かんしゃくの原因&大人がすべき8つの対応/泣き入りひきつけ
子供が自分の思い通りにならないと「泣きわめく」「叫ぶ」「その場に寝そべる…」。こうなってしまうと、ママもどうすればいいのかわからなくなってしまいます。あまりにひどい子供の状態に「私の育て方が悪かったの?」と落ち込んでしまうこともあるでしょう。
かんしゃくは子供の成長の証。原因や対処法を知り、子供がかんしゃくを起こしても親として毅然とした態度で接することができるといいでしょう。
かんしゃくの原因と泣き入りひきつけを知り、大人がすべき対応を一緒に考えましょう。
癇癪(かんしゃく)ってどんなもの?
癇癪とは、子供の環境や成長による変化に伴って起こり、自分の気持ちをコントロールできない状態の中で、なんとかして自分の気持ちを表現しようとすることです。大人からみれば些細なことでも、怒ったり泣き叫んだりして、手がつけられなくなってしまいます。
ほとんど癇癪を起こさない子もいて、「なんでうちの子だけ!?」と心配になるママも多いでしょうが、かんしゃくは成長過程の一つなので、その子の個性だと思ってあまり気にし過ぎないようにしましょう。
かんしゃくの例
かんしゃくは自己表現ですので、子供の性格や環境、その日の体調によって、いろいろなパターンがあります。怒りを発散させようとするあまり、時と場所を顧みずに、以下のような行動を起こしてしまいます。
- 物が欲しいときに、それが叶わなくて泣き叫んだり暴れたりする
- 構ってほしくてママやパパを呼ぶときに、叩いたり暴れたりする
- 気に入らないことがあると、その場に寝そべって床を転げまわる
- 周囲に勧められたことに反発し、足を踏み鳴らしたり、近くの物を蹴ったりする
かんしゃくを起こしやすい年齢
厚生労働相 検診・発達相談等の実際より、 1歳前になる頃からかんしゃくを起こし始める子もいますが、最も多い年齢は4~5歳頃と考えられています(注1)。幼児の自己主張する力が急激に発達するのは3歳過ぎで、逆に感情を自己コントロールする力は3歳~7歳頃にかけてゆっくりと発達します。
自己主張と感情のコントロールとのギャップが4~5歳頃に大きくなるため、「すっかりお兄さん(お姉さん)になったと思っていたのに、一体どうしたの?」と、感じるのです。
一方、イヤイヤ期に突入する2歳~3歳にかんしゃくを起こしていると感じるママもいますが、同じ行為を見ても「反抗期の一般的な行動」と捉え、「かんしゃく」と感じて検診で相談するなどの行動をとらないママが多いようです。
子供がかんしゃくを起こす5つの原因
子供のかんしゃくの原因は大人と異なる面もありますので、かんしゃくを起こす我が子を見て「気が強い子」と呆れてしまうママやパパもいますが、軽くあしらわずに子供ならではの原因を知ることで気持ちを理解してあげましょう。
1自我の芽生え
子供は1歳~2歳頃から、自我が芽生え、自主性や「自分がしたいこと」などの意志を持つようになります。大人に対して自分の意思を上手に伝えられずにイライラが募り、爆発してしまうことがかんしゃくとなって表れます。
2言語能力が未発達
成長とともに子供はさまざまな欲求を持つようになりますが、言語能力が充分でないため、自分の欲求を言葉で上手く伝えられません。そのため伝えたいことを理解してもらえず、さりとて上手に伝えられないもどかしい気持ちが、かんしゃく行動として表れるのです。
3記憶力の発達
記憶力が発達すると、ママやパパの行動を一度見て覚え真似しようとします。この見て真似る行動は「自分にできることを増やしたい、成長したい」と思う自立心の表れなのです。ところがパパやママは、「危ないからやめようね」「まだ早いよ」と、子供が真似をすることをやめさせようとしてしまいます。
また、真似をしても大人と同じようにできないこともあります。「真似をしたいのにできない」という葛藤が、かんしゃくとして表れることもあるのです。
4欲求が満たされない
欲しいものが手に入らなかったり、パパやママの関心を惹きたいのに、構ってもらえなかったりなどの、欲求不満が原因でかんしゃくを起こすこともあります。子供の自己コントロール能力が未熟なので、欲求がかなわないことで募る不満を、まだ自分の意志でコントロールできないのです。
5体調不良や疲労
大人でも「体調がすぐれなかったり」「疲れていたり」「お腹が空いていたり」すると、イライラしてしまいますよね。子供も同じで、体調によって機嫌が悪くなったり怒りやすくなったりしてしまうのです。寝不足ではないか、外出などで疲れていないかなど気にかけてみましょう。
かんしゃくとわがままは違う!
「欲しいものが手に入らなくて、泣き叫んだり暴れたりする」と聞くと、かんしゃくというよりはわがままのように思えますよね。わがままであれば、親として諭してあげなければなりません。でも「わがままなのか?」「かんしゃくなのか?」は、区別がつきにくいものです。
基本的にわがままは、周囲の人が迷惑したり困ったりしているのを知ったうえで、自分の気持ちを通そうとするものです。逆に、かんしゃくは、周囲の人のことは目に入っておらず、自分自身でさえどうすれば良いのかわからない状態なのです。
かんしゃくは、叱って治るものではないということを理解しておきましょう!
放置は危険!?泣き入りひきつけを起こすかも
泣き入りひきつけとは、子供が大泣きすることで呼吸ができなくなり、息を吐いたままの状態で呼吸が停止してしまうため、意識が無くなったりりけいれんを起こしたりすることです。
生後6ヶ月から2~3歳までの乳幼児に起こりやすく、1分以内に元の呼吸状態に戻ることがほとんどです。5~6歳に成長すると自然消失します。
泣き入りひきつけの対処法
泣き入りひきつけは基本的に、すぐに呼吸が復活する場合なら後遺症はありません。癇癪を起して大泣きし、泣き入りひきつけを起こした場合は、顔色が青白くなります。けいれんの時間を計るようにし、揺すったり口の中にタオルなどの物を入れたりしない様にしましょう。呼吸できない状態が1分以上続き、顔面蒼白になった場合は、急いで医療機関を受診しましょう。
1分以内に治まる発作なら問題ありませんが、ママやパパが慌てず冷静に対処することが大切なので、不安であればかかりつけ医に相談してみましょう。発作の回数が多かったり程度が強かったりする場合には、鎮静剤を処方されることもあります。
子供が一度泣き入りひきつけを起こすと、「まだ小さいのに厳しくし過ぎたのかな?」「泣いてまた泣き入りひきつけを起したら大変だから、泣きそうになったらワガママを聞いてあげよう」と考えがちですが、子供は泣き入りひきつけを起こすことで、ワガママを聞いてもらおうとすることがあるため、甘やかしや過保護は厳禁です!
子供のかんしゃくに大人がすべき8つの対応
子供の性格やそのときの状況などによって、かんしゃくが落ち着くポイントも変わってきます。かんしゃくに対する対応は、パパやママが子供と深く関わるチャンスでもあります。試行錯誤しながら、子供と一緒にパパとママも成長しましょう。
1冷静に対応する
子供がかんしゃくを起こして大きい声をあげると、大きい声で返したくなるでしょうが、「怒鳴る」「叩く」はNG。パパやママは、子供のお手本にならなければならないので、かんしゃくに対してかんしゃくで返すようなことがあってはなりません。
子供が泣き喚こうが暴れようが、毅然とした態度で落ち着いて接し、冷静に対応できるように心がけましょう。
2決して怒らない
泣いたり叫んだりすると「周囲に迷惑をかけるから」と、ついつい怒りたくなります。でも、パパやママが怒ることは、火に油を注ぐようなもの。子供がかんしゃくを起こしているときはパニック状態なので、何を言っても耳に入らず、理解できないのです。
かんしゃくを起こしている時にパパやママに怒られると、余計に刺激され興奮や混乱が増してしまうし、子供は「自分のことを分かってくれない」と、さらに反発心を強めてしまうのです。
3場所を移動する
公共の場や道路の真ん中でかんしゃくを起こした時は、すぐに抱っこなどで移動させましょう。「周囲の人に迷惑をかけるから」「危険だから」という理由もありますが、子供と静かに向き合える場所に移動することが大切なのです。場所が変わると、気分も変わって自然と落ち着くこともあります。
また、その場で言い聞かせようとしても、興奮している子供の耳には届きません。場所を移動することで子供の興奮も冷め、パパやママの言うことに耳を傾けやすくなります。
4子供の気持ちを代弁する
子供が自分の気持ちを伝えられなくてかんしゃくを起こしている場合は、「〇○が欲しかったのね」「〇○したかったのね」と、子供の気持ちをママが代わりに言葉にしてあげましょう。ママが自分のことをわかってくれていて、自分の味方であることがわかると落ち着くことがあります。
5正しい表現方法を提案
例えば、お友達にお気に入りのおもちゃを貸して欲しくててかんしゃくを起こしている時に、「『貸して』って言えるかな?」と提案してみましょう。「貸してほしいなら『貸して』って言えばいいでしょ!」と怒るような口調でなく、あくまで提案のような口調で言ってみましょう。
6別のこと(もの)で気を紛らわせる
子供がかんしゃくを起こすと、パパやママはその欲求に応えようとしてしまいます。すると、「かんしゃくを起こすと自分に利益がある!」と子供は思い込んでしまいます。「あんなところに〇○がいるよ」など気をそらすようにして、すぐに欲求に応じないようにしましょう。
7かんしゃくの状況メモをとる
かんしゃくの発生時間帯や、発生理由などをメモに取りましょう。言葉にして書く事でママが冷静になれること以外に、子供のかんしゃくパターンが分かってきます。そうすると対応策が自分なりに見えてきて、発生率を抑えることができるようになるのです。
8スキンシップをとる
かんしゃくを起こす時は、甘えたい時。抱きしめたり背中をさすってあげたり、手を握ってあげたりしてスキンシップをとりましょう。かんしゃくを起こしている時は、言葉はなかなか耳に入りませんが、スキンシップなら子供への愛情が行動で示せて伝わりやすいため、子供も気持ちを落ち着かせやすくなります。
参考文献
- 注1: 厚生労働相 「軽度発達障害児に対する気づきと支援のマニュアル」 第三章 健診・発達相談等の実際