大注目!子供の習い事「競技かるた」の魅力と始め方
人気コミックや映画化で一気に注目を集めるようになった競技かるたは、今、親御さんたちから関心が高い習い事の一つです。小倉百人一首が書かれた歌がるたを使い、一瞬の判断力や記憶力、俊敏性が求められる競技のため、「子どもの能力が伸びそう」「集中力がつきそう」といった期待が寄せられています。
しかし、「百人一首は難しそう」「いつから習わせるのが良いの?」「小さいうちから楽しめる?」といった不安をお持ちのパパやママも多いのではないでしょうか。この記事では、競技かるたがどのような習い事なのか、そのメリットや始めるための具体的な方法についてご紹介します。
競技かるたとは?競技人口は?
競技かるたとは、小倉百人一首の「歌がるた」を用いて、詠まれた歌に対応する「取り札」を素早く取る競技です。全日本かるた協会により公式なルールが定められており、明治時代にその原型が確立されました。
競技は「畳の上の格闘技」とも呼ばれ、単なる暗記力だけでなく、瞬発力、集中力、そして札の配置を覚える記憶力など、多様な能力が試されます。全日本かるた協会によると、競技かるたの競技人口はおよそ100万人と推定されており、漫画などの影響で更なる増加が期待されています。
競技かるたを習い事にするメリット
競技かるたを習うことで、子どもたちは楽しみながら様々な能力を伸ばすことができます。主なメリットは以下の通りです。
- 集中力・持続力の向上:試合中の高い緊張感の中で集中し続ける力が養われます。
- 記憶力の強化:百人一首の歌を覚えるだけでなく、札の配置を記憶する能力が鍛えられます。
- 俊敏な判断力と瞬発力:詠まれた歌を聞き分け、素早く札の位置を特定し、取るという一連の動作で、反射神経と判断力が向上します。
- 礼儀作法が身につく:競技かるたは「礼に始まり礼に終わる」日本の伝統文化の一つであり、自然に正しい挨拶や礼儀作法を学ぶことができます。
- 古典や日本文化への興味:小倉百人一首を通じて、日本の古典文学や歴史、文化に触れるきっかけになります。
- 社会性の発達:カルタ会には年齢や学校の異なる人々が集まるため、縦の人間関係に慣れ、社会性を豊かに育むことができます。
頭を使うだけでなく、札を取る際の機敏さや、長時間正座する体力も必要とされるため、文武両道の側面を持つ習い事と言えるでしょう。
習い事としての費用や親の関わりは?
競技かるたのメリットを知り、入会を検討する際に気になる具体的な情報を解説します。
どうやって始めるの?練習場所は?
一般的には、最寄りの「カルタ会」に入会して練習を始めます。カルタ会の練習場所は、公民館や地域センターなどが多く見られます。中学生や高校生になると、部活動として競技かるたに取り組める学校もあります。
カルタ会に入会すると、全日本かるた協会の会員として公式大会に出場することが可能になります。まずは、全日本かるた協会のウェブサイトなどで最寄りのカルタ会を検索し、メールや電話で連絡を取って、お子様と一緒に見学に行ってみるのがスムーズな始め方です。
費用はどれくらいかかるの?
カルタ会によって異なりますが、月々の会費の相場は数百円から千数百円程度と、比較的安価な場合が多いです。これは主に練習場所の使用料や運営費に充てられます。幼児や小学生は、中高生や大人よりも会費が安く設定されているカルタ会や、年会費としてまとめて徴収される場合もあります。
会費以外にかかる主な経費は以下の通りです。
- 競技かるた用かるた(一式数千円程度)
- カルタ会のTシャツやユニフォーム(2,000円前後)
- 膝サポーター(正座による負担軽減のため、2,000円前後)
- 大会参加費(1回数百円~千数百円)
- 大会への交通費・宿泊費(遠征する場合は実費)
全体的に見ると、他の習い事と比較して初期費用・月々の費用ともに安価に抑えられる傾向があります。
親の負担(手間)はどの程度?
通常の練習については、カルタ会が自宅から近い場所にある場合は、大会以外での親の送迎負担は少ないことが多いです。ただし、練習場所が遠方である場合は、送迎が必要となります。
また、未就学児や小学校低学年のうちは、トイレ介助などのため親御さんが付き添いで見学するご家庭も見られます。
大会に出場する場合も、子どもの年齢によっては保護者の付き添いが必要となることがあります。
地域によって違う?北海道の「下の句かるた」とは
北海道の一部地域では、「板かるた」や「下の句かるた」と呼ばれる、取り札が木でできたかるたが独自の文化として根付いています。この「下の句かるた」は、百人一首の歌の「下の句」のみを詠むなど、「上の句かるた」(競技かるたで用いられる一般的な百人一首かるた)とはルールや形式が異なります。
しかし、旭川、札幌、函館などの主要都市には、全日本かるた協会に加盟する「上の句かるた」(競技かるた)のカルタ会も存在しますので、競技かるたを習いたい場合は、お住まいの地域でどちらの形式が主流か、また「上の句かるた」のカルタ会があるかを確認してみましょう。
競技かるたの基本的なルール
競技かるたの基本的なルールはシンプルです。詠まれた歌に対応する下の句の札を、自分の陣地にある25枚の中から、できるだけ早く取ることで、先に自分の持ち札をなくした方が勝利となります。
競技として成立するためには、百人一首の歌と下の句の対応を全て暗記していることが前提となりますが、子どもの記憶力は驚くほど優れており、熱中すれば自然と覚えてしまうケースが多いようです。お子様が「やりたい!」という意欲を持てば、親御さんが難しさを心配する必要はほとんどありません。
試合の主な流れは以下の通りです。
- 競技者2名が向かい合って正座します。
- お互いに礼を交わします。
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百人一首100枚の「取り札」を裏にしてよく混ぜます。
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互いに25枚ずつ札を取り、残りの50枚は「空札」(場に出ない札)として箱に戻します。
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自分の陣地に、取った25枚の札を3段にして好きなように並べます。残りの25枚は相手の陣地(敵陣)に同様に並べます。
- 「暗記時間」として、札の場所を覚えます(通常15分)。
- 読み手が席についたら試合開始です。詠まれた札が場にない「空札」だった場合、誤って手を出すと「お手つき」となりペナルティを受けます。
- 自陣の札を取ったら挙手で読み手に知らせ、敵陣の札を取った場合は、自陣の札を1枚相手に送ります。
- どちらかの陣地の札がすべてなくなったら試合終了です。
- お互いに礼を交わします。
お子様に競技かるたを習わせた!保護者の体験談
実際に競技かるたを習い事に選んだ保護者の方の体験談をご紹介します。費用対効果や子どもの成長について、具体的な声が聞かれました。
親の負担はあれど、集中力が伸びて受験にも役立ちました
上の子が小学5年生の時に東京都のカルタ会に所属していました。本人が百人一首の暗記が好きで、7割ほど覚えていたことがきっかけで、「競技カルタなら生かせるかも」と思い始めました。
小学生は少なめでしたが、低学年では難しい語句もあるため、始めるならやはり5~6年生からが適していると感じました。最初はルールを理解するのに数ヶ月かかりましたが、カルタ会に入ってからはさらに暗記力と集中力がアップし、その後の受験勉強にも良い影響があり、本当に良かったと思っています。
費用は、会費が年間で約8千円、大会は都度1~2千円程度でした。会費が比較的安いカルタ会だったので、親が大会への送迎を手伝うなど負担もありましたが、他の習い事と比べてお得に始められたので頑張れました。百人一首やカルタが好きな子には、自信を持っておすすめできる習い事です。
集中力や瞬発力など多くのメリットがあります
小学校高学年の子どもが、数年前から練習に参加しています。毎週1回、市内の公民館で練習があり、今でも練習の日を楽しみにしています。
地元のカルタ大会で勝ち進んだことがきっかけで始めましたが、百人一首に慣れる必要はあったものの、本人は全く苦にしていませんでした。
習い始めた当初はその緊張感に圧倒されましたが、集中力や瞬発力はもちろん、体力や記憶力など、とにかく多様な能力が必要な大変な競技です。練習を重ねるごとに成長が見られ、特に集中力については、普段の生活の中でも驚くほど変化がありました。
総合的に見て非常におすすめできる習い事ですが、もうすぐ中学に上がるため、優先順位が下がってしまうかもしれないという悩みは出てきています。しかし、かるたは年齢を問わずまた始められる良さがあるので、将来また再開してくれたらと願っています。
費用も安く、頭を使うのが好きになる良い競技です
息子は北海道の「下の句かるた会」に所属しており、習い始めてからルールを全て覚えるのに1週間ほどかかりましたが、本人はとても楽しそうでした。
かるたは早すぎても難しいので、5、6歳頃が適していると思います。学習能力を高めるには非常に有効なため、かるたが理解できる年齢であれば、早い時期から始めるのが良いかもしれません。
一番のメリットは、夢中になって頭を使うことで、考えること自体が好きになってくれたことです。デメリットは今のところ特に感じていませんが、強いて言えば夢中になりすぎて、他のことで喧嘩してしまうこともある程度です。
費用は会費が月500円程度と安く、大会や遠征費も近場であれば2000円以内で済みました。費用以外の負担も、教室までの送り迎えくらいでした。
このように、費用があまりかからず、子どもが熱中して学力向上にも繋がる競技かるたは、非常におすすめです。始め方で悩む場合は、インターネットでカルタ会を検索し、一度見学を申し込めば、あとは会の方と相談しながらスムーズに進められますよ。
子どもの頃に習っていた!元競技かるた経験者の体験談
次に、子どもの頃に競技かるたを習い、現在は成人した方の体験談を見てみましょう。
きちんとした指導者から学べば、得られるものが大きい
私は小学中学年の頃、約2年間競技かるたをしていました。大人になってからも、有段者で指導をしている先生の練習風景を見学させてもらったり、練習に参加させてもらったりした経験があります。
私自身は競技というよりも「カルタ取り」レベルでしたが、きちんとした指導を受けている子どもたちは、覚え方のコツから教わるため、ある程度の上の句が詠まれればすぐに下の句が出てくるなど、上達が目覚ましいと感じました。
札の配置の技術だけでなく、指導の中では礼儀作法も重んじられており、靴や荷物をきちんと揃え、挨拶のできる子ばかりで、接していて気持ちのいい子たちでした。集中力や記憶力、札を取る瞬発力も非常に優れており、目を見張るものがありました。
競技かるたに興味があるなら、教養を深める意味でも始めてみるのは良いでしょう。ただし、質の高い指導を継続して受けた方が、子どもが得られるものは格段に大きくなります。そのうち、お子様が自然と競技に夢中になっているはずです。
競技かるたの思い出と低学年での経験
今は競技かるたをしていませんが、小学校低学年の短い間、新潟県かるた協会に所属していました。学校で毎月百人一首を音読し、最終的に覚える活動をしていたことが、競技かるたを始めるきっかけです。
私はみるみる百人一首の世界に夢中になり、かるたをする前に全ての札を暗記するほどでした。その様子を見た当時の担任の先生に勧められて、協会に入会しました。
競技かるたは、最低限札を覚える必要があるので、暗記の早い幼い方が習得しやすいかもしれません。費用もそれほどかからず、親の負担も少ないのがメリットです。集中力と記憶力の向上も期待できます。競技かるたを始めたいのであれば、早い内からやらせるのが良いと思います。
習い始める前に小倉百人一首を家族で楽しもう
多くのメリットが期待できる競技かるたですが、お子様が楽しさを理解していなければ、習い事を続けていくのは難しいかもしれません。
必要な道具は小倉百人一首の歌かるただけです。もしお子様がまだひらがなを読めない場合は、絵柄だけで遊べる「坊主めくり」などから始めて、百人一首に親しませてあげましょう。ひらがなが読めるようになったら、家族でルールを覚えて競技かるたの楽しさを体験するところから始めるのがおすすめです。パパやママも一緒に習い、家族共通の趣味にするのも素晴らしいでしょう。