子供を上手に褒める5つの方法:やる気を伸ばす褒め方と逆効果な褒め方
近年、褒める子育てが広がっています。褒められることで自信を持ち、のびのびと力を発揮している子も多いようです。その一方で、努力をしていなくても根拠のない自信だけがふくらんでしまう子も見られ、「どう褒めるか」という質が問われるようになってきました。
また、褒める子育てが浸透しても、「自分は親にあまり褒められなかったから、褒め方がわからない」と感じ、つい叱ることが多くなってしまう人も少なくありません。褒めるのが照れくさい、わざとらしくならないか不安、という声もよく聞かれます。
ここでは、努力した自分に自信を持ち、困難にも挑戦できる子に育てるための上手な褒め方と、反対にやる気をそいでしまう逆効果な褒め方を紹介します。特別なテクニックではなく、毎日の中で少し意識するだけで取り入れられることばかりです。
子供のやる気と才能を引き出す5つの褒め方
子供は褒められると素直に喜びます。それは、褒められることで「がんばった自分」に自信を持ち、「もっとがんばろう」という意欲を育むからです。褒められた経験は、自分を肯定的に受け止める気持ち(自己肯定感)の土台にもなっていきます。ここでは、子供の意欲と才能を引き出す5つの褒め方を紹介します。
1 その場ですぐに褒める
褒めるときは、タイミングが大切です。良いところを見つけたら、その場ですぐに褒めてあげましょう。時間がたってから「あの時は素敵だったね」と言われても、幼い子供には何のことかピンときにくいものです。
これは、小さな子供ほど「今、この瞬間」を生きているからです。行動と褒め言葉の間が空くほど、「何を褒められたのか」が結びつきにくくなります。逆に、行動の直後に褒めると「これをすると喜んでもらえるんだ」と実感でき、その行動が定着しやすくなります。
たとえば、学校など外での出来事を話してくれたときは、その内容の中に良いところを見つけたら、話が終わったタイミングで「優しいね。そういう〇〇ちゃん、ママは大好きだよ」とすぐに伝えます。自分が見ていない出来事でも、聞いて知ったそのときが「すぐ」のタイミングです。
忙しくてつい後回しにしがちですが、「あとで褒めよう」と思うと忘れてしまうもの。手が離せないときは、まず「わあ、いいね!」と一言だけでも反応し、あとから改めて具体的に伝えると効果的です。
| ポイント | 説明 |
|---|---|
| 褒めるタイミング | 良い行動を見つけたら、その場ですぐに褒める。 |
| 過去の褒めは効果が薄い | 時間がたってから褒めても子供には伝わりにくい。 |
| 褒め方の例 | 「優しい〇〇ちゃん、ママは大好きだよ」と具体的に伝える。 |
2 スキンシップをプラスする
子供が大きくなるにつれ、頭をなでたり抱きしめたりする機会は減っていきます。それでも、子供はスキンシップが大好きです。褒めるときに頭をなでる、ギュッと抱きしめるなど、触れ合いを加えると、子供はより幸せな気持ちになり、やる気も高まります。
肌の触れ合いは、「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンの分泌に関わっているとも言われています。褒めるときにスキンシップを添えると、「がんばること=うれしいこと」という感覚と結びつきやすくなります。言葉だけよりも、体で受け取る温かさが加わることで、子供の心に残りやすくなるのです。
大きくなってハグを恥ずかしがる子には、ハイタッチや肩をポンとたたく、背中をさするなど、軽い触れ合いでも十分です。「よくがんばったね」と言いながらのハイタッチは、照れずに続けやすいスキンシップです。子供の年齢や様子に合わせて取り入れてみましょう。
反対に、子供が疲れていたり不機嫌だったりして触れられるのを嫌がるときは、無理に触れる必要はありません。表情や声のトーンだけでも、気持ちは十分に伝わります。
| ポイント | 説明 |
|---|---|
| スキンシップの効果 | 褒めるときに触れ合いを加えると、幸福感とやる気が高まる。 |
| 「頑張る=うれしい」の結びつき | 褒め+スキンシップで、努力を前向きに受け止めやすくなる。 |
| 年齢に合わせて | 恥ずかしがる子には、ハイタッチや軽いタッチでもよい。 |
3 子供の目を見て褒める
人と話すときは、相手の目を見るのが基本です。でも、わが子に対してはどうでしょうか。家事の手を動かしながら、顔を見ずに「すごいね」と言っていないでしょうか。
相手が大人でも子供でも、目を見て伝えることの大切さは変わりません。手を止めて子供の目線までしゃがみ、目を見て褒めてあげましょう。目を見て褒められると、子供は「自分に向けられた言葉」だと実感でき、うれしさが深まります。同じ「すごいね」でも、目を合わせて言われるのと、背中越しに言われるのとでは、心への届き方がまるで違います。
特に子供は、言葉の内容だけでなく、表情や声の調子から気持ちを読み取ります。笑顔で目を合わせて褒めれば、「本当に喜んでくれている」と伝わり、褒め言葉の説得力が増します。
もし目を合わせるのが少し苦手なら、眉間のあたりを見つめてみてください。相手からは目を見ているように感じられます。慣れないうちは、褒めるときの一瞬だけでも目を合わせることを意識してみましょう。
| ポイント | 説明 |
|---|---|
| 目を見て褒める | 手を止め、目線を合わせて褒めると気持ちが伝わりやすい。 |
| 目を見るのが苦手なとき | 眉間を見つめると、相手には目を見ているように感じられる。 |
4 人の役に立ったことを褒める
誰かの役に立ったとき、自分や周りの人を大切にしたときなど、「あなたは周りに必要とされている存在だ」と感じられる褒め方を心がけましょう。あわせて、そうした褒め方ができる場面をつくることも大切です。
テストの点数や試合の勝ち負けなど、結果ばかりを褒めていると、「結果さえ出せばいい」「親が喜ぶことだけすればいい」という考えに偏りやすくなります。すると、いつしか意欲そのものを失ってしまうこともあります。人の役に立てたという実感は、結果に左右されない、安定した自信につながります。
小さいうちは、お手伝いなど家庭で役に立てる場面をつくり、「ありがとう」「助かったよ」「〇〇ちゃんのおかげだね」と、人の役に立つ喜びを感じられる声かけをしてあげましょう。たとえば、食器を運んでくれたら「運んでくれてありがとう、すごく助かったよ」と、行動と感謝をセットで伝えます。
ポイントは、上手にできたかどうかではなく、「やろうとしてくれた気持ち」に感謝することです。多少うまくいかなくても「手伝おうとしてくれて、うれしかったよ」と伝えれば、子供は「またやってみよう」と思えます。こうした積み重ねが、思いやりの気持ちを育てていきます。
| ポイント | 説明 |
|---|---|
| 役に立つ喜びを褒める | 周囲に役立っていることを、感謝の言葉で伝える。 |
| 環境づくり | お手伝いなど、家庭で役に立てる場面をつくる。 |
| 結果だけを褒めない | 結果ばかり褒めると考え方が偏りやすいので注意する。 |
5 具体的に褒める
「すごいね!」「えらいね!」といった言葉だけで喜ぶのは、最初のうちだけです。どこがすごいと思ったのか、どんなところが良かったのかを、具体的に伝えるようにしましょう。具体的に褒められると、子供は「自分のどんな行動が良かったのか」がわかり、次も再現しやすくなります。
たとえば、こんな声かけです。
- 「いつもノートを丁寧に書いているね。読みやすくてとても素敵だよ」
- 「荷物を持ってくれてありがとう。ママ、助かったよ」
- 「この絵、色の使い方が鮮やかできれいだね。いつもよく観察しているからかな?」
- 「今回はうまくいかなかったけど、新しいことに挑戦する勇気がすてきだね」
このように、結果だけでなく努力したことにも目を向けるのがポイントです。「頭がいいね」「才能があるね」といった能力そのものより、「たくさん練習したね」「あきらめずに続けたね」と過程を褒めるほうが、失敗を恐れず挑戦し続ける気持ちを育てやすいと言われています。
できあがった結果そのものより、そこに至るまでの過程やがんばりを褒めるほうが、子供のやる気は長続きしやすくなります。
| 褒めるポイント | 具体例 |
|---|---|
| ノートの丁寧さ | いつもノートを丁寧に書いているね。読みやすくて素敵だよ |
| お手伝い | 荷物を持ってくれてありがとう。助かったよ |
| 絵の色使い | 色使いが鮮やかできれいだね。よく観察しているね |
| 挑戦する勇気 | うまくいかなくても、挑戦する勇気がかっこいいね |
年齢別・褒め方のヒント
褒め方に絶対の正解はありませんが、子供の発達に合わせて少し意識を変えると、より気持ちが伝わりやすくなります。成長とともに、言葉での理解や、自分と他人を比べる気持ちも育っていくためです。
| 時期 | 褒め方のヒント |
|---|---|
| 0〜2歳ごろ | 言葉の意味より、笑顔・明るい声・スキンシップで「うれしいね」を一緒に共有する。 |
| 3〜6歳ごろ | できた行動を具体的に言葉にし、その場ですぐ褒める。お手伝いなど役に立つ場面をつくる。 |
| 小学生ごろ | 結果よりも工夫や努力の過程を認め、本人の考えや気持ちを聞きながら褒める。 |
年齢が上がるほど、大げさな褒め言葉は照れくささを生むことがあります。学童期には「見ていたよ」「がんばっていたね」と、事実をそのまま伝える言い方のほうが、素直に受け取ってもらいやすくなります。
褒めると叱るのバランスを大切に
褒めることが大切とはいえ、褒めるだけで、いけないことを何も伝えないのは考えものです。危ないことや人を傷つけることは、きちんと伝える必要があります。大切なのは、褒めると叱るを両輪として、どちらか一方に偏らないことです。
ふだんからよいところを認めてもらえている子供は、注意されたときにも「自分を否定された」とは感じにくく、素直に受け止めやすくなります。つまり、日ごろの褒めの積み重ねが、いざというときの注意を届きやすくする土台になるのです。「叱る」と「褒める」は対立するものではなく、どちらも子供の成長を支える関わりだと考えるとよいでしょう。
注意したい、逆効果になりやすい褒め方
褒めることは大切ですが、やみくもに褒めると逆効果になることもあります。根拠のない自信ばかりを持ち、周りを思いやれない子にならないよう、褒め方には少し気を配りたいですね。
逆効果になりやすい褒め方
- 誰かと比べて褒める
- 片手間に褒める
- いけないことを一切叱らない
- 勉強・スポーツ・芸術の結果ばかりを褒める
ただ褒めればよい、というわけではない
誰かと比べて褒めると、子供は「どうせ自分なんて」と感じてしまうことがあります。「お兄ちゃんより上手だね」という褒め方は、一見よさそうでも、比べられること自体が子供にはプレッシャーになりがちです。また、家事の片手間に褒めると、「ママは本当は興味がないのかな」と受け取り、自分の存在を大切に思えなくなってしまうことも。自己評価が下がり、話すこと自体を控えるようになる場合もあります。
結果ばかりを褒めると、意欲を失う原因に
いけないことをしても一切叱らずに褒めてばかりだと、「何をしても許される」と受け止めてしまうことがあります。また、勉強やスポーツの結果ばかりを評価すると、努力の過程より結果ばかりを気にするようになり、やがて疲れてしまって興味や意欲を失うことにもつながります。「次も勝たなければ」「良い点を取り続けなければ」という気持ちが強くなりすぎると、失敗を恐れて新しいことに挑戦しづらくなることもあります。子供を褒めることは、簡単なようで実は奥が深いのです。
| 逆効果な褒め方 | 起こりやすいこと |
|---|---|
| 誰かと比べて褒める | 「どうせ自分なんて」と卑屈になりやすい |
| 片手間に褒める | 自分の存在を大切に感じにくくなり、自己評価が下がりやすい |
| 一切叱らない | 「何をしても許される」と受け止めてしまうことがある |
| 結果ばかりを褒める | 過程より結果を気にして、興味や意欲を失いやすい |
上手な褒め方に関するよくある質問
褒めるところが見つからないときは?
特別なことでなくて大丈夫です。あいさつができた、自分で靴をそろえた、時間どおりに起きられたなど、「できて当たり前」に見えることにも目を向けてみましょう。日常の小さな行動を認めることが、いちばん身近な褒め方です。
褒めると調子に乗ってしまわない?
結果だけを大げさに褒めると、そうなりやすい面があります。過程や努力を具体的に褒め、いけないことはきちんと伝える。このバランスを意識すれば、褒めることでわがままになる心配は少なくなります。
きょうだいで褒め方を変えたほうがいい?
「お兄ちゃんはできるのに」と比べる褒め方は避け、それぞれの成長やがんばりに目を向けましょう。同じ場面でも、その子なりの「昨日よりできたこと」を見つけて褒めるのがおすすめです。
照れくさくて、うまく褒められません
大げさな言葉は必要ありません。「ありがとう」「助かったよ」「見ていたよ」といった短い一言でも、立派な褒め言葉です。まずは言いやすい言葉から、少しずつ口にしてみましょう。
褒めても子供が素直に喜ばないときは?
思春期に近づくと、褒められても照れて反応が薄くなることがあります。反応がなくても、子供はちゃんと受け取っています。見返りを求めず、気づいたことを淡々と伝え続けることが、信頼の土台になります。



