兄弟姉妹の仲が悪くて悲しい…原因&親が心掛けたい4つの対応
お子様を何人か育てていると、同じ遺伝子を受け継ぎ、同じ環境で育つ兄弟であっても個性があり、本当に面白いものですよね。ですが、兄弟姉妹の個性がぶつかり合ってしまうと、兄弟喧嘩が始まってしまい、「どうしてこんなに仲が悪いの!?」と困ってしまうパパやママも多いのではないでしょうか。
同じような兄弟構成でも、仲が良い兄弟もいれば、仲の悪い兄弟もいますが、一番身近な存在である兄弟姉妹とうまくいかない場合には、それなりの理由があるのかもしれません。今回は、お子様の兄弟姉妹の仲が悪くなる原因について考えながら、兄弟の仲を改善するために家庭でできる対応策などについて、詳しくご紹介していきます。
兄弟姉妹の仲が悪くなる6つの原因
あなたは、同じ親を持ち小さな頃から一緒に生活する兄弟姉妹であれば、何でも分かち合って無条件に仲よく暮らせる、なんて誤解をしていませんか?小さな頃の取っ組み合いの喧嘩から、大きくなってからのいがみ合いなど、どうしても仲良く過ごすことのできない兄弟姉妹も多いのが実情です。
親として困惑してしまうほどの仲の悪さの原因は、一体どこにあるのでしょうか。一緒に考えていきましょう。
1親の対応
小さな子どもにとって家庭はとても大切な居場所です。一番身近なパパやママの影響を強く受けて育ちます。自分以外の存在から愛情を実感し、信頼関係を育むのも、まずパパやママとの間からです。そのため親の対応次第では、兄弟姉妹と良い関係が築けず、将来的な対人関係の構築にも影響が出てしまうことがあります。
2相性
同じ遺伝子を受け継ぐ兄弟姉妹といっても、人間である以上相性があります。血のつながりがあっても、どうしても受け入れられないところや、乗り越えることが難しい感情のぶつかり合いは存在します。
パパやママが無理に仲良くさせようと働きかけることで、かえって関係が悪化してしまうこともありますので、無理は禁物ですよ。
3能力差への比較
子どもにとって兄弟は一番身近な家族であるとともに、年齢差はあっても同じ環境で育つライバルでもあります。周りの大人から、「お兄ちゃんはよくできるのに…」とか、「妹さんは、可愛いね」などと比べられると、知らない間に心の中に対抗心が芽生えてしまったり、自分のいたらなさに気が付いて兄弟姉妹を認められなくなってしまったりすることも多いです。
4喧嘩の延長
兄弟姉妹は喧嘩をする機会が多く、喧嘩が長引いて、意地を張ってお互いを認め合えなくなることもあります。一旦はパパやママに仲裁されて仲直りをしても、「謝ってくれない!」とか、「勝手に自分の物を使った!」など、大人から見れば取るに足らないことにこだわって、なかなか心から仲直りができないケースも多いようです。
5共通するものがない
子どもの性格にはとても個人差が大きく、兄弟姉妹であっても好きな食べ物の傾向が違ったり、服装の好みや趣味も全く違ったりすることもあります。親としては兄弟姉妹が同じようなことに興味を示してくれれば手間はないのですが…。
例えば、お兄ちゃんがスポーツ好きで弟は物静かで博物館で勉強するのが好きというように、興味のあるものが180度違ってしまうと、子どもながらにも話題がなく、あまり話をしなくなったままお互いへの興味を失ってしまいがちです。
6なんとなく仲が悪い・距離が近すぎる
兄弟姉妹の仲が悪い原因で、意外と多いのが「なんとなく」とか、「特に原因は見当たらない」といった理由です。兄弟姉妹は最も身近な存在で、あまりにも長い間一緒にいるため、小さな不仲のきっかけが積み重なっているだけで、明確な「ここがイヤ!」という理由が見つけにくいのかもしれませんね。
また、他人であれば幼稚園や学校、習い事が終われば顔を合わせずに済むため、多少のワガママや意見の不一致にも目をつぶりやすいのですが、兄弟姉妹の場合はそうはいきません。安らげるはずの家庭にいるにもかかわらず、距離が近すぎるため我慢を強いられると、「外でも疲れたのに、家でも我慢しなきゃいけないのはコイツのせい」と怒りの矛先が全て兄弟姉妹に向いてしまうことがあります。
兄弟姉妹は喧嘩をしても離れられない緊密な距離で過ごすため、友だちのように我慢して付き合う必要もなく、甘えが出て八つ当たりに対象にもなりがちです。
あなたはいくつやっている?兄弟姉妹仲を悪くする親の対応
子どもにとってパパやママは絶対の存在で、兄弟姉妹はそんなパパやママの愛情を分かち合う仲間であり、ライバルでもあります。そのため、親の対応次第では、子どもの心に傷を作って、兄弟姉妹を遠ざけるような行動を始めてしまうかもしれません。兄弟姉妹の不仲を招きやすい、親の対応について、いくつか挙げていきましょう。
1えこひいき
子ども同士に相性があるように、親と子どもの間にも相性があります。そのため、心の中では兄弟姉妹を平等に扱おうと思っていても、「より自分と気が合う」「自分の期待に応えてくれそう」という感情から、無意識にお気に入りの子どもにばかり目をかけてえこひいきをしてしまうことがあります。すると、そうでない子どもとの間に格差が生まれてしまうのです。
2比較
兄弟姉妹は比較される機会が多いのですが、他人に比較されることと、大好きなパパやママから比較されることでは、意味合いが違います。親の比較は子どもの心に、「僕の方が愛されている」という誤った優越感と、「僕は愛されていない」という悲しい失望を生み出してしまい、兄弟姉妹の仲を裂いてしまいやすいのです。
3もう一方をけなす
子ども同士を比較するのはいけませんが、これがエスカレートしてしまうと、「お兄ちゃんを見習いなさい!」とか、「お姉ちゃんに比べてお前は…」なんてセリフが親から出て、一方的にけなしてしまうこともよくあります。
子どもは親などの大人の心の動きにとても敏感ですので、大好きなパパやママの失望を敏感に感じとり、自分に価値を見いだせなくなってしまいます。また、親にそういった気持ちを抱かせる兄弟姉妹にも、強いコンプレックスと敵意を持ってしまうことがあります。
4厳しすぎる態度
パパやママが子どもに対して厳しすぎると、子どもの心はどうしても余裕がなくなり、荒れてしまいがちです。そうなると子どもは身近な存在や、自分より弱くて本来守るべき相手に優しく接することができなくなり、兄弟姉妹の仲もギスギスしてしまいがちになるのです。
5役割を押し付ける
子どもにとって「お兄ちゃん」に生まれたことも、「妹」に生まれたことも自ら選んだことではありませんよね。それなのに、パパやママから「お兄ちゃんなんだから…」「妹のくせに…」と役割を押し付けられると、プレッシャーや理不尽さだけを感じるため、次第に「妹はいいなぁ…」「お兄ちゃんがうらやましい」という対抗心を抱くようになり、兄弟姉妹の仲が悪化してしまいやすくなるのです。
6気持ちをわかってあげない
子どもにとって兄弟姉妹はライバルでもありますが、最も身近な愛情を感じる存在でもあります。そのため、兄弟喧嘩をしてしまうことはとても悲しいことです。ですから、喧嘩をするにも、子どもなりの理由があるはずなのです。
ところが、そんなときにパパやママが「お前が悪い」「謝りなさい」と頭ごなしに押さえつけてしまうと、親に受け入れられない反発心が原因を作った兄弟姉妹に向いてしまうため、大きな確執を作り出してしまうことがあります。
兄弟姉妹の仲を改善する4つの対応
パパやママは兄弟姉妹の仲に大きな影響を与えますが、プラスの方向に働きかけることで、兄弟姉妹の関係を改善できる可能性もあります。お子様たちの関係にあまり干渉する必要はありませんが、反目するのではなく、お互いをスムーズに認めあえるように促す働きかけをしてみませんか。
1愛情をストレートに伝える
子どもは身近に兄弟姉妹がいると、どうしても心の中に親の愛情を勝ち取ろうという競争心を持ってしまいますが、こういった感情はたくさんの愛情を与えることで、「争わなくても、愛してもらえる」と子どもに感じさせ、気持ちを解きほぐす効果があります。そのため、結果的に兄弟への対抗心をやわらげることができるのです。
言葉だけでなく、スキンシップで愛情を示すことも大切ですよ。
2ポジティブな言葉をかける
子どもは厳しい言葉やネガティブな言葉をかけられると、ストレートに心が傷ついてギスギスし、家族関係を悪化させてしまいがちです。ですから、子どもにはどんどんポジティブな言葉をかけて、心に余裕を持たせましょう。
特に、子どもの行動に対して「さすが、お兄ちゃんね」「お姉ちゃんが大好きなんだよね」と、兄弟姉妹の立場を意識して褒めてあげると、子どもたちの心が解きほぐされることが多いですよ。
3兄弟姉妹はまとめて扱う
子どもを一人ひとり平等に扱おうとすると、どうしても無理が出てしまいます。そんな時には、おやつも一緒、遊びに行くのもいっしょ、抱きしめるのも一緒と兄弟姉妹をまとめて扱いましょう。
子ども一人ひとりに分散していた手間を減らして、ママたちも余裕ができるはずです。子どもにとってもまとめて扱われることで兄弟に対するチーム意識が育まれ、自然と兄弟姉妹が協力しやすくなります。
4子どもの言い分をよく聞く
子どもが「えこひいきされた」とか、「あいつばっかり!」というひがみを持ちやすいのは、自分が認められていないという思いを持っている証拠です。こういったひがみは自己肯定感の否定に繋がりやすいので、子どもの話は充分に聞いて、子どもを認めてあげましょう。
話を聞く時には「ながら」ではなく、しっかり目を見て向き合ってください。そういった努力を続けることで、子どもは嫉妬などのマイナスの感情を持ちにくくなり、自分を認められることで兄弟姉妹のことも受け入れやすくなりますよ。
兄弟姉妹の仲がいいのは親の影響?体験談
子どものうちに兄弟姉妹の仲が悪いと、「将来もこの調子なのでは…?」と悲観してしまいがちですが、心は体とともに成長していきますので、大きくなってから兄弟仲が良くなる可能性は高いです。子どものときに、将来にわたっても根を残すような相手に対する過剰な敵対心や嫉妬心を抱かせないことが大切ですので、子ども同士が兄弟喧嘩をしたら、さりげなくパパやママがフォローしてあげましょう。
兄弟関係に関して言えば、あまりパパやママが「お兄ちゃんであること」や「妹であること」を強要しない方が上手くいく傾向があります。パパやママはあくまでも中立の立場をとったほうが、お互いへフォローをしやすくなりますので、兄弟の対立には一歩下がって、客観的に見ることができるようにしましょうね。
受験を期に仲良くなりました
私には1歳下の弟がいます。私たち兄弟はお互いに趣味や好きになるものが似ていて何かと競争になりましたし、年子の兄弟ということで周りから比較されることが多く、はっきり言って仲が悪かったです。
中学生になる頃には反抗期のせいもあって、一緒に食事をしていても口をきかないなんてことはよくあったのですが、私が大学受験に失敗して一浪し、弟と一緒に受験勉強をするときになって、お互いを理解することができるようになりました。
というのも、私は自分が弟と同じ学年になることに抵抗があったのですが、両親はそんなそぶりも見せず、弟と同じようにただの受験生として扱ってくれたからです。そのため、私も後ろめたさを感じずに一緒に受験をする仲間としての気持ちを持つことができましたし、弟の方も受験の先輩として不安な気持ちなどを相談してくれるようになり、お互いに大学に合格してからは、とても良い関係を築けるようになりました。
今はお互いに結婚し、子どももいますが、近くに住んでいるのでお互い行き来して、家族ぐるみで仲良くしています。
兄弟姉妹の喧嘩を否定しないで!子供が学ぶこと
子どもは手加減ができませんから、小さいうちは相手をコテンパンにしてしまったり、大泣きをするほどの兄弟喧嘩をしてしまったりすることもよくあります。ですがこういった兄弟喧嘩に対して、パパやママがあまり神経質になる必要はありません。「喧嘩をするほど仲が良い」という昔の言葉がある通り、お互いに興味や愛情を抱いているからこそ、嫌な思いをしてでも相手に食いついていくのです。
兄弟姉妹のいない子どもより、たくさんの異年齢の兄弟に囲まれた子どもは、我慢ができたり自己主張ができるなどの対人スキルを身につけることができます。兄弟喧嘩は、将来他人と対立してしまったときに和解する方法を学ぶ良い機会です。パパやママは無理に兄弟喧嘩を止める必要はありませんので、怪我だけはしないように、さりげなくフォローをしながら見守っていきましょう。
兄弟姉妹仲の悪さは長い目で見守って
親は当然、子どもよりも先に人生の終焉を迎えます。だからこそ家族を残したいと考えますし、複数の子どもを作る目的の中には、「万が一のときには、子どもたちが淋しい思いをしないように、協力のできる家族を残してあげたい」という思いもありますね。
だからこそ、兄弟姉妹の仲が悪いと不安になってしまうのでしょうが、兄弟姉妹同士のいがみ合いは、誰かと協力し合っていくことの必要性を学ぶ大事なステップです。時間はかかっても、いずれはどんな子も家族愛を求める時が来ますので、長い目で見て子どもたちの成長を見守ってあげましょう。



