一人っ子のわがまま・協調性は克服できる!親が教えるべき具体的な育て方
「一人っ子はわがまま」「協調性がない」など、残念ながら一人っ子の特徴について世間でネガティブなイメージを抱く人も多いのが実情です。そのため、「一人っ子でもわがままにならないように」と意識して育てる親御さんが増えています。
きょうだいがいる生活で自然に身につくと言われる我慢力や協調性、自己主張する能力は、一人っ子では本当に身につかないのでしょうか。答えはNOです!一人っ子でも、わがままとは程遠い人や気配りが得意な大人はたくさんいます。これらの能力は、環境と経験によって十分に育むことができます。
ただし、一人っ子でわがままに育ってしまうケースも存在するため、そうさせないために、きょうだいのいる子に比べて不足しがちな経験とは何か、わがままに育たないために親が教えるべきことなど、具体的な育て方を見ていきましょう。
「一人っ子=わがまま」ではない!ネガティブなレッテルを貼られる理由
一人っ子と比べ、きょうだいがいる子供は、家庭という小さな社会の中で快適に過ごすために、自然と我慢や協調性、自己主張などのスキルを磨く必要があります。
きょうだいのいる子は、おもちゃの取り合いや本気のぶつかり合いなど、様々な経験を家庭内で積み重ねて成長しやすいです。そのため、こうした経験が不足しがちな一人っ子は、「わがままになる」と性急に決めつけられがちなのです。
事実と異なるネガティブなレッテルを貼られるのは誰しも気分のいいことではありません。一人っ子の親御さんまで、世間の偏見を真に受けないでください。子供はそもそも自己中心的な部分を持っており、環境や経験で社会性を獲得していく存在なのです。
まずは、きょうだいがいる子供に比べ、一人っ子が不足しがちな経験を一度確認し、その穴を埋めるための対策を考えることが重要です。
一人っ子がきょうだいのいる子に比べて不足しがちな経験とは?
きょうだいがいる家庭の子供は、常に親の関心を奪われそうな気持ち、ライバルと生活している気分、年長者としての責任感、あるいは権利が奪われる危機感など、毎日が一人っ子にはなかなかできない経験の連続です。
そのため、一人っ子よりも次のような社会性や問題解決能力を学び、対処する能力が自然に身に付きやすいと考えられています。
- 自分の意見をはっきり言わないと、きょうだいに押し切られてしまうことを学ぶ
- きょうだいで取り合いになったとき、どうすれば自分のものになるかを考える戦略的な思考が身に付く
- おやつなど、きょうだいで平等に分配するという公正な気持ちが芽生える
- きょうだいゲンカで理不尽な結果になっても、グッとこらえて我慢する力が身に付く
- きょうだいゲンカをして自分が悪いときは謝り、相手から謝られたら許してあげるという寛容さが身に付く
- きょうだいであっても、時には意地悪をしたりされたりすることもあり、どちらの気持ちも理解できる
- 相手が困っていたら協力し、自分が困ったときは素直に助けを求めることができる
- 普段はケンカばかりでも、ピンチのときはきょうだい愛を感じる機会に恵まれる
一人っ子は生育環境的に不利なのか?
きょうだいがいる子の経験を考えると、一人っ子は生育環境的に不利に感じるかもしれませんが、実は一人っ子には一人っ子だからこそ身に着けやすい能力もあります。例えば、大人との関わりが深いため語彙力や思考力が高かったり、集中力や想像力が豊かだったりする点です。
また、両親が共働きで小さい頃から保育園に通っている子供は、早くから他の子との関わりをもっているため、きょうだいから学ぶのと同じように集団生活の経験を豊富に積むことができます。
親の関わり方次第で、きょうだいがいる子と同じ社会性を身に着けることは十分に可能です。そのためにも、まず親は「一人っ子だからわがままになる」という偏見を捨てることが大切です。
一人っ子のわがまま・協調性を克服!親が教えるべき5つのこと
「一人っ子はわがまま」と偏見を持たれがちなため、自分が一人っ子だと他人に言いたがらない成人は少なくありません。親御さんは、子供が将来的に不利益を被らないよう、関わり方を見直し、一人っ子に不足しがちな我慢や協調性などを教えてあげましょう。
1自己主張の大切さと「友達親子」での関わり
一人っ子は親や大人相手が多い環境のため、自己主張をしなくても思い通りになる経験が多くなりがちです。これが、自分の思い通りにならないと依存したり、あっさり諦める習慣につながることがあります。
友達とトラブルになった際に自分の思いをうまく言えずに不利な状況になることもあるため、一人っ子がわがままになることを恐れず、自分を守るための自己主張の大切さも教えてあげましょう。
親は「きょうだい」や「友達」のように関わろう!
一人っ子には、親が上から目線ではなく横並びの友達のような関わり方をして、一緒に遊ぶ際に親が譲るばかりでなく、奪ったり、ぶつかり合ったりと、自己主張をしなければ自分が不利になる経験をさせましょう!子供に合わせて先回りしたり、すぐに譲ったり、代弁するなどの過度な甘やかしはNGです。パパが積極的に、子供と本気で遊ぶ機会を設けることも非常に有効です。
2意図的に我慢や順番待ちを経験させる
一人っ子には欲しい物が手に入りやすい環境の子が多く、「きょうだいがいないから寂しいだろう」とすぐにおもちゃや物を買い与えてしまう親御さんも多いです。しかし、きょうだいのいる子は、順番に使わせることが多いため、簡単に自分だけの物が手に入らず、我慢や順番待ちを学びます。
一人っ子をわがままな大人にしないためには、子供のうちに我慢や忍耐の経験を多く積めるように、欲しがる物をすぐに買い与えない親の我慢が大切です。これは、子供の衝動性をコントロールし、自己抑制力を育むために非常に重要です。
「ご褒美作戦」で努力と忍耐を学ぶ機会を!
欲しいものがあるときはすぐに買い与えず、「お手伝いを1週間続けたら」「お誕生日まで我慢したら」など、我慢させたり、手に入れる努力をさせたりしてみましょう。祖父母から大量に買い与えられる場合は、おもちゃは祖父母に任せて親は欲しがっている物を与えない、大きなお金は大人になるまで預かるなど、親による我慢しやすい環境作りが大切です。
3「ごめんね」と「いいよ」が言える寛容な心を養う
子供同士で遊ぶとトラブルはつきものですが、きょうだいがいると解決方法を自然に身に付けることができます。ところが一人っ子は家庭で物を取り合うことやケンカをする機会がほとんどありません。
そのため、できるだけ児童館や公園、習い事などに連れていき、他の子とトラブルが起きた時にどう対処するのかを教えてあげましょう。自分に非があれば「ごめんね」と素直に謝ること、そして相手から謝られたときは「いいよ」と許してあげられる寛容な心を養うように、親が教えてあげることが必要です。「謝らないでいると、お友達と気まずい雰囲気だ」という状況は、3~4歳頃になれば理解できる子が増えてきます。
4相手の気持ちを想像し、共感する力を育む
きょうだい同士の関わりの中では、時には意地悪をしてみたくなる衝動や、意地悪をされた時の嫌な気持ちの両方を経験します。両方を経験することで、相手の気持ちに気付くことができるようになっていくのです。
一人っ子もお友達との関わりが増えるうちに必ず経験するでしょう。もし我が子が意地悪をされたら、一方的に相手を非難するのではなく、「どうしてお友達は、意地悪してきたんだと思う?」と、本人に非がなかったかどうかを優しく尋ねてみましょう。この問いかけは、「意地悪された時の相手の気持ち」と「意地悪した時の相手の気持ち」の両方を想像し、共感する力を育むトレーニングになります。トラブルの理由が実は我が子にある場合もあります。
5集団生活への積極的な参加で社会性を身につける
同年代や異年齢の友達を作る機会が一人っ子にはとても大切です。未就園児ならプレ幼稚園や児童館、子供が多い公園などが有効です。各自治体で行われる子供のイベントにも積極的に参加させてみてはどうでしょうか。きょうだいがいない分、子供同士が出会える場所に連れていき、社会性を身につけさせましょう。
また、上手に一人っ子を育てている親御さんの中には、近所の子供や親御さんを自宅に招いたり、親戚と会う機会を増やしたりするなど、子供が様々な人と関わらざるを得ない環境を意図的に作る人もいます。そのような環境で育つと、初めはわがままだったり自己主張ができなかったりする子供も、次第に協調性や自主性が身につきます。
一人っ子の育ち方は環境と親の意識次第
「あの子は一人っ子だけどとてもしっかりしている!」という印象を与える一人っ子もたくさんいます。きょうだいがいる子供と同じように、我慢強さ、協調性、競争心を持たせたいと願うなら、小さいうちから子供が多く集まる場所、集団生活に積極的に参加させることが一番です!様々な経験をさせ、親は過干渉を控えフォローしながら子供の自立を見守っていきましょう。



