甘えと甘やかしの違いは何?子供の成長に必要な親の受け入れ力
「子供は愛情たっぷりに育てたい」とは思っていても、子供は親の都合をお構いなしで甘えてくるので、日々の対応に困ることは多いですよね。特に忙しい時に子供がゴネて「抱っこして!」「私がやるの!」と求めてくる時に、そのまま甘えさせた方が良いのか、それとも「甘やかしは良くない」と厳しく接したほうが良いのかは、悩ましい問題です。
育児において「甘え」と「甘やかし」を区別することは難しく感じますが、この2つをきちんと区別しておくことは、子供の健やかな心の成長と自立を促すためにも非常に大切なことです。今回は育児に迷った時に参考にしたい、甘えと甘やかしの区別の仕方や、上手な甘えさせ方のコツについてご紹介していきます。
甘えと甘やかしの違いとは?
夕飯作りの最中に「ご本を読んで!」と泣きついてくる、スーパーのお店で「あれ買って!」と床にひっくり返る、両手に荷物を持っていても「歩けない、抱っこ!」と手を伸ばす…。子供といると、毎日対応にさまざまな選択を迫られます。親のその行動が、子供の「甘え」を受け入れたことになるのか、それともただの「甘やかし」になるのかは、それぞれの家庭で線引きが違うでしょうし、状況によっても変わってきます。
ただ、選択を迫られた時にパパやママの態度に一貫性が無く、「昨日はダメだったのに今日はいいの?」と迷っているようでは子供が混乱してしまいます。「甘え」と「甘やかし」のよくあるケースをあげていきますので、自分の日頃の行動を振り返ってみましょう。
子供の「甘え」を受け入れる意味とよくあるケース
子供にとってパパやママへの「甘え」は、愛情と安心感を求める情緒的な行為であり、親がそれを受け入れるということは、子供の心の欲求に愛情で応えるということを意味します。子供の「抱っこして」とか、「私の話を聞いて」という心のSOSにパパやママが応じていくことは、決して「甘やかし」ではありません。
私たちは家族とだけでなく、他人と繋がり、支え合って生きていく生き物です。誰かに思い切り甘えられる環境で育った子供は、人を愛し、愛され、他人と信頼関係を結べる強い人間に育ちます。小さい頃のパパとママとの関係は全ての人間関係のベースとなるもので、タップリ甘えることを経験した子供は、自分自身に自信を持って人生を歩めるようになりますので、子供の心の「甘え」にはできるだけ答えてあげましょう。
子供の「甘え」を受け入れる例
- お友達と喧嘩をして大泣きした時に、何も言わずに抱きしめてあげる
- 転んで泣いたら、「痛かったね」と慰めて頭を撫でてあげる
- 急に「バブー」と赤ちゃんのふりをして甘えてきたら、赤ちゃんのように丁寧に扱ってあげる
- 歩ける年齢でも「抱っこ」とせがんだら、可能な限り抱っこをして安心させてあげる
- 「絵本を読んで」と求めたら、家事の手を少し止めて応じてあげる
- 自分でできるはずのお着替えを「やって」と求めてきたら、スキンシップを取りながら手伝ってあげる
ここで注意すべき点は、「あのおもちゃ欲しい」とか、「○○ちゃんのドレスいいなぁ」といった物に対する子供の発言です。「物に対する欲求を受け入れると甘やかしになる」と警戒してしまいますが、子供のその一言は「買って」という要求ではなくて、単に「いいね」という気持ちを親と共有したいだけかもしれません。
「本当だね、素敵だね」と気持ちに共感してあげるだけで、子供は満足してそれ以上の要求をしないことも多いので、「買ってくれって催促している!」と目くじらをたてず、やんわりと共感でやり過ごす方法を覚えていきましょう。
子供への「甘やかし」の意味とよくあるケース
「甘え」が無償の愛情を求める心の行為であるのに対し、「甘やかし」は物質的な欲求や、親が先回りして過保護になる行為を指します。子供が「静かにしてあげるからお菓子を買って」と条件を出してきたり、親が「泣かれると面倒だから」「周りの目が気になるから」といった大人の都合を優先させて、子供の言いなりになってしまう行為ですね。
子供はとても大人の感情に敏感で、時に大人の思惑に付け込んで要求を押し通そうとします。一度泣き落としが成功すれば、「泣けば言うことを聞いてくれる」と学習して要求をエスカレートさせ、わがままにふるまうようになってしまうので注意が必要です。
子供への「甘やかし」の例
- スーパーで「お菓子買って」と駄々をこねられ、周りの目が気になって仕方なしに買い与える
- 子供が「お片付けできない」とグズったら、親が全部やってあげる
- 子供が嫌いな野菜など、文句を言われるのが面倒で最初から食卓に出さない
- バナナの皮をむく、魚の骨をとるなど、年齢的に子供が自分で挑戦すべきことを先取りしてやってあげる
- 子供がお友達に謝る場面で、言葉に詰まったら先回りして親が代わりに謝ってしまう
子供の甘えは自立への栄養素です!
よく、「甘えてばかりだと、わがままな子になって後が大変」とか、「もうお兄ちゃんなんだから甘えずに自分でやりなさい」という言葉を言う人が多いように、日本では「甘え」という言葉が否定的にとらえられることが多いようです。ですが、パパやママに甘えることで得られる絶対的な安心感は、子供の心の成長にとってなくてはならないものです。
小さい頃にしっかりと甘えて愛情をうけとった子供は、自分自身に誇りを持ち、「パパとママが見ていてくれるから大丈夫」と新しい課題にトライしようとする自立心や自己肯定感がグングン育ちます。
子供の甘えと自立へのメカニズム
小さい頃は親や家族に依存して育ちますが、一定の年齢が来ると自立心が芽生え、外の世界へと羽ばたいていきます。この自立心は、幼児期にパパやママに十分に甘えた経験という土台から作られると言われています。
親が子供の「抱っこ」や「聞いて」という甘えを受け入れてあげたとき、子供は自分が「愛されている」「大切にされている」ということを実感します。この心の充足感は子供のメンタルを安定させ、大好きなパパやママの喜ぶ顔を見ようと「自分でお着替えしてみようかな」という自発的なやる気を育てていきます。つまり、甘えによって心が満たされることこそが、子供の自立の第一歩になるのです。
幼少期の甘えが自立心を養います
「甘えさせない子の方が、早く自立してしっかりとした人間になる」というイメージがありますが、実は親にたくさん甘えて心を満たした人こそが、困難に立ち向かう自立する力を持つことができます。しかも、その甘えによる経験は2~3歳までの間などの一時的なものではなく、幼少期に長く継続して、繰り返し経験してこそ価値があると言われています。
子供はパパやママへの依存と、新しいことへのチャレンジ、そして挫折を繰り返して、少しずつ自立することを体得していきます。外の世界で頑張って疲れた心を、家で親に甘えて回復させるのです。そのため、少なくとも小学校高学年になるまでは長く、いつでも甘えられる心の安全基地を整えておくことをオススメします。
子供の甘やかしが引き起こす弊害は?
子供を育てる場合には、情緒的にたっぷりと「甘え」させるのが正解です。では、物質的な「甘やかし」はどうなのでしょうか?
結論から言うと、必要以上の「甘やかし」は子供にとって良い影響はもたらしませんし、むしろ子供の将来の可能性を奪ってしまう恐れもあります。
自分の望むおもちゃや要求を泣き喚けば好きなだけ与えられて育った子供は、周りのために我慢することを覚えることができず、社会のルールを学ぶ機会も逸してしまいます。
私たちは集団で生活をする生き物ですから、「今は我慢しよう」「順番を守ろう」という気持ちを持てないと、保育園や学校で周囲とうまくやっていくことはできませんよね。甘やかされて育った子供は自分の欲望をコントロールできないため、集団生活でトラブルを起こしやすくなります。甘えと甘やかしの一線をしっかりと子供にも示し、物質的な要求には「ダメなものはダメ」という毅然とした態度をとっていきましょう。
親の甘やかしにより自立心が抑止される
子供が食べやすいようにミカンの皮を全てむいてあげたり、明日着る予定の服を親が勝手に決めてあげたりすることは、一見して子供を愛情深くお世話しているような印象を与えます。ですが、子供の自立心を成長させるためには、「甘え」と「甘やかし(過保護)」の区別をしっかりとしておくことが大事です。全てパパやママがお膳立てした環境で暮らしていれば、子供は「自分でやりたい」「自分で工夫して乗り越える」という大事な自立の機会を得ることができません。
「危ないから」「服が汚れるから」とパパやママが、何もかも先回りして全部やってあげていませんか?子供を怪我させないよう無菌室で育てることだけが親の愛情だと勘違いをせず、時には子供の失敗を見守り、手を放すことも親の大きな愛情だということをしっかりと認識し、育児にのぞみましょうね。
甘やかされて育った子供に見られる特徴
親の過保護や物質的な甘やかしによって、子供が集団生活に適応できなくなってしまったら、親は悲しいですし子供自身も人間関係で苦労することになります。甘やかされて育った子供には、次のような特徴が見られます。ついつい自分が楽をしたいからと甘やかしてしまうパパやママは、可愛い我が子がこういった特徴を持った大人に育ってもいいのか一度しっかりと考えましょう。
- 「やってもらって当たり前」になり「ありがとう」が言えない
- 自分が悪くても「ごめんなさい」を言わない
- 少し注意されただけですぐに泣いて被害者になる
- 自力で解決しようとせず、すぐに人に頼る
- 自分の役割や責任を持つことを極端に嫌がる
- 自ら考えて行動できない
- 要求が通らないとすねて暴れる
- 失敗を人のせいにする
子供が発する「甘えサイン」とは?
子供がパパやママに甘えてくるのは、何らかの不安を感じたり、もっと構ってほしかったり、嬉しくて気持ちを共有したい時です。子供は大人と違って言葉によるコミュニケーションが十分できませんから、さまざまな表現やしぐさで「ボクのこと見てる?」「大好きだよね?」と尋ねてきます。時には親にとって「ただのワガママ」と読み違えてしまいそうな甘えサインを見逃さないで、子供の心にたっぷりと答えてあげましょう。
子供の出す甘えサイン
- 「ママ見て、見て!」と何度も注意を引こうとする
- テレビを見ている時などに「〇〇して」とすり寄ってくる
- 一人で遊んでいる時に、親が見ているか何度も振り向く
- 「なんで?どうして?」と自分でも分かりそうなことをしつこく聞いてくる
- なんでもパパやママの真似をして気を引きたがる
- わざと顔を叩いたり、物を投げたりして注意を引く
- 理由もなく突然ひっくり返って泣く
甘えられない子供はどうなるの?
子供は誰でもパパやママに素直に甘えてくるもの、なんて考えていませんか?子供が甘えてくる時は、ありのままの自分をストレートに親に受け入れてもらいたいと願っている時ですが、生まれ持った性質によって甘えるのが苦手な子もいますし、下に弟や妹が産まれた長男・長女などのように、家庭環境の遠慮から素直に甘えることができない子もいます。
特に気を付けなくてはいけないのが、親が子供を甘えさせる心の余裕や環境を作ってあげないケースです。「ちゃんとしなさい」「お姉ちゃんでしょ」と過剰な要求を押し付けがちで、子供の望みに耳を傾ける前に頭ごなしの指示をしてしまうと、子供は親の顔色をうかがうようになります。
そうすると、子供は親の態度に委縮してしまい、自分のして欲しいことや弱音をパパやママに伝えにくくなってしまいます。いわゆる、「大人しくて、親の言うことをよく聞く手のかからない良い子」のできあがりですね。こういった子供は親に甘えることを我慢し続け、パパやママからの無条件の愛情を充分に受け取ることができなくなってしまいます。
困難を乗り越える力は「甘え」から育つ
子供が大きくなって人間関係でつまずいたり、壁にぶつかったりした時、「小さい頃から親が甘やかしたからだ」と周囲から言われることがあります。こういった言葉を耳にすると、「子供に甘えさせてはいけないんだ」と気を張るパパやママもいるのですが、社会での困難や挫折は、親が子供を情緒的に「甘えさせた」ことが原因で起こるわけではありません。
むしろ、幼児期から親が子供のSOSをしっかり受け止め、一緒に様々な感情を共有し、無条件に抱きしめてきた「甘えの経験」こそが、子供の心の強さになります。
子供が自分自身への誇りや自信をベースに、社会との摩擦があっても折れずに乗り越えていくためには、親が物質的な甘やかしや過保護・過干渉をやめて、子供の心をしっかり甘えさせてあげることがとても重要なのです。子供を甘えさせることにネガティブな感情を持つのではなく、甘えは子供の心の根っこを太くするものとポジティブにとらえましょう。
上手に子供を甘えさせる4つのコツ
こんなに大事な子供の甘えですが、毎日家事や仕事に追われていると、子供が甘えてきてもなかなか十分に相手ができないことだってありますよね。時には「ごめんね、ちょっと待ってて」と子供の甘えをかわしてしまうことも仕方がないのですが、いつもそればかりだと、子供が素直に甘えられなくなってしまいます。忙しい毎日でも上手に子供を甘えさせるコツを4つご紹介しますので、育児に役立ててみて下さいね。
1忙しくても必ずスキンシップはとりましょう
子供の甘えは時と場所を選ばないので、夕飯作りで火を使っている時など、パパやママが全て応じることができないときがあって当然です。でも、その時にただ「あっちに行ってて!」と子供の甘えを拒否してはいけません。必ず子供の言葉には耳を傾け、ゆっくり相手ができない場合には「お料理が終わるまでちょっと待っててね」と目を合わせて伝え、可能であれば数秒だけでもギュッと抱きしめてあげましょう。
子供は「忙しいのに自分の言葉を聞いてくれた」というだけでも、パパやママから大事にされていることを実感できます。短い時間でもスキンシップは最大の愛情表現です。
2物でごまかすことはやめましょう
子供が甘えてきた時に、構ってあげられない罪悪感から「これ買ってあげるからあっちで遊んでて」とおもちゃやお菓子を与えることはやめましょう。物を与えてしまったらそれは「甘え(情緒的欲求)」を満たすことではなく、親の都合を優先させた子供への「甘やかし」になってしまいます。子供にとっても、駄々をこねれば物がもらえるという間違った学習をさせてしまうので気を付けて下さいね。
どんなに高価なおもちゃを与えても、親が笑顔で話を聞いてくれる愛情に勝るものはありません。甘えへの対応は言葉とスキンシップで十分ですので、物で解決しようとするのは避けましょう。
3ガミガミと言うのはやめましょう
日頃から子供に対して「早くしなさい!」「またこぼして!」とガミガミと怒ってばかりいると、子供が委縮してしまって「ママに甘えたら怒られるかも」と思うように甘えることができなくなってしまいます。子供が委縮してしまうと親の顔色をうかがうようになり、親の敷いたレールの上しか歩けず、子供の自発心を大きく妨げてしまうので気を付けて下さいね。
子供を安心して甘えさせるには、日頃から親子の良い関係を築いておく必要があります。一緒に絵本を読んだり、今日あったことを笑い合ったりする時間をとり、信頼関係を維持しましょう。
4子供の頑張りを褒めてあげましょう
子供がお着替えやブロック作りなどを頑張って、「ママ見て!」と喜びを共有しようと甘えてきたときには、パパやママの方から一歩踏み込んで、子供が頑張った過程を大げさなぐらいたくさん褒めてあげましょう。「一人でボタン留められたの!?すごいね!」と褒められることで、子供は甘えを受け止めてもらえた満足感とともに、次も頑張ろうという意欲を持つようになってくれます。
親に甘えさせてもらい、認めてもらった経験は、子供が一生を生きていく上でベースとなる大きな自信です。うまくいかないことがあって悔しくて泣いて甘えてきた時も、結果ではなく子供の挑戦した頑張りを認めてあげることで、子供のメンタルを強く育てていきましょう。
大人も子供の「甘え」を楽しみましょう
子供の「甘え」と「甘やかし」を区別することは一見難しいようですが、「心を満たすのは甘え」「物質的な要求や親の先回りは甘やかし」と自分の中できちんと線を引いておくことが大事です。何が子供の将来に良い影響を与えるか、何が自立を妨げるのかを考えて、家庭なりにルールを決めていきましょう。
忙しい時にひっきりなしに子供が「抱っこ」「見て見て」と甘えてくると、ついついイライラしてしまいますが、子供が親の膝の上に飛び込んで甘えてきてくれる期間は、人生の中で決して長くはありません。たった10秒のことでもいいので、ちょっと家事や仕事の手を休めて、子供の甘えと真剣に向き合い、その温もりに親自身も癒される時間を作ってみてはいかがでしょうか。

