子供の落書き対策~簡単に消える?実験結果&癖を改善する教育
子供はお絵描きが大好きだということは理解できても、壁や床への落書きは悩みの種です。
少し目を離した瞬間、クレヨンやマジックの跡。持ち家なら「せっかく大事に使っているお家が!」と落胆するでしょうし、賃貸住宅なら退去時の費用が頭をよぎりますね。
今回は、子供に落書きされてしまった時の対処法、落書きをする子供の心理と今後落書きさせない対策もお伝えします。
目次
水性インクやクレヨンの落書きの消し方
ネットなどで「落書きはこれで落とせる!」といった噂はよく聞きますが、実際の効果はよくわからない情報もしばしば。そこで今回は100円ショップの壁紙用リメイクシートを使って、「自宅に常備されていて、落書きに効果あり」と噂されているものでどの程度落書きを落とせるのか実験してみました。
まずは、壁や床などに子供が描いた水性ペンやクレヨンの落書きを消す方法の実験結果を見ていきましょう。
水性ペンの落書き~歯磨き粉で落とす
子供が描いた水性インクの落書きは「インクがまだ乾ききっていないのなら、水拭きをすれば大半のものは綺麗に落ちる」といわれています。ところが、落書きに気が付いたときには既に数分~数十分は経過しているもの。
実はそんな時に「歯磨き粉が良い」と言われています。実際の効果はどうでしょうか?さっそく実験してみましょう。
1. 歯磨き粉をつけた歯ブラシで落書き部分を優しく、くるくるとこすります。写真のように汚れが浮いてきますので、布やティッシュでぬぐいましょう。
2. 落書きが跡形もなく消えています!
クレヨンの落書き~歯磨き粉で落とす
次に子供にとって最も身近な画材であるクレヨン。ついつい夢中になって床にはみ出したり、芸術魂炸裂とばかりに壁に描かれてしまったりした経験もあるでしょうが、このクレヨンの汚れを落とすのにも歯磨き粉がいいと言われています。最近では「水で落とせるクレヨン」もありますが、もちろん実験に用いたのは普通のクレヨンです。
1. 歯磨き粉をつけると水性ペン同様、写真のように汚れが浮かびあがってきました。
2. 落書き跡がほとんどわからないぐらいに消えています!
油性ペンの落書きの消し方
落書きの中でも特に厄介なのが油性インクを使ったもの。マジックなどは当然水で落とすことはできません。以下の方法が効果的と言われていますので、試してみましょう。
メラミンスポンジで落ちる?
メラミンスポンジを通常使うときと同じように、水で濡らして擦るだけ。特別な薬品を使っているわけではないので、その後洗浄する必要もないと言われていますが、効果のほどはどうでしょうか?
1. 水をつけたメラミンスポンジで落書き箇所をこすります。徐々に薄くはなってきました。
2. 最終的には写真のようになりました。確かに薄くはなっていますが、完全に落ちたとはとてもいえない状態です。
クレンジングオイル+メラミンスポンジで落とす
油性ペンの落書きはメラミンスポンジと水だけだと薄くはなりますが、消えたといえる状態ではありませんでした。
そこで「油性ペンはクレンジングオイルなどの油で、浮かせて落とせる」といわれているので、次はクレンジングオイル+メラミンスポンジの2つを合わせて落書き落としに再挑戦!
1. クレンジングオイルを落書きの上にのせて染み込ませます。
2. メラミンスポンジでこすります。水と油は反発するので、メラミンスポンジは乾いたものを使うのがコツです。スポンジが汚れて、油性インクが浮き上がっているのがわかります。
3. 落書きがほぼ落ちたといっても良いでしょう。その後、重曹水をスプレーしてから拭き取ると、油分の残りをすっきりと取り除くことができます。
住居用洗剤で落とす
最後に、ガスコンロなどの油汚れを取るための住居用洗剤で実験してみました。使用した洗剤には、「こびりついた油汚れを浮かせて分解」という表記がありますので、クレンジングオイル同様の結果が期待できるはずです。
1. スプレーで洗剤を落書きにかけて、汚れを浮かせます。既にインクが浮かび上がってきているのがわかります。
2.メラミンスポンジで汚れを軽くこすります。この時点でこんなに落ちていますね。
3.汚れが完璧に落ちています!
油性ペンやクレヨンによる壁や床の汚れ落としには、みかんの皮も効果あり!みかんの皮に含まれるリモネン(オレンジ油)には油を分解する作用があるため、台所の油汚れ落とし専用洗剤の中にはリモネンが含まれている製品もあるんです。
節約術に使われるゴミであるみかんの皮なら洗剤代もかかりませんので、多少の落書きなら大らかに対処してあげられますね。
効果的な消し方は落書きに使った画材が水性か油性かで異なりますが、どちらも壁紙などに染みこむ前の方が落としやすいのは共通していますので、落書きを消すのはスピード勝負です。
頑固な落書きには専用クリーナーを活用
上記の方法で落ちない頑固な落書き汚れには、落書き専用クリーナーなどの商品を試してみましょう。あきらめていた落書き汚れがすっきり消えることもあります。落書き汚れ落としのクリーナーやスプレーはホームセンターなどの掃除用品売り場で購入できますよ。
落書きを落とす際の注意点
ご紹介したのはあくまで100円ショップの壁紙リメイクシートを使った実験結果に過ぎません!床や壁の材質、壁紙の種類によっては効果を実感できない場合があります。また、壁や床が使用できない素材の場合、色が薄くなってしまうなど家を傷めてしまう恐れもありますので、住宅メーカーなどに問い合わせの上で目立たない場所でテストしてから取り組みましょう。
子供が落書きする心理
子供の頃を思い返してみると、ママやパパも落書きをして叱られた経験はないでしょうか?また、記憶にはなくても、実家の壁などに落書きの跡が残っている方も多いでしょう。
落書きはいつの時代も子供がついついやってしまう遊びです。なぜ子供は落書きが好きなのか、落書きする子供の心理を紐解いていきましょう。
1善悪の判断が付いていない
0歳、1歳の幼い年齢の子供の場合、落書きが悪いことなのだという認識がありません。
「こんなに大きな線を描いたよ!」と言わんばかりに「見て〜」と声をかけてくることもあります。
わかっていないからこそ、叱って理解してもらうのは難しいです。
2大きいところに描くのが楽しい
年齢に関係なく落書きをしてしまう理由が「壁などの大きな場所に描くのが楽しい」というものです。特に2、3歳の頃はまだ後先を考えて行動する力が身についていませんから、どうしても目先の誘惑に負けてしまいます。
叱られると反省はできるのですが、次回は必ず自制心を働かせられるかといったら保証はありません。
3気を引きたい
4・5歳くらいからは、他人の気持ちを推し量るようになります。落書きはしてはいけないこと、叱られること、ママやパパが困ることとわかっていても、反対に親の気を引きたくて落書きすることがあります。
こんな時は、落書き自体よりも、親子の関係や子供の心の状態を見直すきっかけと考えてみましょう。
愛情不足の場合ももちろんありますが、単純にママやパパが大好きでそばにいてほしい気持ちから、こうした行動に至る場合もあります。2歳前後の試し行動としても良く見られるケースです。
子供が自宅の壁に落書きした時の対応
子供が落書きをした場合には、以下の3つの対応があります。子供が落書きをした理由やその子の性格にあわせて対処しましょう。
1理由を説明する
赤ちゃんとは違い分別のある子供が落書きをしたら、多くのママは「こんな場所に落書きしてはダメでしょ!」と叱るでしょう。それは「お金のことが頭を過ぎるから」、または「家が汚れるのが嫌だから」という大人としては至極当たり前の理由です。
ですが、「壁に描いてはいけません」と叱っても、子供はなぜいけないのかがよく理解できません。「お金がかかる」や「家が汚れる」という説明も子供には共感しにくく、納得しにくい理由です。
そんな時は「壁は絵を描くところじゃないよ。絵を描くのは画用紙だよ」と事実をありのままに伝えましょう。
また、「お金がかかるからママは困る」「ママは落書きのある壁を見ると悲しくなる」と子供に自分の感情を伝えることも大切です。あまり大げさに悲しんだりきつく叱ったりするのではなく、「落書きをされると悲しい」と毅然とした態度で子供に説明しましょう。
2デメリット伝え、意識を他へ向ける
少し勇気のいる方法ではありますが、落書きの絵を一度褒めてから改善につなげるという方法があります。
子供の性格によっては落書きを怒られることでお絵かきを嫌いになることがあるので、まずは絵を褒め、その後に壁に描くと一度しか描けないことを指摘します。それから「壁は絵を描く場所じゃないよ。もっとたくさん自由に描ける画用紙がいいよ」と提案するのです。
落書きは大人としては好ましくないことですが、お描き好きの子供にとっては、溢れる創造力を発散させた結果。親を困らせたかった訳ではないのです。そうした気持に寄り添い、落書きを見ても冷静に受け止められるママなら、試してみる価値はあるでしょう。
3わざとした落書きには注目しない
落書きがしたいのではなく、親の気を引くために落書きという手段を用いている子への対応として、あえて反応しないという方法があります。
応用行動分析という心理学の手法で、「望ましいとされる行動をした後に褒賞がもらえることを繰り返すと、次第に自発的に期待される行動が増えるようになる」という考え方です。
つまり落書きの例でいえば、
- 落書きをした時にはあえて特に何も反応しない
- 落書きをせずに画用紙にお絵描きができた時には思いっきり褒める
この2つを繰り返すことで、次第に落書きという行動が減っていくというものです。
ただし、落書きが子供の愛情不足のサインである場合は、精神的なケアも忘れないでください。黒い絵ばかりを描いている子は、心に不安を抱えているとも言われています。
子供が他人の家で落書きをした時の対応
私物と公共物では叱る観点が変わります。公共のものや他人の家や家具に落書きをした場合、まずは謝罪が先決!
悪気があるなしではなく、子供とはいえ人の物を勝手に傷つけたり、汚したりしてはいけません。このことをしっかりと言って聞かせましょう。
落書き癖のある子供を他人の家に上がらせる際は事前に落書きをしないように約束をさせたり、不安があるなら子供から目を離さない、お絵描きはお友達の家ではさせないという決断をしたりすることも必要です。子供同士で遊んでいると自制が効かなくなることはよくあります。親の責任でしっかりと落書きを防ぎましょう。
万が一他人の家の壁を汚してしまった場合には、子供自身にもきちんと謝罪させ、被害の状況によっては親も弁償することを提案したり、後日菓子折りを持って謝罪に行ったりといった誠意ある対応をしましょう。
子育て中は子供が悪意なく他人の物を壊すなどトラブルを起こすことが少なくありません。子供はそうした経験を重ねながら大人になっていくものですがそれでよいというわけではありませんので、月額100円程度で加入できる個人賠償責任保険に加入しておくと安心ですよ。
床や壁に描かせない!3つの落書き対策
家の壁や床に落書きをしてはいけないという分別がつかない、自制心を十分に働かせることができないといった年齢の子供の場合、事前に落書き対策を行うことが非常に重要です。
ルールをきちんと守れる5~6歳頃になるまでは、いかに落書きという失敗行動をさせないようにするかが鍵となります。
1手の届くところに画材を置かない
基本中の基本ですが、ペンやクレヨンなどの筆記用具や画材を子供の手の届くところに置かないようにします。色鉛筆やペンはお絵描きをする時だけ出すように徹底させます。知恵がついてくる年齢になったら、各家庭で収納場所にも工夫がいるでしょう。
先ほどの実験で使用した100円ショップの壁紙シートを部屋の中に貼るという自衛策もあります。壁紙シートはシールのように貼ったり剝がしたりできますので、もし落書きされたらシートを剝がしましょう。これなら部屋本来の壁や壁紙は無傷で済みます。
2ホワイトボード等のコーナーを設ける
壁に描かれるくらいならホワイトボードや黒板などの落書きコーナーを作ろうと考える人もいます。
ただし、この方法は上手くいくケースもあるのですが、実は自制心をが育たずトラブルを引き起こすリスクも秘めていることは自覚しておきましょう。
ホワイトボードでのお絵描きに夢中になり、そのままの勢いで他の壁に描いてしまったり、うっかりはみ出してしまったりする可能性もありますよね。
どちらか必須!落書きコーナー作りの条件
- 物の分別ができる年齢に達している
- 水のペンで描けるシートを使う
3親子で絵を描く時間を増やす
お絵描きが大好きな子に描くことを制限すると、より描きたくなってしまうものです。せっかく芽生えている創造力の芽を摘み取るのは、親としても望ましいことではありませんよね。
そこでおすすめなのが、お風呂で使えるクレヨンなどを使って親子でお絵描きを楽しむ時間を設定する落書き対策です。
子供の「やりたい!」という意欲を叶えて満足度を高めてあげることは大切。お風呂がお絵描きの時間になれば、他の時間には別の遊びに逸れる可能性も高くなるはずです。もちろん、普段の遊びの中でも「描いて良い場所」に描くお絵かきはどんどん推奨されるべきです。