イクメンプロジェクトって何?それほど浸透していない気が…
皆さんは「イクメンプロジェクト」をご存知でしょうか。「今更だけど、イクメンプロジェクトって何だろう」と思っている方も多いかもしれませんね。これは、厚生労働省が、働く男性が育児をより積極的に行うことや、育児休業を取得できる社会の気運を高めることを目的として、2010年に発足させたプロジェクトです。
しかし、環境省などが主導した「クールビズ」という言葉に比べると、まだまだその浸透率や、影響を受けた男性が少ないと感じる方もいるかもしれません。
そもそも「イクメンプロジェクト」とは、どのような目的で始まり、どのような活動をしているのでしょうか。
イクメンプロジェクトを厚生労働省が始めた目的って?
厚生労働省が始めたイクメンプロジェクトは、「育てる男が、家族を変える。社会が動く。」をメインテーマに掲げ、男性の育児参加や、育児休業取得の促進などを目的としています。
「イクメンとは、子育てを楽しみ、自分自身も成長する男性」ということをコンセプトにし、そういったイクメン男性を増やそうとしたのが、プロジェクトの大きな狙いの一つです。
2009年の「育児・介護休業法」改正により、男性も育児休業を取得しやすい環境づくりが進められる中、厚生労働省は2010年に、法改正の趣旨を踏まえ、男性がもっと積極的に育児に関わることができる一大ムーブメントを巻き起こすべく「イクメンプロジェクト」を開始しました。
男性の育休取得率はどう変化したの?プロジェクトの取り組み
イクメンプロジェクトの開始に伴い、男性の育児休業取得は促進されたのでしょうか。
厚生労働省がプロジェクトを開始した2010年度の民間企業における男性の育児休業取得率は1.38%と、女性の取得率(83.7%)と比べて非常に低い水準でした。その後、法改正やプロジェクトの推進により取得率は徐々に上昇していますが、「男性が育休を取得するのは難しい」という社会の雰囲気や、職場における業務への影響、経済的な不安などから、政府の理想と現実には大きな差があるのが現状です。
このような状況を改善し、仕事と育児の両立を支援するために、イクメンプロジェクトでは主に以下の活動を展開しています。
イクボスアワードって知らなかった…!
イクメンプロジェクトの一環として、2014年からイクボスアワードが実施されています。
「イクボス」とは、部下の育児と仕事の両立を支援する上司や経営者のことです。育休取得や短時間勤務などの制度を部下が利用しやすいように配慮し、業務が円滑に進むよう工夫しつつ、自らも仕事と生活を充実させている管理職(男女不問)を表彰する制度です。
これからの社会では、そのような「イクボス」が増えることで、子育てしやすい職場環境が整っていくことが期待されます。
父子手帳って浸透しているの?自治体によって面白い手帳があるみたいだね
母子手帳ならぬ父子手帳をご存知でしょうか。これは、父親の積極的な育児参加を促すことを目的として、各自治体が独自に作成・発行している啓発冊子です。
父子手帳は、母体の心身の変化、子どもの成長と必要な知識、育児の基礎、子育て機関の紹介など、父親の育児に対する不安や疑問に寄り添った内容がボリューミーにまとめられています。成長の記録を書き込める欄などもあり、夫婦で子育てに向き合うきっかけにもなります。
母子手帳とは違い、自治体によっては発行していないところもありますが、その内容には個性があり読み応えも十分です。お住まいの自治体が発行していないかチェックしてみましょう。
もし、旦那さんが父子手帳を持っていなかったら、自治体のホームページなどで内容を確認したり、入手方法を調べてみるのもおすすめです。手帳に目を通すだけで、旦那さんの子育てに対する意識が変わってくるかもしれません。
旦那にはイクメンになってほしいから自分で始めるイクメンプロジェクト!
「旦那さんにはイクメンになって欲しいけれど、会社で育休を取るのはまだ難しそう…」と感じている方もいるかもしれません。それなら、奥さんの力で旦那さんを、今よりも積極的に育児に関わる「イクメン」へと変化させる「家庭内イクメンプロジェクト」を始めてみませんか。
厚生労働省が推進するイクメンプロジェクトの狙いには、多くの女性が賛同できるはずです。社会情勢などが関わり、その浸透には時間がかかっていますが、今後、社会の流れが大きく変わっていくことは十分に考えられます。そんな望ましい時代をより早く迎えるためにも、奥さんから働きかけ、旦那さんの意識を変えていくことが大切です。
そのために参考にしていただきたい方法を紹介します。
1 最初は簡単な事からお願いして、出来たら大いに褒める
多くの場合、男性は褒められるとやる気がアップし、能力も伸びやすいと言われています。これまで育児に消極的だった旦那さんが、「赤ちゃんのオムツを替えた」「一緒にお風呂に入った」など、子育てに関わってくれたら、盛大に褒めてあげましょう。些細なことでも「旦那がイクメンで助かる!ありがとう!」と感謝を伝えると、次の行動へのやる気が湧いてきます。
また、育児に乗り気ではない男性は、そもそも子育てに関する知識や経験が不足している場合が多いです。少しずつ簡単なことから経験を積み重ねてもらい、知識を増やせるようサポートしていきましょう。「自分は育児に関する知識も経験も持っている」と感じてもらうことで、イクメンとしての自覚も芽生えてきます。
2 ママ友のイクメン旦那と交流する機会をもって刺激を与える
奥さんから色々とお願いされても、子育てに対するやる気の出なかった旦那さんが、育児に積極的なママ友の旦那さんの姿を見て、急に「自分もやらなきゃ」とやる気を出すことはよくあります。話を聞かせるよりも、ママ友のイクメン旦那と交流する機会を作ってみましょう。目の前にいるイクメンの姿が、良いライバル心となってやる気が出ることも期待できます。
イクメンたちの集いである「パパ友の会」などが催されている地域もあります。もし旦那さんがそういった活動に参加したのなら、その間にママは友人たちとゆっくり過ごす時間も作れますね。
3 お子さんにパパを沢山褒めさせてより愛着をもたせさせる
パパが「子育て」に対するやる気が出ない原因の一つに、子どもと接する時間が少ないことから「パパよりママが好き!」と言われてしまい、モチベーションが下がってしまうことが挙げられます。
そこで、普段からママがパパのことをたくさん褒めて「パパはお仕事頑張ってくれてエライね」「パパのこと大好きだもんね〜」と言ってあげることで、子どもも「大好きなママの大好きなパパだから、自分もパパを大好き」という流れになりやすく、お子さんがパパにより懐きやすくなります。
そうなると、パパも子育てに対する愛着がわいてきますよね!
4 独身時代を思いだして、お願いしてみる
「なんで協力してくれないの?!」「なんでこんなこともできないの?!」「私はこれだけ頑張っているのに…」と、子育てに協力的ではないパパに、その思いをぶつけたい気持ちはよくわかります。しかし、感情的な言い方ばかりをしていたら「俺だって仕事頑張っているんだ!」と返されかねません。
「なぜしてくれないの?」ではなく「してくれると嬉しい!」というスタンスに、時には切り替えることが必要となります。
そんな時には、上手に甘えられていた独身時代を思い出して「あなたが頼りなの。本当に助かる!ありがとう、大好き。」そんな可愛らしい態度で接すれば、「もっと頼ってくれよ!」という気持ちが旦那さんの心の中で強まっていきます。
5 オシャレなイクメングッズを買ってやる気を引き立てよう
何か趣味を始める時には、最初に道具を買い揃えることでやる気を出すのが男性の特徴です。そこで、家庭内イクメンプロジェクトを始める時にも、おしゃれなグッズを買うことも大切となります。
「おしゃれなエプロン」や「男性用のおしゃれな抱っこ紐」などのイクメングッズを買って、その姿を写真などに記録してあげると、イクメンとしてのやる気もアップします。
またスマホに保存されている写真を、旦那さんの会社の同僚や友人などに「俺イクメンだからさ」などと言って見せることで、イクメンとしてのモチベーションはさらに高まっていきます。
ママたちの努力でブームをつくれば、社会の流れが変わっていく!
厚生労働省が2010年に始めた「イクメンプロジェクト」の狙いについては、多くの女性が共感すると思います。その恩恵を受けて、「父子手帳」が発行されたり、「イクボスアワード」などが実施されたりしました。日本社会に伝統的に根付く「子育ては女性が積極的にすべきもの」という風習が色濃く残る社会情勢なので、男性が育児休業などを取得しづらいのが現状かもしれません。
旦那さんが育休を取得できなかったとしても、奥さんが家庭内でできるイクメンプロジェクトを実施していくと、旦那さんの子育てに対する意識が変わって、積極的に関わるパパに変身していきます。そういったパパさんがどんどん増えていけば、社会の流れが大きく変わってくるかもしれません。
そんな望ましい時代には、厚生労働省の「イクメンプロジェクト」と、ママたちが家庭内で行うプロジェクトとの相乗効果のおかげで、今よりも女性が子育てをしやすい時代となっていることでしょう!



