【蒼】を名前に使う際は本来の色と熟語のイメージのギャップに注意が必要です
「蒼」という漢字は、「ソウ」という耳に心地よい響きの音で読むことができ、近年男の子の名付けで人気を集めています。
この漢字は「蒼色(そうしょく、または、あおいろ)」という色の名前にも使われているため、自然の壮大さをイメージさせる名前を赤ちゃんに付けたいと考えるパパやママに選ばれることが多いです。
しかし、「蒼」からイメージする色と、この漢字が本来持つ色(深い緑色)には違いがあります。名付けた後に後悔しないように、漢字の意味をしっかりと確認してから選びましょう。
子育て4コマ漫画:名前に2つの色イメージを与える「蒼」
漢字「蒼」の持つ意味は?色のイメージと熟語の対比
「蒼」という漢字から「青色」を連想して名前を付けるパパやママは多いのですが、実は「蒼色」は草の深い緑色を意味する文字です。
日本では古来より緑色を「あお」と表現する文化があり、例えば、信号機の「青」は緑色ですし、「青々」と草木が茂る様子を表します。青汁も緑色ですが「あおじる」と呼びますね。
ただし、「蒼」は熟語になると「青」に近い色を表現することがあります。「蒼天(そうてん)」は青空や大空を意味し、「顔面蒼白(がんめんそうはく)」の「蒼白(そうはく)」は血の気がなく青ざめている青白い色をさします。また、「蒼玉(そうぎょく)」は、サファイアの別名です。
空や海のような青々とした壮大な色のイメージを込めて名付けたい場合は、「蒼」という漢字が持つ本来の色(深い緑)のイメージと、熟語で使われる青色のイメージをしっかりと理解した上で選ぶことが大切です。
| 画数 | 13画 |
|---|---|
| 部首 | 艸、艹(くさかんむり) |
| 読み方 | 音:ソウ 訓:あお、しげ |
| 名のり 人名訓 |
※人名にのみ使われる読み方※ あおい、しげる |
| 意味 | ①草の深い緑色 ②草木が青々と茂る様子 ③あわただしく慌てる様子 ④薄暗い様子 ⑤白髪が混じった年老いた様子や古びた様子 |
| 漢字の由来 | 並んで生えた草(艸)と倉を組み合わせた会意形声文字で、青草が屋根に敷き詰められた食糧庫や倉庫に保管された植物を表すと言われています。 |
| 電話での 伝え方 |
草冠に倉庫の倉 |
「蒼」は名付けに不向きな漢字?人名用漢字として縁起の良い意味も持ちます
「蒼」には「古びた」「年老いた」といった意味も含まれるため、赤ちゃんの名前には良くないのではと心配されるパパやママもいらっしゃるかもしれません。
しかし、「蒼」は「茂る」という意味や、多くの人々を意味する「蒼生(そうせい)」「蒼氓(そうぼう)」にも使われる縁起の良い漢字でもあります。
近年行われている男の子の名前ランキングでも、「蒼介」「蒼太」「蒼馬」といった名前が上位にランクインしており、人名用漢字として自信を持って選んでいただけます。
男の子の名付けで人気がある「蒼」がつく名前の例
俳優の福士蒼汰さんなどの活躍もあり、近年男の子の名前に選ばれる漢字として、「蒼」の人気は高まっています。
「蒼」は、涼やかさ、賢さ、自然体で落ち着いた実力があるといった、奥深く力強い男性的なイメージを持つ漢字です。一文字で「ソウくん」と名付けても、他の漢字と組み合わせても、将来、個性的で魅力的な男性になってくれることが期待できるでしょう。
- 蒼輝(あおき)
- 蒼士(あおし・そうし)
- 蒼斗(あおと)
- 蒼太(そうた)
- 蒼志郎(そうしろう)
- 蒼大(そうだい)
- 蒼太朗(そうたろう)
- 蒼真(そうま)
- 蒼和(そうわ)
- 蒼空(そら・あおぞら)
女の子の名付けで人気がある「蒼」がつく名前の例
「蒼」は落ち着いた奥深い大人のイメージを持つ漢字です。そのため、若々しい青い空や海を連想させる「海」「波」「空」「風」といった漢字と組み合わせて名付けるパパやママも少なくありません。
名付けの例として「蒼子(そうこ)」「蒼湖(そうこ)」といった名前も挙げられますが、音だけで聞くと「倉庫(そうこ)」を連想する人もいます。名前を付ける際は、音の響きや連想される言葉も意識し、ご家族が納得のいく名前を付けてあげてください。
- 蒼依(あおい)
- 蒼那(あおな)
- 蒼乃(あおの)
- 蒼葉(あおは)
- 蒼波(あおば)
- 蒼羽(あおば)
- 蒼海(あおみ)
- 蒼香(そうか)
- 蒼楽(そら)
- 乃蒼(のあ)
「蒼」がつく名前の著名人・有名人の例
「蒼」が名前につく著名人や有名人の中には、本名ではない方もいますが、芸術性や才能を武器に各界で活躍されています。
例として、NHK大河ドラマで活躍された渡邉 蒼(わたなべ あお)さんのように、「蒼」を「あお」と読む素敵な名前もあります。清々しくエネルギッシュなイメージとマッチしていますね。
- 勅使河原 蒼風(華道家)
- 中村 蒼(俳優)
- 福士 蒼汰(俳優)
- 松村 蒼石(俳人)
- 渡邉 蒼(俳優)
- 紅城 蒼(作家)
- 岩本 乃蒼(アナウンサー)
- 岡本 蒼(作家)
- 二木 蒼生(タレント)
- 本田 蒼風(書道家)
「蒼」を女の子の名前につけた体験談~男の子と間違われるけど良い名前です
「蒼」は男の子に人気の高い漢字のため、女の子に使うと男の子と間違われることがあるかもしれません。
しかし、近年の名付けは多様化しており、「大切なのは親の願いや思いを込めること」と考えるパパやママが増えています。大人っぽい落ち着いたイメージを持つ「蒼」のつく名前には、成熟した人間力を備えたパワーを感じられますね。
蒼生(あおい):元気よく健やかに成長してほしいと願って
「蒼」には「草木が茂るさま」という意味があります。娘が5月生まれでしたので、初夏に草木が勢いよく茂るように、子供にも元気よく健やかに成長してほしいという願いを込めて「蒼生」と命名しました。
当初は「凛」という響きやイメージが第一候補でしたが、苗字と合わせると少し違和感があったので「蒼生」に決めました。「蒼生」は男の子に付けられている方が多いようで、名前だけだといつも男の子だと思われてしまうようです。
現在娘は中学2年生で、ソフトボール部に所属しています。エースではありませんがレギュラーでセンター(控えのピッチャー)を務め、打順は5番を打っています。
小さいころは内気で人見知りばかりしていましたが、今では活発な女の子に成長しました。ぜひ「蒼」という漢字を使い、お子さんに素敵な名前を付けてあげてほしいと思います。
「蒼」を男の子の名前につけた体験談~かっこいいと褒めてもらえます
「蒼」という漢字は画数が多く、小学校低学年では習いませんが、部首の草冠は小学校1年生、構成要素の「倉」は小学校4年生で習うため、実はそれほど書きにくい漢字ではありません。
もし漢字の難しさが気になる場合は、組み合わせる漢字をシンプルにするなど配慮すると良いでしょう。
蒼良(そら):蒼天という言葉から
二児の父です。息子に蒼良(そら)と名付けました。「蒼天(青空)」のように、晴れ渡った心の良い人になってほしいという願いから、周囲の意見を押し切ってほぼ独断で決めました。
小学校低学年で習わない字なので、幼いうちは漢字で書くのが難しいかもしれないと少し心配しています。名付けた時は気にしていなかったのですが、後で字画が非常に良いと分かり、半ば強引に自分の意見を通しましたが後悔はしていません。
偶然にも子供の好きな色が青なので、名前と合致して嬉しく思っています。「蒼空」「蒼海」といった壮大さをイメージさせ、「蒼龍」のように龍にも使われる、男の子の名前にぴったりの漢字だと思います。
蒼太(そうた):色の名前が良かったから青色にちなんで蒼太にしました
私は蒼太の母親です。子供ができたら色にちなんだ名前を付けたいという思いがあり、夫を説得し、画数が良い「蒼太」という名前にしました。この名前にして困ったことは全くありません。
子供もこの名前を気に入っており、友達からも「呼びやすくて親しみが湧きやすい」と大変好評のようです。本人は「唯一の悩みは、あだ名がつきにくいことだ」と言っていました。
実際、「蒼太」は呼びやすいので、あだ名をつける必要がないのだと思います。「蒼」の字を使用する際は、2文字目以降をシンプルな漢字にすると「蒼」の漢字がより際立つと感じています。
蒼馬(そうま):澄んだ蒼い空をイメージして
澄んだ蒼い空のように晴れ晴れとした子に育ってほしくて、「蒼という文字を使いたいね」と夫と話し合っていました。「あお」よりも「そう」という読み方の方がスッキリした感じがあったので、「蒼馬」と名付けることにしました。
一応神社でも見てもらい、名字との相性も良いと言われました。ただ、子供が小学校に上がってから「僕の漢字はまだ習わないから難しい」と文句を言われたことがあります。確かに画数が少なくないので、少し申し訳なく思いました。
それでも人に読み間違えられることはありませんし、「かっこよくて良い名前だね」と言ってもらえます。多少字数が多くても気にならないのであれば、良い印象を与える字だと思います。
蒼(あおい):妻が好きな俳優さんの名前から
私は20代の男性ですが、妻が大ファンである男性タレントの中村蒼さんのお名前からいただきました。この名前にして特に困ったことや後悔はありません。
覚えてもらいやすく気軽に呼んでもらえるということもあり、実際に入園するまで緊張していた保育園でもすぐにお友達ができたようです。もし「蒼」という名前を付けるか悩んでいるご両親がいれば、親しまれやすく綺麗な漢字なのでぜひお勧めしたいです。
蒼也(そうや):さわやかな響きが気に入ったから
「蒼」の漢字を「そう」と読むことを決めてから、候補を出して選びました。「蒼」という漢字の持つさわやかな響きが気に入りました。やはり人気がある漢字なので、お友達と被ることはありますが、全く後悔していません。漢字が被ったお友達と初めて会った時に「おそろいだね~」と盛り上がります。
「蒼」という漢字は見た目もかっこいいですし、響きもさわやかで、思いやりを持った優しいイメージが沸くので、とてもおすすめです。
蒼輔(そうすけ):夫の名前から一文字もらいました!
私の夫の名前が「蒼(そう)」ですので、そこから一文字もらいました。夫のような誠実な人になってほしいと思って名付けました。「蒼」という漢字を付けて困ったことや後悔はありません。
我が家では「蒼くん」と呼んでいます。とても呼びやすい名前だと思っています。最初は珍しい漢字だと思っていましたが、意外に周りに「蒼」が付く名前の子供が多いことを後で知りました。
「蒼」と似て非なるイメージの漢字、「碧」「葵」との違いと名付けのヒント
「蒼」「碧」「葵」は、全て「あお」の読みを含み、青色や自然をイメージさせるため、名付けの際にどれを選ぶか迷われるパパやママが多くいらっしゃいます。実は、それぞれ表す色に違いがあります。
「蒼色」は深い緑色、「碧色(へきしょく)」は緑色がかった青色(青緑)を指すことが多いです。それに対し、「葵色(あおいろ)」はリンドウのような明るい赤紫色を指すこともあります。
また、宝石の名前にも違いがあります。「蒼玉(そうぎょく)」はサファイアの別名ですが、「碧玉(へきぎょく)」はジャスパーという石の別名で、「葵」は植物の花の名前です。「蒼」のつく名前を検討しているパパやママは、「碧」や「葵」についても詳しく調べ、よりイメージに近い漢字はどれかを知ってから名付けることをおすすめします。



