【徹底解説】赤ちゃんの背中スイッチを作動させない寝かしつけ対策と原因は?いつまで続く?
抱っこでぐっすり眠っていた赤ちゃんを、そっと布団やベッドに下ろした途端に目を覚まし、泣き出してしまう――。この現象は「背中スイッチ」と呼ばれ、多くのママやパパが経験する寝かしつけの大きな悩みです。産後、家事やご自身の休息のためにと、赤ちゃんが寝たタイミングで布団に下ろしたくても、背中スイッチが発動してしまい、なかなか休めないことにイライラしてしまうこともあるかもしれません。今回は、この背中スイッチの原因を理解し、効果的な対策、そして「いつまで」続くのかについて、詳しくご紹介します。
背中スイッチは、赤ちゃんが不安や不快を感じた時に発動すると考えられており、赤ちゃんが成長する過程で自然に見られるものです。天使のような赤ちゃんが、この時ばかりは悪魔に見えてしまう…そんな気持ちになってしまうママやパパに、背中スイッチの秘密と具体的な攻略法をご紹介します。
子育て4コマ漫画:無敵の背中スイッチ!弱点はなに?
「背中スイッチ」とは?布団に置くと泣く主な原因
ママたちの間で話題になる背中スイッチとは、抱っこで眠っていた赤ちゃんを布団やベッドに寝かせようと、背中が触れた瞬間に敏感に反応して泣き出してしまう現象を指します。その原因は一つではなく、複数の要因が絡み合っていると考えられており、赤ちゃんによって有効な対策が異なるため、多くの方が試行錯誤されています。
背中スイッチが発動する主な原因
赤ちゃんが抱っこから離れるのを嫌がる理由、つまり背中スイッチが発動する主な原因は、赤ちゃんの嗅覚、温度感覚、触覚、そして睡眠リズムに起因すると考えられています。特に月齢の低い赤ちゃんは、環境の変化に敏感に反応しやすいため、以下の5つの基本的なタイミングが考えられます。
1安心感の喪失(ママから離れたくない)
赤ちゃんは、抱っこされている状態では、ママやパパの体温、匂い、そして心臓の鼓動を常に感じています。これらは赤ちゃんにとって最大の安心材料であり、お腹の中にいた時の感覚に近い状態です。布団に下ろされてこれらの感覚が突然なくなると、赤ちゃんは心細くなり、不安から泣いてしまうのです。
2眠りの浅いレム睡眠中だった
赤ちゃん、特に新生児期の赤ちゃんは、大人に比べてレム睡眠と呼ばれる浅い眠りの時間が長く、睡眠全体の約半分を占めるとされています。レム睡眠中は体が休んでいても脳は活動しており、ちょっとした刺激で目が覚めやすいのが特徴です。また、レム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠を繰り返す睡眠サイクルは、大人(約90分)より短い約50分とされています。この浅い眠りのタイミングで環境が変わると、熟睡しているポイントを外してしまい、目を覚ます原因になってしまいます。
背中スイッチを防ぐには、赤ちゃんが熟睡しているかを見極めることが重要です。授乳後すぐに布団に下ろすのではなく、しばらく抱っこを続けて深い眠りに入ったことを確認しましょう。熟睡の目安は、口が開いている、口元に触れても反応がない、手足を少し持ち上げて離しても、脱力してだらーんとなっているといった状態です。
3背中の温度が急激に変化した
ママの温かい腕の中にいることで、赤ちゃんは守られていると感じ、リラックスして眠りにつきます。しかし、布団に寝かせようとママの体から離すと、背中に冷たい空気が流れ込んできます。赤ちゃんは背中の温度変化を敏感に感じ取るため、この急な変化が不快となり、背中スイッチが発動することがあります。
4体勢・姿勢が変化した
抱っこされている時、赤ちゃんは一番心地よいと感じる姿勢で眠りについています(横抱きや縦抱きなど)。それが突然、仰向けの平らな状態に変わってしまうと、自分の好きな姿勢が変わったことによる不快感や違和感を覚え、寝心地が悪くなったと感じて起きてしまいます。
5背中の感触が急に変わった
赤ちゃんは、包まれていたママやパパの胸や腹部の心地よい柔らかさを覚えています。しかし、布団に下ろすと、その感触は一気に変わり、その変化を敏感に感じ取るのです。
一般的に、ベビー布団は、赤ちゃんの骨や関節の成長を妨げず、うつぶせになっても顔が沈まないようにやや硬めに調整されていることが多いです。ママの柔らかい体から、急に硬い感触に変化すると、赤ちゃんはその変化を嫌がって泣いて訴えることが多いのです。
背中スイッチはいつまで続く?終わる時期の目安
背中スイッチが過敏で、家事や休息ができないと悩むママやパパにとって、「いつまで」この状態が続くのかは最大の関心事でしょう。背中スイッチがオンになるのは新生児期からと言われていますが、スイッチが弱まる時期には個人差があります。
一般的には、生後半年頃までに落ち着く赤ちゃんが多いとされていますが、中には1歳頃まで続くケースもあります。これは、生後4〜6ヶ月頃になると、睡眠リズムが整い始めたり、モロー反射が弱まってきたり、また、ハイハイなどで活動量が増えて疲れるため、自然と背中スイッチの感度が弱くなるためです。いつまでも続くものではありませんので、焦らず赤ちゃんの成長に合わせて様々な対策を試してみましょう。
置いても泣かない!背中スイッチの具体的な対策・グッズ活用法
赤ちゃんの月齢が低い時期は、お腹の中にいた時のように安心感を与える体勢や環境作りが大切です。少し大きくなってきたら、寝る環境を整えるネントレ(ねんねトレーニング)などの対策を試すことも可能です。
おくるみ(スワドル)でモロー反射を防ぐ
赤ちゃんは、音や光、体勢の変化に反応し、突然両手を広げるような動きをします。これはモロー反射と呼ばれる原始反射で、生後4ヶ月頃までに多く見られます。この反射で手足が動くことが刺激となり、背中スイッチが発動する原因の一つになることがよくあります。
背中スイッチ対策としておすすめなのは、おくるみ(スワドル)で赤ちゃんを優しく包み込み、モロー反射による手足の動きを抑えることです。この時、赤ちゃんの手と腕を体に密着させてしっかり包みましょう。ただし、股関節脱臼予防のため、足は自然な形で曲げられるようにゆとりを持たせることが重要です。
おくるみで包んだまま熟睡を確認してから布団におろすと、背中スイッチの発動を抑える効果が期待できます。最近では、抱っこ布団や寝かしつけクッションといった、抱っこからそのまま布団に下ろせる便利グッズも、背中スイッチ対策として注目されています。
布団を人肌程度に温めて温度変化を抑える
前述の通り、背中の温度変化は背中スイッチの大きな原因です。赤ちゃんを布団に下ろす前に、布団をあらかじめ人肌程度の温度に温めておくと効果的です。温めすぎると寝苦しくなるため、湯たんぽや人肌よりも少し温かいお湯を入れたペットボトルなどを事前に布団の中に忍ばせておき、赤ちゃんが寝る頃にちょうどよい温度になるように工夫してみましょう。寝る直前に取り出すことを忘れないようにしてください。
お尻からではなく頭からゆっくりおろす
赤ちゃんを布団に寝かせる際、急にお尻から布団につけて手を離してしまうと、体幹が不安定になり、背中スイッチが発動しやすくなります。成功率を上げるためには、頭からゆっくりと布団におろす方法が推奨されます。また、布団の冷たさをあらかじめ確認しておきましょう。
赤ちゃんを頭からお布団に寝かせる手順
- ママと赤ちゃんがぴったりとくっついたまま、赤ちゃんの頭を先にそっと布団におろします。
- 次に、赤ちゃんの首と背中を、少しずつ手を放しながら下ろしていきます。
- 最後までママの上半身は赤ちゃんの胸に密着させたままにし、最後にゆっくりと離します。
- 最後に、赤ちゃんのお尻をトントンするなどして、体全体の密着がなくなる時間をできるだけ長く保ちます。
背中にクッションをあてて姿勢の変化を緩和する
生まれたばかりの赤ちゃんの背骨は、抱っこされている時に近い緩やかなCカーブを描いています。平らな布団ではその感触が合わず、赤ちゃんが不快に感じることがあります。この場合、月齢の小さな赤ちゃんの背中に薄いクッションやタオルなどをあてて、緩やかなCカーブの姿勢のまま寝かせてあげると、背中スイッチの発動を防ぐことが期待できます。その際は、赤ちゃんの呼吸を妨げないよう、またうつぶせにならないよう、安全に十分配慮してください。
添い寝・添い乳などでベッドや布団で寝かしつける
ある程度月齢が大きくなってきた赤ちゃんには、抱っこで寝かせるのではなく、最初からベッドや布団の上で寝かしつける方法も有効です。これにより、抱っこから布団に下ろすという背中スイッチが発動するタイミングを一つ省略することができます。
まだ母乳をあげている場合は添い乳、ミルクの場合は添い寝をすることで、ママのぬくもりや匂いを感じながら、布団の感触や姿勢の変化に戸惑うことなく眠りにつくことができます。添い寝は、泣き止まない赤ちゃんをあやしたりする必要もなく、ママやパパも体を休めることができるため、試してみる価値はあります。ただし、安全上の理由から、添い寝の際は赤ちゃんの顔の周りにものがなく、大人用の布団や枕で窒息しないよう十分注意してください。
背中スイッチが作動してしまった時の対処法
様々な対策を試したにもかかわらず、やはり背中スイッチが発動してしまった場合は、無理に寝かせようとせず、まずは赤ちゃんを抱っこして落ち着かせてあげましょう。この時、無理に赤ちゃんを起こす必要はありません。赤ちゃんは、抱っこで安心感を得るとすぐにまた眠りにつくかもしれません。
そして、しばらく時間を置き、深い眠り(ノンレム睡眠)に入ったことを確認してから、背中スイッチが発動しないようにゆっくりと布団に下ろしてみましょう。
背中スイッチは、赤ちゃんがママやパパに安心感を求めているサインでもあります。ママやパパが「なぜ起きたの?」「早く寝てくれないかな」と焦る気持ちは、赤ちゃんに自然と伝わることがあります。抱っこで寝かしつけができる期間は、人生において本当にわずかな間です。この特別な期間だと視点を変えて、赤ちゃんにゆったりと付き合ってあげてはいかがでしょうか。