勉強嫌いな子への対処法~いつか好きになる日はやってくる?
勉強が嫌いな子供の将来が不安になるのは、親なら当然のこと。学歴がすべてじゃないとはわかっていても、小、中学校の義務教育すらやっとだと、高校・大学の進学先選びも狭まりますし、将来に不安を感じますよね。嫌いなことを続けていくのは子供にとっても負担になります。
また、社会に出て、仕事をするようになってからも、資格や免許の取得など、勉強をする機会はたくさんあります。勉強が嫌いだと、社会生活を送るうえで不利ですし、なにより本人も辛いはずです。
「勉強が好き」まで行かなくてもいいから、必要なら勉強に取り組める。最低限勉強する習慣がある。なんとか我が子には、そのレベルに到達してほしい。そう思っている親御さんは多いのではないでしょうか?
今回は、子供が勉強を嫌いになる原因から、勉強嫌いな子供へ親ができること・勉強を習慣付けるための方法などをご紹介します。
子供が勉強嫌いになる原因
人間には、もともと好奇心が備わっていますし、さまざまな知識を身につけながら生活をしています。言葉を話す、食事をする、服を着る。こんな当たり前のことでさえも、大きくとらえれば勉強の一つ。思い返せば勉強嫌いの子だって、幼児の頃は、「あれはなに?」「どうして?」と、とっても好奇心旺盛だったのではないでしょうか?
しかし、いざ学校の勉強が始まると、知識を身につける勉強が嫌いになる子供が出てきます。その原因はなんなのでしょうか?
1.勉強に関して嫌な記憶がある・つらい体験をした
子供が勉強嫌いになる原因は、頑張ったのに結果が出ずに挫折した、親からのプレッシャーが強すぎる、周囲と比べて劣る自分が嫌いなど、さまざまです。両親からのささいな言葉が、子供の勉強嫌いを招いているかもしれません。このような言葉を投げかけたことはありませんか?
心当たりはない?勉強嫌いな子を作るNGワード
- 勉強しなさい!
- どうしてできないの?
- こんなことも分からないの?
- 学校の勉強は、役に立たない。
- 私の子(パパの子)だから仕方ない
直接本人に言っていなくても、大人同士の会話から子供の耳に入っているかもしれません。ママ友に謙遜のつもりで言った「うちの子供は勉強が嫌いみたい」という決めつけの言葉、夫婦間の「あの先生(学校)はハズレ」などの言葉も、子供はしっかり聞いているかもしれませんよ。
2.好奇心がない・やる気が起きない
人間の脳は、興味のあることは覚え、そうでないことは忘れるというレッテル貼りをしています。記憶は何度も繰り返すことにより定着しますが、勉強嫌いの子は、勉強をしている時にしかそのことを考えていません。勉強が好きな子は、勉強をしている時以外にも、勉強のことを考えているため、記憶が定着しやすいのです。
「好きなことはすぐに覚えてしまう」という経験は、誰でもあると思います。漢字は何度やっても覚えないのに、好きなアイドルの名前はしっかり書ける、ポケモンキャラクターの名前はスラスラ言えるなんて子供も多いですよね。昔から「好きこそものの上手なれ」と言われていますが、あながち間違いではありません。勉強嫌いの子は、学校の勉強に、興味を見いだせないのかもしれません。
学校の勉強以外にも、普段から子供があらゆることに興味を示さない、やる気がない、いつもダルそうにしているという場合は、うつ病の可能性もあります。大人がなるイメージの強いうつ病ですが、近年では、幼児や小学生でも、うつ病にかかる子供が増えています。うつ病の場合には、特別なケアが必要になりますので、児童精神科医などの専門医を受診しましょう。
3.他にやりたいことがある
勉強よりもサッカーが好き、ピアノが好き、書道が好きなど、夢中になれることがある場合は、そこまで心配はいりません。勉強する時間よりも、そうした自分の興味のあることに費やす時間が圧倒的に楽しいので、勉強する時間がもったいなく、相対的につまらなく感じてしまうのでしょう。
また、夢中になっているのがゲームの場合はどうでしょうか?ゲームの世界だって奥深く、将来的にそうしたエンタメ系の仕事に就く可能性だってゼロではありませんので、ゲームに夢中になるのが一概に悪いとは言えません。ただ、ゲームやスマホには、依存症の恐れもあります。子供の様子を見て、なんらかの約束事を作った方が良い時もあるでしょう。
好きになれることがあることは幸せなことですし、子供が夢中になれる才能を伸ばしてあげることも大切です。スポーツや音楽、ゲームであれ、子供の「好き」を認めてあげて、話し合って「勉強」と「好きなこと」のバランスをとれるようにしましょう。
4.発達障害・学習障害の可能性
発達障害には、広汎性発達障害や学習障害、注意欠陥多動性障害といった症状があり、一口に発達障害と言っても、その現れ方はさまざまです。
学習障害(LD)と呼ばれる発達障害を持つ子供は、知的障害ではないものの、読み書きや計算、人と話すことが苦手などの症状が現れ、学校の勉強についていけない傾向があります。
発達障害は脳の病気ではないものの、生まれつきのもので、その原因も解明されていないのが現実です。しかし、子供が苦手と感じることを早期から的確にフォローすることによって、学習障害とうまく付き合いながら日常生活を送っている人はたくさんいます。
発達障害の子供には特別なケアが必要になりますので、あまりにも学校の勉強に付いていけていない、自分の思っていることを言葉にできないなどの違和感をおぼえた場合には、発達専門の小児科などを受診しましょう。まずは自治体の保健センターなどに相談してみるのもいいでしょう。
勉強嫌い克服術~親ができる7つの対応
勉強嫌いな子供のために、親は何ができるのでしょうか?子供のことを思っての言葉が、実は逆効果かもしれません。今一度、子供との接し方や生活習慣を見直してみましょう。
1.無理強いは逆効果であることを肝に銘じる
勉強嫌いの子供に、「ちゃんと勉強しなさい!」と無理強いしても逆効果です。もちろん親は子供の将来を思って言っていることですが、そんな理由は子供には理解できません。勉強嫌いの子供にとっては、勉強はつらいものであり、マイナスのイメージが大きいのです。そんな子供に無理強いしても、親に怒られた記憶と結びついて、マイナスイメージが膨らむばかりです。
子供が勉の意欲をなくしている時、何かに悩んでいるような時には、前向きになれる言葉をかけてあげましょう。モチベーションが上がらない時には、その気持ちを受け止めてあげることも大切です。
2.どんな時も規則正しい生活を続ける
心豊かな生活を送る上での基本になりますが、子供の意欲や、やる気、記憶力は、生活習慣が大きく関わっています。早寝早起き、食事は3食しっかり摂るなど、勉強が好きでも嫌いでも、普段からの生活を規則正しくすることを心がけましょう。
基本的な生活習慣が整えば、毎日決まった時間に勉強をする環境が整います。環境が整ったら、1日10分からでも勉強をする習慣を付けます。いきなり1時間集中して勉強するのは難しいですが、徐々に時間を増やしていけば、自然と勉強をすることが身に付いていきます。そういった習慣づけは、低年齢のうちからできるとよいでしょう。
3.勉強=学校の勉強という意識を捨てる
勉強は、学校のテストでいい成績を取るためだけに必要なのでしょうか?それを目標に頑張れる子供ももちろんいますが、子供が興味を持つことを大切にしてあげましょう。教科書に載っていないことでも、子供が好きなことを一緒に調べながら、まずは、「何かを知ることは楽しい!」「もっと知りたい!」という好奇心を刺激してあげましょう。勉強が嫌いなのではなく、学校の勉強に興味が持てないだけかもしれません。子供の成長を長い目で見てあげましょう。
4.勉強が終わったら好きなだけ〇〇していい
子供が勉強嫌いになる原因の3で述べたような、勉強以外に好きなこと、やりたいことが明確にある子の場合、「このドリルを終わらせたら、後は好きなだけ○○していい」という声掛けは効果を発揮しやすいようです。親としては、「早く終わったなら、こっちもやったら?」と言いたくもなりますが、それは厳禁。子供としては、やりたいことがあるから、猛スピードで勉強を片付けたのです。最初の約束を、親も守りましょう。
5.親も一緒に勉強する
子供が勉強をしている横で、テレビを見たりしていませんか?親が隣でテレビを見ていたりしたら、子供もやる気も起きませんよね。親自身も、本を読んだり、何らかの勉強をして「一緒に頑張ろう」と励ましてあげましょう。日頃から親が勉強している姿を見ると、生きていく上で、勉強は必要なことなんだと自然に学んでいきます。
また、子供の勉強にはできるだけ付き合い、分からないことはアドバイスしてあげるのも大切です。特に、小学校低学年の子供が自主的に勉強するのは難しいもの。「漢字の早覚え競争」など、ゲーム感覚で付き合ってあげてもいいかもしれません。親子の良いコミュニケーションにもなります。
6.小さな達成感を味わわせる
小学生にもなると、子供は人と自分を比べるようになります。勉強が嫌いな子は、やはり成績も伸びないことが多く、劣等感を抱き、さらに勉強が嫌いになるという悪循環に陥ってしまいがちです。
自己否定感を抱き、子供が完全にやる気を失いそうになる前に、親のフォローが大切です。周囲と比べるのではなく、子供の「できた!」をしっかり褒め、小さな達成感を味わわせてあげましょう。
7.適度なご褒美は与えてOK
小さなことでも思いっきり褒めてあげましょう。たとえ、親が満足のいく結果が出なくても、決して怒らず、努力をした過程を褒めてあげてください。次回に繋がるよう勇気づけてあげましょう。時には、適度なご褒美を与えてあげるのも大切です。
効果的なご褒美とは、「テストで〇点とったら」という結果に対してではなく、「宿題を終えたら」「本を1冊読んだら」など、努力の過程に対してのご褒美です。テストの成績が良かったからとご褒美を与えていては、テストで良い成績を取ることばかり考えてしまい、小手先のテクニックに走りがちになります。それよりも、普段の努力を大切にしてあげましょう。思わぬプレゼントに子供も嬉しくなり、小さな努力を積み重ねるようになります。
勉強嫌い克服は長期戦!少しずつ習慣化させるのが現実的
勉強嫌いな子供に勉強を好きになってもらうのは簡単なことではありません。「嫌いだけど、仕方ないな~」と思える程度に、最低限のモチベーションを保たせ、徐々に習慣化させることが大切です。
小さいうちから勉強が嫌いだと将来が心配になりますが、自分が子供の頃を考えても、「勉強は嫌い」「こんなことしたくない」「めんどう」と思ったことはありますよね。興味を持ち始めると、子供は急激に成長しますし、好きなことをするためには勉強が必要だと、本当の意味で、その必要性に気づく時がくるものです。
単に勉強をさせなきゃ!といきり立つのではなく、子供がどんなものに興味があるのかを真剣に聞くことで、好きなことから勉強へつなげるアドバイスができるかもしれません。問題を後回しにするという意味ではありませんが、子供にできるケアをしながら、見守ってあげても良いかもしれません。