子育ては親育ての意味とは?パパやママが自分を育てるべき理由
「子育ては親育て」と言われていますが、あなたはその意味を知っていますか?
今回は、親育てとはどういう意味か、子育ては親になったら誰でもできることか、子育てを通して親育てできる人の特徴などについて詳しくご紹介していきます。
子育てに行き詰ったり悩んだりするときは、親育ての最大のチャンス!「完璧な親にならなきゃ」と堅苦しく考えず、ぜひ前向きに捉えて子育てを楽しみましょう。
「子育ては親育て」とはどんな意味?
「親育て」とは、親になり子育てをすることで親自身も新しい知識を増やすと共に、心や人間性を育てるという意味です。
例えば、親になる前は食の好き嫌いが多かった人が親になり、離乳食作りや子供への食育絵本の読み聞かせなどをすることで栄養について考えるようになり、家庭の食事を見直したり自分自身も何でも食べるようにチャレンジしたりするようになったなどは、親育ての典型でしょう。
「意識して親育てをしている」というよりも、「無我夢中で子育てをしていたら、いつの間にか過去の自分より成長していた。子育てを経験できたお蔭だなぁ」と、後になって自分の成長に気づく人が多いものです。
子育ては親になったら誰でもできる?
「子供を育てることは生き物の本能。親になれば誰でも自然と子育てができるようになる」と思っている人は少なくありません。
けれど現実の子育てはそんなに甘くありません。子供にとって生物学的な親であれば誰であれ親といえるのか、子育てには親として何が必要か、まずは一緒に考えてみましょう。
大岡裁きが示す親の姿~犠牲になれる愛情
江戸中期8代将軍徳川吉宗の時代、大岡越前守忠助公(おおおかえちぜんのかみただすけこう)という江戸町奉行がいました。江戸町奉行とは、現代の司法・行政・警察・消防などの役割を担う重要な部署のトップです。
大岡政談はフィクションですが、今でも公平で人情味のある裁判や処理を「大岡裁き」と言います。中でも「子争い」は、絵本や講談などで今に語り継がれる最も有名なお話です。
子争い~本当の親とは~
ある日、大岡越前守忠助公の元に子供と母親だという二人の女性が訪れます。両者一歩も譲らないため、大岡越前は女性達に両側から子供の腕を引っ張らせて奪い合いの勝負をさせます。
その言葉通り女性達は引っ張り合いを始めますが、子供が「痛い!痛いよ~」と叫び出したので片方の女性は思わず手を離してしまいます。すると手を離さなかった女性は嬉々として子供を連れ去ろうとし、大岡越前は「本当の母親なら、子が痛がる姿を見て平気でいられるはずがない」と、親権は手を離した母親に与えてしまうのです。
大岡裁きでは本当の親の姿として「子供の気持ちに寄り添い、自分の望みを手放してでも子供の苦しみを取り除く愛情を持つ人」を示していますが、こうした愛情は、最初から完璧に備わっているわけではなく、日々手をかけ愛を注ぐ過程で少しずつ育まれていくものです。
愛情だけでは育たない!親育ての必要性
子供には個性があり、十人十色と言われるほど多様です。そのため「育児書のマニュアル通りにやれば全て上手くいく」というものではありません。現実の子育ては単純ではなく、愛情があっても正しい知識がないと子供を健全に育てられないことが多いのです。
例えば、まだ腸内環境が未熟な1歳未満の赤ちゃんにハチミツを与えてはいけないことや、しつけのつもりで感情的に怒鳴り続けることが子どもの脳の発達に悪影響を与えることなどは、親が自ら学ばなければ気づけない知識です。
子供が可愛いからこそ「喜ばせよう」「将来困らないようにしっかりしつけよう」と親なりの愛情を注いでいます。けれど子育ての正しい知識がなく、それを探して取り入れる勇気や実践する柔軟な心がないと、知らず知らずのうちに子供の健全な成長を阻害してしまうことがあるのです。つまり親には愛情だけでなく、自ら学びアップデートしていく姿勢が必要なのです。
子育てには情報を集めたり、周りの手を借りて教えてもらったり、実際の経験から考えたりして親自身が「親育て」をすることがとても大切なのです!
初めて赤ちゃんが生まれた時は、大人も初めて親になる「親の赤ちゃん」です。初めから子供にたっぷりと愛情を示せるわけでも、正しい生き方を示してあげることができるわけでもありません。親とは子育てを通して子供と共に一つ一つ学び成長していく「親育て」が必要なものなのです。
親育てができる人の5つの特徴
小さな我が子から多くのことを学べるパパやママは、子どもとの良い信頼関係を築くことができ、初めは悩んでしまっても自然と子育てを楽しめるようになります。ここでは、親育てを実践しやすい人の特徴をご紹介します。
1他人を中心に考えられる(想像力がある)
親になっても自己中心的な人は、子供の気持ちに寄り添ったり苦しみに気づいたりすることが苦手なため、親育てという困難な作業から逃げてしまう傾向があります。
一方、他人の立場に立って考えられる人は、「今、この子はどうして泣いているんだろう?」と子供の視点を想像できるため、解決策にたどり着きやすく、自分自身の共感力や人間性をより豊かに育てていくことができます。
2上手に気持ちの切り替えができる
切り替えが苦手な人は、子供と過ごす時間も仕事の失敗や人間関係の悩みを引きずってしまい、子供にじっくり目が向けられない傾向があります。
一方、切り替えができる人は、仕事は仕事、遊びは遊びと頭をリセットできるため、アレコレ抱え込まず目の前の子供に集中しやすい傾向があります。子供のちょっとした変化や成長のサインを受け取りやすく、そこから新たな発見(親育て)を得やすいのです。
3周囲に子育てのSOSや相談が出せる
「自分ひとりで完璧に育てなきゃ」と周囲に相談できない人は、子育てで困っても解決策が見つからず、孤独やストレスを抱え込んでしまいます。
一方、周囲に素直に相談できる人は、自分の知らない子育ての知識や自分に合うアドバイスをもらいやすいです。たとえすぐに解決しなくても、「誰かに聞いてもらう」だけで気持ちが前向きになり、親としての心の余裕(レジリエンス)が育ちます。
4子供とのスキンシップや遊びが好き
親は子供からも育ててもらえます。子供はスキンシップや無邪気な遊びを通して、親に「今を全力で楽しむ感情」や喜びを教えてくれます。
ハグをしたり手を繋いだりすると、「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンが分泌され、親のストレスも大きく軽減されることが医学的にも分かっています。
5人の話に耳を傾けられる(受容力がある)
「親の言うことが絶対だ」と人の話が聞けない人は、自分とは違う子供の意見や他人の考えを拒絶してしまうため、視野を広げることが困難です。
一方、人の話を聞いて「そういう考え方もあるんだね」と受け止めることができる人は、子供の予想外の発想や言い分からも学びを得ることができ、自身の価値観を柔軟にアップデート(親育て)していくことができます。
親育てができる!今注目される「共育(きょういく)」
共育とは、これまでの「親が教え、子どもが教わる」という一方通行ではなく、同じ立場に立って共に学び、共に育って行くという考え方です。近年、様々な教育現場でも注目されています。
大人には生きてきた経験があり、知識を教えることができる反面、どうしても頭が固くなって時代の変化や新しい価値観を受け入れにくい傾向があります。
その点、子供は無駄な先入観がないぶん新しいものの吸収に貪欲です。「スマホの使い方」「今の流行り」「多様性へのフラットな視点」など、親が知らない最新の知識を吸収してきたり、大人では思いつかない自由すぎる発想を見せてくれたりします。親側に「子供から教えてもらう」という共育の意識さえあれば、子育ては最高の学び直し(リスキリング)の場になるのです。
子供も親も育つ!「共有型しつけ」と「強制型しつけ」の違い
「立派な親であろう」と頑張りすぎるあまり、子どもを指示通りに動かすこと(強制型しつけ)に傾いてしまう親は少なくありません。例えば「早くしなさい!」「ダメでしょ!」とトップダウンで命令ばかりしていると、子どもは「自分で考える力」を失い、親に反発するか顔色を窺うようになってしまいます。
実は発達心理学の研究でも、「強制型しつけ」は子どもの意欲を削ぎ、幼児期の語彙力や思考力を伸ばすのにマイナスに働くことが明らかになっています。(注1)
一方、子どもの気持ちに寄り添い、共に楽しむスタイルを「共有型しつけ」と呼びます。
例えば絵本の読み聞かせの時。強制型の親が「はい、今の主人公の気持ちは?ちゃんと聞いてた?」とテストのように問い詰めるのに対し、共有型の親は「きつねさん、かわいそうだね。〇〇ちゃんはどう思う?」と、正解を求めずに子どもの素直な感情を共有します。
少し肩の力を抜き、子どもと一緒に体験し対話する「共有型しつけ」を意識することで、子どもの語彙力や自発性はぐんぐん伸びます。親自身も「子どもをコントロールしなきゃ」という重圧から解放され、子育てを心から楽しめるようになるでしょう。
親育てを学ぶのにお薦めの本は?
簡単なようで難しいのが親育てですが、育児に疲れてしまった時や悩んだ時に本を読むと、自分自身の生き方が見つめ直され「親育てが出来た!」と実感できることがあります。
こちらでご紹介する本も子育てや親育てに役立つ本ですので、ぜひ図書館で借りるなどして読んでみて下さい。
アドラー子育て・親育て 育児の教科書
著者:熊野 英一
株式会社 アルテ
1,800円+税
オーストリア生まれの心理学者、アルフレッド・アドラーが提唱するアドラー心理学。本はいくつもありますが、この本がテーマにしているのは子供へのかかわり方や親子の自立。さまざまな事例などを紹介しながら、親育ての重要性や学ぶポイントについて解説しています。
子育ては親育て・先輩たちの体験談
子供が親から多くのことを学べるのは、子供が親を信頼しているからこそ。当然親育ても、親が子供に「この子は素晴らしい力を持っている」と信頼を寄せているからこそ可能になります。
パパやママが子育てを通して学ぶことはさまざまです。先輩ママ達の「私はこれで成長した!」という親育て体験談をご紹介します。
自分に自信がもてた
私は人付き合いが苦手なタイプだったのですが、子供を通して嫌でもママ友と交流せざるを得なくなり、交友関係が広がりました。それは自分の親育てにもなり、自分の子や相手の子供が間に入るため、ママ友との大人同士の付き合いを上手な距離感をつかんでできるようになりました。
こういったコミュニケーション力は職場でも応用でき、職場に新人が入ってきた時の指導もスムーズに行えるようになりました。子育ては親育て。学ぶことが多いなと実感しました。
夫婦円満の秘訣は子育てにあり!
子供を持ってよかったと思うのは、夫との信頼感が高まったことだと思います。私は専業主婦で普段は子育て担当なのですが、ワーカホリック気味だった夫は長男が生まれた途端に子煩悩パパに変身しました。まさに子育ては親育てです。
仕事と家庭を上手に切り替えるようになってくれたので、一緒に子育てを楽しむことで夫婦の絆も強くなったと思います。これからは家族でたくさん旅行にいって、自分の見識も広めたいですね。
老いては子に教えられ
子供に教わったこととったら、スマホの扱い方です(笑)。今までガラケーユーザーだったのに機種が無くなり、機械音痴の私が泣く泣くスマホをもった時に、高校1年生の娘が画面の切り替え方からメールの送り方まで教えてくれました。
最近は小学生の頃からパソコンの授業があるので、スゴイですよね。「パスワードかけなきゃ、ダメ」とか「有害サイトに気を付けてね」など、セキュリティ関係まで私より考え方がしっかりしていて、頭が上がりません。
ゆるく生きる
私はとっても神経質できれい好きなので、夫からでさえちょっと病的といわれるほどでした。でも子供が生まれてからは、言葉は悪いのですが「どうでもいい」と思えるようになり、親育てができたと思います。
子供って周りの都合なんか考えないし汚したい放題なので、最初のうちは「しっかりやろう」とか、「頑張らなくちゃ」って思ってキリキリしていたのですが、子育てをするうちに必要に迫られて肩の力が抜けたのか、自然体になれたような気がします。
今までは我慢できなかったことでも、可愛い子供がしたことだったら受け入れることができ、寛容になれるのは子育ての醍醐味だと思います。
よくある質問(FAQ)
| よくある質問 | 考え方と対応のヒント |
|---|---|
| 「共有型しつけ」を心がけたいですが、イライラして余裕がありません | 毎日完璧に共有型でいる必要はありません。危険な場面や急いでいる朝は、短く指示を出す強制型になるのは当然です。1日のうち、寝る前の絵本タイムや休日の数十分だけでも「一緒に楽しむ時間」を作れれば十分です。 |
| 子どもから学ぶ「共育」って、具体的にどうすればいい? | 子どもが夢中になっている遊び(ゲームや虫取りなど)について、「これ、どうやってやるの?ママに教えて」と素直に教えを請うてみてください。子どもは「親に教えられた!」という誇りで自己肯定感が高まり、親も新しい世界を知ることができます。 |
| 親として成長できているか自信が持てません | 子育ての悩みに直面し、「どうすればいいんだろう」と立ち止まって考えているその時点ですでに立派な「親育て」の最中です。「昔より少しだけ怒る回数が減ったかも」「妥協できるようになった」という小さな自分の変化を褒めてあげましょう。 |
参考文献


