子育てをしていると、我慢できない子供にママやパパが困ってしまう場面はたくさんありますよね。でも、我慢できない背景にある子供の気持ちや成長の段階を知らないと、親の負担が大きくなるばかりか、つい強く叱って子供を傷つけてしまうこともあります。
大切なのは、頭ごなしに「我慢しなさい」と教え込むことではなく、子供が自分で気持ちを整えられるように手伝ってあげること。この記事では、我慢できない理由や反抗の背景、関わり方のコツ、必要な我慢と不必要な我慢の見分け方を紹介します。気になる様子があるときの相談先もあわせてお伝えします。
そもそも、我慢できない子供とは?
「何でうちの子は、すぐ怒って我慢できないの?」「公共の場で騒いで、注意しても聞いてくれない」「おもちゃが欲しいと駄々をこねる」「まだ遊びたいと、なかなか帰れない」——こんなふうに感じること、ありますよね。
でも、これはあなたのお子さんだけのことではありません。多くの家庭が同じように悩んでいます。
我慢できない子供とは、感情や欲求のままに行動するのを、まだうまく抑えられない子供のこと。感情や衝動をコントロールする脳の働きは、子供のうちはまだ発達の途中にあります。そのため、小さな子供が我慢できないのは、ごく自然なことなのです。
自己コントロールの力は少しずつ育つ
感情や衝動をコントロールする力は、幼児期にはまだ育っている途中で、学童期から思春期にかけて、年齢とともに少しずつ高まっていくと言われています。
つまり、今できないからといって心配しすぎる必要はありません。日々の関わりや経験を積み重ねることで、自分で気持ちを整えられる子へと育っていきます。まずは、なぜ我慢ができないのか、その背景に目を向けてみましょう。
我慢できない子供が反抗する、3つの背景
親がいちばん困るのは、子供が反抗するときではないでしょうか。我慢を求められたときに反抗するのは、脳の発達の段階だけでなく、心理的な背景が関係していることもあります。まずは子供の様子を、落ち着いて客観的に見てみましょう。
1関わってほしい・甘えたい気持ちの表れ
友達が遊びに来ても一緒に遊べず、おもちゃも貸せず、「ママ、ママ、〇〇して」と言い続ける——こんなケースがあります。これは、ママに注目してほしい、もっと関わってほしいという気持ちの表れであることが少なくありません。子供は、見ていてほしい・受け止めてほしいと感じているのです。こうした「我慢できない」は、甘えたい気持ちのサインととらえて関わってあげましょう。
2してはいけない理由が分からない
静かに待つべき場所で騒いでしまうのは、このケースに当てはまります。子供は飽きやすく、長く待つのが苦手なうえに、そもそも「なぜ騒いではいけないのか」がまだよく分かっていないことが多いのです。理由が分からなければ、我慢のしようがありませんよね。
3我慢しなくてもいい、と感じている
おもちゃが欲しくて駄々をこねるなど、これまでの経験から「我慢しなくても大丈夫」と感じているケースです。駄々をこねれば買ってもらえた経験があると、「こうすれば思いが通る」と学んでしまうことがあります。
| 反抗の背景 | よくある場面 |
|---|---|
| 関わってほしい・甘えたい | 友達と遊ばず「ママ〇〇して」と言い続ける |
| してはいけない理由が分からない | 静かにすべき場所で騒ぐ |
| 我慢しなくてもいいと感じている | 駄々をこねて買ってもらった経験がある |
知っておきたい視点:「なぜ我慢できないのか」が見えてくると、対応も変わってきます。同じ「騒ぐ」でも、甘えたいのか、理由が分からないのかで、かけてあげる言葉は違ってくるのです。
気になる様子があるときは、ひとりで抱えず相談を
「我慢できない」「順番が守れない」「ルールが守れない」といった様子は、成長の途中ではよく見られるものですが、なかには発達の特性が関係している場合もあります。これは見た目では分かりにくく、まわりが気づきにくいこともあります。
大切なのは、決めつけたり、無理に直そうとしたりしないこと。年齢に比べて気になる様子が続く場合は、ひとりで抱え込まず、乳幼児健診の機会に相談したり、自治体の発達相談や専門の窓口を頼ったりしてみましょう。早めに相談することで、その子に合った関わり方のヒントが得られ、親の不安もやわらぎます。
園や学校とも様子を共有し、家庭でも、叱るより「具体的に伝える」「言葉だけでなく絵や写真で示す」といった、その子に伝わりやすい工夫を取り入れていくとよいでしょう。
気になるサインが続くときは、自己判断せず、乳幼児健診・自治体の発達相談・かかりつけの小児科などに相談しましょう。
自分で気持ちを整えられる子に育てる、6つの関わり方
子供は大人が思うよりずっと賢く、少しずつコツをつかんでいきます。親の関わり方しだいで、自分の気持ちを整える力はぐんと育ちます。
1スキンシップや言葉で愛情を伝える
子供が求めているのが「関わってほしい気持ち」なら、できる範囲で、安心できる言葉や態度で応えてあげましょう。「大好きだよ」と伝えたり、ぎゅっと抱きしめたり。スキンシップは子供の気持ちを落ち着かせ、結果として親のイライラもやわらげてくれます。
2理由を事前に伝えて、納得を引き出す
静かにすべき場所や、公園から帰る時間など、我慢が必要な場面は、出かける前に理由を伝えておくのがおすすめです。「どうして静かにするのかな」「なぜ時間で帰るのかな」を、子供が分かる言葉で話してあげましょう。
欲しがって駄々をこねる場合も同じです。まずは「そうだね、おいしそうだね」と気持ちに共感したうえで、「でも毎回は買えないんだ」と理由を伝えると、少しずつ受け入れられるようになります。
3我慢しやすくなる準備をしておく
長く待つ場面では、理由が分かっていても、小さな子供にはやはり難しいもの。お出かけのときは、子供の好きな絵本やおもちゃをリュックに入れて持たせるなど、退屈しない工夫をしておくと、ぐずりにくくなります。
4かんしゃくを起こしても、ぶれずに受け止める
お店で泣き続けても、親が落ち着いてぶれないことが大切です。甘えと甘やかしの違いを意識せず、つい言いなりになってしまうと、子供は「どうすればよいか」を学びにくくなります。
怒鳴ったり、叩いたり、脅したりする必要はありません。落ち着いて受け止めるうちに、子供は「ここでは通らないこともある」と少しずつ学んでいきます。まわりが気になるときは、車の中や会場の外など静かな場所へ移り、子供が自分で気持ちを立て直すのを待ちましょう。
5我慢できたら、しっかり褒める
うまく気持ちを整えられたときは、大げさなくらいしっかり褒めてあげましょう。褒められる経験を通して、子供は我慢する意味を実感していきます。最初からうまくはいきませんが、繰り返すうちに、少しずつ身についていきます。
6「ダメ」は最終手段に
「ダメ」「我慢しなさい」と頭ごなしに押し付けるのは、その場しのぎになりがちです。まずはたくさん話して、一緒に解決策を探す姿勢を大切に。「〇〇ちゃんはこう思うんだね」と気持ちに共感してあげましょう。3歳くらいでも、自分の気持ちを伝え、きちんと納得できることは意外と多いものです。
| 関わり方 | 期待できること |
|---|---|
| スキンシップや言葉で愛情を伝える | 子供も親も落ち着きを取り戻せる |
| 理由を事前に伝えて納得を引き出す | 子供が理由を理解し、受け入れやすくなる |
| 我慢しやすくなる準備をする | 外出先でのぐずりをやわらげられる |
| かんしゃくにぶれずに受け止める | 「通らないこともある」と学んでいける |
| 我慢できたらしっかり褒める | 我慢する意味を実感し、自信になる |
| 「ダメ」は最終手段にする | 自分の気持ちを表現し、納得して行動できる |
必要な我慢と、不必要な我慢を見分ける
ひと口に我慢といっても、させるべき我慢と、させなくてよい我慢があります。「トイレに行きたい」という場面で考えてみましょう。
例1:体調が悪い子供が「トイレに行きたい」と言う場合
例2:嫌いな習い事の途中で「トイレに行きたい」と言う場合
例1は我慢させるべきではない場面、例2は気持ちと向き合わせたい場面です。嫌なことから逃げたいだけのときは、ただ我慢させるのではなく、その気持ちに寄り添いながら大人がサポートすることが大切です。すべてを我慢させるのではなく、年齢や状況に応じて、必要か不必要かを大人が見極めてあげましょう。
「我慢する子」と「我慢できる子」は違う
似ているようで、この二つは別物です。「我慢する子」は、親に言われたから我慢する子。「我慢できる子」は、自分で考えて気持ちを整えられる子です。
目指したいのは後者。最終的に自分で考え、感情をコントロールして行動できる子に育つよう、日々の関わりのなかで少しずつ手助けしていきましょう。無理に抑え込ませるのではなく、「自分で選べた」という経験を積ませることがポイントです。
わがままは、主体性が育ってきている証
幼児期に我慢できないのは、「ああしたい、こうしたい」という自我の芽生えが順調に進んでいる証拠でもあります。最初から何でも我慢できる子はいません。
手がかかって大変に感じることもありますが、思いどおりにならない経験を重ねた子供は、その分だけ気持ちの整え方を学んでいきます。今はまさに、その力を育てている時期。子供が自分で気持ちを立て直せるようになるまで何度も付き合うのは、親にも忍耐が必要ですが、気づけば少しずつ成長しているはずです。
「何でうちの子は」と思ったときこそ、「主体性が育ってきているんだな」と視点を変えてみてください。そう思えると、親の気持ちも少し楽になりますよ。
よくある質問(FAQ)
Q. 何歳くらいで我慢できるようになりますか?
感情や衝動をコントロールする力は、幼児期はまだ育っている途中で、学童期から思春期にかけて少しずつ高まっていくと言われています。個人差も大きいので、年齢だけで判断せず、その子のペースを大切にしましょう。
Q. 我慢させるのは、子供にとってよくないこと?
無理に抑え込ませるのは逆効果になりがちですが、理由を伝えて納得を引き出し、自分で気持ちを整える経験を積ませることは大切です。「させる」より「自分で整えられるよう手伝う」と考えましょう。
Q. かんしゃくが激しいときはどうすれば?
怒鳴ったり叩いたりせず、落ち着いて受け止めることが基本です。まわりが気になるときは静かな場所に移り、子供が自分で気持ちを立て直すのを待ちましょう。
Q. 年齢のわりに我慢できず、心配です。
順番やルールが守れないなど気になる様子が続く場合は、ひとりで抱えず、乳幼児健診や自治体の発達相談、かかりつけの小児科に相談を。その子に合った関わり方のヒントが得られます。
Q. つい怒鳴ってしまい、自己嫌悪になります。
親も人間ですから、イライラするのは自然なこと。スキンシップで子供が落ち着くと親も楽になります。つらいときは家族や相談窓口を頼り、ひとりで抱え込まないでください。
まとめ
子供が我慢できないのは、わがままだからではなく、自己コントロールの力がまだ育っている途中だから。その背景には、甘えたい気持ちや、理由が分からないこと、これまでの経験など、さまざまな要因があります。
頭ごなしに我慢させるのではなく、気持ちに共感し、理由を伝え、できたときに褒める——そんな関わりを重ねるうちに、子供は自分で気持ちを整えられるようになっていきます。気になる様子が続くときは、乳幼児健診や発達相談を頼りましょう。「主体性が育っている時期」ととらえて、親子で少しずつ進んでいけるといいですね。
参考
- 文部科学省(家庭教育・幼児教育に関する資料)
- 厚生労働省(発達障害に関する情報)


