音痴を直す方法~子供の音感を良くするソルフェージュ
お遊戯会や発表会などで、子供たちが一生懸命歌う姿はとてもかわいらしいものです。言葉を話し始め、歌まで歌えるようになる我が子の成長に感動を覚える一方で、「あれ?うちの子、少し音程がずれているかも…」「他の子は上手に歌っているのに…もしかして音痴なの?」と不安を感じたことはありませんか。
子供だから多少音程が外れていても、元気に歌っていれば問題ありませんが、大人になってからも音程が不安定だと困ることがあります。小学校中学年くらいからは、自分でも音程が不安定だと認識できるようになるようです。できればコンプレックスにならないように、小さいうちに直してあげたいと思うママも多いでしょう。音感はトレーニングによって改善できるものですので、ママも一緒に楽しく練習を始めてみましょう。
音痴とは
一般的に音痴とは、音程やリズムを正確に把握したり表現したりすることが難しい状態を指します。大きく分けて、音程が合わない音程音痴、リズムが取れないリズム音痴などがあります。その原因は主に二つに分類されます。
- 感覚性の問題(聴取能力): そもそも正しい音程やリズムを正確に聞き取れていない、または認識できていない場合。
- 運動性の問題(発声能力): 正しい音程を聞き取れているのに、声帯や体の使い方(発声)が未熟なために、正しい音を発することができない場合。
特に運動性の問題による音痴は、発声や聴覚のトレーニングによって比較的改善しやすいとされています。
まず知っておきたいのは、子供の場合、この2つのうち圧倒的に多いのが運動性のほうだということです。「聞こえてはいるけれど、その音を声で再現する体の使い方がまだできない」という状態です。子育ての現場でよく見られるのは、音源を聞かせると「今の、高い音だったね」と正しく答えられるのに、いざ歌うと同じ高さで出てこないという場面です。これは聞き分けの力の問題ではなく、声という楽器の操作にまだ慣れていないだけなので、練習によって変わっていく部分です。
家庭でできる簡単な見分け方
どちらのタイプかは、家庭でも遊びながら確かめられます。親が「ドー」と一音だけ声を出し、「今のと同じ音、出せる?」と聞いてみてください。ここで子供が全く違う高さの音を出すとき、続けて「じゃあ、ママが2回歌うから、同じだったら丸、違ったらバツって言って」と、同じ音と違う音を聞かせます。聞き分けは正しくできるのに声で再現できないなら運動性、聞き分けの段階で迷うなら感覚性が強い、というおおまかな見立てになります。
この見分けが役に立つのは、練習の入り口が変わるからです。運動性が強い子には声を出す遊びを、感覚性が強い子には聴く遊びを増やす。同じ「音痴を直す方法」でも、入り口を間違えると子供は「やってもできない」と感じてしまいます。
音感は遺伝で決まるのか
「私も夫も歌が苦手だから、この子も仕方ない」と考えてしまう方は少なくありません。音楽の音程を聞き分ける力には、生まれ持った個人差があるという研究報告もあり、遺伝はまったく関係ないと言い切ることはできません。
ただし、そこで話を終わらせる必要はまったくありません。音感の獲得には生育環境が大きく影響すると考えられています。普段から良質な音楽に触れている子供は、自然と音楽に興味を持つようになります。そしてたくさんの音楽を聴いたり、歌ったりしながら音感やリズム感を覚えていくのです。子供が歌うことを楽しいと思える環境づくりがとても大切になります。
また、家庭のなかで「歌が苦手」が受け継がれているように見えるとき、その多くは音を聞き分ける力そのものよりも、家庭に音楽が流れている時間の長さ、歌う機会の多さ、歌ったときに周囲がどう反応するかといった経験の差が積み重なった結果です。親が歌わない家庭では子供も歌う機会が少なくなり、練習量の差がそのまま出来映えの差として現れます。裏を返せば、今日から歌う時間を増やすだけで、その差は縮められるということです。
小さいうちは音程が不安定で当たり前
上手に歌えないという子は、声をコントロールする力と、自分の声を正確に聞き取る力がまだ育っている途中であることが主な原因になっていることがほとんどです。音の高さを細かく聞き分ける経験は、幼児期にはまだ積み重なっている最中です。また、声を思いどおりの高さで出す体の使い方も、子供の成長の中では習得に時間がかかり、個人差も大きい部分です。どちらもまだ発展途上なのですから、小さいうちは上手に歌えなくて当たり前だと考えてよいでしょう。
もう一つ見落とされがちなのが、子供が「歌える音の範囲」の狭さです。大人が気持ちよく歌える高さで童謡を歌うと、子供にとっては低すぎたり高すぎたりして、そもそも声が届かないことがあります。音程が外れているように聞こえて、実は原因が「その高さでは出せない」というだけ、というケースは非常に多いのです。子供が自然に出しやすい高さに合わせて歌い出すだけで、ぴたりと音が合うようになることもあります。
親がやりがちな3つの逆効果
よかれと思ってしていることが、かえって子供の歌声を縮こまらせることがあります。
| やりがちな関わり | 子供に起きること | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 歌っている最中に「違うよ、こう」と止める | 歌うこと自体が緊張する場面になり、声が小さくなる | 最後まで歌わせてから「もう一回一緒に歌お」と誘う |
| 兄弟や友達と比べる | 比較の対象として音楽をとらえ、楽しむ気持ちが消える | 「前より最後まで歌えたね」と本人の中の変化を伝える |
| 大人のキーでどんどん先に歌う | 声が届かず、外れているように聞こえる | 子供の第一声に合わせて親がキーを寄せる |
子供の音痴はいつまで続く?年齢ごとの目安
「このまま大人になっても直らないのでは」という不安は、多くの保護者が抱くものです。発達の流れをおおまかに知っておくと、いま焦る必要があるかどうかの判断がつきやすくなります。
3歳から5歳ごろ
歌詞とメロディを同時に扱うだけで精一杯の時期です。音程よりも、歌い出しのタイミングや歌詞を覚えることに意識が向きます。この時期の音程のずれは、ほぼすべてが発達の途中経過です。正しさを求めず、歌う時間そのものを増やすのが最善の対応になります。
小学校低学年
まわりの子と自分の声を比べる意識が芽生え始めます。ここで「音痴」という言葉を耳にすると、強く記憶に残ってしまいます。同時に、短いフレーズなら音を合わせられる子が増えてくる時期でもあり、遊び感覚の練習が最も効きやすい年代です。
小学校中学年から高学年
自分の音程がずれていることを本人が自覚し始めます。合唱や音楽の授業で人前で歌う機会が増え、苦手意識が固まりやすいタイミングでもあります。逆に言えば、本人に改善したい気持ちが芽生えるため、練習の効果が最も出やすい時期でもあります。
中学生ごろ
体の成長にともなって声の高さが変わり、それまで出せていた音が出しにくくなる時期に入ります。この時期に音程が不安定になるのは、力が落ちたわけではなく、楽器そのものが作り替えられている最中だからです。数か月から1年ほどかけて声が落ち着いてくると、再び音程は取りやすくなります。
つまり「いつまで」の答えは、幼児期の不安定さは成長とともに自然に落ち着き、思春期に一度揺り戻しがあり、その後に安定していく、という二段階の流れです。大人になってから改善した人も珍しくないため、期限を区切って焦る必要はありません。
歌が上手い子供はなぜ上手いのか
発表会で堂々と歌う子を見て、「才能が違う」と感じたことはありませんか。子育ての現場を見ていると、歌が上手な子の家庭にはいくつかの共通点があります。
1. 音楽が流れている時間が長い
特別な音楽教育をしていなくても、朝の支度中や車の移動中に音楽が流れている家庭では、子供が耳にする音の総量が圧倒的に多くなります。聞いた回数だけメロディの記憶が積み上がり、「次はこの音が来る」という予測ができるようになります。予測できる音は、声でも再現しやすくなります。
2. 歌ったあとに反応が返ってくる
歌ったときに「上手だね」「その歌、好きなんだね」と反応があると、子供はもう一度歌います。この繰り返しが練習量そのものになります。反対に、歌っても誰も反応しない環境では、歌う回数が自然に減っていきます。上達の差は、才能ではなく回数の差であることがほとんどです。
3. 自分の声を聞きながら歌う癖がついている
歌が上手な子は、歌いながら無意識に自分の声を耳で追い、ずれたらその場で修正しています。この「聴きながら調整する」感覚は、大声で叫ぶように歌う習慣がある子には育ちにくいものです。小さめの声で歌う時間を作ると、自分の声が聞こえるようになり、調整の感覚が育ちます。
4. 「間違えても平気」と思っている
音を外すことを恐れていない子は、思い切って声を出せます。声量があるほど、自分の耳にも音が届きやすく、修正もしやすくなります。上手さの土台にあるのは技術ではなく、恥ずかしがらずに声を出せる安心感です。この安心感を用意できるのは、家庭だけです。
音痴を直す方法10選
小さいうちは音程が不安定でも心配しすぎる必要はありませんが、そのままにしておくと改善の機会を逃してしまうかもしれません。人前で歌う機会がある時に困らないように、できるだけ子供のうちに音感を育ててあげたいと思うのが親心です。歌が上手になるための、特におすすめのトレーニング方法をご紹介します。簡単にできるので、ぜひチェックしてみてください。
1.「音痴だよ」と言ってはいけない
誰だって「音痴だね」と言われるといい気分はしませんよね。子供の場合は、コンプレックスになるほど傷つくこともあります。人に音痴と言われたことで、人前で歌うことが恥ずかしくなり、だんだん歌うこと自体が嫌いになり、音楽というもの自体が苦手になってしまうこともあります。音楽が苦手な子が急に歌が上手になるはずはありません。下手でもいいから音楽は楽しいものだと子供に分かってもらうためにも、決して「音痴だよ」と言ってはいけません。
気をつけたいのは、直接その言葉を使わなくても伝わってしまう場合があることです。歌っている途中で顔を見合わせる、笑いをこらえる、「もういいよ」と話題を変える。こうした反応も、子供には「自分の歌はよくないらしい」と伝わります。逆に、音程が外れていても最後まで一緒に歌い切ることが、何よりのメッセージになります。
2.良い音楽をたくさん聴く
とにかく良い音楽をたくさん聞かせてあげましょう。「良い歌」とは、クラシック音楽などに限定する必要はありません。子供が大好きな「おかあさんといっしょ」などでよく流れている曲や童謡など、楽しく歌える曲がおすすめです。たくさん聴いているうちに、音楽が好きになり、音楽を聴くことや歌うことが楽しくなってきます。これが音痴克服の第一歩です。
効果を高めたいなら、曲数を増やすより同じ曲を繰り返すほうが有効です。次にどんな音が来るか予測できるようになって初めて、声で追いかけられるようになります。1週間は同じ数曲を流し続けるくらいでちょうどよいと考えてください。
3.ママと一緒に歌う
音痴克服には、音楽を楽しいと思えることが必要不可欠です。子供はママが大好きです。大好きなママと一緒なら、たとえ苦手な音楽でも楽しめちゃうものです。童謡など子供の好きな歌を中心に歌いましょう。教えるというよりは、遊びの延長のイメージで気楽に行いましょう。ママも楽しんでいることがとても大切です。
一緒に歌うときのコツは、子供の声より少しだけ小さく歌うことです。親の声が大きいと、子供は自分の声が聞こえず、ただついていくだけになってしまいます。「ママは小さい声で歌うから、〇〇ちゃんが大きい声でリードしてね」と役割を渡すと、子供は自分の声に耳を向けるようになります。
4.踊りながら歌う
踊りながら歌うなんて難易度が高すぎると感じるかもしれませんが、最初からうまくやろうとする必要はありません。とにかく楽しくやってみましょう。踊りも複雑なものではなく、最初は手拍子をポンポンとたたくような単調なものからでかまいません。踊りながら楽しく歌うことでリズム感が養われるので、テンポがうまく合わないという子供には特におすすめの方法です。
リズムが取りにくい子には、まず歌わずに手拍子だけをする時間を作ってみてください。音楽に合わせて4拍を数えながら手を叩く、これだけで拍の感覚が身につきます。歩きながら曲に合わせて足を踏み出すのも同じ効果があります。体で拍を感じられるようになると、歌のテンポも自然にそろってきます。
5.自分の歌声を注意して聴いてみる
たいていの人は、歌いながら自分の声の音程を無意識に調整しています。しかし、音程が不安定な人は、自分が発した音が正しい音程なのかどうかを自分で確認できていないことが多いのです。自分が発した音を意識して聴く練習をしましょう。耳を優しくふさいで歌ってみると、外部の音が遮断され、自分の歌がずれているということに気づきやすくなるので試してみてください。
片耳だけを手で軽く覆う方法もおすすめです。ふさいだ側の耳で自分の声を、開いている側の耳で音源を聞くことができるため、2つの音を比べやすくなります。子供には「今から探偵さんになって、自分の声を探してみよう」と誘うと、遊びとして受け取ってくれます。
6.自分の歌声を録音し聴いてみる
小さいうちは必要ないかもしれませんが、小学校中学年にもなると、自分でも音程が不安定なことに気が付き始めます。その頃までには一度、自分の声を客観的に聴かせてあげてもいいかもしれません。ただ、場合によってはがっかりしてコンプレックスになることもあるので、子供の様子をみながら試し、必ずフォローしながら進めていきましょう。
聴かせ方には順番があります。いきなり本人の歌だけを再生するのではなく、まず親の歌を録音して一緒に聴き、「ママも意外とずれてるね」と笑い合ってから本人の番にすると、失敗を共有する場になります。聴いたあとは必ず「ここのところ、すごく合ってたよ」と、合っていた部分を先に伝えてください。改善点を挙げるのは、本人が「もっとうまくなりたい」と口にしてからで十分です。
7.ハミングで歌う
ハミングが歌の練習に効果的な理由は、歌詞の事を考えず、音程とリズムに集中することができるからです。歌詞を考えなくていいというだけで負担がとても軽減されますので、ハミングだとうまく歌えるという子供もいます。うまくハミングできるようになると気持ちよくなり、つい知らない間にハミングしていた!ということもあります。歌うことが楽しくなってきた証拠ですね。
ハミングにはもう一つ利点があります。口を閉じて声を出すため、自分の声が体の中を伝わって耳に届きやすく、音の高さを感じ取りやすくなるのです。歌詞のある曲でつまずいたら、その部分だけハミングに置き換えて練習し、あとから歌詞を戻すという方法もよく使われます。
8.短い音で練習する
歌うことが楽しくなってきたところで、実際に音程を合わせる練習をしましょう。最初はなかなか難しいと思いますので、短い音のフレーズで練習しましょう。「ドレミ~」「ミレド~」「ドミソ~」など、最初は3音からスタートしましょう。慣れてきたら徐々に「ドレミファソ~」「ソファミレド~」「ドミドレド~」など音を増やしていきましょう。子供に合わせてゲーム感覚で行うと楽しめますよ。
それでも難しい場合は、3音ではなく1音から始めてください。親が「アー」と一音伸ばし、子供が同じ高さで重ねる、それだけです。声がぴたりと重なると音のうねりが消えて、子供にも「合った」瞬間が感覚でわかります。この「合う感じ」を体験することが、すべての出発点になります。1日1分、寝る前の遊びとして続けるだけで変化が出ます。
9.合唱クラブに入る
思い切って合唱クラブに入るというのも良いかもしれません。プロの指導を受けた方が上達は早くなります。また、たくさんの人と一緒に歌うことは刺激にもなりますし、何より楽しいと思います。本人が人前で歌うことが嫌ではないのなら、音楽の幅が広がりますので、ぜひ検討してみてください。
合唱の良いところは、自分の声が全体に埋もれるため、外すことへの怖さが薄れる点です。隣の子の声を聞きながら自分の声を合わせるという行為そのものが、音程を合わせる訓練になっています。人前で歌うのが苦手な子には、いきなりステージのある団体ではなく、地域の集まりのように発表の負担が軽い場から始めるという選択肢もあります。
10.楽器を始める
歌ではなく、ピアノやバイオリンなどの楽器を始めてみるのもおすすめです。楽器を演奏するということは、少なからず、テンポや音程を正確に認識するトレーニングになります。また、今まで聴いていた音楽を自分で演奏するという楽しさも深まります。
鍵盤楽器は、押せば必ず正しい高さの音が鳴るため、「この音はこの高さ」という基準が耳に残ります。家に鍵盤があるなら、練習と身構えずに「この音、声で真似できる?」と鳴らしてみるだけでも十分です。習い事として通わなくても、正しい高さの音を身近に置くという意味は大きいものです。
小学生の音痴を治す方法:学年に合わせた関わり方
小学生になると、家庭での遊びに加えて、学校での歌唱の場面が増えます。学年によって効く働きかけが変わります。
低学年は「歌う回数」を増やす
この時期はまだ理屈での説明が届きにくいため、練習という形にせず、生活の中に歌を混ぜ込むのが最も効果的です。お風呂で1曲、寝る前に1曲と決めておくだけで、月に60回の練習になります。歌詞カードを見ながら歌うと、歌詞を思い出す負担が減り、音程に意識を向けられます。
中学年は「気づき」を支える
自分でずれに気づき始める時期なので、本人が気にし始めたら、そこが練習の始めどきです。「直そう」ではなく「もっと上手になれる方法があるよ」と伝えてください。この学年では、録音を聴く、1音を重ねる、といった具体的な方法が理解できるようになります。1週間ごとに録音して並べておくと、変化が自分でわかり、続ける力になります。
高学年は「本人の目的」に乗せる
好きなアーティストの曲を歌いたい、合唱コンクールでちゃんと歌いたいなど、本人の中に目的が生まれる時期です。親が課題を出すより、本人が歌いたい曲を一緒に練習するほうが伸びます。難しい曲は、サビだけ、1フレーズだけと区切って取り組むと達成感が積み上がります。
中学生の音痴を治す方法:声が変わる時期の歌い方
中学生になると、体の成長にともなって声の高さが変わっていきます。この時期に「急に音程が取れなくなった」と感じるのは、とても自然なことです。今まで慣れ親しんだ楽器が、少しずつ別の楽器に作り替えられている状態だと考えてください。
今出せる高さで歌う
以前歌えていた曲が歌えなくなったとき、無理に元の高さで合わせようとすると、声が裏返って余計に不安定になります。この時期は、カラオケならキーを下げる、合唱なら先生に相談してパートを見直すなど、今の自分が無理なく出せる範囲で歌うことが最善です。音域は落ち着いてから広げていけます。
声を張らない練習で土台を作る
声の高さが安定しない時期でも、リズム感と聞き分けの力は変わらず伸ばせます。ハミング、唇を軽く震わせながら音程を上下させる練習、拍を数えながら手を叩く練習などは、この時期にこそ向いています。派手さはありませんが、声が落ち着いたときに大きな差になって現れます。
親は結果ではなく時期の話をする
本人は「下手になった」と落ち込みがちです。「今は声が変わっている途中だから、うまくいかなくて当たり前」と、原因が実力ではなく時期にあることを伝えてください。この一言があるかないかで、歌をやめてしまうか続けられるかが分かれます。
音痴を治すアプリやツールの活用法
「音痴を治すアプリはあるのか」という関心は高まっています。特定の製品を選ぶ前に、どんな仕組みのものが子供に向いているかを知っておくと、選び方に迷いません。子供に使わせるときのポイントは、点数ではなく形が見えることです。
音の高さを見える化するタイプ
声を出すと、その高さが画面上に表示されるチューナー系の機能です。子供にとっての利点は、合っているかどうかが耳の判断だけでなく目で確認できることです。「今の声、線の上に乗ったね」というやりとりができるため、抽象的だった音程が具体的な目標になります。1音を出して線に合わせるだけの遊びなら、幼児でも取り組めます。
録音して聴き返すタイプ
スマートフォンに最初から入っている録音機能で十分です。特別なものを用意しなくても、録って聴くという作業自体に価値があります。日付をつけて残しておくと、数か月後に聴き比べたときの成長がはっきりわかります。
カラオケの採点機能
音程の推移が線で表示されるため、どこで外れやすいかが一目でわかります。ただし点数はモチベーションを下げる方向にも働くため、子供と使うときは点数を見ずに線だけを見る、という約束にしておくと安心です。「サビの最初でいつも下がってるね」と、原因が特定できるだけで十分な収穫です。
使うときの3つの約束
- 1回の使用は5分程度にとどめ、練習を苦役にしない
- 点数や判定を親が読み上げない。子供が自分で見る形にする
- ツールで確認したあとは、必ずツールなしで一緒に歌って終わる
ツールはあくまで、耳だけでは気づけないずれを見えるようにする道具です。最終的に音程を合わせるのは本人の耳と声なので、画面を見ながら歌う時間が長くなりすぎないように気をつけてください。
ソルフェージュを習ってみよう
ソルフェージュという言葉をご存じですか。なかなか耳慣れない言葉なので、いまいちピンとこない人も多いかもしれません。しかし、音楽に興味があるのなら、ソルフェージュは音楽の基礎力を養う上で非常に重要です。ピアノを習っていれば、音楽の知識や音感、リズム感などは勝手に身につくものだと思いがちですが、ソルフェージュの大切さについてみていきましょう。
ソルフェージュとは
ソルフェージュとは、音楽を勉強する上で欠かせない「楽譜の理解」を中心とした基礎訓練の総称です。どんなことでも基礎をおろそかにすると、なかなか上達しませんよね。日本ではソルフェージュは音楽の初歩として扱われることが多いですが、欧米ではとても重要視され、どんなレベルの人でもソルフェージュは大切な勉強として考えられています。
どんな勉強をするの
ソルフェージュは、主に視唱(ししょう)、聴音(ちょうおん)、楽典(がくてん)、初見奏(しょけんそう)などに分かれています。音楽大学などでは幅広い内容を勉強しますが、お子様の場合、簡単にいうと楽譜を見てドレミで歌ったり(視唱)、聴いた音を楽譜に書いたり(聴音)、リズムを打ったりして、リズム感や音感を鍛えていきます。教室によってソルフェージュの勉強内容が異なる場合がありますので、興味がある場合は先生に尋ねてみましょう。
家庭でも、簡易版なら今日から取り入れられます。親が2音を弾く、あるいは声で出して「上がった?下がった?」と当てる遊びは、聴音の入り口そのものです。手拍子で叩いたリズムを子供が真似して返す遊びは、リズムの聴音になります。どちらも道具がいらず、3分あればできます。
どんな力が身につくの
ソルフェージュができるようになると、具体的にはどんな力が身につくのでしょうか。まずは、楽譜を正確に理解できるようになります。他にも音楽的な表現豊かな演奏ができるようになったり、楽譜を読むのが早くなり、短時間で曲を弾けるようになったりとたくさんのメリットがあります。つまり、感じる力や聴く力、音感やリズム感、読譜など、音楽に関わる必要不可欠な基礎力が身につくのです。
歌に限って言えば、最も直結するのは視唱です。楽譜を見て階名で歌う練習を重ねると、「次の音は今より少し高い」という関係が体に入り、初めて聴く曲でも音を外しにくくなります。学校の音楽の授業で歌う場面が増える小学生にとって、これは実用的な力になります。
子供の音感についてよくある質問
Q. 練習を嫌がるときはどうすればいいですか
練習という形に見えていることが原因です。時間を決めて向き合うのをやめ、支度をしながら、お風呂で、車の中でというように、他のことのついでに歌う形に切り替えてください。子供にとって「やらされる時間」がなくなると、歌う回数はむしろ増えます。
Q. どのくらいで変化が見えますか
個人差が大きいものですが、1音を重ねる練習のように的を絞った内容であれば、数週間で「合う瞬間」が増えてくることが多いものです。曲全体が安定するには数か月単位で考えてください。1週間ごとの録音を残しておくと、小さな変化に気づけます。
Q. 大人になってからでは遅いですか
遅くはありません。聴き分けと発声の練習は年齢を問わず積み重ねが効きます。子供と一緒に親が練習すると、親自身の音程も安定してくることがあり、家庭全体で歌いやすい雰囲気になります。
Q. 音楽教室に通わせるべきでしょうか
必須ではありません。家庭でできることをやり尽くしてから考えても遅くはありません。通わせる場合は、演奏技術だけでなく、視唱や聴音といった基礎訓練を扱っているかどうかを見学時に確認してみてください。
Q. リズムだけがどうしても合いません
歌と切り離して、体で拍を取る時間を作ってください。曲に合わせて歩く、太ももを叩く、といった全身を使う方法が効果的です。声と手を同時に動かすのは負荷が高いため、まず手だけ、次に声だけ、最後に両方という順番で進めます。
子供を音痴にしないために
子供の音感を育てるために、一番大切なことはとにかく音楽が楽しいと思わせることです。そのためには、パパやママ、周りの人たちの環境づくりがとても重要になってきます。音楽は楽しい!もっと上手に歌いたい!と思うことができれば、子供は自分でどんどん練習するものです。最初の内は、ママと一緒にゲーム感覚で音楽を楽しみ、身近なものにしていきましょう。子供の可能性は無限大です。
もし今日から一つだけ始めるとしたら、寝る前に1曲、子供の声の高さに合わせて一緒に歌うことをおすすめします。上手に歌わせようとせず、最後まで一緒に歌い切る。この積み重ねが、どんな練習法よりも確実に子供の歌声を育てていきます。


