妊婦の靴選びのポイント/注意点は?
妊娠中は体つきや体質が大きく変化していきますね。「その変化に伴ってマタニティウェアは用意したけれど、靴は妊娠前のまま…」という方も多いのではないでしょうか。
妊婦さんの靴の選び方によっては、むくみやすくなったり、疲れやすくなったりするケースもあります。今回は妊娠中に履く靴の選び方のポイント/注意点について解説します。
妊娠中は歩き方が変化する
妊娠中は、赤ちゃんや子宮の成長とともにどんどんお腹が大きくなり、臨月に向けてだんだん骨盤が開いていきます。大きく重たくなったお腹を自然とかばって歩くようになるため、腰を反ったり、猫背になったり、がに股になったりと妊娠中は自分でも気がつかないうちに歩き方が変化しています。
体重が増えることで足腰への負担も大きくなっており、普通に歩いているだけでもバランスを崩しやすくなっているので、妊婦さんの靴選びはとても重要なのです。
ヒールを履く場合どんな危険があるの?
妊娠中はヒールのある靴は控えるべきとされていますが、ヒール靴を履くことで実際にはどんな危険がひそんでいるのでしょうか。考えられる3つのリスクについて確認していきましょう。
1足のむくみ
妊娠期に経験するトラブルのひとつなのが「むくみ」。妊娠中は、赤ちゃんに栄養を運ぶために血液量が増え、水分と血液のバランスが崩れることで妊娠していない時よりもむくみやすい状態になっています。
ヒールの高い靴を履くことで、ふくらはぎの筋肉を動かすことができないこと、足の指先が狭く締め付けてしまうことから、足の血液をうまく循環させることができず、むくみを悪化させる原因になってしまいます。
2転倒の恐れ
妊娠中は約10ヶ月という短い期間で急激に体重が増え、お腹が大きく重たくなります。妊娠前と同じ感覚で歩いているつもりでも、重心の位置が違うためバランスを崩しやすくなっています。また、だんだんとお腹が目立つようになってくると、足元が確認しづらく転びやすくなります。
妊娠していない時にヒールの高い靴を履いていて、何もないところでバランスを崩したり、転んでしまったりという経験はありませんか?妊娠中にヒールの高い靴を履くということは、更に転倒しやすくなっているということです。妊娠中に万が一転倒したら、お腹の赤ちゃんにとっても大変危険ですよね。
3疲れやすい
妊娠中は、出産~産後の赤ちゃんのお世話に向けて、お腹周りだけでなく体全体に脂肪が増えます。
妊娠前の体重にもよりますが、臨月までに8キロ以上体重が増えたというママも少なくなく、体重が増えると、体を支える足腰への負担も増え、それだけ疲れやすくなっています。
ヒールのある靴は、かかとが浮いた状態で地面との設置面が少ない分、足の指先や足首に大きな負担がかかっています。足先や足首への負担が大きくなると血流が鈍くなり、冷えの原因になるので赤ちゃんにも悪影響になってしまいます。
ぺたんこ靴やスニーカーの意外なデメリット
意外なことに、スニーカーやぺたんこ靴は「ぺたんこだからといって安心!」というわけではなく、靴の作りによってはデメリットもあるようです。短所を踏まえた上で購入を検討していきましょう。
ぺたんこ靴のデメリット
ヒールの全くないぺたんこ靴は、高さがないので安定していて転びにくく、脱ぎ履きしやすいので妊婦さんの代表靴のように言われています。ヒールがある靴に比べて楽そうな気もしますよね。
しかし、ヒールのまったくない靴は、インソールに土踏まずをサポートするためのアーチクッションが入っていないものが多いため、歩いた時の衝撃が足にそのまま伝わってしまいます。そのため、少しヒールがある靴に比べて足の裏が疲れやすいのです。
また、靴底が薄い作りであるために滑りやすく、ジャストサイズを履くと妊娠中に足がむくんだ時に脱ぎ履きしにくい、大きめサイズだとぱかぱかと脱げてしまうなど、むくみやすい妊娠中はサイズ選びが難しいといったデメリットもあります。
スニーカーのデメリット
妊婦さんが履くのに向いているような気がしますが、実はスニーカーにもデメリットがあります。
スニーカーはカジュアルな服装には適していますが、フォーマルには向いていません。スニーカーだけではおしゃれの幅が広がりませんし、お仕事用の靴には適していませんよね。スニーカーだけで妊娠中の靴をずっとカバーするのは難しそうです。
また、軽いスニーカーはやはり靴底が薄いため、歩く衝撃がそのまま足に伝わって疲れやすくなったり、スニーカーによっては、それだけで結構な重量があるので長時間歩くと足首に負担になることがあります。靴紐を毎回結ばなければいけないタイプのものは、お腹が大きくなってくると脱ぎ履きしにくいといったデメリットもあります。
ぺたんこ靴とスニーカーのデメリットについて挙げましたが、これらが妊娠中はまったくダメというわけではありません。それぞれの特徴を知った上で、状況に合わせて履き替えてみてくださいね。
妊娠中の靴選びのポイント
購入時の参考にしたい、妊婦さんが靴を選ぶ際のポイント5つについてご紹介していきます。
13センチ以下のフラットシューズがおすすめ
前述の通り、まったくヒールのない靴も足が疲れやすい原因となります。ヒールが3センチ以下のローヒールな靴や、ヒールが1~2センチのフラットシューズがおすすめです。
中でもバレーシューズは様々な服装に合わせやすく、妊婦さんにも人気です。
ヒールの高さと同時に、靴底の厚みにも注目してみましょう。ローヒールといっても、靴底が薄すぎるものは衝撃がもろに足に伝わってしまうので、ある程度の厚みは必要です。ヒールは低めで靴底がしっかりしているものを選びましょう。
2脱ぎ履きが簡単にできる靴
妊娠中は靴を脱ぎ履きするのも不便です。かがむと貧血でフラフラしてしまったり、お腹が大きくなると靴紐が結べなかったり、ジッパーを上げ下げするのもふらついてしまうなど、妊娠していない時は何でもなかった動作が苦になることがあります。
脱ぎ履きするのに毎回しゃがまなければならない靴や、履き口が小さくて時間がかかるような靴は避けた方が無難です。
赤ちゃんが生まれてからしばらくは、首のすわっていない赤ちゃんを抱っこしながらの行動になるので、やはり脱ぎ履きが楽なスリッポンなどがおすすめです。
3裏側がすべりにくい素材の靴
フラットヒールで一見楽そうな靴でも、靴の裏側がつるつるなものだと、雨の日の濡れたタイルやショッピングモールの床ですべりやすいので注意が必要です。
お腹が目立つようになると足元が確認しづらくなり、裏側がつるつるした靴では踏ん張りが利かず転びやすくなるので、すべりにくい素材のものがよいでしょう。靴の裏に溝がついているものや、ゴムの素材になっているものはすべりにくいのでおすすめです。ヒールの高さを確認すると同時に、靴裏がすべりにくい素材になっているかを確認するようにしましょう。
4ピンヒールはNG!接地面積が大きいもの
ローヒールなものでも、ピンヒールの靴はやはり転倒する危険性が高くなるので妊娠中は避けた方がよいでしょう。なるべく地面との接地面積が大きい靴の方が、安定感があって、つまずいたり、溝にはさまったり、バランスを崩したりといった危険が少なくなります。
チャンキーヒールやウェッジソールの靴はヒールの部分が太く安定しているので、妊婦さんにもおすすめです。また、足首の部分にストラップのついているものは、フィット感があって歩きやすいでしょう。
5インソールを活用するのも手
「足になかなか馴染む靴が見つからない」といった方におすすめなのが、足の形に合わせたインソールを活用する方法です。
かかとに厚みがあり自然な傾斜のついたタイプや、土踏まずの部分が膨らんででこぼこしたタイプのものなど、様々なタイプのものがあり、靴と足のずれをインソールが補い、フィットさせてくれます。
インソールを入れることで適度な厚みが衝撃を吸収してくれ、足の負担を軽減させてくれる効果もあります。左右でサイズや形が違うこともあるので、実際に採寸して足に合ったものを購入しましょう。
マタニティインソール 産前用
シューズフィット
価格:1,800 円 + 税
妊娠中の足や腰の負担軽減について考慮された妊婦さんにおすすめのインソールです。かかとが厚めになっており、歩く時の負担を吸収してくれます。靴のサイズに合わせてハサミでサイズの調整が可能です。
購入時期はいつがベスト?
妊娠初期はまだ胎盤が完成しない不安定な状態です。ヒールのある靴ばかり履いている場合は、早めにローヒールな靴の購入を検討した方がよいでしょう。
妊娠中でも履きやすい靴があれば、足がむくんだりして靴が履きづらくなってからの購入でも遅くありませんが、妊娠初期に買った靴は、妊娠後期になって体重が増加して足が大きくなったり、足がむくんだ時にきつくなる可能性があります。
妊娠中に靴を購入する場合は、妊娠後期に買いなおす可能性を考慮して、伸縮性のあるやわらかい素材の靴を購入しておくとよいでしょう。足にぴったりな靴よりも、少しくらいゆとりのある靴の方が、靴下やインソールで調整できてよいでしょう。
妊娠中は安全性を重視しましょう
妊娠中は履ける靴の幅が狭まってしまい、残念に感じる方も多いかもしれませんが、妊娠中はやっぱりママと赤ちゃんの安全を考えるのが第一です。この時期に購入した靴は、赤ちゃんを産んでから首座り前の抱っこが多い時期、お散歩にいく時期などにも大活躍してくれます。
ローヒールでもかわいくて素敵な靴はたくさんあるので、この機会に新しいおしゃれのテイストを楽しんで見てはいかがでしょうか。おしゃれで安全なお気に入りの一足を探してみてくださいね。