多胎妊娠(双子妊娠)の大変だったことと医学的リスク:先輩ママ10人の体験談
双子を妊娠したと分かった時、喜びでいっぱいになる一方で、一人を産むのよりも大変なのではないかという不安も感じるでしょう。双子を妊娠する多胎妊娠は、単胎妊娠(一人を妊娠すること)と比べて、早産や妊娠高血圧症候群などの医学的リスクが高くなるため、慎重な管理が求められます。
初めて双子を妊娠した妊婦さんのために、双子妊娠を経験した先輩ママ10人に体験談を聞きました。双子妊娠のハイリスク性を理解し、お腹の赤ちゃんたちを大切に育て、安心して出産の日を迎えられるよう、この記事をぜひ参考にしてくださいね。
双子の妊婦さんはどんなことが大変でしたか
双子の妊婦さんだった先輩ママ10人に、5つの質問をしました。双子を妊娠した先輩ママの体験記を、双子だと分かった妊娠週数の短い順にご紹介します。
- 妊娠週数がどれくらいの時に双子だと分かりましたか?
- 妊娠週数何週目で双子だとお腹が大きいと感じましたか?
- 双子を妊娠して最も大変だと思ったことは?
- 妊娠中で特に注意していたことは?
- 双子の出産は大変?楽?理由は?
象のように足がむくみました
体外受精で妊娠したので、妊娠5週目には双子であることがわかりました。つわりも5週目から始まり、毎日吐き気に襲われ、ほぼ寝たきりで過ごしました。
つわりが終わってからは比較的快適な日々だったのですが、妊娠25週目に入るとお腹が一気に大きくなり始め、8カ月目には臨月のような大きさでした。
その頃から徐々に身動きを取るのが大変になってきて、身体に異変も起こるようになりました。お腹の重みで背中に激痛が走り起き上がれなくなってしまったり、立ちくらみも頻繁に起こるようになりました。
特に妊娠中一番辛かったのが足のむくみです。家族や友人に写真を送るとびっくりされるくらいにむくみ、痛みもありました。マッサージしてもよくなりませんでしたが、医師には出産したら治ると言われました。
妊娠中はとにかく無理をせず、横になっているように心掛けていましたが、後期は動くのもしんどくなり、ほぼ寝たきりで過ごしました。
出産は35週で帝王切開でした。妊娠高血圧症候群になったり、麻酔で夜中吐き続けたり、輸血したりと色々あったのですが、妊娠中がとにかく辛かったので出産は楽に思えました。
お腹がドリル玉のように大きかった
第二子が欲しくて、主人と妊活していました。数日のフライング検査でうっすらと陽性反応が出たので、その翌々週に産婦人科を受診しました。
その時、妊娠6週くらいだったのですが、診てくれた先生が、「あれ?双子だね!」と言ったのです。思わず、え?と言葉を発したあと何も言えなくなってしまいました。
その後2人の赤ちゃんはすくすくと成長を続け、安定期に入った頃には、すでに臨月なんじゃないかと思うくらいのお腹の大きさになっていました。さすが双子です。
常に私は浮き輪をつけているような気分で、足元が見えなくてよくいろんな場所にぶつかりました。2人がお腹に入っているので、とにかく無理はせず、仕事も早めに産休をいただきました。
いざ出産となると、すでに1人出産経験があったからか、思ったより時間はかからず2時間ほどで産まれてしまいました。妊娠中は大変でしたが、出産は親孝行してくれたと感じています。
想像を絶する気持ち悪さのつわり
私の双子の息子たちは一卵性双生児です。そのため、5週目に初めて病院へ行った時は、超音波検査で妊娠の確認は取れたものの、まさか双子であるという事は、担当医の先生でさえ分かりませんでした。そして双子だと分かったのは翌週の健診の時でした。
双子だから、初めからグングンお腹が大きくなるのかなと思っていましたが、同じ週数の周りの人よりも大きいと感じ始めたのは、だいたい14週の辺りからでした。そこからは物凄い勢いで日に日に大きくなり、20週目には臨月かと聞かれるほどでした。
双子の妊娠中に1番大変だったのは、つわりでした。想像を絶する気持ち悪さで、1番ひどかった時期は、何一つとして食べられるものはなく、みるみる痩せて行き、幸せなはずの妊娠生活も、目で見る景色は全て真っ暗でした。
そんな双子妊娠でしたが、担当医の先生から『双胎妊娠(多胎妊娠)に安定期はありませんから、基本的には絶対安静で、出掛けてもこの病院から30分以上離れたところへは絶対に行かないでくださいね。』と口を酸っぱくして言われていました。妊娠中の旅行に憧れを抱いていましたが、妊娠中はほとんど自宅で安静にして過ごしていました。
出産は帝王切開だったため、陣痛の痛みは経験できませんでしたのでその分楽でしたが、産後の後陣痛と傷の痛みが、それはそれは痛かったのを今でも鮮明に覚えています。
階段は転倒しないように注意しました
私は、29歳で、最近双子を出産しました。あの時は大変でしたが貴重な体験と感動を覚えています。
私が双子を妊娠したとわかったのは、妊娠6週目頃でした。先生に「双子を妊娠しているようですね。」と言われてびっくりしましたが、初産で新しい命を授かったことなので産むしかないと思いました。
そして、双子を妊娠して19週目ぐらいから、他の妊娠している人と比べて自分のお腹が2人分妊娠しているんだと実感しました。見るからに膨らみが大きすぎることもあり、妊娠8か月ぐらいかと思うくらいです。
双子を妊娠して大変だったことは、とにかくお腹が重いということです。歩くのにも大変だったし、しゃがむのも大変でした。特に気を付けたことは、階段を上るときなど転倒しないようにしたことです。
出産で大変だったことは、産むときはスイカが2個分出るような感覚でした。すごく痛かったですし、1人目が生まれたかと思うと、また痛い思いをしなきゃいけないということです。楽だったことは、ありませんでした。今では、二人仲良く遊んだりしているので、それが何より嬉しいです。
お腹は妊娠30週で102センチになりました
里帰りでと考えて、前回お世話になった病院へ行き診てもらうと、妊娠6週から7週位に双子だと言われました。一卵性の双子でリスクもあるから、うちではなくNICUのある大きな病院での出産が良いと断られました。
無事に出産する病院を見つけ、早々に長女と里帰りをしました。やはり双子はお腹も大きく、妊娠19週で腹囲88センチ、妊娠30週では102センチにまで大きくなりました。
妊娠22週で長女の出産予定日と同じくらいお腹が大きかったので、双子妊娠と知らない方には「もうすぐ予定日なの?」といつも聞かれていました。
双子妊娠で一番大変だったことは、切迫早産の傾向があると言われ、妊娠30週から出産まで1ヶ月と少しの管理入院があったことです。2歳前の長女を私の実家の両親に預け寂しい思いをさせてしまったことや、毎日点滴に繋がれて安静での入院生活はメンタル面で大変でした。
妊娠中に気を付けていたことは、食事面と体重管理です。一子目の時は血圧も体重も注意されていたので、今回は気を付けようと思い、病院でダイエットをするときに飲まれているスープを作って毎日飲んでいました。心なしか体重も血圧も安定していたように思います。
今回の出産は、緊急帝王切開での出産になりましたが、産むときはあっという間でしたが術後が痛くて大変でした。傷跡が痛くても搾乳して赤ちゃんにミルクをとどけたり、子宮や傷の戻りが遅くなるからと、痛くても動くように指導されるのは本当につらかったです。
お腹で下が見えなくなりました
双子だとわかったのは妊娠7週目の健診でした。お腹が気になり「やっぱり双子だ」と感じたのは26週目で、出産前は特に凄かったです。
1番大変だったのは、下が全く見えなくなったので物を落としてしゃがんだり、階段の上り下りをする時でした。また、体重には特に気をつけていましたが、尿糖が出てしまい検査しました。
出産は帝王切開だったのですが、初めて体を切るので、その時はニュースでガーゼの取り残しの話があったり、インターネットでいろいろ調べて最悪のケースの記事をみたりして、精神的に辛かったです。
でも、初めての出産ではなかったので、気持ち的には少し余裕が持てて出産出来たと思います。自然分娩とはまた違う感動がありましたが、帝王切開では精神的に不安だった部分もあったので、忘れられない経験で感動し、涙がこぼれました。
妊娠8週目で双子と判明
不妊治療で排卵誘発を行っていました。エコーで卵胞を見ているとき2つ排卵しそうだなと思いましたが、そのままタイミング療法を行いました。5週目で胎嚢確認した時は一つしか確認できなかったのですが、8週目で心拍確認を行ったときに双子であることが判明しました。
5ヶ月までは単胎妊娠と同じお腹の大きさでしたが、6ヶ月以降は急にお腹が大きくなりました。マタニティフォトも7ヶ月の時に撮影しました。
妊娠中特に気を付けたのが塩分と糖です。単胎妊娠に比べ、何倍も妊娠高血圧症候群になりやすいそうなので気を付けました。
9ヶ月から管理入院をし、37週目で帝王切開にて出産しました。私の出産した大学病院では、多胎妊娠の場合は全て帝王切開と初期の頃から説明されていました。そのため、会陰マッサージや逆子を気にすることなく、マタニティライフを過ごすことができたので大変な面はありましたが、出産準備の面では楽な面もありました。
腰痛は5ヶ月頃から常に妊婦帯をしていたので、そこまでひどいものではありませんでした。多胎妊娠はリスクが大きいですが、その分喜びも倍になりますよ。
1ヶ月予定の管理入院をしました
お腹の赤ちゃんが双子だとわかったのは、妊娠9週目でした。私は二卵性の双子を妊娠したので、胎嚢が2つあってわかりやすかったです。お腹がでてきてやっぱり双子だから大きいなと思い始めたのは、30週頃からです。
妊娠中に大変だったことは、出産1ヶ月前から予定をして管理入院をしたことです。その時に張り止めの点滴を常に流していたのですが、最初の頃は副作用のしびれなどもあり、常に点滴の管を刺していることがとてもストレスでした。
妊娠中は買い物などに行って歩くと、子宮が固くなる感じがしてお腹が張っていたので、なるべく動かないようにしていました。これは切迫早産を防ぐための大切な行動でした。
出産は予定帝王切開でした。手術中は麻酔もしているのでつらくなかったですが、私は手術後排尿がなかなかできなかったり、身体がとてもつらかったです。
寝返りが大変でした
我が家は二卵性双生児の男の子がいます。妊娠10週の頃双子が判明し、夫婦で大喜びしました。妊娠初期から中期にかけては、少しつわりが辛いかなと思う程度だったのですが、妊娠25週あたりから、身体が少しずつきつくなってくるのを実感しました。
特に、中期以降はお腹も大きくなり、寝返りをする、屈むなどの動作が一番大変でした。とにかく、妊娠中はあまり無理をしないように、近所の散歩をするくらいで、自宅で静養するように努めました。
そのおかげもあってか、妊娠31週まで管理入院せずに、自宅で過ごすことができました。出産は予定帝王切開で、37週に出産しましたが、術後の創部の痛みが辛かったです。色々ありましたが、楽しい双子のマタニティライフでした。
妊娠線が大量発生
私が双子だと診断されたのは、妊娠10週目の健診の時でした。自分が双子のお母さんになることは夢にも思ってなかったので、ただただ驚きました。
お腹が普通の妊婦さんより大きいと感じたのは、6ヶ月頃からでした。市の母親学級に参加した時、明らかに同じ週数くらいの妊婦さんよりお腹が飛び出していました。
双子の妊娠で一番大変だったのは、妊娠線が大量発生してしまったことです。高いクリームを使って必死に予防したのですが、やはりお腹が大きくなるにつれてたくさんできてしまいました。気を付けてはいたのですが、こればかりは仕方ないと諦めました。
出産は帝王切開だったので、手術中は痛みはありませんでしたが、産後は傷口の痛みとの戦いでした。いきなり二人の育児も始まるので、大変でしたが幸せも2倍でした。
多胎妊娠(双子妊娠)に伴う主なリスクと注意点
先輩ママの体験談にもある通り、双子妊娠は単胎妊娠に比べて母体と赤ちゃん双方に大きな負担がかかり、さまざまなリスクが高くなります。これらのリスクについて正確な情報を理解し、医師の指導の下で適切な管理を行うことが、安全な出産を迎えるために非常に重要です。
1早産・切迫早産のリスク
双子妊娠では、子宮が過度に大きくなるため、子宮が収縮しやすく切迫早産になりやすい傾向があります。双胎妊娠の平均分娩週数は35~36週であり、単胎妊娠の正期産(37週以降)と比べると早産となる確率が非常に高いことが分かっています。そのため、多くの双子妊婦さんが、安静や張り止めの点滴による管理入院を経験します。医師から安静を指示された場合は、無理せず休むことが大切です。
2妊娠高血圧症候群のリスク
双子妊娠では、単胎妊娠と比べて妊娠高血圧症候群(以前は妊娠中毒症と呼ばれていました)を発症するリスクが2倍~数倍に高くなると言われています。この合併症は、高血圧や蛋白尿などを引き起こし、母体だけでなく胎児の成長にも影響を与える可能性があるため、定期的な健診での血圧・体重・尿検査による厳重な管理が欠かせません。塩分やカロリーの過剰摂取を避け、適切な体重増加を心がけることが重要です。
3その他の母体リスクと体調変化
お腹が急激に大きくなることで、腰痛や背中の痛み、足のむくみ、妊娠線、貧血なども単胎妊娠より起こりやすくなります。特に腰痛やむくみは、日常生活に支障をきたすほど強くなることがあります。体重管理や、医師の許可を得た上での適度な運動、無理のない範囲でのセルフケアを継続することが、体調維持に繋がります。
4一絨毛膜性双胎特有のリスク
一絨毛膜性双胎(一卵性双生児で胎盤を共有している場合)では、胎児間輸血症候群(TTTS)という特有の合併症が起こる可能性があります。これは、胎盤を通して血液の流れに偏りが生じ、一方の赤ちゃんに血液が偏ってしまい、両児の命に関わる重篤な状態に進行することがあります。一絨毛膜性双胎と診断された場合は、単胎妊娠よりも頻繁なエコー検査で赤ちゃんの状態を細かくチェックする必要があります。
5帝王切開の選択
双子妊娠の出産方法は、帝王切開となるケースが多いです。特に、胎盤を共有する一絨毛膜性双胎の場合や、第一子(先に産まれてくる赤ちゃん)が逆子の場合などは、安全性を考慮して計画帝王切開が選択されることが一般的です。帝王切開は、陣痛の苦しさは避けられますが、術後の傷の痛みや回復に時間がかかるという大変さがあります。
双子妊娠は、大変なことや不安も多いですが、適切な管理と周囲のサポートを得ながら、新しい家族を迎える喜びを大切に過ごしてください。


