赤ちゃん連れで花火大会に行くと親子で辛い!乳幼児との楽しみ方
赤ちゃんを花火大会で見かけると、多くの子育て経験者は「可哀想」と口に出さずとも思ってしまいますが、一方で「何で人の家庭のことに他人がとやかく口を出すの?」「小さい子供がいる家庭では、花火を楽しむなってこと?」と不満を持つママやパパもいます。
夏の季語であるにもかかわらず、今では一年中テーマパークやイベントで楽しめるようになった花火大会。赤ちゃん連れでの参加に対して保護者の認識が異なる理由は、赤ちゃんへのリスクや乳幼児との花火大会の楽しみ方を知っているか否かも関係していますので、賛成派の人も反対派の人もぜひ一度確認してみましょう。
子育て4コマ漫画:初めての花火大会!大人も赤ちゃんもへっとへと?!
赤ちゃんにとって花火大会は不快!?騒音でちっとも楽しめない子が多い
日本職業・災害医学会誌に掲載された「花火師の大型花火開花音への曝露予測」によると、大型花火の音量は打ち上げ地点で130dB弱、100m離れた地点で80dB。
赤ちゃんが日常生活で聞こえてくる音は20~50dBですので、慣れ親しんでいない花火の音が突然聞こえると、多くの赤ちゃんはビックリして不快感や不安に動揺し、泣いてしまうことを理解しておきましょう。
赤ちゃんの鼓膜は花火大会の音で破ける?爆竹は難聴になる恐れあり
花火の打ち上げ地点から観覧席までは、比較的近い花火大会でも200~300mありますので、赤ちゃんの耳に届く音量は80dB以下。そして赤ちゃんが胎内で聞いているママの心音は、およそ80dB。そのため慣れない音に赤ちゃんがビックリすることはあっても、花火の音で赤ちゃんの鼓膜が破けることはありません。
ただし、長崎のお盆の伝統行事である「精霊流し」は、花火と共に爆竹を近距離で使いますので注意が必要です。爆竹の音は100dB以上のため、これまで難聴で耳鼻科を受診した人も少なくありません。
鼓膜の場合は手術で回復が期待できますが、難聴は回復が難しい場合もあります。亡くなった人を悔やむ大切な行事のため、赤ちゃんも一緒に家族で参加を希望するパパやママもいるでしょう。けれど花火や爆竹を近距離で使用する場所に連れて行くのは極力避け、どうしても連れて行く場合は大人も赤ちゃんも耳栓をして難聴を防ぎましょう。
赤ちゃんを花火大会に連れて行くことで心配される7つのリスク
免疫力の低い赤ちゃんを花火大会に連れ出すのですから、当然何らかのリスクがあることはパパやママも想定しているでしょう。けれど7つものリスクがあることは意外と気づいていない人が多いです。物言えぬ赤ちゃんだからこそ、パパやママはリスクへの備えをして、赤ちゃんを守ってあげましょう。
1虫刺されや人混み、夜風で風邪をひく
花火大会の会場となる野外では空気感染リスクが低くなるのですが、行きかえりの電車やバス内の人混みでは、ウイルスや細菌に感染するリスクが高くなります。
乳幼児期に感染する風邪は多数あるため「早くかかって強くなった方がいい」という考え方のパパやママもいますが、乳児期は体力が極めて乏しいため同じ感染症でも幼児期より重症化しやすい傾向があり、その結果感染したウイルスや細菌の種類によっては、入院になったり命を落としてしまったりする恐れもあるため油断できません。
また、花火大会は水辺で開催されることが多いだけでなくビールを飲む大人も多いため、アルコールを飲んだことで発生する炭酸ガスを感知して虫が寄ってきやすい環境。体温が高く、よく汗をかく赤ちゃんは蚊に刺されやすく、蚊が媒介する日本脳炎に感染するリスクもあります。
2016年に首都圏の公園で発生したデング熱についても油断できません。虫よけを付けていても蚊に刺されることはありますので、日本脳炎の予防接種を終えていない赤ちゃんの場合は、特に花火大会の蚊に注意が必要です。
2人ごみで押しつぶされる危険性がある
花火大会のような人混みでベビーカーを使用すると小回りが利かず周囲の迷惑にもなるため、ママやパパの目が行き届く前抱きの抱っこ紐を使用するご家庭が多いのですが、抱っこ紐でもベビーカーでも花火大会の人混みの中では赤ちゃんが押されて潰される危険性があります。
普通に歩くことを想定すればオーバーに感じられるかもしれませんが、実際にご夫婦で花火大会に行き、花火大会の人混みから側にいた赤ちゃんをかばって将棋倒しの事故に巻き込まれ、亡くなってしまった女性もいますので人混みの危険性を心に留めておきましょう。
3授乳する場所がなく、熱中症になる恐れがある
花火大会は夏に開催されることが多いイベントのため、大人も赤ちゃんも熱中症への注意が必要です。
お茶が飲める赤ちゃんであればマグマグなどでこまめな水分補給をすることが可能ですが、完全母乳育児で母乳しか飲めない赤ちゃんの場合、授乳する場所がないため対策を怠ると熱中症になる恐れがあります。
4おむつ替えをする場所がなく、オムツかぶれになりやすい
全国の花火大会では、赤ちゃんに配慮するスペースを設けているところが少ないのが現状です。そのため何の下調べもせず花火大会に連れて行くと、おむつ替えのスペースがないため交換が疎かになってしまい、その結果赤ちゃんがおむつかぶれになってしまうことがあります。
5夜更かしにより赤ちゃんの生活リズムが崩れる
「抱っこして行くから、眠くなれば寝られるし大丈夫」と考えるパパママも実際にいますが、花火大会には赤ちゃんが興奮してしまう刺激が沢山あり、普段は静かに過ごしている夜間に交感神経が優位に働いて体内時計が乱れ、恐怖心や眠れない不快感から激しく夜泣きをする赤ちゃんもいます。
6赤ちゃんが受動喫煙をしてしまう
花火大会では喫煙している人も少なくありませんので、赤ちゃんが受動喫煙をしてしまうリスクがあります。赤ちゃんの受動喫煙には、乳幼児突然死症候群(SIDS)や呼吸器症状、中耳炎などの健康被害がありますので気を付けましょう。
7花火の煙が喘息の発病や発作の引き金になる恐れがある
乳幼児の気管支喘息はタバコや線香の煙が引き金となって起こることがあると言われていますが、花火の煙も発病や発作に影響を及ぼすと日本医師会では伝えています。環境的要因ですのでアレルゲンではありませんが、赤ちゃんは気道への刺激にも弱いので、ママやパパは配慮が必要です。
パパもママも楽しめない!赤ちゃん連れの花火大会が避けられる理由
花火大会があると聞いて「赤ちゃんに綺麗な花火を見せてあげたい」と張り切って出かけたパパやママが、帰ってきたらクタクタで懲りてしまったという話もあります。
赤ちゃん連れの花火大会にはリスクがあるため、パパもママも細心の注意をして赤ちゃんと花火を見に行くことになりますが、実際に行ってみると想像以上に大変なのです。
1赤ちゃんがひどい夜泣きをしやすい
赤ちゃん連れの花火大会の体験を聞いてみると、意外と多かったのが花火に行った後の夜泣きです。「花火を見ている時はご機嫌だったのに、帰ってからの夜泣きがひどかった」「花火大会で疲れたうえに赤ちゃんの夜泣きで二重に疲れた」といった意見もありました。
全ての赤ちゃんに当てはまるわけではありませんが、赤ちゃんはいつもと違う環境に刺激を受けていますので、その刺激が夜泣きに繋がることを知っておきましょう。
2暗いので赤ちゃんの異変に気づきにくい
花火大会の開催は夜暗くなる時刻ですので、屋台の光があるとはいえ赤ちゃんの様子は薄暗くて見えにくくなります。そのため暗がりで赤ちゃんの顔色や表情の異変が見えにくくなり、静かだから寝ているのかと思ったら実はグッタリしていたという体験をした人もいます。
3おむつ替えや授乳ができる場所の事前調査が面倒
情報社会と言われインターネットなどで色々な事前調査ができる時代です。しかし花火大会は赤ちゃん向きに開催されたイベントでないため、頑張って探してもおむつ替えや授乳ができる場所などの必要な情報がなかなか出てきません。
それだけではなく、せっかく調べても会場が込みすぎていてなかなか授乳やおむつ替えができる場所に到達しないなどの問題もあるのです。
4途中で帰りたくなっても、人ごみでスムーズに帰れない
大規模な花火大会では最寄り駅からなかなか電車に乗れない、花火大会の途中でも入場規制がかかりスムーズに歩けないなどの想定外の状況になることがあります。そのため出かける前は「赤ちゃんの機嫌が悪くなったらすぐ帰ろう」と思っていても、実際にはなかなか思い通りにいかないのです。
5赤ちゃんの泣き声による迷惑で、周囲の目線が痛い
花火の打ち上げ音が大きいとはいえ、赤ちゃんの泣き声は別物ですので気になる人が少なくありません。来場者は子育て経験者ばかりではありませんし、子育て経験者だからこそ過酷な環境に赤ちゃんを連れてくる両親を厳しい目で見てしまう人も少なくないのです。
赤ちゃんが花火大会を楽しめるのはいつから?3歳頃からが目安
赤ちゃんが花火を楽しめる年齢に何歳からという規定はありませんが、幼稚園入園前後の3歳頃が目安と考えているママやパパが多いです。
ただし、その子の成長のペースや個性を尊重することが大切ですので、子供の様子に合わせて花火大会にデビューさせる時期を検討しましょう。
子供の花火大会デビューの目安となるチェックポイント
- 花火の音を怖がらないか
- 花火の美しさを楽しめるか
- 花火大会の開催される夜まで体力が持つか
- トイレに行きたいことを早めに伝えられるか
- 人混みで不機嫌にならないか
おむつがせっかく外れたのに「人混みだからつけよう」と言われては子供も悲しい気持ちになりますし、いつもなら間に合うトイレが混んでいて漏らしてしまうようですと、子供の自尊心を傷つけてしまいます。
また子供が花火に感動しないのに無理やり花火大会に連れていくと、子供にとっては迷惑になることもあります。その結果、花火大会は楽しくないものと子供に印象付けることにもなりかねません。
ですからこのような項目をクリアできるようになってから、親子で花火大会に出かけるとよいでしょう。人が多くてつまらなかったと感じるイベントにしないように、動画を見せて子供の反応を確認しておくのも一つの対策です。
3歳未満の乳幼児と花火大会を楽しみたいなら、室内観覧がおすすめ
室内ですと赤ちゃんのおむつや授乳、熱中症、虫刺され、人ごみに潰されるリスクがぐっと減らせますので、室内で花火が見える所は無いか事前に調べてみると良いでしょう。
例えば花火の見えるレストランなどを事前に予約したり、花火が見えるお友達のマンションにお邪魔させてもらったり。テーマパークで打ち上げられる花火が見たい場合は、室内から花火がよく見えるホテルを予約するという手もあります。
室内よりも屋外で楽しみたいという場合は、都心部の人の多い花火大会ではなく郊外の規模の大きくない花火大会に車で出かけ、少し離れた場所に車を停めて車中から観覧するのも一つの方法です。迫力は減りますが、赤ちゃんへの負担が少ないためパパやママも安心して楽しめます。
手持ち花火は小学生でも事故あり!赤ちゃんや幼児の火傷や煙に要注意
花火大会は赤ちゃんへのリスクが大きいため、手持ち花火で赤ちゃんや幼児を楽しませようというご家庭もあるでしょう。もちろん赤ちゃんの場合はパパが花火をしている様子を、ママが抱っこして見せてあげるような感じになりますが、花火の側に赤ちゃんを連れて行く場合は注意が必要です。
国民生活センターに寄せられている家庭用の手持ち花火やロケット花火などの事故では、5歳以下の子供が花火でやけどをするケースが特に多く、中には失明に繋る重篤なケースもありました。ロケット花火の先端が飛び出して、側にいた幼児の目を直撃したり、吹き出し花火の持ち手が暴発したり、線香花火が足に落ちたりといった事故です。
屋外の手持ち花火には煙や蚊などの赤ちゃんへのリスクもありますので、赤ちゃんのうちに手持ち花火や打ち上げ花火の側に連れて行くのはあまりおすすめできません。また花火の煙臭くなって再度お風呂に入れると、体温が上がり寝つきも悪くなってしまいますので、室内の窓際から花火を見せてあげましょう。
幼児の場合も突然予想外の危険な行為をすることがありますので、まずは親が注意事項をしっかり読んで子供にも守らせ、子供が一人で花火を持てるようになってからも、危険な行為をさせないように親が側で見守るように努めましょう。