロセスが描かれている本が、想像力や共感性を育みます。特に「相手の気持ちを考える」ことをテーマにした絵本は、5歳前後の心の発達にぴったりです。
- 知的好奇心: 数、色、図形を学べる知育絵本や、図鑑のような絵本、身近な食べ物や生き物をテーマにした絵本が、子どもの好奇心をぐんぐん育てます。
- 社会性: 幼稚園や集団生活でのルールや挨拶、道徳的なテーマを扱った絵本が、社会性の学習に役立ちます。
- 6歳~(小学生):
- 物語の長さと深み: 文字数がやや多く、登場人物の気持ちの変化がより丁寧に描かれた物語が、読解力と共感性をさらに深めてくれます。
- 心を育てるテーマ: 友情、思いやり、家族愛といった道徳的なテーマを扱った作品は、相手の気持ちを想像する力や心の成長を後押ししてくれます。
- 次のステップへの橋渡し: 絵本から幼年童話や児童書へ移行する時期でもあるため、少し長めのお話にも挑戦してみましょう。読み聞かせ自体は、無理にやめる必要はなく、お子さまが望む間は続けてあげるのがおすすめです。
年齢によって好みの絵本が変わるのは、子どもが「いま何に心を動かされるか」が発達とともに移り変わるからです。ことばを覚え始める時期は、音の響きやくり返しそのものが楽しく、ストーリーの意味よりもリズムが心に残ります。3歳を過ぎると、登場人物になりきったり、先の展開を予想したりと、物語の筋を追う楽しさが生まれます。小学生になる頃には、文字を自分で追う力もつき、少し長いお話や心の動きを味わえるようになります。
次の表は、年齢ごとの絵本選びの目安を整理したものです。あくまで一般的な目安で、同じ年齢でも好みや興味には大きな個人差があります。
| 年齢の目安 | 楽しみ方の中心 | 選ぶときのポイント | 読み聞かせのコツ |
|---|---|---|---|
| 0歳~2歳 | 音・色・手ざわり | はっきりした色、短い言葉、オノマトペ | ゆっくり、同じフレーズをくり返して読む |
| 3歳~5歳 | 物語・気持ち・ふしぎ | 気持ちの変化がわかる話、知育や生き物の絵本 | 「どうなるかな?」と先を想像する間をとる |
| 6歳~ | 物語の深み・読む力 | やや長めの物語、友情や家族愛のテーマ | 読み聞かせと自分読みを、気分で使い分ける |
絵本選びで迷ったときに、実際にこんなやりとりをしている家庭は少なくありません。声かけのしかたによって、子どもの「読みたい」気持ちは大きく変わります。
| 場面 | 避けたい声かけ | おすすめの声かけ |
|---|---|---|
| 子どもが選んだ絵本が、年齢より簡単そうに見えるとき | 「もうお兄ちゃんなんだから、これは赤ちゃんの本でしょ」 | 「この本、好きなんだね。どこが好き?」 |
| 子どもが絵本を選ばず、スマホやおもちゃに夢中なとき | 「絵本を読まないとダメだよ」 | 「ママ(パパ)が読みたい本があるんだ。一緒に見てくれる?」 |
【読み聞かせにおすすめ】世代を超えて愛される人気の定番絵本15選
ここからは、長年にわたり多くの親子に読み継がれ、心に残る作品として愛されてきた定番の絵本を15冊ご紹介します。
定番と呼ばれる絵本が世代を超えて読み継がれているのは、子どもの発達に合った工夫が詰まっているからです。くり返しのフレーズは、次に何が来るかを予想できる安心感を与え、子どもが一緒に声を出す楽しみにもつながります。リズミカルな言葉は、意味がわからない時期でも耳に心地よく残り、ことばへの興味の入口になります。また、簡単な絵と少ない言葉で物語が伝わる作品は、大人が読みやすく、子どもも内容をつかみやすいという良さがあります。
各作品には、読み聞かせのときに試したいポイントも添えました。声の出し方やめくり方をちょっと工夫するだけで、同じ絵本でも親子の楽しみ方が広がります。
1どうぞのいす
作:香山 美子 絵:柿本幸造
ひさかたチャイルド
うさぎさんが作って置いた「どうぞのいす」をめぐる、心温まるお話です。次々にやって来る動物たちが、次のだれかのために物を置いていくという展開を通して、思いやりや優しい心が自然と育まれます。ロングセラー作品として、多くの家庭で読み継がれています。
読み聞かせのポイント:「次はだれが来るかな?」と問いかけながら、動物ごとに声の高さを変えると、お話の世界に入りやすくなります。
2はらぺこあおむし
作・絵 エリック=カール 訳:もりひさし
偕成社
鮮やかな色使いと、あおむしが毎日さまざまなものを食べていくユニークな仕掛けが楽しい、世界的にも人気の定番絵本です。食べ物の名前や、数の概念、そして変態(サナギからチョウへ)という生命の営みを、楽しみながら学ぶことができます。知育絵本としても優れています。
読み聞かせのポイント:食べ物が出てくるページでは、「いくつ食べたかな?」と一緒に指で数えてみましょう。小さな穴に指を通すと、手ざわりも楽しめます。
3ぐりとぐら
作:なかがわりえこ 絵:おおむらゆりこ
福音館書店
カステラづくりを通して、協力することの楽しさや食べ物の美味しさを描いた、世代を超えて愛される語り継がれる人気作品です。リズミカルな言葉とテンポの良いストーリー展開は、読み聞かせにぴったりで、お子さまも飽きずに楽しむことができます。
読み聞かせのポイント:くり返し出てくるリズミカルなフレーズは、少し節をつけて読むと盛り上がります。読んだ後に、卵を使ったおやつ作りを親子で楽しむのもおすすめです。
4くずかごおばけ
作 せなけいこ
童心社
なんでもポイポイ捨ててしまう女の子と、くずかごから出てきたおばけのお話です。少し怖いけれど、最後はホッとできる展開で、ものを大切にする心を考えるきっかけを与えてくれます。貼り絵のやわらかなタッチも魅力です。
読み聞かせのポイント:おばけが出てくる場面は、声を低くしすぎず、ゆっくり読むのがコツです。膝の上に座って読むと、ドキドキする場面でも安心して楽しめます。
5とりかえっこ
作:さとうわきこ 絵:二俣英五郎
ポプラ社
ひよこがさまざまな動物たちと鳴き声をとりかえっこする、ユーモアあふれるお話です。動物の名前や鳴き声を覚える知育要素があるだけでなく、鳴き声が入れ替わる面白さに、お子さまはきっと大笑いしてしまうでしょう。親子で動物の鳴きまねをするなど、幅広く楽しめるおすすめの一冊です。
読み聞かせのポイント:鳴き声が入れ替わる場面で、わざと間違えて読んでみると、子どもが「ちがうよ!」と教えてくれて会話が弾みます。
6ましろのあさ
作・絵:いもとようこ
金の星社
ウサギ小屋で満たされていながら、どこか物足りなさを感じて冒険に出るましろの物語です。未知の世界へ飛び出す好奇心とドキドキ感が描かれています。いもとようこさんの描くウサギの絵は非常に愛らしく、ほわほわとした毛並みは思わず触りたくなってしまうほど魅力的です。
読み聞かせのポイント:ページをめくる前に少し間をとり、「ましろはどこへ行くのかな?」と想像を広げながら読み進めると、冒険気分が高まります。
7あめふりくまのこ
詩:鶴見正夫 絵:高見八重子
ひさかたチャイルド
雨の季節によく歌われる童謡が絵本になった作品です。絵本が少し苦手なお子さまでも、歌いながら読むことで、優しくほんわかした世界観に引き込まれるでしょう。親子で歌いながら楽しむ読み聞かせに最適です。
読み聞かせのポイント:雨の日に読むと、窓の外の音と物語がつながり、いつもより印象に残ります。知っている歌を一緒に口ずさんでみましょう。
8100かいだてのいえ
作・絵:いわいとしお
偕成社
100階建てのてっぺんに住む住民から招待状をもらったトチくんが、上へ上へと階段をのぼっていく物語です。ページを縦にめくるユニークな仕掛けが、実際に階段をのぼっていくようなワクワク感を与えます。10階ごとに異なる動物が住んでおり、数や生き物の多様性を楽しく学べる知育要素も人気の理由です。シリーズ化されており、楽しみがさらに広がります。
読み聞かせのポイント:階が変わるごとに「次はだれが住んでいるかな?」と予想を立ててからめくると、ワクワク感がぐっと高まります。
9キャベツくん
文・絵:長新太
文研出版
お腹を空かせたブタヤマさんと、キャベツくんの不思議で独特なストーリーが展開されます。長新太さんの描くユニークな絵と、常識にとらわれない自由な発想が特徴で、大人が読んでも楽しめる作品です。お子さまの想像力とユーモア感覚を刺激します。
読み聞かせのポイント:意外な展開の前に少し間をあけて読むと、子どもの「えっ?」という反応を引き出せます。
10うんこ!
作:サトシン 絵:西村敏雄
文溪堂
子どもたちが大好きな「うんこ」をテーマにした、タイトル通りの楽しい絵本です。犬がした道端のうんこがどうなるのかという物語を通して、命の循環や自然の仕組みをコミカルに描いています。ダジャレも登場し、親子そろってたくさん笑ってスッキリできる一冊です。
読み聞かせのポイント:照れずに大きな声で、ダジャレの部分を楽しく読むのがコツです。笑いが生まれると、絵本の時間がぐっと盛り上がります。
11しろくまちゃんのほっとけーき
作:わかやまけん
こぐま社
「こぐまちゃんえほん」シリーズの代表作です。ホットケーキの材料を準備し、焼いて、食べるまでの過程が丁寧に描かれています。食べ物が出来上がる様子に、お子さまは夢中になるでしょう。読み聞かせた後は、お子さまと一緒にホットケーキを作りたくなるという声が多く、食育にもつながる作品です。
読み聞かせのポイント:ホットケーキが焼ける場面では、ゆっくり読んで焼き上がりを待つ気分を味わいましょう。読んだ後に、卵を割る、混ぜるなどの簡単なお手伝いをお願いするのもおすすめです。
12はじめてのおつかい
作:筒井頼子
福音館書店
主人公みいちゃんの「はじめてのおつかい」のドキドキ感と、無事に帰宅できた時の大きな安心感が、読み手に強く伝わってきます。お子さまが成長し、社会に出る一歩を踏み出す勇気を応援してくれる物語です。美しい絵も魅力的で、長く愛されている定番絵本です。
読み聞かせのポイント:読み終えたあとに「みいちゃん、ドキドキしたね」と気持ちに寄り添うひとことを添えると、子どもが自分の経験と重ねながら振り返りやすくなります。
13おおきなかぶ
ロシアの昔話
福音館書店
なかなか抜けない大きなかぶを、おじいさん、おばあさん、孫、犬、猫、ねずみと、みんなで協力して抜こうとする物語です。リズミカルなフレーズと、登場人物や動物がどんどん増えていく展開に、お子さまは引きつけられます。協力することの大切さを学べる、世界的なロングセラーです。
読み聞かせのポイント:かぶを引っ張る場面では、読み手も力を込めて声を大きくしていくと、一体感が生まれます。「うんとこしょ」のかけ声は、親子で一緒に声を合わせてみましょう。
14こんなときってなんていう?ともだちできたよ
文:たかてらかよ 絵:さこももみ
ひかりのくに
「こんなとき、なんていう?」という問いかけを通して、初めて会った時のあいさつや、自分の考えの伝え方など、日常生活や集団生活で必要なコミュニケーションを学べる知育絵本です。可愛らしい絵柄と、真似しやすい具体的な場面設定が、社会性を育む手助けとなります。シリーズ化されており、さまざまなシーンの学びが得られます。
読み聞かせのポイント:問いかけのページでは、すぐに答えを教えず、「なんていうのかな?」と子どもに考える時間をあげましょう。読んだ後に実際の場面で使ってみると身につきやすくなります。
15おしゃべりなたまごやき
文:寺村輝夫 絵:長新太
福音館書店
大人気の王様シリーズの一冊で、たまごやきが大好きな王様の大暴れを描いたユーモラスな物語です。おっちょこちょいな王様の姿は憎めず、どんどんと物語に引き込まれていきます。字数は多めですが、展開が非常に面白いため、読み聞かせにもぴったりです。ダイナミックな挿絵も魅力的で、想像力を刺激します。
読み聞かせのポイント:文字数が多めなので、一度に読み切れないときは、区切りのよいところで続きを明日の楽しみにするのもひとつの方法です。王様の声を少し大げさにすると、物語が一層盛り上がります。
15冊のおすすめポイント早見表
15冊それぞれの特徴を、選ぶ目安としてまとめました。
| 絵本 | 楽しみ方の中心 | こんなときにおすすめ |
|---|---|---|
| どうぞのいす | 思いやり、展開の予想 | 優しい気持ちを大切にしたいとき |
| はらぺこあおむし | 仕掛け、数、食べ物 | 色や数に興味が出てきたとき |
| ぐりとぐら | リズム、協力、おいしさ | 食べ物への興味を広げたいとき |
| くずかごおばけ | 少しのドキドキ、ものを大切にする心 | ものを大切にする気持ちを話したいとき |
| とりかえっこ | 動物の鳴き声、笑い | 動物に興味が出てきたとき |
| ましろのあさ | 冒険、やわらかな絵 | 好奇心を応援したいとき |
| あめふりくまのこ | 歌、雨の日の情景 | 歌が好きなとき、雨の日 |
| 100かいだてのいえ | 縦にめくる仕掛け、数、生き物 | 数や生き物に興味が出てきたとき |
| キャベツくん | ユーモア、自由な発想 | 笑いたいとき、想像力を広げたいとき |
| うんこ! | 笑い、自然の仕組み | 親子で思い切り笑いたいとき |
| しろくまちゃんのほっとけーき | 料理の過程、食育 | お手伝いに誘いたいとき |
| はじめてのおつかい | 挑戦、安心 | 初めての経験に向かうとき |
| おおきなかぶ | くり返し、協力 | みんなで声を合わせたいとき |
| こんなときってなんていう?ともだちできたよ | あいさつ、気持ちの伝え方 | 園生活や集団生活が始まる前後 |
| おしゃべりなたまごやき | ユーモア、長めの物語 | お話をじっくり楽しめるようになったとき |
テーマから絵本を選ぶという方法もおすすめ
絵本を選ぶときは、年齢だけでなく「どんなテーマを子どもに感じてほしいか」という視点から探してみるのもおすすめです。図書館や絵本の専門サイトでも、テーマ別に作品が分類されていることが多く、目的に合わせて探しやすくなっています。代表的なテーマの一例をご紹介します。
- 思いやり・相手の気持ちを考える: 上記の「どうぞのいす」や「こんなときってなんていう?ともだちできたよ」のように、登場人物の気持ちに寄り添う展開が描かれた作品が中心です。
- 好奇心・知的好奇心: 「はらぺこあおむし」「ましろのあさ」のように、新しい世界や発見へのワクワク感が描かれた作品です。
- 協力・友情: 「ぐりとぐら」「おおきなかぶ」のように、みんなで力を合わせる楽しさが描かれています。
- 愛情・成長: 「はじめてのおつかい」のように、子どもの挑戦を見守る親の愛情や、成長する姿が描かれた作品です。
- ユーモア・想像力: 「キャベツくん」「おしゃべりなたまごやき」「うんこ!」のように、自由な発想と笑いにあふれた作品です。
こうしたテーマを意識して選ぶことで、「相手の気持ちを考えてほしい」「好奇心を育てたい」など、そのときお子さまに育んでほしい力に合わせた一冊を見つけやすくなります。
ただし、テーマで選ぶときに気をつけたいのは、「この本で何かを学ばせよう」と意気込みすぎないことです。子どもは、教訓よりも「おもしろい」「ドキドキする」という気持ちで絵本を楽しみ、その中から自分なりに何かを感じ取っていきます。大人が先に答えを決めてしまうと、せっかくの物語の楽しさが薄れてしまうことがあります。読み終えた後に「どこが好きだった?」とたずねる程度にとどめ、子どもの感想を受け止めるだけで、テーマは自然と心に残っていきます。
図書館では、気になるテーマの絵本を何冊か借りて、親子で読み比べることもできます。お子さまの反応を見ながら、気に入った本は書店などで手元に置くかどうかを考えると、絵本選びの失敗も減らせます。
読み聞かせを楽しく続けるための声かけとコツ
読み聞かせは、うまく読むことよりも、親子が一緒に楽しむことが大切です。上手に抑揚をつけられなくても、ゆっくり、はっきりと読むだけで、子どもには十分に気持ちが伝わります。子どもは、物語の内容だけでなく、読んでくれる人の声や距離感から安心感を得ているためです。
絵本を開くと、子どもがページをどんどんめくってしまう。最後まで座っていられない。そんなとき、「ちゃんと聞いて」と注意したくなるかもしれません。けれども、乳幼児期の子どもは、気になる絵をじっくり見たり、次のページを早く見たかったりと、自分なりの楽しみ方をしています。まずは子どもの動きに合わせて、ページをめくる速さや読み進め方を変えてみましょう。
| 場面 | 避けたい声かけ | おすすめの声かけ |
|---|---|---|
| 読んでいる途中でページをめくってしまうとき | 「まだ読んでないでしょ!」 | 「早く続きが見たいんだね。一緒にめくろうか」 |
| 読み聞かせの途中で立ち上がって遊び始めたとき | 「座って最後まで聞きなさい」 | 「ちょっと休憩しようか。続きは後で読もうね」 |
| 読み終わってもっと読んでほしいとせがまれたとき | 「もう遅いから、ダメ」 | 「あと1冊だけね。どれにする?」 |
つまずきやすいポイントとその対処を、次にまとめました。
| つまずき | 対処のヒント |
|---|---|
| すぐに飽きて最後まで聞かない | 短めの絵本や仕掛け絵本に変える。1冊読みきることにこだわらない |
| 読み聞かせの時間がとれない | 寝る前や入浴後など、毎日の流れの中に、数分でも読む時間を決めておく |
| 読んでも反応が薄く感じる | 反応が見えなくても、聞いていることは多い。「どれが好き?」と聞いてみる |
同じ絵本を何度も読んでほしがるのは、成長のあらわれ
同じ絵本を、毎日のように「もう1回」「これ読んで」とせがまれて、少し疲れてしまうことはありませんか。実はこの行動には、子どもなりの理由があると考えられています。
子どもにとって、すでに知っている物語は、次に何が起こるかを予想できる安心感のある世界です。先の展開がわかるからこそ、「次はこうなるよね」と予想が当たる喜びや、自分で先にことばを言える達成感を味わえます。さらに、何度も読むことで、初めて読んだときには気づかなかった絵の細かな部分や、登場人物の気持ちにも目が向くようになります。
大人にとっては同じ話のくり返しでも、子どもにとっては毎回新しい発見がある時間です。「またこれ?」と思っても、少しだけ付き合ってみましょう。たとえば、「次はどうなるんだっけ?」と子どもに聞いてみると、子どもが物語の先生になって教えてくれる場面も出てきます。読む側の負担を減らしたいときは、子どもが好きな絵本を1冊、それとは別に新しい絵本を1冊、と組み合わせる方法もあります。
絵本と読み聞かせに関わる最近の公的な動き
以前は、絵本の読み聞かせは「各家庭の習慣」として語られることが多くありました。現在は、国が子どもの読書活動の推進に関する法律に基づく基本計画を示し、家庭、地域、学校などが連携して、子どもが本に親しめる環境をつくる考え方が広がっています。
令和5年3月28日に閣議決定された第五次の基本計画は、令和5年度から令和9年度までの5年間が対象です。基本的方針として、不読率の低減、多様な子どもたちの読書機会の確保、デジタル社会に対応した読書環境の整備、子どもの視点に立った読書活動の推進の4つが掲げられています。不読率の低減に向けては、就学前からの読み聞かせの促進も盛り込まれました。文部科学省の資料でも、小学校1年生の不読率に就学前の読み聞かせの実施が影響を与えているとの指摘があり、乳幼児期からの読み聞かせを推進することが重要だとされています。
家庭でできる対応としては、図書館などの身近な場所を活用して、子どもが自分で選んだ本を楽しめる環境をつくることがあげられます。「子どもの視点に立った読書活動」という方針とも重なるのが、子どもが「読みたい」と思える本を一緒に選ぶという関わり方です。
| 項目 | 現行内容 | 対象 | いつから |
|---|---|---|---|
| 子どもの読書活動の推進に関する法律 | 子どもの読書活動の推進に関する施策の基本を定めている | すべての子どもと、国・地方公共団体など | 平成13年(法律第154号) |
| 第五次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」 | 不読率の低減、多様な子どもたちの読書機会の確保、デジタル社会に対応した読書環境の整備、子どもの視点に立った読書活動の推進を基本的方針とし、就学前からの読み聞かせを促進 | 家庭、地域、学校などで子どもの読書に関わる人 | 令和5年3月28日閣議決定、令和5年度から令和9年度の5年間 |
| 子ども読書の日 | 子どもの読書活動についての関心と理解を深め、子どもが積極的に読書を行う意欲を高めるための日(4月23日) | 国民全体 | 子どもの読書活動の推進に関する法律に定められ、毎年 |
| 学校での不読率 | 2024年5月の1か月に本を1冊も読まなかった小学生(4〜6年)は8.5%(前回7.0%) | 小学校4〜6年生 | 2024年5月の調査結果 |
絵本の読み聞かせでよくある質問
絵本の読み聞かせは何歳から始めればいい?
0歳から始められます。まだ言葉の意味がわからなくても、大人の声やぬくもりは心地よく、絵本の時間が楽しい記憶になっていきます。文部科学省の基本計画でも、乳幼児期からの読み聞かせの推進が重要だとされています。反応が薄く見えても焦らず、お子さまの機嫌がよいときに、短い絵本から試してみてください。
読み聞かせは、1日に何冊くらい読めばいい?
決まった冊数や時間はありません。お子さまが楽しんでいる間は続け、疲れている様子があれば無理に読み切らなくて大丈夫です。まずは1日1冊、寝る前や入浴後など、決まった時間に読むことから始めると、習慣にしやすくなります。毎日少しずつでも、親子でゆっくり絵本を見る時間が積み重なっていきます。
同じ絵本ばかり読んでほしがるのは問題ない?
問題ありません。同じ絵本をくり返し読むことは、安心感や予想が当たる喜びを味わえる時間です。何度も読むうちに、絵の細かな部分や登場人物の気持ちにも気づけるようになります。読む側の負担が大きいときは、好きな絵本の合間に、新しい絵本を1冊そっと添えて、少しずつ世界を広げていくのもひとつの方法です。
途中で飽きて最後まで聞いてくれないときは?
乳幼児期は、集中できる時間が短いのが一般的です。途中で立ち上がったり、ページをめくってしまったりしても、「聞いていない」と決めつけず、子どもの動きに合わせて読み進めてみましょう。短めの絵本や仕掛け絵本を選ぶ、読む時間帯を変える、1冊読み切ることにこだわらない、といった工夫が役立ちます。
絵本はどこで選べばいい?購入前に試せる?
図書館では、無料で絵本を借りて、お子さまの反応を見ながら選べます。書店などで見つからない絵本も、図書館にあることがあります。気に入った本があれば、くり返し読めるように手元に置くかどうかを考えるのもおすすめです。図書館の子ども向けコーナーには、年齢ごとの絵本が並んでいて、選ぶ楽しさも味わえます。
小学生になっても絵本の読み聞かせは効果的
絵本は未就学児のためだけのものと思われがちですが、小学生になってからの読み聞かせにも大きな意味があります。物語がやや長くなり、登場人物の心情もより繊細に描かれるようになるため、相手の気持ちを想像する力や、道徳的なテーマへの理解を深めるのに役立ちます。
お子さまが自分で読めるようになっても、「読んでほしい」という気持ちがあるうちは、無理にやめる必要はありません。読み聞かせを通して親子で心を通わせる時間は、お子さまの心を育てる大切な財産になります。絵本から少しずつ、幼年童話や児童書へとステップアップしていく橋渡しとして、読み聞かせの時間を楽しんでみてください。
小学生になると、自分で読む力がついてくる一方で、宿題や習い事で毎日の時間が忙しくなりがちです。そんなときは、1日のうち数分だけ、寝る前に1ページだけ読むのでも構いません。短い時間でも、「今日あったこと」を話しながら絵本を開くと、お子さまが安心して気持ちを話せる時間になります。自分で読む本と、読んでもらう本を使い分けて、読書の楽しさを広げていきましょう。




