【子どもの性格は遺伝?】親の影響とNGな接し方・健全な育て方を解説
顔や体型だけでなく、子どもの性格も遺伝するのでしょうか。「うちの子はどうしてこんな性格になったんだろう」「私の育て方のせいかもしれない」と悩んだことがあるママ・パパは少なくありません。この問いについては、現在も心理学や行動遺伝学の分野で研究が続けられています。
結論から申し上げますと、子どもの性格は「遺伝要因」と「環境要因」の相互作用によって形成されることが、双生児を対象にした研究などでわかっています。生まれつきの気質という土台があり、そこに育った家庭環境や親との関係性、友人関係といった経験が重なることで、一人ひとり異なる性格が形づくられていくのです。
たとえば、同じ両親のもとで育った兄弟でも性格が正反対というケースは珍しくありません。これは、生まれ順による親の関わり方の違いや、きょうだい間での役割の取り合い、友人関係など、一人ひとりに固有の経験(環境)が異なることが大きく影響していると考えられています。親の接し方が子どもの健全な性格形成にどのような影響を与えるのかを正しく理解することは、子育てをするうえでとても重要です。
環境と遺伝、それぞれ子どもの性格にどう影響するのか
遺伝や環境が子どもの性格にどのような影響を与えるのかは、多くの心理学者・行動遺伝学者が長年研究してきたテーマです。ここでは、性格を構成する2つの主要な要素について解説します。
1.遺伝要因が影響する「気質(きしつ)」
研究結果によると、子どもの性格において核となる「気質(Temperament)」は、遺伝による影響が大きいとされています。気質とは、生まれつき備わっている他者や外界に対する基本的な行動パターンや情緒的な反応傾向のことを指し、具体的には以下の要素が掛け合わされています。
- 活動性:運動量やエネルギーのレベル
- 順応性:新しい環境や変化への慣れやすさ
- 反応の強さ:喜びや怒りなどの感情表現の激しさ
- 気分の質:普段の機嫌がポジティブかネガティブか
この親から遺伝する気質が、性格の土台となります。イギリスの心理学者アイゼンクによる双生児研究をはじめ、慶應義塾大学のふたご行動発達研究センターが実施してきた研究など、国内外の多くの双生児研究によって、性格の個人差のうちおよそ40〜60%程度が遺伝によって説明されることが明らかになっています。ただし、気質がそのまま性格になるわけではなく、あくまで土台にすぎない点がポイントです。
2.環境要因が影響する「性格(パーソナリティ)」
気質という核を覆うようにして、環境による経験が肉付けされ、具体的な「性格(パーソナリティ)」が形成されていきます。生まれながらの気質は遺伝の影響が強く出ますが、誕生してからの養育環境や親との関係性、学校での経験、友人関係などによって、性格は徐々に形づくられていくのです。
ここで押さえておきたいのが、行動遺伝学の研究でわかってきた「環境」の中身です。環境要因は、きょうだいが同じように受け取る「共有環境(家庭の教育方針や暮らし向きなど)」と、一人ひとりが個別に経験する「非共有環境(友人関係や個人的な出来事など)」に分けられます。複数の双生児研究では、性格の個人差全体に対する共有環境の影響は意外にも小さく、非共有環境(その子だけの経験)の方が大きく影響することが繰り返し報告されています。
この結果だけを見ると「親の接し方は子どもの性格にほとんど関係ない」と受け取ってしまいそうですが、そう単純化するのは早計です。ここで測定されているのは、外向性や協調性といった大きな性格特性の「集団としての個人差」です。一方で、自己肯定感や情緒の安定、人との信頼関係の築き方といった側面は、発達心理学における愛着理論(ボウルビィなど)の知見から、乳幼児期の親子関係の質と強く結びついていることが示されています。つまり「生まれ持った気質そのもの」を親の接し方で作り変えることは難しくても、その気質がどう発揮され、子どもがどれだけ安心して自分を表現できるかは、親との関わり方によって大きく変わるのです。
「子どもの性格は母親(父親)で決まる」は本当?双生児研究からわかること
「子どもの性格は母親で決まる」「父親に似て頑固になった」というように、性格が特定の親から一方的に受け継がれると感じている方もいるかもしれません。しかし、遺伝の仕組みから見ると、この考え方には注意が必要です。
子どもは両親それぞれから、ランダムに選ばれた遺伝子を半分ずつ受け継ぎます。日本心理学会の解説によれば、性格に関わる遺伝子の組み合わせは、両親のどちらとも異なる新しい組み合わせとして子どもに受け継がれるため、「母親だけ」あるいは「父親だけ」に似た性格になるということは、遺伝の仕組み上ほとんど起こりません。似ているように感じるのは、遺伝的な傾向の一部が偶然重なって見えたり、日常的に長く接する親の言動を子どもが観察して真似ている(モデリング)ことが影響していたりするケースが多いと考えられます。
また、先述の通り、双生児研究では家庭という共有環境が性格全体に与える影響は限定的であることが繰り返し示されています。つまり「母親の育て方が悪いから、この性格になった」と一方的に自分を責める必要はありません。子どもの性格は、気質という生まれ持った土台に、家庭以外も含めたさまざまな経験が積み重なって形づくられる、複合的なものだからです。とはいえ、親子で過ごす時間が長い乳幼児期において、親との関わり方が子どもの情緒や自己肯定感の土台に影響を与えること自体は、発達心理学の観点からも重要な事実として変わりません。
人格形成はいつまで続く?発達段階による性格の変化
「人格形成はいつまでに終わるのか」という点も、多くの保護者が気になるテーマです。脳の発達で見ると、子どもの脳は3歳までに約80%、6歳までに約90%が発達すると言われており、この時期に人格の土台となる基本的な行動パターンや情緒の反応傾向が形づくられていきます。乳幼児期に親から安定した関わりを受けられるかどうかは、その後の対人関係や自己肯定感の基礎に影響する重要な時期だといえます。
ただし、性格は乳幼児期だけで完成して固定されてしまうものではありません。発達心理学の縦断研究では、性格特性は思春期を経て変化を続け、20代後半から30歳前後にかけて比較的安定していく傾向があることが報告されています。さらに近年の大規模な追跡調査では、成人期以降も緩やかに性格が変化し続けることも示されています。つまり、乳幼児期の関わりは性格の「土台」を作る重要な時期ではありますが、その後の関わり方や本人の経験によって、性格の表れ方は変わり続けるということです。子育ての中で「もう手遅れかもしれない」と感じる場面があっても、接し方を見直すことには十分な意味があります。
親のタイプ別NG行動!子どもの性格に与える悪影響とその対策
親の不用意な行動や言動は、子どもの健全な性格形成を妨げ、思春期以降の行動や人間関係にも影響を及ぼす可能性があります。夫婦で共通認識を持ち、日々の接し方を見直しましょう。
1結果しか見ない親だと、自己肯定感が低い子どもになる
テストや発表会は日頃の努力の集大成です。しかし、親が結果が悪かった場合に批判したり、結果が良かった場合でもその結果だけを褒めすぎたりすると、子どもは努力の大切さや、取り組む過程(プロセス)の価値を見失ってしまいます。
結果だけに注目されると、「良い結果を出さなければ愛されない」と感じ、失敗を恐れてチャレンジしない、自己肯定感が低い性格になる可能性があります。夕方、テストの答案を手に「見て見て」と駆け寄ってきた子どもに対して、親がまず点数だけを確認して「何でこんな問題を間違えたの」と表情を曇らせる。そんな場面が続くと、子どもは次第に結果を見せること自体を怖がるようになっていきます。
- OKな言い方:「100点なんてすごいね!毎日諦めずに頑張っていたから、結果が出たんだね」(過程を評価)
- OKな言い方(結果が悪かったとき):「今回は悔しかったね。どこを見直したら次はもっと力を出せそうかな」(一緒に振り返る)
- NGな言い方:「まぁ100点!やっぱりあなたは頭の良い子なんだわ」(結果と能力のみを評価)
結果よりも、「頑張ったこと」「粘り強さ」「工夫した点」など、過程や努力を褒めてあげることが大切です。うまく声をかけられなかったと感じたときも、後から「さっきはテストの点数のことばかり聞いちゃったけど、毎日コツコツ勉強していたのを見ていたよ」と伝え直すだけで、子どもの受け取り方は大きく変わります。
2両親が気分屋だと、人の顔色をうかがう子どもになる
親が感情のコントロールが苦手な「気分屋」だと、その時によって言うことや態度が違うため、子どもは非常に困惑します。
その結果、「今は話しかけても大丈夫かな」「何だか怒っているみたいだから今はやめておこうかな」などと、常に親の顔色をうかがう習慣がついてしまいます。親の顔色をうかがう子どもは、自発的な行動が起こせない消極的な性格になり、大人になってからも他人の評価を気にしすぎる傾向が強くなります。夕食の準備で忙しいときに話しかけると強く叱られ、機嫌の良いときに同じことをしても笑って許される。こうした一貫性のない対応が続くと、子どもは「何が正解なのか」を親の表情から読み取ることでしか安心できなくなってしまいます。
- 見直したい言い方:「後にして!」と余裕がないときに反射的に突き放す
- 望ましい言い方:「今は手が離せないから、5分待ってもらえるかな。終わったらゆっくり聞くね」(理由と見通しを伝える)
常にヒステリックに怒鳴ったり、感情的に接したりしていませんか。子どもと接する時は、自分の感情を一時的に押し殺し、冷静に「子どもに本当に良い接し方」を考えてから行動するようにしましょう。忙しいときほど「今日は疲れているから、いつもより短く反応してしまうかもしれない」と一言添えておくだけでも、子どもの困惑はやわらぎます。
3誰かと比べて批判すると、強い劣等感を持つ子どもになる
兄弟や近所の子ども、友達などと自分の子どもを比べるのは親なら誰もがしてしまうことかもしれませんが、それを口に出して子どもに直接伝えるのは避けるべき行動です。
さらに、その内容が「あの子に比べて劣っている・できていない」などの批判的な内容だと、子どもは心に深い傷を負い、消えない劣等感を持ち続けるようになってしまいます。劣等感が強い子どもの性格は、自分に自信が持てず、他人をねたみやすい、あるいは過度に競争的になるという特徴があります。兄弟げんかの仲裁で「お兄ちゃんはもっと早くできたのに」と口にしてしまう場面は多くの家庭で起こりがちですが、比べられた側の子どもの中には「自分は兄より劣っている」という認識が静かに積み重なっていきます。
- NGな言い方:「お姉ちゃんはもうできてたよ、どうしてあなたはできないの」(他者との比較)
- OKな言い方:「前よりできるようになったね」「これまでは時間がかかったけど、今回は早くできたね」(本人の過去との比較)
子どもを誰かと比較するのではなく、過去のその子自身と比較し、成長した点に目を向けて褒めることが大切です。きょうだいがいる家庭では、それぞれの得意なことを個別に見つけて言葉にする習慣をつけると、比較による劣等感が生まれにくくなります。
4過保護は依存心や自己中心的な性格を育む
「子どもに対する過保護は良くない」とは昔から言われています。過保護の行き過ぎは、いつまでも大人になりきれず、親に依存したり、自己中心的な考え方しかできない性格になってしまう可能性があります。
過保護には、大きく分けて二つのタイプがあります。
- 支配的な過保護:親の考えや希望を押し付け、子どもの世話を焼きすぎるタイプです。何でもやってくれる親に頼り、自発的な考え方や行動力が育ちません。
- 服従的な過保護:子どもの要求を何でも受け入れてしまうタイプの過保護です。我慢を知らない、社会性の低い性格になりやすい傾向があります。
朝の身支度で、子どもが自分で靴下を履こうとして手間取っていると、時間がないからとつい親が代わりにやってしまう。この積み重ねが「自分でやってもどうせ親がやってくれる」という受け身の姿勢につながっていきます。
- 見直したい対応:「時間がないから」と先回りしてすべて代わりにやってしまう
- 望ましい対応:「あと2分待つから、自分でやってみようか」と時間を区切って見守る
子どもが自分でできることは、口出しせずに見守り、失敗する経験も大切にしましょう。うまくいかずに癇癪を起こしたときも、すぐに手を貸すのではなく「どこが難しかった?」と一緒に振り返る姿勢が、自発的な行動力を育てます。親は見守り役・サポーターに徹することが重要です。
5支配的な態度で拒否し続けると、神経質な性格になる
「子どもは親の言うことを聞いて当たり前」という考えが強すぎる親は、子どもに対して支配的な態度を取ってしまいます。「あれをしろ」「これはやるな」といった支配的な態度で子どもに接し、失敗をすべて子どものせいにするような態度は絶対にNGです。
親の基準で全てを決められると、子ども自身が自分の何が悪かったのかが分からず、「細かいことを過度に気にし、原因を探る」ということを繰り返してしまい、とても不安が強く神経質な性格が形成されてしまいます。おもちゃの片付け方一つにも「そうじゃない、こうしなさい」と細かく指示を出し続けると、子どもは自分で判断する前に親の顔色を確認する癖がついてしまいます。
- NGな言い方:「言われた通りにやればいいの、口答えしないで」(一方的な指示)
- OKな言い方:「なんでそうしたいと思ったの?教えてくれる?」(理由をたずねる対話)
子どもを支配するのではなく、「なぜそう思うのか」という理由を問い、子どもの意見を尊重する対話を心がけましょう。すぐに従わせようとせず、子どもなりの理屈に耳を傾ける時間を持つだけで、親子のやり取りは大きく変わります。
NGな接し方と望ましい接し方の対比表
ここまで紹介した5つのNGパターンと、望ましい接し方の方向性を一覧にまとめました。自分に当てはまるものがないか、振り返る際の目安にしてください。
| 親の傾向 | 起こりやすい子どもの性格 | 望ましい接し方の方向性 |
|---|---|---|
| 結果だけを見る | 自己肯定感が低い、失敗を恐れる | 努力や過程に注目して声をかける |
| 気分屋で態度が一定しない | 顔色をうかがう、消極的になる | 余裕がない理由を先に伝え、見通しを示す |
| 他人と比較して批判する | 強い劣等感、過度な競争心 | 過去のその子自身と比較して成長を認める |
| 過保護で先回りする | 依存心が強い、自己中心的になる | 時間を区切って見守り、失敗も経験させる |
| 支配的で一方的に指示する | 不安が強く神経質になる | 理由をたずね、子どもの意見を尊重する |
子どもの自己肯定感を高める健全な接し方
親だって人間ですから、完璧な子育ては不可能です。しかし、親が意識して子どもの自己肯定感を高める接し方を実践することで、悪影響となる行動を防ぐことができます。
- 無条件の愛を伝える:「〇〇ができなくても大好きだよ」と、存在そのものを肯定する言葉を日常的に伝えましょう。テストの点数や習い事の出来栄えといった「条件」と切り離して、存在そのものへの愛情を言葉にすることが大切です。
- 親の価値観を押し付けない:子どもの興味や関心、個性を尊重し、「やりたい」という意欲を大切にしましょう。生まれ持った気質は一人ひとり異なるため、活発な子には落ち着きを、慎重な子には積極性を無理に求めすぎないことも意識したいポイントです。
- 感情の安定:親自身がストレスを管理し、感情的にならず冷静に接することが、子どもの安心感につながります。難しいと感じたときは、一呼吸置いてから声をかける、その場を一旦離れるといった自分なりの落ち着き方を持っておくと実践しやすくなります。
- 共感と傾聴:子どもが話す内容に対し、否定せずに「そう感じたんだね」と共感し、最後まで聞く姿勢を見せましょう。すぐに解決策を提示するのではなく、まず気持ちを受け止めることが、子どもが自分の感情を安心して表現できる土台になります。
よくある質問(FAQ)
Q1.同じ家庭で育った兄弟なのに、性格が全く違うのはなぜですか?
双生児研究では、家庭という共有環境よりも、友人関係や個々の出来事といった一人ひとり異なる経験(非共有環境)の方が、性格の個人差に大きく影響することがわかっています。同じ親のもとで育っても、生まれ順による関わり方の違いや、それぞれが選び取る友人関係が異なるため、兄弟でも性格が大きく異なることは自然なことです。
Q2.子どもの性格は何歳までに変わりますか?
人格の土台となる部分は乳幼児期に形づくられますが、性格は思春期を経て20代後半から30歳前後にかけて安定していく傾向があるとされ、成人後も緩やかに変化を続けることが研究で示されています。乳幼児期を過ぎたからといって、接し方を見直す意味がなくなるわけではありません。
Q3.育て方のせいで子どもの性格が悪くなったのではと不安になります。
双生児研究では、家庭という共有環境が性格全体に与える影響は限定的であることが示されており、性格のすべてが親の育て方だけで決まるわけではありません。とはいえ、日々の接し方が子どもの自己肯定感や情緒の安定に関わることも事実です。過去を責めるより、気づいた時点から接し方を見直すことに意味があります。
Q4.活発すぎる、慎重すぎるなど、気質が強い子にはどう接したらいいですか?
気質そのものを無理に変えようとするのではなく、その特性が生きる環境を整える視点が役立ちます。たとえば活発な子には安全に体を動かせる時間を用意する、慎重な子には新しい環境に慣れるまでの時間を十分に確保するなど、気質に合わせた関わり方を工夫しましょう。
Q5.家庭環境が良くないと、必ず子どもの性格に悪影響が出ますか?
家庭環境だけで性格が一方的に決まるわけではなく、友人関係や本人の経験、生まれ持った気質など、多くの要因が組み合わさって性格は形づくられます。家庭内の一つの出来事だけで将来が決まってしまうと過度に不安にならず、日々の接し方を少しずつ見直していく姿勢が大切です。
子どもの性格形成に良い影響を与える行動は宝!
子どもの性格が形成される上で、親の行動はとても重要な環境要因です。親の愛情と接し方によって、子どもは生まれ持った気質を最大限に活かし、社会性や協調性といった健全な性格を身につけていきます。
自分の子どもとは言え一人の人間ですから、一定の尊敬と信頼を持って接することが大切です。それが、上記のような悪影響を及ぼす行動を防ぎ、子どもが自信を持って成長することにつながるでしょう。ぜひ、こちらの記事を今後の子育ての参考にしてみてください。




