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『海老の栄養成分を徹底解説!高タンパク低脂質、コレステロール、アスタキサンチンの秘密』

海老の豊富な栄養素を種類別に比較し、その特徴や低脂質・高たんぱくな健康効果、さらにおいしく食べる工夫まで詳しく解説しています。

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海老の栄養成分を徹底解説!高タンパク低脂質とアスタキサンチンの秘密

海老は、寿司や天ぷら、パスタなど、和洋中を問わず幅広い料理に使われる人気の食材です。見た目の華やかさや風味の良さだけでなく、栄養面でも非常に優れた特徴を持っています。特に、高タンパクで低脂質というバランスの取れた成分構成は、健康志向の食生活を送る人たちの間で注目されています。本記事では、海老に含まれる基本的な栄養素とその働き、特性について、文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(えび、殻むき、生、可食部100gあたり)などの科学的なデータに基づき詳しく解説していきます。

※記事中の栄養成分の数値は、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(えび、殻むき、生、可食部100gあたり)を参考にしています。

海老の基本的な栄養成分と高タンパク・低脂質の理由

海老は、そのほとんどがタンパク質と水分で構成されており、他の動物性食品と比較して、非常にヘルシーな食材であると言えます。この特性が、海老が多様な食生活で重宝される理由です。

高タンパク・低脂質で注目される理由と役割

海老の栄養価の中で特に注目されているのが、タンパク質の豊富さです。可食部100gあたりおよそ20.6gもの良質なタンパク質を含んでおり、これは鶏むね肉(皮なし)や多くの白身魚と同等かそれ以上の値です。タンパク質は体の組織や筋肉の合成をサポートする重要な成分であるため、運動を日常的に行っている方や、健康的な体づくりを目指す方にとって、非常に有用な食材といえるでしょう。

また、海老は脂質が非常に少なく、100gあたりわずか0.7g程度です。このため、エネルギー摂取を控えたい方や、脂質制限を意識している方にも適しています。高タンパク・低脂質というバランスは、海老を「カロリーを抑えつつ、しっかりと栄養を摂りたい」という要望に応える理想的な食材にしています。

主要なビタミン・ミネラルの内容と働き

海老には、タンパク質の他にも多くのビタミンやミネラルが含まれており、そのバランスの良さが特徴です。特に注目したいのはビタミンB群の豊富さで、ビタミンB12(100gあたり約4.1μg)、ナイアシン、ビタミンB6などを中心に、エネルギー代謝に関わる成分が含まれています。ビタミンB12は血液の生成を助ける役割を担っています。

ミネラルでは、亜鉛(100gあたり約1.3mg)、銅、セレン、リン、そして鉄分も比較的多く含まれており、特に貝類に近い栄養構成を持っています。これらの微量栄養素は、体内の様々な酵素反応や骨の形成に関わっており、日常の食事で不足しがちな微量栄養素を補う役割が期待できます。

海老のカロリーやコレステロールの実態

海老は全体的にカロリーが低めで、100gあたり約87kcalにとどまります。これは、脂質が少ないためです。調理方法によってはカロリーが増えることもありますが、茹でる・蒸すといった加熱調理であれば油をほとんど使わず、ヘルシーな一品に仕上がります。

一方で、海老にはコレステロールがやや多く含まれており、100gあたり約180mg前後という数値になります。しかし、近年の栄養学では、食事から摂取するコレステロールが直接的に血中コレステロール値を大きく左右するわけではないという見解が主流です。体内のコレステロールの多くは肝臓で合成されており、食事からの摂取量が増えると、体内で合成される量が調整されるためです。そのため、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取に注意を払う方が重要であり、海老のように脂質が少ない食材は、全体の栄養バランスを見たときに有用であると考えられています。

海老の赤い色素「アスタキサンチン」とその特性

海老が加熱によって鮮やかな赤色になるのは、アスタキサンチンという色素成分によるものです。この成分は、海老の栄養価を語る上で欠かせない特徴の一つとなっています。

アスタキサンチンの含有量と化学的特徴

アスタキサンチンは、カロテノイドの一種であり、海老やカニの甲羅、鮭やイクラなどに多く含まれる天然の赤色色素です。海老の身にも含まれていますが、特に殻の近くに多く存在しています。アスタキサンチンは加熱によりタンパク質と結合した状態から分離することで、本来の色である鮮やかな赤色を呈します。

この成分は脂溶性であり、海老の持つわずかな脂質とともに体内に吸収されます。アスタキサンチンの含有量は種類によって異なりますが、この色素は海老にとって重要な成分であることが知られています。

海老の種類別に見る栄養価の違い

海老と一口にいっても、その種類は多岐にわたり、それぞれに特有の風味や食感、そして栄養価の違いがあります。代表的な種類ごとの栄養的な個性を理解することで、目的に合わせた選択が可能になります。

車海老・芝海老・桜海老の栄養比較

代表的な海老の種類ごとの栄養的な特徴は以下の通りです。

  • 車海老:タンパク質は高く、脂質は少ない、バランスの良い栄養成分を持ちます。特に亜鉛やビタミンB12が豊富です。
  • 芝海老:サイズが小さく、かき揚げなどで丸ごと使われることが多いため、殻に含まれるカルシウムやキチン質も摂取しやすいという利点があります。ミネラルの含有量が高く、特にカルシウムやマグネシウムを効率よく摂れます。
  • 桜海老(乾燥品):水分が少ないぶん栄養が凝縮されており、タンパク質は30g近くになることもあります。また、カルシウムや鉄、ビタミンEも豊富で、特にカルシウムの含有量は非常に高いことが特徴です。

伊勢海老・オマール海老の成分の特徴

伊勢海老やオマール海老といった大型の高級食材も、栄養面では優れています。伊勢海老のタンパク質は100gあたり21gほどで、脂質は1g未満と非常に低いです。さらに、カリウムやリン、ナイアシンなどのミネラルが豊富です。オマール海老も同様に高タンパク・低脂質で、ビタミンB12やセレンの含有量が高いことが特徴です。これらの海老は身がしっかりしているため、タンパク質を効率的に摂取できます。

海老の部位別栄養成分|殻や尻尾に注目される「キチン・キトサン」

海老はその身の美味しさだけでなく、殻や尻尾にも多くの栄養が含まれており、部位ごとに注目すべき成分があります。通常は身(可食部)だけを食べることが多いですが、調理法や食文化によっては殻ごと食べたり、出汁に利用されたりすることもあります。

海老の殻と尻尾に含まれる「キチン・キトサン」

海老の殻や尻尾には、キチンという多糖類(動物性の食物繊維)が含まれており、これは動物性の繊維質として注目されています。キチンは、カニやエビなどの甲殻類、昆虫の外骨格、菌類の細胞壁を構成する主要な成分です。そのままでは消化されにくい成分ですが、これを脱アセチル化して加工することで得られるキトサンは、一部では食品添加物や健康素材としても用いられています。また、殻や尻尾にはカルシウムやマグネシウムといったミネラル成分も比較的多く含まれており、これらの部位を出汁として利用することで、栄養を無駄なく活用できます。

可食部と非可食部の栄養差と頭部の活用

一般的に可食部とされる身の部分には、高品質なたんぱく質やビタミンB群、カリウムなどが豊富に含まれています。一方、非可食部とされる殻や尻尾、頭部などは、キチンやカルシウム、マグネシウムといった異なる栄養素が中心です。

特に海老の頭部には味噌と呼ばれる内臓部分があり、脂質やビタミンE、亜鉛などの栄養素が集まっています。この頭部を焼いたり、出汁を取ったりして活用することで、海老の持つ多様な栄養成分をバランスよく取り入れることが可能です。ただし、内臓部分はややコレステロールも高くなる傾向があるため、摂取量には注意が必要です。

加工や調理によって変わる海老の栄養成分

海老は生の状態と加工された状態とでは、栄養成分が大きく変化することがあります。調理法や加工の過程で加えられる衣や調味料、加熱温度によって、摂取できる栄養素の量に差が生じます。

海老天・海老カツ・海老焼売に見る栄養変化

海老天ぷらや海老カツ、海老焼売といった加工食品は、いずれも加熱と油、または練り物や衣が加わることにより、元の海老とは異なる栄養成分になります。

  • 海老天ぷら:衣に小麦粉と卵を使い、油で揚げることでエネルギー量が大きく増加し、脂質の含有量が高くなります。100gあたりのカロリーは生の海老に比べておよそ1.5~2倍近くになることがあります。
  • 海老カツ:衣の量がさらに多く、つなぎにマヨネーズやパン粉などが加わるため、脂質や炭水化物の量も高くなります。海老そのものの栄養よりも、つなぎや衣によるカロリー・脂質の増加に注意が必要です。
  • 海老焼売:蒸し料理であるため油分の追加は少なく、調理法による栄養変化は控えめです。加熱により海老のタンパク質が凝縮され、ビタミンB群などの水溶性成分が湯に溶け出すのを抑えられる点が評価されます。

刺身や茹でた海老との成分比較

刺身として生で食べる海老と、茹でた海老とでは、栄養面にも微細な違いがあります。生の海老は水分が多く、タンパク質やミネラルもそのまま保たれていますが、加熱処理を行うことで水分が蒸発し、相対的にタンパク質濃度が高くなる傾向があります。また、茹でた海老の方がタンパク質の数値はやや高く出るものの、ビタミンB1やB12の一部が湯に溶け出すという欠点も確認されています。

茹で海老は調味の幅が広く、サラダやスープなどに使うことで、全体の栄養バランスを整えやすくなります。調理法を工夫することで、海老の栄養を損なわずに美味しく食べることができます。

海老を食べ過ぎるとどうなる?適量と健康的な食べ方のポイント

海老は栄養豊富でヘルシーな食材ですが、どんなに優れた食材でも過剰摂取は避けるべきです。特に、特定の栄養素に偏ることや、調理法による塩分・脂質の摂りすぎに注意が必要です。

食べ過ぎによる懸念とその対策

海老は高タンパク・低脂質な食材として評価されていますが、コレステロール値が比較的高めです。健康な方であれば、食事由来のコレステロールは体内で調整されますが、もともと脂質代謝に不安のある方は、長期間にわたって多量に摂取する際には、医師や管理栄養士と相談することが推奨されます。

また、海老天や海老カツなどの加工食品を中心に摂取していると、衣や調味料から塩分や脂質の摂りすぎにつながることもあります。「海老=ヘルシー」と信じて揚げ物や濃い味付けの海老料理を食べ過ぎてしまうと、エネルギーオーバーになる可能性があります。調理法の選び方や他の食材との組み合わせを意識することが、海老を健康的に楽しむための鍵となります。

おいしく健康的に食べるための工夫

海老の栄養価を生かしながら過剰摂取を避けるためには、量と調理法のバランスを意識することが重要です。一度に大量に食べるよりも、週に数回程度の頻度で、他のタンパク源と組み合わせて取り入れるのが望ましいとされています。また、茹で海老や蒸し海老など、油を使わずに調理する方法を選べば、脂質の摂取を抑えつつタンパク質をしっかり補給できます。

海老を主菜の主役としてだけでなく、副菜や汁物にも活用することで、海老の量が控えめでも満足感があり、バランスの良い一品になります。大切なのは、「海老だけ」ではなく、多様な食材との組み合わせを工夫することです。

海老と海老を使った料理の栄養成分比較

海老そのものと、海老を使った代表的な料理の栄養成分(カロリー)を、カロリーSlismのデータを基に表にまとめます。調理方法や使用する調味料によって栄養バランスが変わるため、それぞれの特徴を理解して食事に役立ててください。

                     
料理名 分量 可食部 (g) エネルギー (kcal)
伊勢海老の栄養 1尾200gの可食部(60g) 60 52
車海老の栄養 1尾30gの可食部(14g) 14 13
大正海老の栄養 1尾(可食部)(14g) 14 12
芝海老の栄養 有頭1尾8gの可食部(4g) 4 3
海老天丼の栄養 丼1杯(394g) 394 603
海老ワンタンスープの栄養 マグカップ一杯(177.1g) 177.1 128
海老ニラ餃子の栄養 1個(29.6g) 29.6 53
伊勢海老のマヨネーズ焼きの栄養 1尾(116.5g) 116.5 352
伊勢海老グラタンの栄養 1人前(384g) 384 515
伊勢海老の味噌汁の栄養 1杯(210g) 210 65
伊勢海老の刺身の栄養 1人前(60g) 60 52
冬瓜と海老の煮物の栄養 中鉢1杯(418g) 418 142
海老のペペロンチーノの栄養 1人前(333g) 333 513
桜えびの栄養 大さじ1(5g) 5 14
ブラックタイガーの栄養 1尾30gの可食部(26g) 26 20
エビピラフの栄養 一人前(313.5g) 313.5 480
この記事を書いたライター

木村さくら

自称「健康オタクで美容オタク」。最近自家栽培にハマってます。