子供は薄着にさせるべき?薄着がおすすめされる理由
子供には薄着がいいとよく言われますね。ですが薄着ってどのくらいなのか目安がわからなかったりしませんか?特に赤ちゃんや2~3歳の幼児は「暑い・寒い」を上手に表現できませんから、薄着をしすぎて風邪をひいてしまうかもしれないと心配になったりもします。
そんなママの心配や疑問にお答えしながら、薄着のメリットや具体的な目安などをご紹介します。
薄着がおすすめされる2つの理由
薄着がオススメされる3つの主な理由をご紹介します。薄着を心がけることで病気になりにくい丈夫な体に育てることができますよ。
1.体温調節機能を育てられる
人間の体には体温を一定に保とうとする力が備わっています。少し難しい言葉ですが、これを「恒常性(ホメオスタシス)」と言います。体温調節機能は主に脳の視床下部という場所が担っており、視床下部は様々なホルモンを分泌する働きも併せ持っています。
恒常性を保つために具体的に働いてくれるのが自律神経です。自律神経とは、体を興奮させる交感神経とリラックスさせる副交感神経の2種類があります。この両者が上手くバランスを保ちながら人間の心身の健康を維持しています。もし、自律神経のバランスが整っていないと、心や体に不調が現れてしまいます。
脳の視床下部は、神経物質やホルモンを分泌させて自律神経に命令を下し、体に影響をもたらします。そして体の状態や変化が再び脳に伝達(フィードバック)されます。こうしたサイクルを繰り返し、人間は体温を一定に保っています。
薄着でいることで脳に体温調整を任せることは、視床下部や自律神経などの精度を向上させることに繋がります。結果的に寒い場所では体を保温し、暑い場所では効率的に熱を放出させ、暑さ・寒さに迅速に適応できる能力が鍛えられていくのです。
2.動きやすいので運動量が増える
私たちも厚手の服や重ね着をしていると体を動かしにくいと感じますよね。肩が凝ったり、背中が痛くなったりもします。それは子供も同じです。寒さを心配して厚着をさせてしまう気持ちもわかりますが、それでは子供の活動を制限してしまいかねません。
薄着にしておくことで、子供は十分に体を動かすことができるようになります。筋肉は伸縮することで熱を発生させますので、動くことで体も結果的に温まるのです。その結果、筋肉や骨の成長を促し、体力がついてきます。こうした良いサイクルを作ることが、子供の健康づくりのためには大切ですので、「子供には薄着が良い」と言われているのでしょうね。
風邪をひくのでは?とつい厚着にしてしまうママに知っておいてほしいこと
「子供は薄着が良い」と理屈では理解できても、やっぱり心配なのが親心。特に冬になると、室内は温かくても、やっぱり外は冷えるので、ついつい着せすぎてしまいますよね。
いくら「子供は風の子、元気な子」と言っても、気温の低い冬は風邪やインフルエンザなどの感染症も流行します。体をウィルスなどから守る免疫機能は体温と深い関係があり、体温が下がった状態では免疫機能が十分に働かず、様々な感染症にかかりやすくなるのもまた事実です。
冬も薄着をするべきなのか?心配なママに向けて、子供の体の特徴や薄着のコツについてお伝えします。
子供の体温は大人より高い
乳幼児の体温は大人に比べると、0.5度~約1度ほど高くなっています。赤ちゃんの頃、平熱が37℃前半だったりして、びっくりしませんでしたか?乳幼児も赤ちゃんほどではありませんが、大人より体温が高いのが一般的です。
子供は成人に比べて代謝が活発であり、皮膚は薄いため、体の表面の温度が高くなります。そして汗をかく機能も発達が十分ではないため、皮膚から放熱することで体温を調節しようとしています。
大人が感じているほど子供は寒くはないものです。厚着をさせてしまうと、皮膚からの放熱が上手くいかず、体に必要以上に熱がこもり、体温調節が出来なくなってしまうことも考えられます。
子供は運動量も多い
子供は体を動かすことが大好きです。寒い冬の日でも外で遊ぶのが楽しくて仕方がないようにみえますよね。必然的に活動量も多くなり、体温も上昇していきます。先ほども述べた通り、筋肉は伸縮することで熱を作り出すので、外でも室内でも、ひたすら遊びまわって、じっと座っていることの少ない子供は、しっかり熱を作り出せていると考えていいでしょう。
少しずつ慣らせばOK
薄着が良いとはよく言われるけど、今までの服装のこともあり、どうしても薄着にするのは慎重になってしまいますよね?でも、その感覚は大事なものです。むしろ、今まで厚着をさせていた場合、いきなり薄着にさせることは避けましょう。子供の体温調節機能はまだ未熟ですから、急に衣服の環境が変わってしまうと適応できなくなってしまいます。体温調節が追い付かないのです。
厚着から薄着への移行は、時間をかけて少しずつ行いましょう。特に秋から冬へ変わる季節は、お子さんの様子を見ながら無理のない範囲で慣らしていってください。徐々に薄着にすることで、体温調節機能や自律神経も発達していきます。
脱がせればOKじゃない!正しい薄着のポイント
子供の発達にとって薄着が望ましいことはご理解いただけたことでしょう。でも薄着ってどの程度を言うのでしょう?
薄着の目安やポイントをご紹介します!
大切なのは3つの首
人間の体温調節で重要とされているのが「3つの首」です。これは首・手首・足首のことをいいます。これらの部分の皮膚は特に薄いため、血管へ与える熱影響が大きいのです。3つの首を冷やさないことで、体の隅々まで温かい血液を循環させることができます。もちろん子供はもちろん、大人にも有効な方法ですので、冷えに悩んでいるママも意識してみてください。
以下のようなアイテムを利用しながら、服自体は動きを妨げないような薄着を心がけましょう!
《3つの首を寒さから守るアイテム》
首:マフラー、タートルネック、ネックウォーマーなど
手首:袖口がリブ編みになっている服、手袋、リストバンドなど
足首:長めの靴下、レッグウォーマー、ハイカットの靴など
重ね着は子供自身が脱ぎ着しやすいものを選択
全身を駆使して屋外で活発に動き回ったり、積み木や絵本などの室内での静かな遊びなど、子供の活動は非常に多彩です。室内外での温度差にも上手に対応するために、重ね着を工夫してみましょう。特に冬場は汗をそのままにしておくと体が冷えてしまいますから、体を動かして体温が上昇したら、すぐに衣服で調節してあげることが大切です。
体温調整がしやすい服装の基本形としては、薄手のシャツの上にパーカーやカーディガンなどの羽織り物を重ねることです。上着の着脱で温度差に対応できるようにしてあげてください。
オシャレさも大事ですが、子どもの発達状況にあわせて、自身で脱ぎ着がしやすいデザインが1番良いでしょう。着替えの練習にもなり、生活習慣を身に着けていくことも期待できます。
体温はお腹や背中で確かめる
子供の体温を確かめる目安として、発汗状態や指先の温かさ、顔色などがありますが、体が冷えているかの確認に重要なのは体幹(胴体部分)の温度です。
体幹には多くの臓器があり、血流や活動も活発です。胴体の表面が温かければ、手足などの抹消が少しくらい冷たくても心配いりません。体温は適切に保たれていると言えます。
ですが、お腹や背中を触って冷たいと感じた場合は、体の内側から冷えていることを意味しています。内臓の冷えは体の様々な機能の働きを阻害してしまいますから、健康上好ましくありません。その際は上着を着せたり、室温を調整したり、温かいものを飲ませたりして保温してあげてください。
風邪をひいたときでも薄着?熱が出た時の服装の切り替えのコツ
薄着が子供の発達上望ましいとはいっても、それは体が健康状態にある場合に限っての話です。体温低下は免疫力の低下につながり、感染症にかかりやすくなります。周囲で風邪が流行っている、調子が悪い、子供自身が風邪などをひいているような場合は、無理に薄着をさせる必要はありません。まずは子供の現状を第一優先にしてあげてください。
風邪などで発熱している際に適した服装をご説明します。
熱の出始め:手足などの抹消が冷たい、汗をかいていないとき
熱の出始めは、寒さを感じることがほとんどです。お子様自身の訴えも聞きつつ、基本は保温に努めましょう。また、熱が上がりきると発汗が始まりますから、脱ぎ着が楽にできること、体を締め付けないことがポイントです。
熱が上がりきった後:汗をかいている、手足などの抹消まで温かいとき
熱が上がりきると発汗するようになります。この時点では、熱を外に逃がすために薄着にしましょう。掛物などもタオルケットや薄い毛布などで十分です。特に注意してほしい点は、汗をかいたらこまめに体を拭いたり着替えること。脱水を起こしやすいため、水分を少量ずつ頻回与えてください。
薄着は子供の健康増進・成長発達に効果あり!
薄着のメリットやその目安などをご紹介してきました。子供のためにと思って行っていた厚着は実は弊害もあるのですね。
服装には体を守ったり、体温調節をする効果もありますが、「この服を着るとうれしい」という子供の情緒面での発達にも大きな影響があります。お子さんの意見を聞きながら、動きやすさや着心地、脱ぎ着のしやすさ、色やデザインなど、機能面と両立できる服を選んでください。
お気に入りの服があることは「自分で着る」という自立感にもつながります。決して無理強いすることなく、楽しく服装選びを行ってください。お子さんの意思を尊重しながら、焦らずゆっくり薄着に慣れさせていってあげてくださいね。