【里帰り出産の予約はいつから?】最適な時期・病院の選び方と準備のステップ
里帰り出産は、信頼できるご家族、特にご自身の母親のサポートを受けられるため、お産の不安が和らぎ、産後の母体の回復や育児への活力が得られやすいという大きなメリットがあります。
「でも、どうやって病院を予約すればいいのかしら…」と、里帰り出産が初めてのプレママは不安に思うことも多いでしょう。メリットいっぱいの里帰り出産を安心して迎えるために心得ておきたい、里帰り先の病院への予約の最適な時期や方法についてまとめました。万全の準備をしてお産に挑みましょう。
この記事は2026年10月時点の制度と、公的な医療機関が案内している一般的な目安をもとに書いています。分娩予約の受付時期や必要書類は施設ごとに異なるため、最終的には里帰り先の産院の案内を優先してください。出産費用や給付の制度は見直しが進んでいるため、変更点は後半の章でまとめています。
結論:里帰り出産の病院予約はいつまでにすればいい?
多くの産院では「妊娠20週まで」に分娩予約を済ませるのが一般的な目安です。ただし、人気の病院や地域によっては「妊娠12週まで」に一度受診しないと予約を受け付けないケースもあります。公的な医療機関の中には、妊娠16週頃までの初診と分娩予約を案内している施設もあります。「早すぎるかな」と思うタイミングでも、里帰りを考え始めた妊娠初期のうちに主治医への相談と病院探しを始めるのが安心です。
1里帰り出産のスケジュールと大まかな流れ
里帰り出産を成功させるためには、妊娠初期から計画的に準備を進めることが重要です。まずは大まかな流れを把握しましょう。
一般的に、里帰り出産は以下のステップで進められます。
- 妊娠初期(~12週頃):現在通院中の主治医に里帰りの意向を相談し、里帰り先の病院の情報を収集し、仮予約または問い合わせをします。
- 妊娠中期(13週~20週頃):里帰り先の病院で正式な分娩予約を完了させます。病院によってはこの時期までに一度受診を求められることがあります。
- 妊娠28週頃(妊娠8か月頃):住民票のある市区町村の面談などの機会に、里帰りの予定を伝えます。
- 妊娠後期(32~34週頃):現在通院している病院から里帰り先の病院へ転院し、妊婦健診を引き継ぎます。紹介状を忘れずに持参します。
この流れはあくまで一般的な目安です。実際の時期は病院や地域の状況によって前後するため、次の章で紹介する情報収集と早めの問い合わせが欠かせません。
里帰り出産の流れを一覧で確認する
| 時期の目安 | やること | 押さえたいポイント |
|---|---|---|
| 妊娠初期(~12週頃) | 主治医に里帰りの意向を伝える。実家の家族と、里帰りの時期・期間・費用の分担を話し合う。里帰り先の産院を探して電話で問い合わせる | 主治医への相談は、里帰り先への連絡より先に済ませる |
| 妊娠中期(13~20週頃) | 里帰り先の産院で初診と分娩予約をする。施設によっては妊娠16週頃までの受診を案内している | 受診日は仕事や移動手段の調整に時間がかかるため、早めに日程を押さえる |
| 妊娠28週頃(8か月頃) | 住民票のある市区町村の面談などで、里帰り予定と里帰り先を伝える | 妊婦健診の費用助成の手続きや、里帰り先で受けられる支援を教えてもらえる |
| 妊娠32~34週頃 | 紹介状を受け取り、里帰り先の産院へ転院する | 産前休業は出産予定日の6週間前(妊娠34週頃)から請求できる |
| 産後1~2か月頃 | 里帰り先で1か月健診を受け、様子を見ながら自宅へ戻る時期を決める | 住民票のある市区町村の手続きと、戻ってからの生活の段取りを確認する |
なぜ妊娠初期から動き出す必要があるのか
里帰り出産の準備が早い時期から必要になるのは、分娩を扱う施設が、24時間の受け入れ体制を保つために、人員や病床の数に合わせて受け入れの枠を決めているためです。里帰り先の産院から見ると、里帰りの妊婦さんは、それまでの妊娠経過をほとんど知らない状態で受け入れる立場になります。そのため、一度の受診と紹介状で経過を引き継げる時期に、分娩予約を済ませてもらう仕組みになっている施設が多いのです。日本産婦人科医会は、2026年10月の厚生労働省の検討会で、分娩を取り扱う医療機関の減少を課題として示しました。受け入れに余裕のある産院ばかりではないことを前提に、早めに動くのが得策です。
家族との話し合いは「時期」と「期間」から
妊娠10週ごろの週末の夜、夫婦で食卓を囲みながら里帰りの話を切り出す場面を想像してみてください。結論だけを伝えるよりも、時期や期間まで見通しを共有したほうが、ご家族も協力しやすくなります。
伝わりにくい例:「里帰りしたいんだけど、いいよね?」
伝わりやすい例:「里帰りを考えているよ。妊娠34週ごろに実家へ移って、産後1か月健診が終わるまでいられたらと思っているの。あなたの食事や洗濯で困りそうなことを、一緒に書き出してもいいかな」
実家のお母さんには、次のように切り出すと話が進みます。「来年の春に出産予定で、里帰りを考えているの。34週ごろから行けたらと思っているけれど、お母さんの都合はどう? 病院はこれから探すところだから、近所で里帰りの妊婦さんを受け入れている産院があれば教えてほしいな」
つまずきやすいのは、里帰りの時期だけが先に決まり、産院の予約期限が過ぎてしまうことです。対処としては、家族と話し合ったその日のうちに、「主治医に相談する日」「里帰り先へ電話する日」「予約を完了させたい週数」をカレンダーやスマートフォンの予定に入れておくと、先延ばしを防げます。
2病院選びの重要性と情報収集
少子高齢化が進む日本では、お産を扱う病院の数が減っているのが現状です。里帰り出産を受け入れているかどうかは病院によって異なるため、すぐにでも病院探しを始めましょう。
病院によっては妊娠12週までに一度診察をしないと予約できないところもありますので、注意が必要です。
ホームページ・口コミを検索する
病院のホームページでは、施設の特色、出産方針(自然分娩、無痛分娩など)、入院中のサービス(個室の有無、母乳育児の推奨度)などの情報を集めることができます。
また、実際にその病院を利用した人の意見は貴重です。里帰り先にいる同級生やご家族に、評判の良い産院を教えてもらうと良いでしょう。ご実家のお母さんに、ご近所さんや親戚から病院情報を集めてもらうのも有効な方法です。里帰り出産が決まったら、実母に早めに電話で相談してみましょう。
口コミと合わせて活用したいのが、厚生労働省が2024年5月に運用を始めた「出産なび」です。全国の出産施設ごとに、サービス内容と出産費用を調べられます。口コミは感想の幅が大きい一方、出産なびは同じ項目で施設を比べられるため、候補を絞り込む材料として相性がよい情報源です。
目星がついたら電話で早めに確認する
里帰り出産先の病院選びで重要なのは、その病院が里帰り出産を受け入れてくれるかどうかです。産科医の不足などから、里帰り出産をお断りしている産院もありますので、ある程度の目星がついたら、まずは早めに電話で病院にコンタクトをとりましょう。
まだ予約とはいえない段階であっても、里帰り出産を受け入れてもらえるか、診断書や紹介状など予約に必要なものがあるのか、正式な予約にはどのような手続きをとればいいのか、などを尋ねておくとスムーズです。電話の前に、次の項目をメモにしておくと聞き漏れを防げます。
- 里帰り分娩の受付は、妊娠何週までか
- 分娩予約の前に初診が必要か。必要な場合は、妊娠何週までに受診するのか
- 里帰り先での2回目の受診(転院)は、妊娠何週ごろまでを目安にしているか
- 持参するもの(母子健康手帳、紹介状、健康保険証など)
- 出産育児一時金の直接支払制度を使えるか
- 予約金の有無と、キャンセルしたときの返金の扱い
産院選びが「家族の話題」になる理由
里帰り出産の産院選びは、妊婦さん本人の希望だけで決まらない場面が多くあります。送り迎えや付き添いをするのは実家のご家族であり、陣痛が始まったときの移動手段も、実家からの距離で決まるためです。移動時間が長いほど、夜間の移動や悪天候の日の対応も課題になります。先輩ママの間でも、「口コミの評判を優先して遠い産院を選んだら、実家の家族が通うのが大変だった」「実家に近い産院にしたら、母が気軽に付き添えて心強かった」と、移動のしやすさを振り返る声がよく聞かれます。希望するお産の内容と、通いやすさの優先順位は、家族みんなで話し合って決めるのが現実的です。
ありがちな場面を一つ挙げます。休日の昼、リビングでタブレットを開いて産院のホームページを見比べているときに、実家の母へ電話をかけるところから始めてみましょう。
伝わりにくい例:「どこかいい産院、ないかな?」
伝わりやすい例:「34週ごろから里帰りしたいと思っているの。お母さんの周りで、里帰りの妊婦さんを受け入れている産院は知っている? お母さんが付き添いやすい距離かどうかも知りたいから、実家から車でどれくらいかかるかも教えてほしいな」
つまずきやすい点は、評判の良い産院ほど分娩予約の枠が埋まりやすいことです。口コミで気に入っても、受け入れの可否を確認しないまま日が過ぎると、予約が取れなくなることがあります。気になる産院が見つかった時点で、候補を2~3か所に絞り、並行して電話で受け入れ状況を聞くのが、後悔の少ない進め方です。
里帰り先の病院を選ぶポイント
・里帰り出産を受け入れているか
・自分のバースプラン(希望するお産)と合っているか
・実家から病院までの距離と移動時間
・万が一の際の緊急体制(NICUなどの有無)が整っているか
・入院中の部屋(個室・相部屋)や母子同室の制度
・母乳育児を推奨しているか、産後のケア体制はどうか
・予約前に診察や予約金(前金)が必要か
・費用はどのくらい必要か、キャンセル料(返金規定)はかかるか
・出産なびで、費用とサービス内容を確認したか
・出産育児一時金の直接支払制度を使えるか
3予約の最適な時期・方法・注意点
病院が決まったら、次は予約手続きです。里帰り出産で病院の予約をする時期は、早ければ早いほど安心です。
里帰り出産の予約をする時期と方法
多くの産院では、妊娠20週までにお産の入院予約をするのが一般的です。しかし、人気のある病院や分娩予約制限を設けている病院では、妊娠12週までの受付など、より早い時期の予約が必要であったり、分娩予約制限に達すると、受け付けてもらえなかったりする場合があります。
公的な医療機関の例では、国立成育医療研究センターが、里帰り分娩の方に妊娠16週頃までの初診と分娩予約を案内しています。2回目の受診は妊娠34週6日までとされていますが、これまでの経過によっては時期が早まる場合があり、その場合は通院中の医療機関を通じて個別に調整されます。このように、予約の期限と転院の期限が別々に設けられている施設は少なくありません。両方の日付をあらかじめ確認しておきましょう。
どの病院で出産をしたいか決まったら、まずは電話やインターネットで予約の申し込みをしてください。ただし、直接来院しないと受付しない病院もありますので、事前の確認が必要です。
予約に関する注意点と必要書類
一般的には、電話で予約の申し込みをし、その後一度診察を受けてから、その場でお産の入院予約をするという流れが多いようです。病院によっては予約の受付の前に、現在の病院からの紹介状を求める産院や、事前に予約金(前金)を求める病院もあるようですから注意しましょう。
予約の電話では、受け入れに必要な情報(妊娠週数、出産経験の有無、妊娠時の異常の有無など)を聞かれますので、あらかじめ整理しておき、丁寧な対応を心がけましょう。電話で予約したら、その先の詳しい手続きはその病院のやり方に従って進めていきます。
里帰り出産の予約の時に聞かれること
・氏名、生年月日、現住所、電話番号
・里帰り先の住所と連絡先電話番号
・妊娠週数と出産予定日
・妊娠時の異常の有無(既往歴を含む)
・出産経験の有無(経産婦・初産婦)など
初診の日に向けた準備と段取り
初診の日が決まったら、移動の段取りまで一緒に組んでおくと慌てずに済みます。持ち物は、母子健康手帳、現在の産院の検査結果や紹介状、健康保険証(マイナ保険証または資格確認書)、診察券が基本です。施設によって異なるため、予約の電話で「初診の持ち物」を必ず聞いておきましょう。里帰り先が遠方の場合は、実家への帰省と初診の日を合わせると、移動の回数を減らせます。長時間の移動が心配なときは、移動手段や回数を、あらかじめ主治医に相談しておくと安心です。
予約の電話は、受付時間が平日の日中に限られることがよくあります。勤務中の昼休みに、静かな場所で、妊娠週数と出産予定日を手元に置いてかけるのがコツです。
伝わりにくい例:「里帰り出産をしたいんですけど、予約できますか?」
伝わりやすい例:「現在妊娠12週で、出産予定日は〇月〇日です。実家が近く、里帰り分娩を希望しています。初診は妊娠何週までに受ければよいか、初診の持ち物と合わせて教えていただけますか」
つまずきやすいのは、初診の日程が数週間先まで埋まっており、受診の期限に間に合わなくなるケースです。そうした場合は、電話で「期限までに受診できる日があるか」を最初に確認し、難しければ別の産院への並行した問い合わせに切り替えましょう。受付の方法や、キャンセル待ちの扱いがあるかどうかも、あわせて質問しておくと役立ちます。
4主治医への相談と里帰り前の準備
現在通院中の主治医への相談は必須
里帰り出産の予約をしようと考えたときに忘れてはいけないのが、今現在通っている病院の主治医に早めに相談することです。なぜなら、あなたの妊娠状態によっては、里帰りができない可能性もあるからです。
妊婦健診の受診間隔について、厚生労働省は、妊娠23週までは4週間に1回、妊娠24週から35週までは2週間に1回、妊娠36週以降は分娩まで1週間に1回が望ましいとしています。この通りに受診すると、14回程度になります。里帰り前の健診は、母子の状態を確認する場であると同時に、里帰り先への引き継ぎ内容をまとめる大切な時間でもあります。
里帰りできないケース(ドクターストップ)のリスク
切迫早産の兆候や、妊娠合併症(妊娠高血圧症候群など)により長時間の移動が母体に負担をかけると判断されれば、あなたが里帰りをしたくてもドクターストップがかかる可能性があります。移動してよいかどうかは、一人ひとりの経過をみている主治医が判断します。ここで挙げた状態は代表的な例であり、ご自身で当てはまるかどうかを判断する必要はありません。
そういった里帰り出産のリスクに耐えられるかどうかを早めに見極めてもらうためにも、主治医への相談は、里帰り先の病院へ連絡する前を心がけてください。主治医の先生も里帰り先の病院への紹介状などを作成する準備が必要となりますので、早めの相談が大切です。体調に不安を感じたときは、自己判断せず、通院先の産院へ電話で相談しましょう。
紹介状の役割と費用
里帰り先の病院の意向で、予約の段階で紹介状を求められるケースがあります。また、紹介状の作成に時間がかかる病院もありますので、里帰り出産する病院にいつまでに提出する必要があるのかを、早めに主治医に伝えましょう。
紹介状は、現在通っている病院でのあなたの妊娠経過や、特記事項などの重要な情報を、里帰り先の病院へ正確に引き継ぐための大切な書面です。里帰り出産は、両方の病院の連携があってこそ安全が確保されます。なお、妊娠・出産は病気ではないため、紹介状の作成費用は自費になるのが一般的で、金額は病院ごとに異なりますので、事前に確認しておきましょう。
主治医への切り出し方と、紹介状を頼むタイミング
健診の待ち時間や診察の最後に、慌ただしく切り出すと、必要な情報が伝わらないまま終わってしまいます。里帰り先の産院から案内された期限を、メモにして持っていくと、話がスムーズに進みます。
伝わりにくい例:「里帰りするかもしれません」
伝わりやすい例:「妊娠34週までに里帰り先の産院へ移りたいと考えています。里帰り先は、初診の前に紹介状を求めています。いつ頃までにお願いすればよいでしょうか。移動の方法についても、注意することがあれば教えてください」
つまずきやすいのは、紹介状がその日のうちに出せない場合が多いことです。診察の記録や検査結果の取りまとめに日数がかかる施設もあるため、「次回の健診で受け取れるようにお願いする」と日程を決めておくと、取りに行く手間が一度で済みます。
現在の病院での定期健診も忘れずに!
「どうせ里帰りで病院を変えるのだから…」と、今かかっている病院での定期健診を後回しにしてしまうと、里帰り先への引き継ぎがうまく進まなくなります。主治医の先生も紹介状を作れませんし、妊婦健診は母子の状態を確かめる大切な機会ですので、里帰りまでの間もきちんと定期健診を受けましょう。
5希望の病院で予約が取れなかったときは
「連絡したときにはすでに分娩予約枠がいっぱいだった」ということも、里帰り出産では珍しくありません。もし希望していた病院で予約が取れなかった場合は、一人で抱え込まず、次のような対応を検討しましょう。
- 現在の主治医に相談し、他に里帰り出産を受け入れている病院を紹介してもらう。
- 里帰り先の地域にある他の産院や助産院にも並行して問い合わせてみる。
- 里帰りにこだわらず、現在通っている病院でそのまま出産する選択肢も検討する。
お産を扱う施設は限られているため、早めに動くほど選択肢は広がります。予約が取れないと分かった時点で、できるだけ早く次の行動に移すことが大切です。
気持ちが焦ったときの考え方
予約が取れないと分かったとき、「里帰りできなかったら、産後は誰にも頼れない」と気持ちが焦るのは自然なことです。ただ、里帰り出産は産後を支えてもらう方法の一つであり、目的は「安心してお産を迎え、産後を休めること」にあります。目的に立ち返ると、里帰り先を変える、実家のご家族に自宅へ来てもらう、自治体の支援を使うなど、選択肢が広がります。焦って条件をすべて手放すより、「受け入れてもらえる」「通いやすい」「緊急時の体制が整っている」の3点だけは譲らない、と決めておくと、短期間でも落ち着いて選べます。
夜、一人でスマートフォンを見ながら落ち込んでしまうときは、次のように家族へ状況を共有してみてください。
伝わりにくい例:「予約が取れなかった。もう無理かも」
伝わりやすい例:「第一希望の産院は枠がいっぱいだったよ。主治医に相談して別の産院を紹介してもらうのと、実家の近くの別の産院にも電話してみるのと、並行して進めようと思う。実家でも、近所で受け入れている産院がないか、聞いてもらえるかな」
里帰りしないという選択をするときの支え方
里帰りしないと決めた場合も、産後の支えは準備できます。実家のご両親に産後の一定期間だけ自宅へ来てもらう、パパが育児休業を取る、自治体の産後ケア事業を事前に調べておくといった方法です。パパの育休については、子の出生後8週間以内に4週間まで取得できる産後パパ育休(出生時育児休業)があると厚生労働省が案内しています。また、2025年4月から、両親ともに14日以上の育児休業を取得すると、28日間を限度に、休業開始前賃金の13%相当額が追加で支給されます。既存の育児休業給付(67%相当)と合わせて80%相当となり、手取りで考えると10割相当になる仕組みです(厚生労働省)。対象になる条件や手続きは勤務先と雇用保険の窓口で確認してください。
6里帰り出産の予約キャンセルについて
「家族の事情で里帰りを取りやめた」「体調の変化で長距離移動ができなくなった」など、当初の予定通りにいかないこともあります。里帰りをやめることになったのであれば、分娩予約をしていた病院へは、できるだけ早く電話でキャンセルを連絡しましょう。
キャンセル料と予約金(前金)の注意点
分娩予約のキャンセル料を設けていない病院は多い一方で、扱いは施設ごとに異なるため、予約時に確認しておくことが大切です。
ただし、予約時に予約金(分娩予約前金)を支払っている場合は、その返金規定が病院によって異なります。全額返金されるケースや、病院側の規定に基づき一部返金されないケースもありますので、予約時に返金に関する規定をしっかりと確認しておくと安心です。
里帰り出産のキャンセルを決めたら、すぐに新しい産院を選んで予約するか、現在の病院にお産の予約をするなどの対応が必要です。お産を扱う施設は限られていますので、まずは自分が安全にお産できる場所を確保することを第一に考え、速やかに行動しましょう。
キャンセルの連絡で伝えること
キャンセルは気まずく感じやすい連絡ですが、産院側にとっては、その枠を待っている別の妊婦さんにつなげるためにも、早い連絡が助かります。電話の前に、予約時にもらった書類や領収書を手元に用意しておきましょう。
伝わりにくい例:「やっぱりやめます」
伝わりやすい例:「妊娠〇週、出産予定日が〇月〇日の〇〇です。家庭の事情で、里帰りを取りやめることになりました。予約金の返金の方法と、すでに受けた検査の記録で必要な手続きがあれば教えていただけますか」
つまずきやすいのは、新しい分娩先が決まる前にキャンセルしてしまい、分娩先が空白になることです。現在の産院へ戻る場合も、新しい産院へ移る場合も、次の受け入れ先の確認を終えてから、里帰り先へキャンセルを連絡するのが安全な順番です。予約金は、入金の記録や領収書を保管しておくと、返金の手続きがスムーズです。
7里帰り出産で必要な手続きとお金の確認
里帰り出産では、住民票のある市区町村と、里帰り先の産院という2つの窓口が関わります。ここでは、2026年10月時点の主な手続きを整理します。金額や期限は変更されることがあるため、申請の前に必ず窓口で最新の案内を確認してください。
| 項目 | 現行の内容 | 申請先と注意点 |
|---|---|---|
| 出産育児一時金 | 子ども1人につき原則50万円(産科医療補償制度の掛金1.2万円を含む)。妊娠4か月(85日)以上の出産が対象 | 加入している健康保険。直接支払制度を使えるかどうかは施設ごとに異なるため、里帰り先の産院に確認する |
| 妊婦健診の費用助成 | 住民票のある自治体の受診票は、里帰り先では使えない場合が多い。里帰り先で自費で支払った健診費用は、後から助成を申請できる自治体が多い | 住民票のある市区町村。申請期限は自治体により異なる(出産から1年以内とする自治体がある)。領収書と明細書を保管する |
| 妊婦のための支援給付 | 妊婦給付認定後に5万円、妊娠しているこどもの人数の届出後にこどもの人数×5万円(2025年4月から) | 住民票のある市区町村。人数の届出は出産予定日の8週間前の日以降で、里帰りの時期と重なりやすい |
| 産前産後休業 | 産前6週間(多胎妊娠は14週間)は請求した場合に就業させてはならず、産後8週間は就業させてはならない | 勤務先。産前の期間は出産予定日が基準 |
| 出生届 | 出生の日から14日以内に提出する | 出生地、本籍地、届出人の所在地のいずれかの役所。医療機関が作成する出生証明書が必要 |
住民票のある自治体と、里帰り先の自治体をつなぐ
手続きが複雑に感じられるのは、給付や助成の窓口が住民票のある市区町村である一方、実際の健診や産後の訪問は里帰り先で受けることが多いためです。こども家庭庁は2023年9月に、全国の市区町村に宛てて、里帰り出産をする妊産婦への支援について事務連絡を出しています。住民票のある市区町村は、妊娠8か月頃の面談などの機会に、里帰りの予定と里帰り先を把握し、里帰り先で健診や産後ケアを受けたときの償還払いの手続きなどを案内するよう努めるとされています。つまり、妊娠8か月頃の面談やアンケートは、里帰りの予定を伝え、必要な情報を聞くための機会です。迷ったときは、住民票のある市区町村の母子保健の窓口に電話して、里帰り中の手続きを順番に教えてもらいましょう。
産院の会計窓口でも、手続きの場面は訪れます。里帰り先で妊婦健診を受けたら、領収書と診療明細書は必ず受け取って、母子健康手帳と一緒に保管します。
伝わりにくい例:「役所の手続きは、あとでまとめてお願いね」
伝わりやすい例:「里帰り先で受けた健診の領収書は、母子手帳のケースにまとめておくね。出産から1年以内に申請が必要な自治体もあるみたいだから、産後1か月のころに、一緒にスケジュールを確認しよう」
つまずきやすい点は、領収書を紛失したり、申請期限を過ぎたりすることです。スマートフォンで領収書の写真を撮って保存しておく、申請の期限をカレンダーに入れておくといった工夫が役に立ちます。
8最新情報:出産費用の仕組みの見直しと、里帰り出産への影響
2026年10月時点で、出産にかかる費用の仕組みは大きな見直しの途中にあります。里帰り出産の予約をする時期は、ちょうど制度の移り変わりと重なる可能性があるため、以前の前提から現在の状況、家庭での対応まで順に整理します。
以前の前提:一時金の増額と、その後も上がる出産費用
出産育児一時金は、2023年4月に原則42万円から50万円に引き上げられました。ところが、その後も出産費用は上昇を続けています。厚生労働省の資料では、室料差額や産科医療補償制度の掛金などを除いた正常分娩の平均出産費用は、2024年度に全国で約52.0万円でした。都道府県別では、東京都が648,309円、熊本県が404,411円と、地域によって大きな差があります。里帰りで出産する場所が変わると、費用の目安も変わる場合がある、という点は押さえておきたい前提です。
現在の状況:改正法の公布と、検討会の始まり
2026年6月5日に、健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)が公布されました。正常分娩の費用を公的な仕組みで賄う方向で、出産育児一時金に代わる新しい給付方式が盛り込まれています。これを受けて、厚生労働省は2026年10月1日に、「妊娠・出産・産後における診療やケアの内容等に関する検討会」の第1回を開きました。具体的な給付の水準や対象範囲は、この検討会などで今後議論される段階で、現時点では確定していません。施行の時期は、公布から2年以内になると見られます。当面は、現行の出産育児一時金(原則50万円)が使える状況が続きます。
家庭での対応:予約のときに確認したいこと
出産の時期が2027年から2028年にかかる方は、新しい制度の対象施設かどうか、費用の請求方法が変わるかどうかを、里帰り先の産院に予約の時点で確認しておくと安心です。確認する際は、「出産育児一時金の直接支払制度を使えますか」「今後、費用の案内に変更の予定はありますか」と聞いてみましょう。現行制度の範囲で準備する場合も、産院の費用の内訳を見せてもらい、一時金の50万円を超える差額が出る可能性を、夫婦で共有しておくと落ち着いて備えられます。
伝わりにくい例:「お金のことは、あとで考えよう」
伝わりやすい例:「出産なびで、里帰り先の産院の費用を調べてみたよ。一時金は原則50万円だから、それを超えた差額が自己負担になるんだよね。入院の部屋や食事のオプションも含めて、産院に見積もりの内訳を聞いてみるね」
| 項目 | 現行の内容(2026年10月時点) | 今後の見通し | 家庭で確認すること |
|---|---|---|---|
| 出産費用の給付 | 出産育児一時金が原則50万円 | 新しい給付方式への切り替えが予定されている。施行は公布から2年以内と見られ、金額は未確定 | 里帰り先の産院が、どの方式に対応するか |
| 費用の見える化 | 出産なびで、施設ごとの費用とサービスを確認できる | 検討会で、費用の内容の整理が進められる | 出産なびで、里帰り先と自宅近くの産院の費用を比べる |
| 妊婦のための支援給付 | 妊娠届出後に5万円、人数の届出後に人数×5万円 | 現行の制度が続いている | 住民票のある市区町村の窓口で、里帰り中の申請方法を確認する |
9里帰り中の過ごし方と、産後の支援を逃さないコツ
里帰り出産の準備というと、予約や紹介状に目が向きがちですが、里帰り中と産後の過ごし方まで考えておくと、予約の優先順位も決めやすくなります。見落とされやすいのが、里帰り先の自治体の支援との組み合わせです。
里帰り先の自治体の産後サポートを調べておく
産後のお母さんと赤ちゃんを支える公的な仕組みには、新生児訪問や乳児家庭全戸訪問、産後ケア事業があります。こども家庭庁の産後ケア事業ガイドラインは、里帰りをしている方についても、里帰り先の市町村で支援が必要な方を把握した場合や、住民票のある市町村から依頼があった場合は、産後ケア事業の対象者として対応することが望ましいとしています。ただし、実際に里帰り先で利用できるかどうかは自治体ごとに異なります。新生児訪問も、里帰り先の自治体で受けられる場合と、住民票のある自治体が依頼する場合があります。出産前に、住民票のある市区町村と、里帰り先の市区町村の両方に電話で、「里帰り中の訪問や産後ケアは利用できるか」を聞いておきましょう。
里帰り期間と、戻る時期の考え方
里帰りの終わりは、産後1~2か月頃が一つの目安です。多くの方が、里帰り先の産院で1か月健診を受けた後に、自宅へ戻る時期を決めています。産後は、授乳やおむつ替えで睡眠が細切れになり、赤ちゃんのお世話にも慣れるまでに時間がかかります。実家で家事を任せられる期間が長いほど体を休めやすい反面、パパと赤ちゃんが触れ合う時間は短くなります。里帰りの期間は、お母さんの体調とパパの気持ち、実家の負担の三つを合わせて決めるのが現実的です。
ありがちな場面を一つ挙げます。妊娠30週のころ、夫が帰宅した夜に、里帰りの期間を相談します。
伝わりにくい例:「実家には、落ち着くまでいるね」
伝わりやすい例:「産後1か月健診が終わったら、いったん今後の予定を相談したいな。週末にあなたが実家へ来られる日があれば、赤ちゃんのお風呂を一緒に練習してほしいの。戻る時期は、私の体調と、あなたの様子を見ながら決めよう」
実家のお母さんには、次のように伝えると負担の分け方が共有できます。「産後の食事はお願いしたいけれど、赤ちゃんのお世話は私が中心にやりたいな。夜に疲れたときだけ、少し手伝ってもらえると助かるよ」
つまずきやすいのは、里帰りが長引き、パパと赤ちゃんの距離ができてしまうことです。対処としては、動画通話で赤ちゃんの様子を見せる、週末に実家へ来てもらう、戻る前に自宅で数日試し泊まりをするなど、段階的に自宅へ戻る方法があります。上の子がいる場合は、保育園や幼稚園の登園について、里帰り期間中の取り扱いを、あらかじめ園に相談しておきましょう。
10里帰り出産の予約についてよくある質問
Q.分娩予約は妊娠何週までにすればよいですか
A.多くの産院は妊娠20週までを目安にしていますが、妊娠12週や16週までの初診を求める施設もあります。受付の期限は施設ごとに異なるため、里帰り先の産院には、妊娠初期のうちに電話で確認しましょう。
Q.里帰り先の産院へ、初診に行けない場合はどうなりますか
A.初診を条件にしている施設が多いため、まずは電話で事情を伝えてください。紹介状で代わりになるかどうかは、施設の判断になります。期限までに受診できる日があるか、別の方法がないかを、早めに相談しましょう。
Q.いつ頃に里帰りすればよいですか
A.妊娠32~34週頃が一般的な目安です。里帰り先の産院が、2回目の受診の期限を示している場合は、その日付までに移れるよう、移動の日程を逆算して決めましょう。通院中の主治医にも、移動の時期を相談してください。
Q.予約金を払ったあとにキャンセルしたらどうなりますか
A.返金の規定は施設ごとに異なり、全額返金される場合もあれば、一部が返金されない場合もあります。予約金を支払うときに、返金の条件を確認し、領収書を保管しておくと安心です。
Q.里帰り中の健診費用は、自己負担になりますか
A.住民票のある自治体の受診票は、里帰り先で使えない場合が多く、いったん自費で支払います。後から助成を申請できる自治体が多いため、領収書と診療明細書を保管し、住民票のある市区町村で申請の期限を確認しましょう。
里帰り出産の準備を進める順番
①主治医に里帰りの意向を伝え、紹介状の時期を相談する
②実家の家族と、時期・期間・費用の分担を話し合う
③里帰り先の産院へ電話で、受付の期限と初診の条件を確認する
④住民票のある市区町村の面談で、里帰りの予定と手続きを相談する
⑤産前産後休業と産後の支えを、勤務先と家族で準備する



