防腐剤の長所と短所についてに関する記事

防腐剤を使う3つのメリット:保存料の役割と家庭でできる保存の工夫

防腐剤を使う3つのメリット:保存料の役割と家庭でできる保存の工夫

「保存料不使用」「無添加」はどう読む? 用途名の見方、賞味期限と消費期限の違い、干し野菜やジャムなど家庭の保存の工夫を、国の公表情報をもとにわかりやすく紹介します。

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食品添加物として防腐剤を使用することで得られる3つのメリット

スーパーで買った食材やお総菜には、品質を保つための成分が使われていることがあります。防腐剤や保存料と聞くと身構えてしまいがちですが、もともとは食べ物をできるだけ長く、おいしいまま楽しむための工夫です。塩や砂糖、酢といった台所の調味料も、昔から同じ役割を果たしてきました。ここでは、防腐剤や保存の工夫がもたらす3つのメリットを、家庭ですぐ活かせる形で見ていきましょう。

なお、食品のラベルでは「防腐剤」という言葉ではなく、用途名の「保存料」と書かれます。この記事の制度や数字は、2026年10月時点で確認できる国の公表情報にもとづいています。

防腐剤を食品に使用するメリット1:食べ物を傷ませず無駄なく食べきる

食中毒を防ぐためにレモンが添えられた生牡蠣

食べ物は時間が経つと、色やにおい、味が少しずつ変わっていきます。買ってきたときは新鮮でも、冷蔵庫の奥でいつの間にか色が変わっていた、という経験はだれにでもあるものです。見た目だけではわかりにくい変化もあるため、気づいたときには食べられなくなっていることもあります。

食べ物が傷む理由は、大きく三つに分けられます。一つ目は、空気中や手指、まな板などから入りこんだ細菌・カビ・酵母が、水分と栄養のある食品の上で増えること。二つ目は、油脂が空気に触れて酸化し、においや味が落ちること。三つ目は、切ったりんごが茶色くなるように、野菜や果物の成分が空気に触れて色を変えることです。傷む理由が違えば、効きめのある対策も変わります。微生物の増え方をおさえるのは保存料や冷蔵・冷凍、塩・砂糖・酢の役目で、酸化をおさえるのは酸化防止剤や空気にふれにくい包み方の役目です。「いまの食品は何が原因で傷みやすいのか」を意識するだけで、保存の選び方がぐっと的確になります。

防腐剤や保存の工夫は、こうした変化のスピードをゆるやかにして、買った食材を最後までおいしく食べきる手助けをしてくれます。使い切れずに捨ててしまう食品を減らせるので、食品ロスの削減にも家計の節約にもつながります。加工食品では、ハムやソーセージの色鮮やかさを保つために発色剤の亜硝酸ナトリウムが、油分の酸化による風味の落ちを抑えるために酸化防止剤のビタミンC(アスコルビン酸)が使われるなど、成分ごとに役割が分かれています。

家庭から出る食品ロスの原因は、消費者庁や環境省によると「食べ残し」「直接廃棄(手つかずのまま捨てる)」「過剰除去(皮を厚くむきすぎる)」の三つです。冷蔵庫の奥で傷ませてしまうのは、このうち直接廃棄にあたります。

忙しい平日の夕方、まとめ買いした食材を冷蔵庫に詰め込んで、気づけば野菜室の奥がしなしな、というのはよくある場面です。「どうして食べ物って古くなっちゃうの」と子どもに聞かれたら、「小さな菌さんがごはんを食べて増えると、色やにおいが変わっておいしくなくなるんだよ」と話してあげると、食べ物を大切にする気持ちも育ちます。

ここで「また傷ませて。ちゃんと食べてって言ったでしょ」と言いたくなる気持ちは自然ですが、責められた子どもは食べ物の話そのものを避けやすくなります。2〜5歳ごろは「自分で決めたい」気持ちが強くなる時期なので、「この野菜、今日が食べ頃のお当番さんだよ。サラダとスープ、どっちにする?」と選んでもらうほうが伝わります。叱られる話が、自分で決める楽しい話に変わるからです。

今日から試せる冷蔵庫の整え方は、次の四つです。

  • 買い物は、冷蔵や冷凍が必要な生鮮食品を最後にカゴへ入れて、寄り道せずに帰る。持ち帰ったら、すぐ冷蔵庫・冷凍庫へ入れる。
  • 冷蔵庫・冷凍庫は、詰めすぎず7割程度を目安にする。庫内は、冷蔵庫が10℃以下、冷凍庫がマイナス15℃以下に保つのが厚生労働省の示す目安。ときどき温度計で確かめる。
  • 開封したハムやチーズは、ラップでぴったり包むか、保存袋に入れて空気を抜く。袋に開封日を書いておく。
  • 「先に食べる」専用のカゴを冷蔵庫の手前に一つ作り、開封済みのものや期限が近いものを入れる。

厚生労働省によると、細菌の多くは10℃では増殖がゆっくりになり、マイナス15℃では増殖が止まります。ただし死ぬわけではないため、冷凍していても早めに使いきるのが基本です。

つまずきやすいのは、開封したハムやチーズをそのまま冷蔵庫に戻してしまうこと。空気に触れる時間が長いほど風味は落ちやすくなります。開けたらラップでぴったり包む、密閉できる保存袋に入れて空気を抜く、といったひと手間で、おいしさをぐっと長く保てます。もうひとつ多いのは、冷蔵庫に食品を詰め込みすぎて、奥の食材が見えなくなること。見えない食材は存在を忘れられやすいので、奥には日持ちするもの、手前には早く食べたいものを置く「手前ルール」にすると、忘れ物が減ります。

子どもの年齢に合わせて役割を変えると、家族みんなで続けやすくなります。2〜3歳なら「お当番カゴ」にシールを貼る係、4〜6歳なら日付を読んで「今日までだよ」と教えてくれる係、小学生なら週末に冷蔵庫の中身を紙に書き出して献立を考える係といった具合です。パパや祖父母には、買い物の前に冷蔵庫の中を写真に撮って送っておくと、同じ食材をだぶって買うのを防げます。消費者庁も、買い物前に冷蔵庫や食品庫の中身を確認し、メモや写真に残すことをすすめています。

先輩ママからよく聞くのは、特売で買った野菜を野菜室の奥にしまい込み、週末のたびにしなしなにしてしまう、という悩みです。買ってきた日に「食べる順」を付箋に書いて手前のカゴへ入れる習慣に変えたところ、捨てる野菜がめっきり減り、子どもが「これ今日の分?」と確かめてくれるようになった、という話もあります。保存の工夫は、技術よりも仕組みにするほうが長続きする、という学びです。

防腐剤を食品に使用するメリット2:賞味期限を延ばして長くおいしく保つ

賞味期限を伸ばすため防腐剤が塗布された焼き魚

防腐剤や保存の工夫には、食品としての寿命そのものを延ばす働きがあります。代表的なのが、昔ながらの「漬ける」「干す」という知恵です。ぬか床では塩分と、乳酸菌が作る酸が、酢に漬けるときは酢の酸が、傷みにくい環境をつくっています。食肉や魚を塩に漬けたり、フルーツを砂糖でじっくり煮込んでジャムにしたりするのも、調味料の力で長持ちさせる身近な例です。

塩や砂糖には、食品に含まれる水分と結びついて、傷みのもとになる菌が使える水分を減らす働きがあります。専門的には、この「菌が使える水分」の度合いを水分活性といいます。梅干しや塩漬け、味噌漬け、ジャムが長くもつのはこのため。酢は食品を酸性に傾けて、菌が増えにくい状態をつくります。乾物のように水分そのものを抜く方法も、根っこの考え方は同じです。つまり、保存の工夫は「水分」「酸」「温度」のどれかを菌が増えにくい方向に動かしていると考えると、どの方法も整理しやすくなります。

家庭で試すなら、次のような目安が役立ちます。

保存の工夫身近な食品の例おいしく楽しむ目安
塩に漬ける・塩をふる塩鮭、浅漬け、塩もみ野菜塩をきかせたものは日持ちしやすい。控えめなら冷蔵で早めに
砂糖で煮る・漬けるジャム、砂糖漬け、コンポート糖度が高いほど長もち。低糖度は冷蔵で早めに食べきる
酢に漬けるピクルス、酢の物、南蛮漬け酸味がしっかりあるほど安定。清潔な容器で保存する
干して水分を抜く干し野菜、干ししいたけ、切り干し大根しっかり乾かすほど日持ち。湿気を避けて保存する
冷蔵・冷凍する小分けにした肉や魚、作りおきのおかず冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はマイナス15℃以下が目安。冷凍でも早めに使いきる

つまずきやすいのは、あっさり仕上げたいからと塩や砂糖を思いきり控えめにしたとき。糖度の低い手作りジャムや塩分ひかえめの梅干しは、その分だけ傷みやすくなります。控えめに作ったものは冷蔵庫で保存し、早めに食べきるようにすると安心です。

晴れた休日に、切った大根やきのこをザルに広げて窓辺で干すだけでも、りっぱな保存食づくりになります。「お日さまに当てると甘みが増すんだよ」と声をかけながら一緒に並べれば、食べ物がどう変わるかを楽しむ食育の時間にもなります。乾いた食材は密閉袋に入れ、湿気を避けて保存しましょう。

干し野菜づくりの手順は、とてもシンプルです。大根やにんじんは薄めの短冊や細切りに、きのこは石づきを落としてほぐします。ザルに重ならないよう広げ、風通しのよい日なたに置きます。夜は室内に取り込み、翌朝また出します。乾き具合は、触ってみて曲げるとパリッと折れるくらいが目安で、天気や厚みによって日数は変わります。仕上がったら密閉袋に入れ、乾燥剤と一緒に保管すると湿気にくくなります。

子どもとの声かけも、ひと工夫で変わります。ザルに並べたがる子に「触っちゃだめ、汚れるでしょ」と止めてしまうと、せっかくの興味がしぼんでしまいます。「そっとのせてみよう。ザルに並べる係をお願いね」「朝と夕方で、ちょっと小さくなってるか見てみようか」と役割を渡すと、変化を観察する楽しさが育ちます。「ちっちゃくなった!」「かたくなった!」という子どもの発見に、「水分が抜けたんだね」と一言添えれば、立派な理科の時間です。

手作りジャムやピクルスで多いつまずきは、「たくさん作ったから」と常温でしばらく置いてしまうこと。ジャムは砂糖の量が少ないほど、ピクルスは酢の割合が少ないほど、日持ちがしにくくなります。うまく進めるには、保存瓶を事前に煮沸して水気を乾かし、詰めたら冷蔵庫へ。ラベルに作った日を書いておき、まず食べたいのは古いものから、と決めておくと迷いません。

先輩ママの間でよくあるのが、「減塩・低糖で作った浅漬けやジャムを、うっかり作り置きしすぎた」という話です。小さな容器に分けて冷蔵庫の手前に置き、数日で食べきる量だけ作るようにしたら、おいしいうちに食べきれるようになった、という声があります。控えめの味つけを楽しむなら、量を少なめに作って早めに食べきる、という組み合わせがぴったりです。

防腐剤を食品に使用するメリット3:熟成でおいしさと風味が深まる

熟成された年代物の赤ワイン

ぶどうの果汁をそのまま置いておけば、当然いたんでしまいます。ところが、温度と湿度を保った樽の中でゆっくり寝かせると、香り高いワインへと姿を変えます。ワインづくりの途中で加えられる酸化防止剤(亜硫酸塩)は、品質が落ちないように支え、風味をおいしく育てる役割を担っています。国税庁によると、亜硫酸には酸化を防ぐ、好ましくない微生物の繁殖を抑える、といった働きがあり、食品衛生法で二酸化硫黄の残存量が決められています。ワインのラベルに「酸化防止剤(亜硫酸塩)」と書かれているのは、このためです。

木の樽で寝かせると、木のごくわずかな隙間からゆっくり空気に触れ、とがった味わいがまろやかになります。バニラやキャラメルを思わせる香りが移るのも樽熟成ならでは。ステンレスのタンクで寝かせると、逆にフレッシュで果実味のある仕上がりになり、同じぶどうでも造り方で表情が変わります。

熟成といえばチーズも欠かせません。チーズの熟成を進めるのは、乳酸菌や酵素、種類によっては白カビや青カビといった微生物の働きで、そこに塩分や水分量の調整が加わって、ゆっくりと味わいが深まっていきます。保存料は、使える食品と量が国の基準で決まっていて、たとえばナイシンはチーズ(プロセスチーズを除く)などに、ナタマイシンはハードタイプやセミハードタイプのナチュラルチーズの表面部分に限って使えます。白カビ、青カビ、フレッシュなど、種類によって食べ頃や風味が大きく違うのも魅力です。

熟成は、食品の中で「おいしさの時計」がゆっくり進んでいくようなものです。ワインやチーズだけでなく、味噌が時間とともに色を濃くしてまろやかになるのも、干し柿が日ごとに甘みを増して見えるのも、同じ「時間をおいしさに変える」知恵です。保存の工夫が、傷みを遅らせるだけでなく、おいしさを育てる方向にも働くことが、三つ目のメリットです。

家庭でチーズを楽しむなら、切り口の乾燥を防ぐのがコツ。断面をアルミ箔やラップで包み、密閉容器に入れて冷蔵庫へ。青カビタイプは光を避けて包むと、風味が落ち着いたまま楽しめます。「このチーズはどんな味がするかな」と少しずつ食べ比べてみるのも、おうち時間の楽しみになります。

食べ比べのときの声かけで、子どもの言葉の引き出しが変わります。「くさいから食べない」と言う子に「いいから食べてみて」と迫ると、かえって苦手意識が強まります。「どんなにおいがする?ミルクっぽい?それともお花みたい?」と、においを言葉にする遊びにすれば、味わうことへの興味が育ちます。3歳ごろなら「甘い」「しょっぱい」「やわらかい」、5歳ごろなら「前のとどっちが好き?」、小学生なら味噌の仕込みを日記にして、1か月ごとに色や香りを記録する自由研究に広げられます。

つまずきやすいのは、モッツァレラのようなフレッシュチーズを買い置きしてしまうこと。水分が多いタイプは風味が変わりやすいので、早めに食べきるのがおいしさを逃さないポイントです。熟成させて楽しむタイプと、買ってすぐ食べるタイプを分けて考えると、買い物で迷いません。

保存料・酸化防止剤・発色剤の違いと、ラベルの読み方

食品のラベルを見ると、「保存料(ソルビン酸)」「酸化防止剤(ビタミンC)」「発色剤(亜硝酸Na)」のように、カッコの前に用途名が書かれています。食品表示基準では、甘味料・着色料・保存料・増粘剤(安定剤、ゲル化剤、糊料)・酸化防止剤・発色剤・漂白剤・防かび剤(防ばい剤)の8種類については、物質名だけでなく用途名もあわせて書くことになっています。消費者が「何のために入っている成分か」を判断しやすくするための決まりです。

用途名主な働きラベルでの書かれ方の例
保存料カビや細菌などの発育を抑えて、保存性を高める保存料(ソルビン酸)
酸化防止剤油脂などの酸化を防いで、風味や色を保つ酸化防止剤(ビタミンC)
発色剤ハムやソーセージなどの色合いをととのえる発色剤(亜硝酸ナトリウム)
防かび剤輸入かんきつ類などのかびを防ぐ防かび剤(イマザリル)

消費者庁の資料では、ハムの場合、発色剤(亜硝酸ナトリウム)は肉の色を保つ、保存料(ソルビン酸)は腐敗を抑える、と成分ごとに働きが示されています。同じハムの中でも、色を守る成分と傷みを遅らせる成分は別々だということです。冒頭で「防腐剤」と一括りにしたものが、実際には役割ごとに分かれていることがわかります。

買い物のときは、次の三つの順番で見ると迷いません。まず、原材料名と添加物の欄が「/」で区切られているかを見ます。次に、添加物の欄にある用途名を探します。最後に、その用途名から「この成分は何のためにあるのか」を想像します。子どもと一緒なら、「ここに『保存料』って書いてあるね。何のためだと思う?」と聞いてみてください。「くさらないように?」と返ってきたら、「そう、カビや菌が増えにくいようにしているんだよ」と答えられます。一方で、「これは悪い成分だから買わない」と一方的に決めつけると、子どもは理由を考える機会を失います。

つまずきやすいのは、カタカナの物質名だけを見て「よくわからないもの」と感じてしまうこと。用途名を先に読めば、「甘味料」「酸味料」のように、ほとんどは暮らしのなかで見慣れた働きだと気づきます。小学生なら、家にある食品のラベルを3つ選んで、用途名を書き写す自由研究にもなります。

食品添加物の安全性は、国のしくみでどう確かめられているか

食品添加物は、使っていい成分を国が決めています。まず内閣府の食品安全委員会が、動物実験などのデータをもとにリスク評価を行い、一日摂取許容量(ADI)を定めます。ADIとは、毎日一生涯にわたって摂取し続けても、現在の科学的知見から見て健康への悪影響がないと推定される、一日あたりの量のことです。動物実験で悪影響の出ない最大の量に、動物とヒトの種の違いで10倍、個人差で10倍の、合わせて100倍の安全係数を見込んで決めます。たとえば保存料のソルビン酸については、食品安全委員会の資料で、無毒性量を体重1kgあたり2,500mg、安全係数を100として、ADIを体重1kgあたり25mg(ソルビン酸として)とした評価の例が示されています。

そのADIを大きく下回るように、使える食品と量を決めたものが使用基準です。食品衛生基準行政は2024年4月1日に厚生労働省から消費者庁へ移管されていて、現在は消費者庁が使用基準などの規格基準を担当しています。使用が認められたあとも、実際にどれくらい摂取しているかを調べるマーケットバスケット方式の調査が続けられています。これは、スーパーなどで売られている食品を購入して含まれる添加物の量を分析し、平均的な食べる量をかけて一日の摂取量を求める方法です。消費者庁によると、これまでの調査結果では安全性上問題ないことが確認されていて、仮に問題となる結果が出れば、基準の改正などの措置をとるとされています。令和4年度には、1〜6歳の小児を対象に、保存料(安息香酸、ソルビン酸、デヒドロ酢酸)や着色料、甘味料などの摂取量が調べられました。

ここまでは国の制度の一般的な説明で、個々の食品や、お子さん一人ひとりの状況についての判断ではありません。表示や成分で気になることがあるときは、購入した商品のメーカーのお客様相談窓口、お住まいの地域の保健所、消費生活センターなどに問い合わせられます。消費者ホットライン「188」からは、身近な消費生活センターにつながります。

家族のあいだで意見が分かれたとき、たとえば祖父母が「保存料は体によくないからやめなさい」と言ってきたときは、「どの食品の、どの成分が気になるのか、いっしょにラベルを見てみようか」と、事実を確かめる方向に話をもっていくと、お互い気持ちよく話せます。「そんなの気にしすぎ」と切り捨てると、相手は聞いてもらえなかったと感じてしまいます。

賞味期限と消費期限の違いを知って、おいしく食べきる

期限の表示は、保存の工夫の「成果」を数字で示したものです。消費者庁の整理では、賞味期限は「おいしく食べることができる期限」で、定められた方法で保存した場合に、期待されるすべての品質が十分に保たれる期限のことです。期限を過ぎても、品質が保たれていることがあり、すぐに食べられなくなるわけではありません。一方、消費期限は「期限を過ぎたら食べないほうがよい期限」で、お弁当、サンドイッチ、お総菜など、傷みやすい食品に表示されます。菓子、カップめん、缶詰などの日持ちする食品には賞味期限が表示されます。

どちらの期限も、「定められた方法で、開封前に保存した場合」の期限です。一度開封した食品は、期限表示にかかわらず早めに食べるのが基本です。保存方法の表示も、「10℃以下」「直射日光を避け、常温で保存」のように、期限と近い場所に書かれています。

使い方のコツは、買い物の時点で「いつ食べるか」を決めておくことです。今日明日に食べるものは、棚の手前に並んだ期限が近いものを選ぶ「てまえどり」にすると、お店での売れ残りが減って、食品ロスの削減につながります。反対に、数日後に使う予定のものは、期限に余裕のあるものを選びます。

子どもに説明するときは、「消費期限は、『この日までに食べてね』のお約束の日。賞味期限は、『この日までがいちばんおいしいよ』という目安の日だよ」と伝えると、どちらの意味も覚えやすくなります。「期限が切れたからポイ」と決めつけず、賞味期限なら色やにおい、味を確かめて判断するという考え方も、食べ物を大切にする習慣につながります。ただし、期限切れの扱いは食品の種類や保存状態によって違うので、迷ったときは無理をしない判断を。

防腐剤まわりの最新事情:不使用表示のルールと食品ロスの現在地

基準時点は2026年10月です。保存料にまつわる表示のしくみと、食品ロスをめぐる数字は、ここ数年で動いています。

以前は、「無添加」「保存料不使用」といった表示について、国の統一ルールがなく、何が入っていないのかがわかりにくい商品がありました。現在は、消費者庁が令和4年3月30日に「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を策定し、2年間の猶予期間を経て、2024年4月から全面的に適用されています。単に「無添加」とだけ書いて何が無添加かわからない表示や、「人工」「合成」「化学」「天然」といった食品表示基準にない用語を使った表示、「無添加だから健康によい」と健康や安全に結びつける表示は、誤解を招くおそれがあるとして整理されています。

このルールを知っておくと、買い物のときの見方が変わります。たとえば、日持ちを高める同じ働きの成分を使っているのに「保存料不使用」と書くことは、誤解を招く表示として整理されました。一方で、表示の言葉だけでは「どれくらい日持ちするか」まではわかりません。また「保存料不使用なので、お早めにお召し上がりください」のように、開封後という条件に触れずに書くと、期限表示より早く食べなければいけない印象を与えるおそれがある、という例も示されています。家庭での対応としては、「不使用」と書いてあるかどうかではなく、期限表示と保存方法、開封後は早めに食べきること、の三つを見るのが基本です。

食品ロスの数字も更新されています。農林水産省と環境省が2026年6月30日に公表した令和6年度の推計では、食品ロスは461万トンで、前年度の464万トンからわずかに減りました。内訳は、事業系が237万トン(前年度231万トン)、家庭系が224万トン(前年度233万トン)で、家庭系は減り、事業系は増えています。国は、令和7年3月25日に閣議決定した基本方針で、家庭系食品ロスを2000年度比で2030年度までに半減すること(2030年を待たずに早期達成をめざす)、事業系食品ロスを2000年度比で2030年度までに60%削減することを目標にしています。

項目現行の内容対象いつから
食品添加物の不使用表示ガイドライン「無添加」だけの表示や、健康・安全に結びつける表示などを、誤解を招くものとして整理食品の容器包装の表示令和4年3月30日策定、2024年4月から全面適用
食品衛生基準行政の移管食品添加物の使用基準など、食品衛生の規格基準づくりを消費者庁が担当国の行政の分担2024年4月1日
食品ロス量の推計令和6年度は461万トン、うち家庭系224万トン、事業系237万トン全国2026年6月30日公表
食品ロス削減の目標家庭系は2000年度比で2030年度までに半減、事業系は60%削減全国令和7年3月25日の基本方針(閣議決定)

家庭の取り組みとしては、買い物前に冷蔵庫の中身を確認する、使う分だけ買う、期限表示の意味を知って、開封後は早めに食べきる、といった行動が、そのまま数字の改善につながります。保存の工夫と期限表示の理解は、家庭系食品ロスを減らす取り組みとして国も呼びかけているものです。

防腐剤の食品以外への利用

傷みや劣化を防ぎたいのは食べ物だけではありません。木材や化粧品にも、長持ちさせるために防腐の成分が使われています。

木材に使用される防腐剤

防腐剤のニスが塗布された木材

家屋や家具に使われる木材には防腐の加工がほどこされ、長い年月にわたって腐りにくく、虫にも食われにくいよう仕上げられています。日曜大工で使うニスなども、塗ることで木の表面を保護し、家具や小物を長持ちさせてくれます。

木材が傷むのは、雨や湿気で水分を含んだ状態が続き、木を分解する菌が育つためです。食べ物が水分と栄養で傷むのと、仕組みは近いといえます。水分をためこまない、湿気がこもらない、表面に保護の膜をつくる、といった工夫が、木材を長持ちさせるコツです。

屋外用や室内用など、使う場所に合わせた製品が用意されているので、購入するときは用途の表示を確認して、使いたい場所に合ったものを選ぶと失敗がありません。塗る前に表面のほこりや汚れをふき取り、製品の表示にある乾燥時間を守るのが基本です。厚く塗りすぎると乾くのに時間がかかり、ベタつきが残りやすくなるので、薄く塗って乾かし、必要なら重ね塗りする、という手順にすると仕上がりがきれいです。

休日に親子で小さな木箱や踏み台を作るときは、塗る係を子どもにお願いするのも楽しい時間です。「このはけで、木の絵を描くみたいに一方向にすーっと塗ってみよう」と声をかけると、はみ出しや塗りムラを気にしすぎずに取り組めます。「ああ、そんなに塗ったらだめ」と先回りして止めるより、「次はここを塗ってみようか」と順番に任せるほうが、子どもは達成感を持てます。

化粧品に使用される防腐剤

品質の劣化を防ぐために、多くの化粧品にも保存のための成分が使われています。よく使われるのが「パラベン」で、少ない量で化粧品を安定して保つ働きがあります。

化粧品は水分や油分を含むものが多く、食べ物と同じように、空気や手指から入った微生物が増えやすい性質があります。保存のための成分は、使っている間も品質をできるだけ保つ役目を持ちます。

一方で、こうした成分を加えていない無添加化粧品は、その分だけ品質が変わりやすい傾向があります。商品ごとに使用期限が異なるので、開封前に表示を確認し、開けたあとはメーカーが示す期間を目安に、早めに使いきるようにすると、気持ちよく使えます。

化粧品の表示には、医薬品医療機器等法にもとづくルールがあります。東京都健康安全研究センターの解説によると、アスコルビン酸(ビタミンC)やそのエステル、塩類、酵素を含む化粧品と、製造や輸入後に適切な保存条件のもとで3年以内に性状や品質が変化するおそれのある化粧品には、使用期限の表示が必要です。使用期限が書かれていない化粧品は、未開封で適切に保存した場合に3年以内に品質が変わるおそれがないものです。開封後の扱いは別なので、製品の表示やメーカーの案内を確認しましょう。

毎日のスキンケアに役立つ小さなコツも三つあります。使う前に手を洗って清潔にすること、ふたをしっかり閉めること、洗面所のように高温多湿になりやすい場所を避けて保管することです。開封した日をマスキングテープに書いてボトルに貼っておくと、家族で共有する化粧品も使いきりの時期がひと目でわかります。「いつ開けたんだっけ」と迷う時間も減って、家族の会話もスムーズになります。

防腐剤と保存の工夫についてよくある疑問

Q.「無添加」「保存料不使用」の食品はどう付き合えばいい?

A.成分を加えていない分、品質は変わりやすい傾向があります。買いだめしすぎず、開封後は早めに食べきる、冷蔵で保存するなど、いつもよりこまめに扱うのがおすすめです。ラベルでは、期限表示と保存方法、開封後の扱いをあわせて確認しましょう。

Q.手作りジャムや漬物を長持ちさせるコツは?

A.糖度や塩分、酸味をしっかりきかせるほど日持ちします。煮沸した清潔な瓶に詰め、空気に触れる面を減らすのもポイント。控えめの味つけにしたものは冷蔵で早めに食べきりましょう。

Q.冷凍保存でおいしさを保つには?

A.一度に使う分ずつ小分けにし、ラップでぴったり包んで空気を抜き、保存袋に入れて凍らせます。袋に日付を書いておくと、食べるタイミングの目安になり、使い忘れも防げます。

Q.ワインやチーズを家庭で楽しむときの保存のコツは?

A.どちらも温度を一定に保ち、直射日光を避けるのが基本です。チーズは切り口を包んで乾燥を防ぎ、ワインは横に寝かせて涼しい場所へ。少しずつ味わいの変化を楽しむのもおすすめです。

Q.賞味期限が過ぎた食品は、すぐに捨てたほうがいい?

A.賞味期限は「おいしく食べられる期限」で、過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。ただし、開封後や保存状態によって違いがあります。消費期限は「期限を過ぎたら食べないほうがよい期限」なので、表示の種類を確かめて判断しましょう。

食べ物を長くおいしく楽しむために

防腐剤や保存料は、食べ物を無駄なく、最後までおいしく楽しむための心強い味方です。塩、砂糖、酢、乾燥といった昔ながらの知恵も、根っこの原理は同じ。家庭では、開けたら密閉する、控えめの味つけのものは早めに食べきる、旬のものを干して保存するなど、小さな工夫の積み重ねが食卓を豊かにしてくれます。子どもと一緒に保存食づくりを楽しめば、食べ物を大切にする気持ちも自然と育っていきます。

今週から取り入れやすい行動を、あらためて並べておきます。

  • 買い物の前に、冷蔵庫の中身を確認して、メモか写真に残す。
  • 開封した食品は、空気をぬいて包み、開封日を書いて「先に食べる」カゴへ。
  • ラベルの用途名を読んで、「何のための成分か」を子どもと一緒に考える。
  • 賞味期限と消費期限のどちらかを確かめて、使う日から逆算して買う。
  • 週末に一度、干し野菜やチーズの食べ比べなど、保存と熟成を楽しむ時間をつくる。
この記事を書いたライター
木村さくら

木村さくら

自称「健康オタクで美容オタク」。最近自家栽培にハマってます。

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