幼児がぬいぐるみに執着する理由に関する記事

ぬいぐるみを離さない幼児の心理とは?移行対象の意味と親の対応、お手入れのコツ

ぬいぐるみを離さない幼児の心理とは?移行対象の意味と親の対応、お手入れのコツ

ぬいぐるみを手放さない子供の気持ちと、いつまで続くのかの目安をまとめました。声かけ例、園への持ち込み、洗い方のコツ、乳児の寝床での注意点も紹介します。

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幼児がぬいぐるみを離せないのはなぜ?移行対象としての心理と親ができる安心の対応

ぬいぐるみと寝る子供

幼児がぬいぐるみを片時も離さない姿を見て、「親の愛情不足が原因では?」と心配になるパパやママは決して少なくありません。

しかし、多くの場合これは乳幼児期の発達に伴う心理と密接に関係しており、成長過程において健全な行動だと考えられています。

この記事では、2026年10月時点の情報をもとに、ぬいぐるみを離せない理由、移行対象という考え方、親の関わり方、ぬいぐるみの安全とお手入れまでを整理します。お子さんの様子には個人差があり、この記事は診断や治療を目的としたものではありません。気になる点があるときは、後半の相談の目安も参考にしてください。

ぬいぐるみを離さない幼児の心理

ぬいぐるみを離さないという幼児の行動は、子供の心の発達と大きな関係があります。子供の成長において大切な過程ですので、パパやママはぬいぐるみを離せない子供の心理を理解しておきましょう。

お母さんの真似をしている

ぬいぐるみにご飯を食べさせる所

幼児は下の子が生まれる前後に、ぬいぐるみを赤ちゃんに見立ててお世話をすることがよくあります。人形を抱っこ紐に入れたがったり、ご飯をあげる真似をしたりするのはこの代表例です。

これは、男の子女の子に関係なく子供がお母さんの真似をして、お世話をしたいという気持ちの表れです。ですから「まだぬいぐるみで遊ぶの?」などと言わず、子供が満足するまでさせてあげましょう。

お世話の相手がお母さんとは限らず、お父さんや祖父母、保育者など、身近な大人の関わり方を子供はよく見ています。ぬいぐるみに話しかける言葉や、ぽんぽんと背中をたたく手つきには、普段自分が大切にされている体験がそのまま映し出されています。

安心感を得ている

ぬいぐるみは幼児の心の支えや母親代わりの役割を担い、子供の気持ちを落ち着かせ、安心感を与えてくれます。

ぬいぐるみを離せない幼児の姿を見て、親の愛情不足を疑い不安になるかもしれませんが、愛情不足でストレスが多い子供だけでなく、母親と健全な愛着関係を築いている子供にも見られる行動です。

怒りや感情をコントロールしている

ぬいぐるみに頭をうずめ怒りを落ち着せる幼児

ぬいぐるみを抱きしめることは、感情のセルフコントロール(アンガーマネジメント)の助けになる方法の一つです。

幼児が怒りにまかせ感情的に話しても、親や周りの大人にすぐに伝わらないことがあります。そんな時、大好きなぬいぐるみを抱きしめ、深呼吸することで気持ちが落ち着き、その後に自分の感情を整理して話せるようになることがあります。つまりぬいぐるみは、幼児が感情を上手にコントロールするアイテムとしても役立っているのです。

ごっこ遊びと心の発達

ぬいぐるみに話しかけたり、ご飯を食べさせたりする遊びは、1歳半から2歳ごろに始まり、3歳から4歳ごろにかけて盛んになるとされる「見立て遊び」や「ごっこ遊び」の一つです。目の前の物を別のものに置き換えて考える力は、言葉や想像力の発達とも結びついています。ぬいぐるみを相手に、自分がされて嬉しかったことをしてあげたり、叱られた場面を再現したりするのは、自分の体験を整理して気持ちに折り合いをつける練習でもあります。ぬいぐるみが「ぼく」「わたし」の代わりに泣いたり怒ったりしてくれることで、直接は言いにくい気持ちを表に出せる子もいます。大人から見ると同じ遊びの繰り返しに見えても、子供の中では気持ちが少しずつ育っている時間です。ぬいぐるみと過ごす時間を「幼い」と決めつけず、子供の心が動いているサインとして受け止めてあげましょう。

ぬいぐるみ遊びへの声かけ例

  • NG例:「まだぬいぐるみで遊んでるの?赤ちゃんみたい」
    おすすめ:「ぬいぐるみちゃん、おなかがすいたのかな。ママにも抱っこさせてくれる?」
  • NG例:「ごはんの時間だから、ぬいぐるみは置きなさい!」
    おすすめ:「ぬいぐるみさんも椅子に座ってもらおうか。一緒にいただきますしようね」
  • NG例:「泣いてないで、ちゃんと話しなさい!」
    おすすめ:「ぬいぐるみをぎゅってして、深呼吸しよう。落ち着いたら、お話を聞かせてね」

ぬいぐるみへの執着と「移行対象」

ぬいぐるみ

イギリスの小児科医であり精神分析家でもあるドナルド・ウィニコットは、乳幼児が特定の時期に執着するぬいぐるみなどの物を「移行対象(Transitional Object)」と名付けました。

乳幼児期には、母親が自分と一体であると錯覚し、「自分は何でもできる」という全能感を抱く時期があります。

しかし、子供は成長するにつれて母親が自分とは独立した存在であることを知り、心理的に母親から自立する(分離する)過程に入ります。この精神的に不安定な時期に、母親の代わりとして不安を和らげ、慰めと安心感を与えてくれる対象物が「移行対象」なのです。

毛布やぬいぐるみなど特定の物を持つことで安心感を保っている状態は、「ブランケット症候群」という呼び方で紹介されることもあります。ただし、これは物を持つことで気持ちを保っている状態を表す言葉で、それだけで病気を意味するものではありません。

愛情不足を心配し過ぎないで!

母親が子供の全ての要求に完璧に応え続けると、子供はいつまでも全能感を持ち続けることになり、外の世界に対応する自立の力を身につけにくくなる傾向がある、とウィニコットは考えました。

ほどよく愛情を与えつつ、現実社会の経験もさせる母親に育てられた乳幼児は、母親の代わりとしてぬいぐるみなどの移行対象を持ち、不安を和らげ安心感を得ることが多いです。日本では3歳~6歳の幼児の約3割に移行対象があるという調査結果もあります。

この「約3割」は、2007年に3歳から6歳の子供を持つ保護者261名を対象に行われた質問紙調査で、移行対象の出現率が31%だったという結果にもとづいています。逆にいえば、約7割の子供は特別な物を持たずに育っています。持っているから愛情が足りない、持っていないから問題がある、ということではなく、子供の性格や環境、安心の求め方の違いと考えられています。

幼児期は、母親への愛着を形成しつつ、母親が自分と独立した存在であることを知り、現実社会への適応力を身につけていく大切な中間地点です。移行対象への執着は、多くの場合、この自立に向けた健やかな過程の一部と考えられています。

分離の場面で不安を和らげる役割

移行対象が特に必要とされるのは、夜の就寝時、親が家事や仕事で離れるとき、保育園や幼稚園に預けられるときなど、「親と離れる」場面です。子供は、まだ時間の感覚が育ちきっておらず、親が見えなくなると「もう戻ってこないかもしれない」と感じることがあります。そんなとき、ぬいぐるみの感触やにおいが、親のぬくもりを思い出させる橋渡しをしてくれます。このように、親と離れる不安を一人で受け止める力が育つまでの間を支えてくれるのが移行対象の役割です。入園や引っ越し、下の子の誕生など環境が変わった時期に、急にぬいぐるみを手放さなくなるのも、不安を自分なりに落ち着けようとする自然な反応です。子供が頼れる物を自分で見つけたことを前向きに受け止め、そばで安心できる時間を増やしていきましょう。

乳幼児の主な移行対象

子供の物への執着と言えば、漫画「ピーナッツ」のライナスの毛布が有名ですが、低年齢では毛布やタオル、年齢が上がるとぬいぐるみや人形を移行対象にする傾向があります。

  • ぬいぐるみ、人形
  • 毛布、布団、タオルケット、枕
  • タオル、ハンカチ
  • 衣服の裏地、フリルやリボン
  • 母親のネグリジェ、パジャマ
  • おんぶひも
  • クッションなど

ぬいぐるみが空想の友達になることも

乳児がぬいぐるみに話しかける様子

「イマジナリーフレンド」(空想の友達)と呼ばれる、子供が心の中で作り出す友達の対象にぬいぐるみがなるケースもあります。

親としては少し心配になるかもしれませんが、発達心理学者の森口佑介氏(京都大学)の研究では、社会性が高い子ほど空想の友達を持ちやすい傾向があると報告されています。空想の友達を持つこと自体が、友達づくりの妨げになるわけではありません。

同じ研究では、英米では3〜4割の子供が空想の友達を持った経験があるのに対し、日本の子供で目に見えない友達を持つ割合は数%程度とされています。その代わり日本では、ぬいぐるみなど実在する物に名前や人格を持たせるタイプが多いといわれています。ぬいぐるみに名前をつけて話しかける姿は、決して珍しいものではありません。

子供にとってぬいぐるみを空想の友達にすることは情緒を安定させる良い方法ですので、温かく見守ってあげましょう。

ぬいぐるみを離せないのはいつまで?

ぬいぐるみで遊ぶ姉妹

ぬいぐるみへの執着に明確な期限はありません。移行対象への執着は3歳から5~6歳でピークを迎えるという調査結果もありますが、実際は大人でもぬいぐるみが大好きな人は多くいます。

親としては「大きくなってまで」と受け入れられない人もいるかもしれませんが、最近は個性が尊重され、好きなものを持つことに寛容な時代になっています。

年齢というくくりで子供の好きな物を否定すると、親子の信頼関係を壊す恐れがありますので注意しましょう。

移行対象を持たない子供も多く、持っていない子供に問題があるわけではありません。一方で、幼児期にぬいぐるみを離せない子供は、安心を支えにしながら成長の過程を進んでいると考えられます。子供なりのペースで必要としなくなっていくことが多いため、周囲が期限を決めないことが大切です。

年齢ごとの目安と関わり方

ぬいぐるみとの関係は、年齢や環境によって変わっていきます。次の表は一般的な目安で、すべての子供に当てはまるわけではありません。

年齢の目安よく見られる様子関わり方のポイント
1〜2歳ごろ毛布やタオルなど肌触りのよい物を求め、眠いときや不安なときに手放さない気持ちを受け止め、無理に取り上げない。誤飲しやすい小さな部品がないか確認する
3〜4歳ごろぬいぐるみに名前をつけ、話しかけたりお世話をしたりする。園に持っていきたがることもごっこ遊びの相手として一緒に遊び、園の先生とも状況を共有する
5〜6歳ごろ持ち歩く時間は減るが、夜や不安なときには必要とする子もいる友達の目を気にし始める時期。周囲の前でからかわず、家では自由に使えるようにする
小学生以降家の中で大切にする子が多く、思春期以降も気持ちの支えにする子もいる本人が必要とする間は見守る。生活に大きな支障があれば相談する

入園や入学、引っ越しなど環境が大きく変わると、一度は手放していたぬいぐるみを再び求めることもあります。それも不安を自分で乗り越えようとする自然な姿ですので、「後戻りした」と受け取らず、安心できる環境を整えてあげましょう。

親がとるべき3つの対応と相談の目安

幼児期にぬいぐるみを離せない子供に対して、親がとるべき対応を紹介します。

無理にぬいぐるみを引き離さない

幼児がぬいぐるみを離さない場合、親としてはぬいぐるみのホコリや汚れが気になるでしょう。また幼稚園や保育園に持って行きたがる子もいるため、無理に引き離そうとするパパやママもいます。

しかし、子供はぬいぐるみに執着することで自分の心の安定を図っているため、無理に引き離すと子供の不安が強まり、気持ちが不安定になってしまうことがあります。家庭ではできるだけ引き離さず、寝静まってから簡単な方法でキレイにしてあげるなどの対応をしましょう。

保育園ではお散歩の時に転んで危険であるなどの理由から受け入れてもらえないこともありますが、中には子供の気持ちに寄り添ってできるだけ側にいられるようにしてくれる園もあります。ぬいぐるみと一緒に登園して先生に相談するなど、子供の気持ちに寄り添う味方として対応しましょう。

持ち込みのルールは園によって異なります。園のルールを事前に確認したうえで、「お散歩や外遊びの間はカバンで待っていてもらう」「お昼寝のときだけ一緒にいる」といった形で、子供が納得できる約束を一緒に決めると、気持ちを切り替えやすくなります。

  • NG例:「園には持っていけません。置いていきなさい!」
    おすすめ:「先生にお願いしてみようか。お散歩のときはカバンでお留守番して、お昼寝のときに会おうね」
  • NG例:「汚いからもう洗うよ。文句を言わないの」
    おすすめ:「ぬいぐるみさん、少し汚れちゃったね。お風呂に入れてもいいかな。乾くまでの間、ママとお話ししていようね」

温かく見守る

小学生や中学生になると、さすがにぬいぐるみへの執着があってもお友達の目が気になり、一緒に登校したがる子は減ります。しかし、思春期に差し掛かってもぬいぐるみを心の支えにしている子もいます。

思春期の不安定さがぬいぐるみで楽になり、精神的な自立が進むのであれば、親としては前向きに捉えることが大切です。移行対象としてのぬいぐるみは、悪いものではありません。子供が満足するまで温かく見守りましょう。

親子のコミュニケーションを増やす

ママとスキンシップをしながら話をする様子

もし愛情不足が心配な場合は、子供の話をしっかり聞けているか、不安や不満を抱く要素がないか、大きな環境の変化はなかったかなどを考えてみましょう。

入園直後や下の子の妊娠出産後は特にぬいぐるみを離せなくなりやすいので、園から帰宅したらママが子供を抱きしめてスキンシップを増やし、話を聞いたり一緒に遊んだりしてコミュニケーションを増やすことを心掛けましょう。

夜の布団の中で、その日にあった楽しかったことや、ちょっと悲しかったことを短く聞く習慣をつくるのもおすすめです。「ぬいぐるみさんは今日どうだった?」と、ぬいぐるみを通して質問すると、直接は答えにくい子でも話しやすくなります。

気になるサインがあれば専門家に相談を

多くの場合、ぬいぐるみへの執着は健全な発達過程の一部です。ただし、日常生活に大きな支障が出るほど不安が強い、言葉の発達や対人関係に気になる様子が続く、極端な癇癪や後退が長引くなど、他の心配な様子も重なる場合は、一人で抱え込まず、かかりつけの小児科医や自治体の相談窓口、臨床心理士などに相談してみましょう。専門家に話を聞いてもらうことで、安心して子育てを続けられることもあります。

相談先としては、かかりつけの小児科、乳幼児健診の機会、市区町村の保健センターやこども家庭センター、通っている園の先生などがあります。こども家庭センターは、妊産婦や子育て家庭、子供からの相談に応じる市区町村の窓口です。相談するときは、次のような点をメモして伝えると状況が伝わりやすくなります。

  • いつごろから、どんな場面でぬいぐるみを必要とするか
  • ぬいぐるみがないとき、どのくらい泣いたり混乱したりするか
  • 別の物や声かけで気持ちを切り替えられるか
  • 食事、睡眠、遊び、園での生活に影響が出ていないか
  • 言葉の発達や、友達との関わりで気になる点はないか

ぬいぐるみの安全チェックと乳児の寝床の注意

ぬいぐるみは子供にとって大切なお守りですが、安全面で気をつけたい点もあります。特に、ずっと手放さないぬいぐるみは、口に入れたり引っ張ったりする機会が多く、傷みも早く進みます。

3歳未満のぬいぐるみで確認したいこと

  • 目や鼻、ボタンなどの小さなパーツが、ぐらついたり取れかけたりしていないか
  • 縫い目がほつれて、中の綿が出ていないか
  • ひもやリボンが長すぎたり、首に巻き付いたりしないか
  • 口に入りそうな小さな付属品が増えていないか

3歳の子供の口の直径は約4cmとされ、それより小さな部品は誤飲の危険があります。また、年上のきょうだいの持ち物には小さな部品が含まれていることがあるため、対象年齢になるまでは乳幼児の手が届かない場所に保管しましょう。傷んだパーツは早めに縫い直すか、修理が難しければ子供と話して、どうするかを一緒に決めます。

1歳未満の赤ちゃんの寝床には置かない

消費者庁やこども家庭庁は、0歳児の就寝時の窒息事故を防ぐため、寝ている子供の顔の近くに、口や鼻を覆ったり首に巻き付いたりする物を置かないよう呼びかけています。枕やタオル、衣類、よだれ掛けと並んで、ぬいぐるみもその一つに挙げられています。こども家庭庁によると、令和6年(2024年)には55名の乳児が乳幼児突然死症候群(SIDS)で亡くなり、乳児期の死亡原因の第3位となっています。SIDSは窒息などの事故とは異なる病気ですが、寝かせ方に気をつけることでリスクを下げられると研究で示されています。

赤ちゃんが起きているときに、ぬいぐるみを見せたり触らせたりして遊ぶのはもちろん問題ありません。寝かせるときは、ぬいぐるみを寝床から離れた場所に置くようにしましょう。1歳を過ぎて自分で動かせるようになっても、寝返りの途中で顔にかぶさるような大きなぬいぐるみは避けるなど、年齢と発達に合わせて見直していくと安心です。

ぬいぐるみのお手入れの方法

ぬいぐるみに掃除機をかける様子

幼児が離さないぬいぐるみは他のぬいぐるみよりも痛みや汚れが激しくなりますが、ぬいぐるみには洗濯が可能なものと不可能なものがあります。

まずはぬいぐるみの取扱説明書やタブの表示で、洗濯が可能かどうかを確認しましょう。丸洗い可、不可に関わらず、お手入れの際はリボンなどの取れる付属品を取ってからお手入れしてください。

丸洗いする場合は子供にことわって!

物によっては1日で乾かないぬいぐるみもあります!子供の心の安定に欠かせない場合があるため、丸洗いをする場合は必ず子供に確認し、納得してもらってからにしましょう。

丸洗いを拒否された場合は、天気のいい日に陰干しし、その後掃除機でホコリを吸い取ると良いです。また、アルコール水(水110ml、アルコール90ml)をスプレーしたキレイな布で軽く拭くと除菌ができます。

アルコール水を使うときは、火気の近くを避け、換気をしながら行います。素材によっては変色したり傷んだりすることがあるため、目立たない場所で試してから使いましょう。ぬいぐるみに直接スプレーせず布に含ませて拭き、アルコールのにおいが残らないよう十分に乾かしてから子供に渡します。口に入れやすいぬいぐるみには、特に念入りに乾かしてください。

洗える場合は洗濯表示に従い、洗濯桶にぬるま湯と中性洗剤を入れぬいぐるみを優しく押し洗いします。汚れによってこれを繰り返し、きれいな水ですすぎます。タオルに包んで5~10秒ほど脱水し、ブラッシングして日陰干しをすれば完了です。

電子部品が入っているぬいぐるみ、革が使われているぬいぐるみ、接着剤でパーツが付けられているぬいぐるみは、洗うと壊れることがあるため洗わず、表面のホコリ取りと拭き取りでお手入れしましょう。中までしっかり乾かさないと、においやカビの原因になるため、風通しのよい場所で時間をかけて乾かします。

洗われるのを嫌がる子供の気持ち

子供がぬいぐるみを洗うことを嫌がるのは、わがままではありません。ぬいぐるみに染みついたにおいや感触は、子供にとって安心の目印です。洗うと、そのにおいが変わって別のぬいぐるみになってしまったように感じる子もいますし、乾くまでの間、そばにいなくなることが大きな不安につながる子もいます。「洗う」ことを、ぬいぐるみが元気になるための前向きな出来事として伝えるのがコツです。洗っている間は、代わりになるタオルなどを渡したり、洗う様子を一緒に見たりすると、気持ちが落ち着きやすくなります。それでも拒否が強いときは、無理に洗わず、陰干しと掃除機などの簡単なお手入れにとどめて構いません。

大好きなぬいぐるみに長く元気でいてもらうためにも、子供にきちんと話してお手入れをできるだけしっかりと行い、親子で大切にしましょう。

またぬいぐるみを処分する際は、子供の納得できる方法で気持ちよく手放せるようにしてあげましょう。

ぬいぐるみと子供の心、安全に関する最新情報

ここでは、2026年10月時点で確認できる情報をもとに、ぬいぐるみに関する考え方と安全の動きを整理します。

以前の前提

以前は、ぬいぐるみを離さない子供の姿を「甘えている」「愛情が足りないのでは」と受け止める見方が根強く、早く卒業させようとして取り上げてしまう家庭もありました。また、赤ちゃんが寂しくないようにと、ぬいぐるみを寝床の周りに並べる家庭も珍しくありませんでした。

現在の状況

心理学では、移行対象を取り上げないほうがよく、現実の世界に慣れるにつれて自然に離れていくことが多いと理解されています。日本の調査では3〜6歳の約3割に移行対象があるとされ、特別なことではありません。安全面では、消費者庁やこども家庭庁が、1歳未満の赤ちゃんの寝床の周りに口や鼻を覆う物を置かないよう呼びかけています。令和6年(2024年)に55名の乳児がSIDSで亡くなったことが、こども家庭庁から示されています。

また、2025年12月25日から、3歳未満向けのおもちゃ(乳幼児用玩具)について、国の技術基準への適合と、対象年齢や使用上の注意の表示が義務となり、基準を満たした証として「子供PSCマーク」を表示することになりました。この日より前に製造・輸入された製品はマークなしでも販売できるため、その場合はSTマークの付いた製品が目安になると消費者庁は案内しています。3歳未満向けとして売られるぬいぐるみも、おもちゃとして対象になる場合があります。

家庭での対応

子供の安心の拠り所としてのぬいぐるみは、取り上げずに見守りつつ、安全の点検を習慣にしましょう。3歳未満の子供のぬいぐるみを選ぶときは、対象年齢の表示や子供PSCマーク、STマークなどを確認し、小さな部品が取れていないかを日常的にチェックします。1歳未満の赤ちゃんの寝床には、ぬいぐるみを置かないようにします。気持ちの面で気になる様子があるときは、早めに小児科や市区町村の窓口に相談してみてください。

項目現行の内容対象いつから
子供PSC制度3歳未満向けおもちゃは国の基準への適合と表示が義務となり、基準を満たすと子供PSCマークが付く3歳未満向けとして販売されるおもちゃ(ぬいぐるみを含む場合がある)2025年12月25日以降に製造・輸入されたもの
乳児の寝床の注意口や鼻を覆う物(ぬいぐるみを含む)を寝ている赤ちゃんの顔の近くに置かない1歳未満の赤ちゃん現在も継続して呼びかけ中
SIDSの発生状況令和6年(2024年)に55名の乳児がSIDSで亡くなり、乳児期の死亡原因の第3位1歳未満の赤ちゃん令和6年(2024年)の統計
移行対象の理解取り上げず、成長に伴って自然に離れていくことが多いと理解されている幼児期の子供と保護者現在の一般的な理解

ぬいぐるみを離せない幼児のよくある質問

Q. ぬいぐるみを離さないのは愛情不足のサインですか?

A. 愛情不足のサインとは限りません。愛情を十分に受けている子供にも、不安なときの支えとしてぬいぐるみを求める姿は見られます。ぬいぐるみを持たない子供のほうが多数であることからも、持つかどうかは性格や環境による違いと考えられます。

Q. 小学生になってもぬいぐるみを手放しません。大丈夫でしょうか?

A. 明確な期限はなく、小学生以降も家で大切にする子は多くいます。学校や友達との生活が普通にできていて、本人が安心のために持っているなら、温かく見守って問題ありません。生活に大きな支障が出ている場合は、小児科や学校、自治体の窓口に相談してみましょう。

Q. ぬいぐるみに強くこだわる様子があり、発達が心配です。

A. こだわりの強さだけで、発達の特性があるかどうかは判断できません。代わりの物を受け入れられるか、外出先や園でも切り替えられるか、言葉や友達との関わりに気になる点がないかなど、他の様子も合わせて見ることが大切です。心配が続くときは、一人で抱え込まず、かかりつけの小児科や市区町村の相談窓口に相談してみましょう。

Q. 下の子が生まれてから、急にぬいぐるみを離さなくなりました。

A. 環境の変化による不安から、安心できる物を求めるのは自然な反応です。無理に取り上げず、上の子と二人きりで過ごす時間を少しでも作り、抱きしめて話を聞くことで、落ち着いていくことが多いです。

Q. 赤ちゃんの寝かしつけに、ぬいぐるみを一緒に寝かせてもよいですか?

A. 1歳未満の赤ちゃんの寝床には、ぬいぐるみなど口や鼻を覆う可能性のある物を置かないようにしましょう。起きて遊ぶ時間に一緒に過ごすのはかまいません。1歳を過ぎてからも、小さな部品が取れかけていないか確認し、顔の近くに大きなぬいぐるみを置かないなど、年齢に合った使い方を心がけてください。

この記事を書いたライター
小森ひなた

小森ひなた

子育てと仕事に頑張る共働き主婦です!ルンバ貯金始めました♪