こぶししゃぶりはやめさせるべき?赤ちゃんが拳を口に入れる理由
赤ちゃんは、一般的に指を口に入れるのが好きで、親指を吸う子、中指と薬指の2本の指を吸う子など、お気に入りの指しゃぶりのやり方を持っていて、その様子はとてもかわいらしく見えますね。
ところが、中には拳ごと口の中に入れてしまうという、豪快すぎる赤ちゃんがいます。口を大きくあけて、手にかぶりついている我が子の姿を見たら、「この子大丈夫かしら…」と不安になりますよね。
赤ちゃんが拳をしゃぶるのには、実は体の発達と密接な関係があります。ここでは、拳をしゃぶる原因や時期を中心に、やめさせ方や注意点についてママの疑問にお答えしていきます。
こぶししゃぶりとは?拳をしゃぶる原因は?
こぶししゃぶりとは、赤ちゃんがグーにしたげんこつを口の中に入れて、チュパチュパ吸ったりペロペロなめたりすることで、「げんこつしゃぶり」「手しゃぶり」とも呼ばれます。
こぶししゃぶりに夢中になっている赤ちゃんを見ると、「お腹がすいているの?」と不安になるママは多いのではないでしょうか。
赤ちゃんがこぶししゃぶりするのは、主に次のような理由があります。
拳をしゃぶって遊んでいる
赤ちゃんは、生後2ヶ月くらいになると、徐々に自分の周囲のことに興味を持ちはじめます。特に、自分の体は身近にあるものなので、一番に興味を持つ存在です。
こぶししゃぶりのほか、手を見つめるハンドリガードや手足をバタバタするなどして、自分の体のパーツについて確認しているとも考えられます。
また、赤ちゃんは何でも気になるものがあると、口の中に入れて確かめるために、ついついパクッと手を口の中に入れてしまうようです。
拳をしゃぶると安心する
赤ちゃんは眠るときに不安になりやすいことから、何らかの方法によって安心感を得ようとします。例えば、おくるみで包まれると安心する、口をもぐもぐすると落ち着くなど、赤ちゃんによってさまざまな方法があります。
そして、こぶししゃぶりをすることによって、ホッとするという赤ちゃんのいるのです。
赤ちゃんがこぶししゃぶりをする場合は、不安を感じていたり、気持ちを落ち着けようとしている可能性が高いため、く、ママが「大丈夫よ」と一声をかけてあげると安心するかもしれませんね。
拳をしゃぶってみたら気持ちが良かった
赤ちゃんには、唇や口の周りに触れたものをくわえようとする「口唇追いかけ反射」や口の中に入ってきたものに吸い付く「吸綴反射」などの原始反射が生まれつき備わっているため、何かの拍子に拳を口の入れることがあります。
そして、たまたま口の中に入れた拳を吸ってみたら、気持ちがよくて、何度も繰り返すことがあるのです。
手も口も、どちらも赤ちゃんの体の一部なので、吸う感覚と吸われる感覚の両方を楽しんでいる場合も・・・。体に刺激を受けることは、赤ちゃんの体の発達にも良い影響を与える行動だといえます。
こぶししゃぶりはいつからいつまで
早い赤ちゃんだと、生後2~3ヶ月くらいでこぶししゃぶりを始める場合もあります。この時期に始めるのは、体の発達に関係していると考えられています。
一般的に、赤ちゃんが自分の体に興味を持ちはじめるのは生後2ヶ月くらいといわれており、ハンドリガードやこぶししゃぶりをはじめるのもこの時期にあたります。
さらに、生後2ヶ月前後になると、何らかの刺激を受けることによって同じ行動を繰り返す「循環反応」が見られるようになるため、こぶししゃぶりで口や手に受ける刺激を何度も繰り返すことがあります。
こぶししゃぶりをしなくなるのは、だいたい生後6ヵ月くらい。口唇追いかけ反射が生後6ヶ月くらいで消失するほか、離乳食をはじめる生後5~6ヶ月になると食べ物に興味を持ちはじめるため、こぶししゃぶりをしなくなるのです。
赤ちゃんの循環反応とは?
赤ちゃんが発達段階で、同じような行動を繰り返し行うことを循環反応といいます。赤ちゃんの循環反応は、月齢によって次の3つに分類されます。子供の発達を知る手がかりとなりますので、知識として覚えておきましょう。
第一次循環反応期
生後1~3ヶ月にみられる反応で、「指しゃぶり」や「舌をペロペロする」など、自分の体を使った行動を繰り返すのが特徴です。
この時期の赤ちゃんは、まだ視力がほとんど発達しておらず、ぼんやりとしか見えない状態のため、舌や口などの自分の体を使った行動が多く見られるのです。
第二次循環反応期
生後3~8ヶ月にみられる反応で、「おもちゃを掴んで投げる」「タオルを振り回す」など、物を使った行動を繰り返して行います。
この時期の赤ちゃんは手足の動きが活発になり、目で見たものを上手に掴むことができるようになるため、このような行動を何度も行うと考えられています。
第三次循環反応期
生後1歳~1歳半ごろにみられる反応で、「物を落とす」「壁にぶつける」などの行動を繰り返すことで、音や形の変化などの反応を確かめる行動が見られるようになります。
例えば、高いところからおもちゃを落としてみたり、ボールを壁に投げつけたりして、投げた時にどんな音がするのか、どんな風に形が変わるのかを観察しながら、さまざまなパターンの繰り返し行動を行います。
こぶししゃぶりをやめさせるには?
赤ちゃんのこぶししゃぶりは、遊びある一方で心を落ち着かせるための欠かせない手段でもあるため、無理にこぶししゃぶりをやめさせようとすると、逆にストレスになってしまう恐れがあります。
こぶししゃぶり以外の楽しい遊びや、心を落ち着かせるためにグッズが見つかれば、自然とこぶししゃぶりはしなくなるので、ほかのことに興味を持たせながら、少しずつやめられるようサポートしていきましょう。
こぶししゃぶりをしながら泣くにはなぜ?
こぶししゃぶりをしながら泣くにはなぜ?
こぶししゃぶりをはじめたばかりの赤ちゃんの中には、こぶししゃぶりをして泣く子や怒る子がいます。慣れないうちは「思うように手を動かせない」「上手くしゃぶることができない」という理由から、イライラして泣いたり、怒ったりすることがありますが、赤ちゃんは赤ちゃんなりに試行錯誤しているので、様子を見守ることも大切です。
赤ちゃんがこぶししゃぶりをする時の注意点
赤ちゃんにとって、こぶししゃぶりは欠かすことのできない行動とはいえ、赤ちゃんが拳をしゃぶる際には、ママが気をつけてあげないといけない点がいくつかあります。
ここでは、赤ちゃんのこぶししゃぶりで気をつけたいポイントを2つ解説します。
赤ちゃんの手を清潔に保ちましょう
汚れた手を口の中に入れると不衛生なので、きれいにしておくことを心がけましょう。よだれで汚れた手を放っておくと雑菌が繁殖するかもしれません。
赤ちゃんがこぶししゃぶりをした後は、手を濡れタオルやウエットティッシュできれいにしたあとで、乾いたタオルで水分を拭き取りましょう。しっかりと乾燥させることで清潔な状態が保たれます。
苦しそうにしていないか見守りましょう
こぶししゃぶりをする赤ちゃんの中には、無理やり拳を口の中に入れようとする子がいます。
「苦しそうにしている」「うなっている」など、危険だと感じた時は、声かけをしたり、関心を別のおもちゃに向かせたりするなどして、こぶししゃぶりをやめさせた方がいいでしょう。