百人一首の遊び方~ルールを覚えてお正月は家族で楽しもう!
お正月には凧揚げや羽根つきなどの伝統的な遊びに触れる機会が多いですが、近年漫画や映画で話題となり人気が高まっているのが「百人一首」です。
「かるた」は小さいお子さんから大人まで楽しめる人気の遊びですが、小学校高学年になると少し物足りなさを感じるお子さんもいるかもしれません。学校でも習う機会がある「百人一首」は、より奥深く楽しむことができるのでおすすめです。
普通のかるたと違い、難しそうなイメージがあるかもしれませんが、実は基本的なルールを覚えればとても簡単に楽しめます。しかも百人一首には、和歌を一首も知らなくても盛り上がれる遊び方から、暗記した人ほど強くなる本格的な遊び方まで、幅の広い楽しみ方が用意されています。
この記事では、百人一首の基本的なルールや札の並べ方、小さいお子さんでも楽しめる遊び方のアレンジ、学年別のおすすめ、そして短期間で札を取れるようにする覚え方まで、大人も子どももみんなで楽しめる百人一首についてご紹介します。
百人一首とは
そもそも百人一首とは何なのでしょうか。「昔ながらのかるたのようなものかな…」と漠然としか知らない人も多いかもしれません。
百人一首とは、鎌倉時代の歌人である藤原定家(ふじわらのていか)が、飛鳥時代から鎌倉時代にかけての100人の歌人の和歌を一首ずつ選定してまとめた歌集が元になっています。これらの和歌(五七五七七の短歌)を札にしたものが、現在かるたとして遊ばれている「小倉百人一首」です。
ひとりの歌人につき一首だけという構成なので、100枚すべてが違う人の作品です。恋の歌、季節の歌、旅の歌などが混ざっており、意味が分かってくると「この人はこんな気持ちだったんだ」と読み物としても楽しめます。文部科学省の小学校学習指導要領でも、伝統的な言語文化に親しむ学習として和歌や俳句を音読する活動が位置づけられており、学校で百人一首に触れるお子様も多くなっています。
百人一首の遊びに必要なもの
百人一首を始める前に必要なものをご紹介します。難しいイメージがあるかもしれませんが、実は必要な物は比較的少ないです。
- 歌と歌人の絵、下の句(短歌の下の句「七七」)が書いてある読み札100枚
- 歌の下の句(短歌の下の句「七七」)だけが書いてある取り札100枚
- 読み手1人
- 取り手2人以上
読み手は家族の誰かが担当してもよいですし、読み上げの音声を使えば大人も一緒に取り手として参加できます。畳やカーペットの上など、札が滑りすぎない場所を選ぶと、小さいお子様でも取りやすくなります。
百人一首のルールと札の並べ方の基本
遊び方はいくつもありますが、どの遊び方にも共通する土台があります。それが「上の句を聞いて、下の句の札を取る」という仕組みと、札の並べ方です。ここを押さえておくと、後から出てくるどの遊び方にもすぐ入っていけます。
まず知っておきたいのが、取り札には下の句しか書かれていないという点です。つまり、上の句を聞いて下の句を思い出せる人ほど早く取れる仕組みになっています。逆に言えば、覚えていない人は「読まれた下の句を耳で聞いてから探す」ことになるため、大人と子どもで差がつきすぎるときは、下の句までしっかり読んであげるだけで公平に近づきます。
札の並べ方には、次のような基本の型があります。
| 並べ方 | やり方 | 向いている遊び方 |
|---|---|---|
| 三段並べ | 自分の側に25枚を横3列に並べる | 1対1の基本の百人一首 |
| 散らし置き | 向きも位置もばらばらに広げる | 散らし取り、大人数 |
| 枚数を減らす | 20枚から30枚だけを使う | 幼児や小学校低学年 |
| 山積み | 読み札を裏返して重ねる | 坊主めくり |
三段並べにするときは、札と札の間を指1本分ほど空け、上下の段の間も少し空けます。ぴったり詰めて置くと、隣の札まで一緒に払ってしまい、お手つきの原因になります。また、同じ音で始まる札を離して置くと、間違えて触れてしまう失敗を減らせます。
1対1でやる基本の百人一首
1対1で行う基本の百人一首は、近年漫画や映画の「ちはやふる」の影響もあり、「競技かるた」としてブームになりました。競技かるたのルールは少し上級者向けかもしれませんが、練習すればするほど上達しますので、小学校高学年から中学生には特におすすめです。競技かるたの基本的なやり方をご紹介します。
1.対戦相手と向かい合って座る
まずは対戦相手と向かい合って座り、互いに一礼します。百人一首は礼に始まり礼に終わる遊びですので、まずは礼儀をしっかりと守りましょう。この一礼があるだけで、遊びの空気がぴりっと締まります。勝ち負けにこだわりすぎてしまうお子様も、終わりの礼で気持ちを切り替えやすくなります。
2.取り札を自陣・敵陣に分ける
次に、百人一首の取り札100枚の中から50枚を取り、裏返してよく混ぜます。この50枚を自分と相手に25枚ずつ配ります。この25枚の札がお互いの「陣地」に並べる札(自陣札)となります。
残り50枚の取り札と、使用しなかった50枚の読み札は、競技には使いません。ただし読み札は100枚すべてを読むため、場にない歌が読まれることがあります。この仕組みが、後で出てくる「空札」につながっています。
3.25枚の取り札をお互い自分の方に向け3段に並べる
自分の陣地にある25枚の取り札(自陣札)を、自分の方に向けて3段に並べます。また、相手の陣地にある25枚の札(敵陣札)も同様に相手が並べます。
並べるときは、得意な札、苦手な札、取りやすい位置などを意識しながら戦略的に並べます。ただ適当に並べるのではなく、この札を並べる時点から勝負は始まっています。慣れてきたら「いつも同じ場所に同じ札を置く」という決め方をしてみてください。場所と歌がセットで頭に入るので、聞いた瞬間に手が動くようになります。
4.読み手が読み札(上の句)を読む
お互いに札を並べ終わったら、いよいよスタートです。読み手が読み札(上の句)を読み始めます。百人一首を暗記している人は、読み手が上の句を読み始めた時点で、札の目星をつけて取る準備を始めます。
読み手を家族が務めるときは、早口にならないよう、一音ずつはっきり読むのがコツです。特に最初の一音から三音までは、勝負が決まる部分なのでゆっくり丁寧に読んであげましょう。
5.取り手は読み手が読んだ歌の取り札(下の句)を取る
取り手は、読み手が読んだ歌の下の句が書かれた取り札を、相手より早く取ることを目指します。札は、自分の陣地にある「自陣札」だけでなく、相手の陣地にある「敵陣札」を取っても構いません。
また、読まれた歌が50枚の場にある札とは異なる歌であった場合、それを「空札(からふだ)」と呼びます。空札の際は、誰も札を取ることはできません。場にない歌が読まれるからこそ、耳をすませて聞き分ける力が育ちます。
6.札を取ったら自陣札を減らす
相手より早く取った札は、自分の横に置いて「獲得札」とします。自分の陣地(自陣)から札を取った場合は、そのまま獲得札にするだけで構いません。
もし、相手の陣地(敵陣)から札を取った場合は、獲得札とするとともに、自分の陣地から札を1枚選んで相手に渡します。これを「送り札」と呼びます。最終的に自分の陣地の札がすべて無くなった方が勝ちとなります。送り札には、自分が覚えきれていない苦手な札を選ぶのが定石です。
7.お手つきをすると相手から1枚もらわなくてはならない
「お手つき」とは、読まれた歌ではない札に触れてしまったり、空札のときに札に触れてしまったりすることです。お手つきをしてしまった場合は、ペナルティとして相手から札を1枚渡されます。
相手の札が減り、自分の札が増えるため、1回のお手つきで2枚分の差が出てしまいます。ただし家族で遊ぶときは、お手つきを厳しく取ると子どもが手を出せなくなってしまうことがあります。最初のうちは「お手つきは数えない」と決めて、思い切り手を伸ばす楽しさを味わってもらうのもおすすめです。
8.先に自陣札がなくなった人が勝つ
たくさん札を取ったり、送り札をしたりして、自分の陣地の札を0枚にした人が勝ちとなります。最後の1枚が残ったときの緊張感は、この遊びならではの醍醐味です。
みんなで簡単に楽しめる遊び方
百人一首は難しい、うちの子にはまだ早いかも、と思った保護者の方もご安心ください。百人一首には、和歌の知識がなくても楽しめる遊び方がいくつもあります。
成長に合わせて遊び方を変えていくことができるので、一家にひとつあると長く楽しめるのも魅力です。一対一の競技かるただけでなく、みんなで和気あいあいと遊べる方法もご紹介しますので、ぜひ試してみてください。
坊主めくりのやり方
坊主めくりは、とっても簡単なうえに、みんなで楽しくできるので、百人一首初心者の人には特におすすめです。人数に制限はありません。地方によってローカルルールがあることが多いので、坊主めくりを始める前に、一度みんなでルールを確認しましょう。一般的なやり方をご紹介します。
1.丸い輪になって座る
みんなで丸い輪になって座りましょう。人数が多くなるほど輪が大きくなりますが、輪の大きさは有利不利には特に関係ありませんので、ほどよいスペースを確保しましょう。
2.輪の中央に取札を裏返して積む
百人一首の読み札(歌人の肖像画が描かれた札)をよく切って、輪の中央に裏返して積みましょう。積む山はひとつではなく2~3個に分ける方が選択肢が増えておもしろいのでおすすめです。坊主めくりでは、歌人の肖像画が描かれている読み札(絵札)のみを使用します。
3.札を捨てる場所を用意する
読み札の山の近くには、めくった札を捨てる「捨て札」のスペースを確保しましょう。山が多かったり、輪が小さかったりすると捨てた札がごちゃごちゃしてしまいますので、しっかり札を捨てる場所を確保しましょう。
4.札をめくる順番を決めてスタート
次に札をめくる順番を決めましょう。基本的に輪の並び順で、一番に引く人と時計まわりか、逆まわりか決めるとよいでしょう。ここまで準備したら、いよいよ坊主めくりのスタートです。
5.札が詰まれた山の一番上の札をめくる
輪の中央に置かれている読み札を順番にめくっていき、絵柄によって手札になったり、捨てたりする遊びです。札が積まれた山の一番上の札を順番にめくっていきましょう。2~3個山がある場合は、どの山から札をとっても大丈夫です。
6.男性(殿)の札が出たら自分の札になる
百人一首の札の中で一番多いのが、公達や武官などの男性(殿)の札です。これが出たら自分の持ち札となります。坊主めくりは最終的に持ち札が多い人の勝ちなので、無難な札だといえます。
7.女性(姫)の札が出たら捨てられた札をもらえる
女房や内親王などの女性(姫)の札が出たら、それまでに捨てられた札を全て自分の持ち札にすることができます。坊主めくりにおいて、最も有利な札で、女性(姫)が出ると歓声が上がります。
8.坊主(僧侶)の札が出たら自分の札を全部捨てる
坊主めくりの醍醐味である「坊主(僧侶)の札」はジョーカー的な存在です。坊主(僧侶)の札を引いたら、自分の持ち札を全て捨てなければならない、最も残念な札なのです。坊主の中でも「蝉丸(せみまる)」の札は特別で、地方によっても下記のような独自のルールがあります。独自のルールがある場合は、ゲームを始める前に決めておくとよいでしょう。
- 蝉丸を引いたら一回休み
- 蝉丸を引いたら、全員が持っている札をすべて捨て札にし、仕切り直し
9.自分の札の数が多い人が勝つ
山になっているすべての読み札がなくなったら終了です。そのときに、一番手札を多く持っていた人の勝ちです。ルールが簡単なので、小学校低学年のお子様でも十分楽しめます。
散らし取りのやり方
散らし取りとは、基本の百人一首のルールよりは普通のかるたに近いので、大勢で遊べたり、小さいお子さんでも楽しく遊べたりするのでおすすめです。やり方をご紹介しますので、みんなでやってみましょう。
1.取り札を取り手の前にばらばらに置く
取り札は、取り手の前にバラバラに広げて置きます。基本的な百人一首のように、3段にきれいに並べる必要はありません。
2.取り札の向きはどっちでもいい
取り札の向きもバラバラで大丈夫です。普通のかるたのようにランダムに並べましょう。ただし、向きに偏りがあると有利な人と不利な人が出てくることがありますので、できるだけ均等になるよう気を付けましょう。
3.取り手は取り札を囲んで座る
取り手は取り札を囲んで座りましょう。取り手は何人でもかまいませんが、できるだけ大勢で行った方が楽しいですよ。
4.読み手が札を読む
準備ができたらいよいよスタートです。読み手は読み札を読みましょう。読み札はあらかじめよく切っておきます。上の句から下の句まで全部読んであげると、歌を覚える勉強にもなるので読んであげましょう。
5.読み手が読んだ歌が書いてある取り札を取る
取り手は、読み手が読んだ歌の下の句が書かれた札を探して取ります。かるたと全く一緒で、どこに何の札があるのか見渡して記憶しておくと有利になります。他の人よりも早く取れるように練習してみてください。
6.お手付きにはペナルティがある
焦るとついやってしまうのが、お手付きです。散らし取りにおけるお手付きのペナルティは地方によって異なりますので、あらかじめ決めておきましょう。一般的には「一回休み」や、獲得した札を一枚返上などが適用されることが多いです。
7.一番多く取った人が勝つ
散らし取りは、すべての札を取り終えた時点で、札を一番多く取った人の勝ちです。百人一首は普通のかるたよりも文字ばかりなので少し難しいかもしれませんが、札が取れるようになるととっても楽しいので、ぜひやってみてください。
百人一首の遊び方はいろいろ:もっと簡単に楽しむ6つのアレンジ
坊主めくりと散らし取り以外にも、家庭でできる遊び方はたくさんあります。年齢や人数、その日の気分に合わせて選べるように、代表的なものをまとめました。
| 遊び方 | 内容 | 向いている年齢 |
|---|---|---|
| 源平合戦 | 2チームに分かれて陣地の札を取り合う | 小学校中学年から |
| 色分け対戦 | 札を20枚ずつに分け、その中だけで対戦する | 小学校低学年から |
| 神経衰弱 | 読み札と取り札を裏返し、同じ歌を探す | 年長から |
| 絵札そろえ | 坊主、姫、殿の絵柄ごとに分けて枚数を競う | 年中から |
| 下の句だけかるた | 下の句を読んで下の句の札を取る | はじめての方全般 |
| 一首だけ勝負 | 好きな一首を決め、その札だけを狙う | 年長から |
特におすすめしたいのが「色分け対戦」です。100枚をいきなり使うと、覚えていない子はほとんど札を取れず、途中で飽きてしまいます。20枚に絞れば、同じ歌が何度も繰り返し読まれるので、遊んでいるうちに自然と覚えてしまうのです。20枚を取りきったら次の20枚へと進めば、無理なく100首に近づいていけます。
「下の句だけかるた」も、はじめての方には効果的です。読まれた言葉と札の文字が同じなので、字が読めれば誰でも参加できます。慣れてきたら上の句から読むように切り替えれば、そのまま本来の遊び方に移行できます。
小学生におすすめの遊び方は学年で変わる
百人一首は「何歳から」と決まっているものではありませんが、学年によって楽しめるポイントは変わります。同じ札を使っていても、低学年は絵柄で、高学年は言葉で楽しむようになるからです。
| 学年 | おすすめの遊び方 | 楽しめるポイント |
|---|---|---|
| 小学1年から2年 | 坊主めくり、絵札そろえ | 絵柄の面白さと運の要素 |
| 小学3年から4年 | 散らし取り、色分け対戦 | 札を見つける速さを競える |
| 小学5年から6年 | 源平合戦、1対1の対戦 | 暗記した分だけ強くなる手応え |
小学校低学年におすすめの遊び方
低学年のうちは、和歌の意味を理解する必要はまったくありません。坊主めくりで「坊主が出た」「姫が出た」と一喜一憂しているだけで十分です。絵柄をよく見るようになると、烏帽子をかぶった人、袈裟を着た人、十二単の人といった違いに気づくようになります。
札に触れる時間が増えると、「この字、知ってる」と読める文字が増えていきます。まずは百人一首という道具に親しむ期間だと考えて、勝ち負けよりも笑い声を優先しましょう。
小学校中学年におすすめの遊び方
中学年になると、文字を目で追って探すスピードが上がってきます。散らし取りや、20枚に絞った色分け対戦が楽しくなる時期です。取れた枚数が目に見えるので、「前より取れた」という手応えが得やすくなります。
この時期に一字決まりの7首だけでも覚えると、大人相手でも札を取れるようになります。一つでも「自分だけの得意札」ができると、遊びへの熱の入り方が変わります。
小学校高学年におすすめの遊び方
高学年からは、1対1の対戦や源平合戦のように、暗記が有利に働く遊び方が面白くなります。歌の意味を調べて、どんな場面を詠んだ歌なのかを知ると、言葉が記憶に残りやすくなります。
学校のクラス対抗や地域の大会に出るお子様もいます。強くなりたいという気持ちが出てきたら、決まり字を意識した覚え方に進みましょう。
百人一首を一日で覚える方法
「明日が学校の百人一首大会」というときに、一日で覚える方法を探す方は多いです。正直にお伝えすると、100首すべてを一日で完璧に暗記するのは簡単ではありません。ただし、取れる札を一日で大きく増やすことはできます。ポイントは、歌を丸ごと覚えようとしないことです。
決まり字だけを覚えるのが最短ルート
百人一首には「決まり字」という考え方があります。上の句を最初から何音か聞けば、その歌が一首に絞り込める、という音の数のことです。たとえば「む」で始まる歌は100首の中に一首しかないため、「む」と聞こえた瞬間に札が分かります。
つまり、覚えるべきは歌の全文ではなく、決まり字と下の句の頭の言葉の組み合わせだけです。「む、と聞いたら、きり」という具合に、2つの言葉をつなぐだけなら、暗記の負担は一気に軽くなります。
まずは一字決まりの7首から
決まり字が一音しかない歌は、次の7首です。頭文字をつなげて「むすめふさほせ」と覚えるのが昔からの定番です。
| 決まり字 | 上の句のはじまり | 下の句のはじまり |
|---|---|---|
| む | むらさめの | きりたちのぼる |
| す | すみのえの | ゆめのかよひぢ |
| め | めぐりあひて | くもがくれにし |
| ふ | ふくからに | むべやまかぜを |
| さ | さびしさに | いづこもおなじ |
| ほ | ほととぎす | ただありあけの |
| せ | せをはやみ | われてもすゑに |
この7首を覚えるだけで、対戦中に確実に取れる札が生まれます。しかも一音で反応できるため、まだ覚えていない相手より圧倒的に速く手が出ます。7つなら、通学の道すがら唱えるだけで一日もかかりません。
一日の進め方の例
時間が限られているときは、次のような配分で進めると効率的です。休憩をはさみながら、合計3時間から4時間ほどを想定しています。
| 時間帯 | やること | 目標 |
|---|---|---|
| 1時間目 | 一字決まり7首を声に出す | 7首を完全に反応できる |
| 2時間目 | 好きな歌を20首選んで読む | 下の句の頭を言える |
| 3時間目 | その20枚だけで実戦練習 | 読まれたら手が出る |
| 4時間目 | 取れなかった札だけ復習 | 苦手を5枚以内にする |
大切なのは、覚える時間より実際に札を取る時間を長くすることです。目で読むだけでは、実戦で手は動きません。畳の上に札を並べて、家族に読んでもらいながら手を伸ばす練習をしたほうが、記憶は確実に定着します。
そして、一日で覚えきれなくても落ち込む必要はまったくありません。7首取れれば上出来です。「全部覚えなきゃ」と思うほど手が止まってしまうので、「今日は7枚取る」と目標を小さく区切ってあげてください。
面白い語呂合わせで覚え方を工夫する
暗記が苦手なお子様には、語呂合わせが効きます。決まり字と下の句を、意味のある短い言葉に置き換えてしまう方法です。おかしな文になるほど記憶に残るので、家族で考えると盛り上がります。
たとえば、一字決まりの7首はこんなふうにつなげられます。
- むらさめ → きり:「村雨のあとは霧」と、天気の話としてつなげます。
- せをはやみ → われても:「瀬が速いから割れる」と、川の様子で覚えます。
- めぐりあひて → くもがくれ:「めぐりあったのに雲に隠れた」と、物語にします。
- ほととぎす → ただありあけ:「ホトトギスの声だけ残る明け方」と、場面を思い浮かべます。
語呂合わせを作るときのコツは、正しい意味にこだわらないことです。「すみのえ、ゆめ」なら「隅で夢を見る」でも構いません。子ども自身が考えた言葉のほうが、大人が用意したものより何倍も記憶に残ります。ノートに書き出して、家族の中でいちばん面白い語呂合わせを選ぶ、といった遊びにしてしまうのもおすすめです。
もう一つ効果があるのが、絵と結びつける方法です。「む」の札には霧の絵、「せ」の札には割れる川の絵、というように、簡単なイラストを付箋に描いて札に貼っておきます。文字が苦手なお子様でも、絵なら一瞬で思い出せることがあります。
アプリや読み上げ音声を使って覚える方法
家族に読み手を頼めないときに便利なのが、読み上げの音声やスマートフォンのアプリです。百人一首の読み上げ機能があるアプリは複数配信されており、一人でも実戦に近い練習ができます。
使うときは、次のような点を確かめてから選ぶと失敗が少なくなります。
- 読み上げの速さを変えられるか(最初はゆっくりに設定できると安心です)
- 特定の歌だけを繰り返し読ませられるか(苦手な札の練習に使えます)
- 上の句だけ、下の句だけといった読み分けができるか
- 広告表示が少なく、読み上げの途中で止まらないか
また、覚えるだけならアプリの一覧表示を使うより、音で繰り返し聞くほうが効果的です。移動中や食事の支度をしている時間に、決まり字だけを流しておくという使い方もできます。
ただし、画面の中で札をタップする練習ばかりでは、実際の畳の上で手を伸ばす感覚は身につきません。覚えるのはアプリ、取る練習は実物の札と役割を分けると、両方の良さを生かせます。使う時間はあらかじめ家庭のルールを決めておくと、遊びと練習の切り替えがしやすくなります。
北海道の百人一首
百人一首は、もともと平安時代に都で流行したもので、その後も比較的関西地方ではよく親しまれていました。関東より北の地方になると、百人一首に触れるのは小学校の授業のみということも珍しくありません。
その中で、北海道では百人一首が独自のルールで楽しまれています。私たちが一般的に知っている百人一首とは少し違うかもしれませんので、ぜひご紹介させていただきます。
北海道の百人一首のやり方
一般的な百人一首は読み手が上の句を読んで、取り手が下の句の札を取るというスタイルです。しかし、北海道の百人一首は、読み手が和歌の「下の句」を読み、取り手も「下の句」が書かれた札を取るというスタイルです。そのため、下の句を読んで、下の句を取ることから「下の句かるた」と呼ばれています。
読まれた言葉と札の文字が一致するため、暗記していない人でも参加しやすいのが特徴です。はじめて百人一首に触れるご家庭が、この読み方を取り入れてみるのもよい方法です。
北海道の百人一首は木札
そして、何といっても特徴的なのは、取り札が「木札(きふだ)」であることです。一般的な紙でできた札と違い、木でできているので独特の趣があります。取り札は厚さ3~5mm程度の木で作られます。ちなみに、読み札は紙でできていることが多いです。
木札は札を払ったときの音が大きく、独特の迫力があります。文字も草書体で書かれていることが多く、慣れるまでは形で覚えることになります。
北海道の百人一首のルーツは会津藩
そもそも北海道の百人一首のルーツはどこにあるのでしょうか。それは、江戸時代の会津藩時代までさかのぼります。会津若松藩で流行っていた木製の「板かるた」が現在の「下の句かるた」の原点という説が有力です。北海道は他県からの移住者が多いので、さまざまな文化が混じり合い、今の百人一首にたどり着いたのでしょう。
地域によって遊び方が変わっていくというのは、百人一首が長く生活の中で親しまれてきた証でもあります。ご家庭でも、坊主めくりのローカルルールのように、我が家だけの決まりごとを作ってみるのも楽しいものです。
百人一首の遊び方に関するよくある質問
百人一首は何歳から遊べますか
坊主めくりであれば、絵柄の違いが分かる年中から年長頃でも楽しめます。文字を読んで札を取る遊び方は、ひらがなが読めるようになる小学校低学年からが目安です。年齢よりも、その子が楽しめる遊び方を選ぶことのほうが大切です。
札は100枚すべて使わないといけませんか
いいえ、枚数を減らして構いません。むしろはじめのうちは20枚から30枚に絞ったほうが、同じ札が何度も読まれるので覚えやすく、勝負もつきやすくなります。慣れてきたら少しずつ枚数を増やしていきましょう。
並べ方に決まりはありますか
1対1の基本の遊び方では、自分の側に25枚を横3段に並べます。散らし取りや大人数で遊ぶときは、向きも位置も自由で構いません。どの並べ方でも、札同士を少し離して置くと、隣の札を巻き込むお手つきを減らせます。
読み手がいないときはどうすればいいですか
スマートフォンの読み上げアプリや音声を使えば、家族全員が取り手として参加できます。読み上げの速さを調整できるものを選ぶと、お子様の習熟度に合わせられます。
一日で全部覚えることはできますか
100首すべてを一日で完璧に覚えるのは難しいですが、一字決まりの7首と好きな20首程度なら十分に狙えます。歌を丸ごと覚えるのではなく、決まり字と下の句の頭だけをつなげて覚えるのが近道です。
まずは坊主めくりから始めてみましょう
百人一首は、覚えていないと楽しめない遊びだと思われがちですが、実際は逆です。坊主めくりや散らし取りのように、和歌をひとつも知らなくても大笑いできる遊び方から入って、興味が出てきたら決まり字を覚え、いつか一対一で向かい合う。その順番で、何年もかけて楽しめる道具なのです。
お正月に一度出したきり、押し入れにしまいこんでいるご家庭も多いかもしれません。今年は20枚だけ取り出して、家族で並べてみてください。「これ読める」「この人おもしろい顔」といった声から、百年前も千年前も変わらない言葉の世界が、少しずつ身近になっていきます。



