お手玉の遊び方を覚えよう!2個や3個を使った練習方法と上達のコツ
小さい頃、お手玉の遊び方を祖父母から教えてもらったという人も多いのではないでしょうか。畳の上にお手玉をまいて、ポンポンと軽い音を立てながら遊んだ記憶が残っている方もいるはずです。しかし最近では、お手玉で遊ぶ機会が減りつつあります。日本に古くから伝わる遊びは文化として、これからも大切に受け継いでいきたいものです。
お手玉のいいところは、電池もアプリも必要なく、布の袋がいくつかあればその場ですぐ始められることです。雨で外遊びができない日、帰省先で祖父母と過ごす時間、きょうだいで手持ち無沙汰になった夕方など、ちょっとした空き時間を埋めてくれます。ルールも自由に変えられるので、2歳の子から小学生、大人まで同じ輪の中で遊べるのも昔ながらの遊びならではです。
本記事では、お手玉の由来や歴史、種類などの知識に加え、初心者向けの基本的な練習方法から、2個・3個を使ったいろいろな技、わらべうたに合わせた面白い遊び方までをご紹介します。ぜひ、昔を思い出しながら、ご自身のお子さまにも教えてみてください。
お手玉とは?その種類
お手玉は、使う道具は違うものの、世界各地で古くから親しまれている遊びで、大きく分けて二種類の遊び方があります。日本で一般的に行われるのは、いくつかのお手玉を手で投げて遊ぶ「曲芸(振り技)」と、奇数のお手玉を床にまき、その中の親玉を投げながら残りのお手玉を拾い集める「座敷遊び(拾い技)」の二つです。
この二つは、必要になる力がまったく違います。曲芸は空中を飛ぶお手玉の軌道を目で追い、落ちてくる位置を予測して手を差し出す遊びです。一方の座敷遊びは、上に投げた親玉が落ちてくるまでの数秒という限られた時間の中で、床のお手玉をどれだけ手早く拾えるかを競います。空中を見る遊びと、手元を見る遊び。同じ道具なのに求められる動きが正反対なので、「投げるのは苦手だけど拾うのは得意」という子も出てきます。片方でうまくいかなくても、もう片方なら夢中になれることが多いのは、お手玉が長く遊ばれてきた理由のひとつです。
子育ての現場では、「ボール遊びだと転がっていってしまうけれど、お手玉なら落ちた場所で止まってくれる」という声もよく聞かれます。中身が動いて手になじむため、握る力が弱い小さな子でもつかみやすく、当たっても痛くありません。室内の限られたスペースで遊べる道具として、昔から重宝されてきました。
昭和の遊びが今も色あせない理由
お手玉は、昭和の子どもたちにとってごく身近な遊び道具でした。お母さんやおばあちゃんが着物や浴衣の端切れで縫い、中に小豆を詰めて作る。買うものではなく、家にある布から生まれるものだったのです。だからこそ柄はバラバラで、手の中でジャリッと鳴る音も一つひとつ違いました。
昭和から令和へと遊びの主役が入れ替わっても、お手玉が古びない理由ははっきりしています。勝ち負けだけで終わらず、「昨日よりも1回多く続いた」という手ごたえが自分の中に積み上がる遊びだからです。画面の中のゲームは操作が上達しても実感が残りにくいものですが、お手玉は手のひらの感覚として残ります。3回続いた、5回続いた、今日は10回いった。この小さな更新が、子どもにとっては十分すぎるほど面白いのです。
祖父母世代と一緒に遊べる点も見逃せません。おじいちゃんやおばあちゃんが何十年ぶりかにお手玉を手に取ると、体が動きを覚えていて驚くほど上手に回せることがあります。「おばあちゃん、なんでそんなにできるの?」と目を丸くする子どもに、「昔はこれで遊ぶしかなかったのよ」と返す。世代を越えた会話が自然に生まれる遊びは、そう多くありません。帰省のときにお手玉を1組持っていくだけで、その場の空気が変わります。
何歳から遊べる?年齢別の楽しみ方
お手玉は「投げて受け取る遊び」だと思われがちですが、それは遊び方のひとつにすぎません。年齢に合わせて関わり方を変えれば、歩き始めの子から小学生まで、それぞれの楽しみ方があります。いきなり2個や3個を持たせるとうまくいかず、「できない」と言って離れてしまうことがあるので、今の年齢でちょうど楽しめる遊びから入るのがおすすめです。
| 年齢の目安 | 楽しめる遊び方 | 声かけの例 |
|---|---|---|
| 2〜3歳ごろ | 握る、箱に入れる、渡し合う、頭に乗せて歩く | 「これ、ママに1個ちょうだい」 |
| 4〜5歳ごろ | 1個を上に投げてキャッチ、手の甲ではじく | 「お星さまくらい高く投げてみよう」 |
| 小学校低学年 | 2個の同時投げ、わらべうたに合わせて回す | 「何回続くか数えてみようか」 |
| 小学校中学年以上 | 3個のカスケード、玉入れ、記録への挑戦 | 「昨日の記録、超えられるかな」 |
2〜3歳ごろは「投げない遊び」から
この時期の子はまだ落下地点を予測するのが難しく、投げても手が出るのが遅れてしまいます。それでもお手玉は十分楽しめます。かごや空き箱を置いて「ここに入れてみよう」と的入れにしたり、頭の上に乗せて落とさないように歩く遊びにしたり、大人と1個ずつ手渡しし合うだけでも笑い声が出ます。この年齢では「上手にできること」より、握って離すという手の動きそのものが面白いのです。
なぜ小さな子がお手玉に引きつけられるのかというと、中身がゆっくり動く感触が、握るたびに違う手ごたえを返してくるからです。積み木のように形が決まっているものは一度触れば感触が分かりますが、お手玉は握るたびに中の粒の配置が変わり、そのつど新しい感触が返ってきます。だから何度触っても飽きません。大人から見ると「ただ握っているだけ」に見える時間も、子どもにとっては小さな発見の連続です。この時期に無理に投げさせようとせず、思う存分触らせておくと、4歳頃に自然と投げる遊びへ移っていきます。
4〜5歳ごろは1個の練習が中心
手首を使って上に放る動きができるようになると、1個のお手玉遊びが成立します。とはいえ最初は真上に投げたつもりが後ろに飛んでいったり、キャッチしようとして両手で抱え込んだりと、思い通りにはいきません。ここで大人が「違うよ、こう」と手を出しすぎると、途端に興味を失ってしまいます。「惜しい、あと少しだったね」「今の投げ方きれいだったよ」と、結果ではなく動きをほめる声かけのほうが続きます。
小学生になったら記録と技に挑戦
小学生になると、数を数えられるようになり、「何回続いたか」という指標が遊びを引っ張ってくれます。2個の同時投げで10回連続を目指す、3個のカスケードに挑む、家族で回数を競うなど、目標を置くと練習が遊びに変わります。休み時間に友達と見せ合ったり、学校の昔遊び体験の時間に習ってきたりすることもあり、小学生はお手玉に最ものめり込みやすい年代といえます。
まずは1個で基本を練習してみよう
最初から2個や3個使ってのお手玉は難しいため、まずは1個での練習から始めましょう。上達への道はここから始まります。基本をしっかり覚えることが上達への近道です。
1個から始めるのには理由があります。お手玉が2個以上になると、投げる動作と受け取る動作を同時に処理しなければならず、頭が追いつかなくなります。1個であれば「投げる」「見る」「受け取る」を一つずつ確かめられるので、体が動きの順番を覚えられるのです。急がば回れで、1個の練習を丁寧にやった人ほど2個への移行が早くなります。
片手から反対側の手へ投げて受け取る
まず右手にお手玉を持ち、頭の上ぐらいの高さまで投げ、それを左手でキャッチします。次は、左手で頭の上ぐらいまで投げ、右手でキャッチします。この行ったり来たりを繰り返して、お手玉の軌道(放物線)に慣れましょう。
慣れてきたら、お手玉を投げた手と同じ手で受け取る練習をします。右手にお手玉を持ち、目線の高さぐらいまで投げて、右手でキャッチします。左手も同じように練習します。利き手と逆の手で投げてキャッチするのは案外難しいので、何度も練習して手に覚えさせましょう。
この段階でよくあるのが、投げるたびに高さがバラバラになってしまう状態です。高く上がりすぎたり、逆にほとんど上がらなかったりすると、そのたびに手の位置を大きく動かさなければならず、キャッチが安定しません。「毎回おでこの高さね」と目印を決めてあげると、投げる強さがそろってきます。壁際に立って、壁のシールや柱の傷など、目印になるものの高さまで投げる練習も分かりやすい方法です。
手の甲と手のひらを使ってはじく
手をパーにして、手のひらを上に向けてお手玉を乗せ、上にはじき上げたら手の甲でお手玉をキャッチします。手の甲に乗ったお手玉を上にはじき上げたら、手のひらでキャッチします。手を交互にひっくり返しながら、お手玉をポンポンとリズムよくはじき上げるのを繰り返します。
まずは利き手から練習を始め、慣れてきたら利き手と逆の手で練習します。うまくできるようになったら、歌に合わせてやってみると楽しいですよ。
この技のコツは、はじく高さをできるだけ低く抑えることです。高く上げると手を返す時間に余裕ができそうに思えますが、実際は落ちてくる勢いが強くなり、手の甲で受け止めきれずに転がり落ちてしまいます。10センチほどの高さでポン、ポンと小刻みに続けるほうが、はるかに長く続きます。手の甲は平らに保ち、指を軽くそらせておくとお手玉が滑り落ちにくくなります。
初心者がつまずきやすい場面と対処法
お手玉の練習で最初に立ちはだかるのが、目線の問題です。多くの初心者は、飛んでいくお手玉を最後まで目で追いかけてしまいます。すると顔ごと動いてしまい、体の軸がぶれて次の投げが乱れます。視線は空中の一点に固定し、お手玉がそこを通過するのを待つのが正解です。ボールを目で追わず「通り道を見る」という感覚は、慣れるまで不自然に感じますが、身につくと一気に安定します。
次に多いのが、手が前に出すぎてしまう癖です。落ちてくるお手玉を迎えにいこうとして腕を伸ばすと、体から手が離れ、次の動作に移れません。ひじを軽く曲げ、おへその前あたりで受け取るつもりでいると動きがコンパクトにまとまります。うまくいかない子には、「手はおなかの前でお留守番していてね」と伝えると伝わりやすいでしょう。
また、続かないとすぐに「もうやめる」と言い出す場面もよくあります。そんなときは回数を数えるのをいったんやめ、「10回投げて何回取れるかな」という形にすると、失敗が失敗として残りません。うまくいかない時間そのものが遊びの一部になると、子どもは意外と粘り強く続けてくれます。
お手玉が上達するコツ
きれいな円を描きながらお手玉を続けるコツは、右から左、左から右へと一定の「リズム」にのることです。一定の速さで体でも同じリズムをつけて動くとよいでしょう。
また、お手玉をするときは手元ばかりを見るのではなく、投げたお手玉が一番高く上がったところを見るようにしましょう。どこに落ちるのかを予測して、手の位置を素早く変えてキャッチできるようになります。
もうひとつ意識したいのが、練習する場所です。柔らかいじゅうたんや畳の上、あるいは布団を敷いた場所で練習すると、落としたお手玉が跳ねずにその場に止まり、拾いに走らずに済みます。落とすたびに部屋の隅まで追いかけていては、集中が切れてしまいます。テーブルの上のコップや花瓶を片づけ、周囲に人がいないことを確かめてから始めると、思い切り投げられます。
そして、練習は短く区切るほうが伸びます。30分続けて疲れた状態で投げても、崩れた動きを繰り返すだけになりがちです。5分から10分ほどで切り上げ、翌日また少し触る。この繰り返しのほうが、手が動きを覚えていきます。「1日1回だけやってみようか」という軽い誘い方のほうが、子どもは自分から続けてくれます。
わらべうたに合わせて遊ぶと楽しい
お手玉は、わらべうたに合わせて遊ぶと楽しいですし、リズムにのりやすいのでおすすめです。歌があると、投げる間隔が自然にそろい、「次はいつ投げるんだろう」と迷わずに済みます。お手玉遊びをするときによく歌われる曲をいくつかご紹介します。他にも自分の好きな曲で練習すると、早く上達するかもしれませんね。
歌詞を覚えていなくても大丈夫です。手拍子だけでもリズムは生まれますし、テンポのゆっくりした曲であれば何でも代わりになります。「ちょっと速すぎるから、もう少しゆっくり歌って」と子どもに頼まれることもあり、自分に合う速さを探すこと自体が練習になります。
あんたがたどこさ~
この曲は、さまざまな遊びで使われるためご存じの方も多いと思います。ひとりでお手玉をするときにも、歌に合わせて遊ぶことができますが、大人数で円になって「さ」のタイミングで隣の人に回していくという遊び方もあります。
人数が多いほど盛り上がる遊びで、回すお手玉を2個、3個と増やしていくと難易度が上がり、笑いが起きます。誰かが取り落とすと歌が止まり、「もう1回!」の声とともに仕切り直し。この繰り返しが延々と続くので、大人数が集まる場面で重宝します。
もしもしカメよ~カメさんよ~
この曲に合わせる遊びはお餅つきです。2人組でお互いの左手のひらを上にして重ねてお手玉を1個乗せます。左手が「臼」でお手玉が「お餅」ということにして、この曲を歌いながら右手で2人交互にお餅をつく動作をします。これを繰り返しながら、好きなタイミングでどちらかがお餅を取ります。取られた人は右手をグーにして、臼の上に置くというものです。
いつ取られるか分からない緊張感があるので、歌の途中で思わず手を引っ込めてしまったり、フェイントをかけ合ったりと、二人の駆け引きが生まれます。親子で向かい合ってやると、子どもは大人をだますことに夢中になります。
一番はじめは一の宮~
明治時代から歌い継がれてきた曲で、手まりやお手玉の歌として有名です。軍歌「抜刀隊」のメロディが転用されています。東海地方では、ラジオCMのBGMでもあることから、今でも広く知られています。
一かけ二かけ三かけて~
若い女の子が西郷隆盛のお墓参りに行くという内容で、細かい歌詞は全国各地で様々なバリエーションがあります。時代劇の口上や、阿波踊りの囃子ことばとしても使われているため、ご存じの方も多いかもしれませんね。
地域によって歌詞が違うというのは、わらべうたならではの特徴です。祖父母に歌ってもらうと、自分の知っているものと少し違って驚くことがあります。「おばあちゃんのは違うんだね」と気づくところから、その土地の話に広がっていくこともあります。
お手玉を複数使った曲芸(振り技)の遊び方
お手玉を1個使っての練習やコツを学んだところで、2個以上の難易度の高いお手玉の遊び方をご紹介します。いきなりうまくできるとは限りませんが、上手になるともっと楽しくなるので練習してみましょう。
お手玉を2個使った遊び(同時投げ)
お手玉1個で慣れたら、次は2個使って遊んでみましょう。最初は難しいと思いますが、ゆっくり練習していると上達してきますよ。動画を見たり、祖父母に教わったりするといいかもしれません。
両手に1個ずつ(クロス投げ)
2個のお手玉を、左右の手で同時に投げ、互いの手のひらで受け取る練習です。振り技(ジャグリング)の基本となる「カスケード」の練習に繋がります。
- 両手に1個ずつお手玉を持つ
- 両手のお手玉を同時に、左右にクロスする軌道で上に投げる
- 右手が投げたお手玉は左手で、左手が投げたお手玉は右手で受け取る
- これを繰り返す
ここでの落とし穴は、2個が空中でぶつかってしまうことです。まったく同じ高さ、同じ軌道で投げると衝突するので、片方をやや高く、もう片方をやや低く投げて高さをずらすと交差しても当たりません。左右で高さを変えるのは最初は難しいので、「右は高く、左は低く」と口に出しながらやると体が覚えます。
片手に2個(垂直投げ)
1個を投げて落ちてくるまでにもう1個を投げる、「交代投げ」の練習です。
- 右手に2個お手玉を持つ(左利きの人は左手に持つ)
- 手前のお手玉をまっすぐ上に投げる
- 投げたお手玉が落ちてくるまでに、手元に残っているもう一つのお手玉を投げたお手玉よりも高くまっすぐ上に投げる
- 最初に投げたお手玉を右手で受け取る
- これを繰り返す
この技が続かない原因のほとんどは、2個目を投げるのが遅れることです。1個目をしっかり受け取ってから投げようとすると、必ず間に合いません。1個目が頂点に達したあたりで、受け取る前に2個目を放り上げる。この「待たない」という感覚が、次のカスケードにもそのままつながります。
お手玉を3個使った遊び(カスケード)
お手玉2個で上手に遊べるようになったら、3個使って遊ぶ、「カスケード」に挑戦してみましょう。できるようになるととてもかっこいいです。最初に投げるのは2個持っている手のほうからで、投げた手と逆の手で受け取ります。コツは、お手玉の軌道をクロスさせ、次の玉を投げる瞬間を待たないことです。
- 右手に2個、左手に1個お手玉を持つ
- 右手のうち、手前のお手玉を左手の方向へクロスする軌道で投げる
- 最初に投げたお手玉が最も高くなる前に、左手のお手玉を右手の方向へクロスする軌道で投げる
- 最初に投げたお手玉を右手で受け取る
- 右手で受け取ったお手玉を左手の方向へクロスする軌道で投げる
- 左手に残っているお手玉を右手で受け取る
- これを繰り返す
3個は一気に完成させようとせず、「3投3キャッチ」で区切って練習するのが近道です。3回投げて3回受け取ったら、いったん手に持って止めます。それが安定してきたら4投、5投と伸ばしていく。最初から続けようとすると、崩れた形のまま慌てて投げることになり、変な癖がついてしまいます。
それでもお手玉が前に飛んでいってしまう場合は、壁に向かって立って練習してみてください。前に飛べば壁に当たるので、自然と真上に近い軌道で投げるようになります。ベッドの上に立って練習すれば、落としても拾う手間が少なくて済みます。
みんなで楽しめる座敷遊び(玉入れ)
お手玉は、一人で遊ぶものだと思っている人もいるかもしれませんが、みんなで一緒に楽しむ座敷遊びもあります。歌に合わせたり、みんなで掛け声をかけて遊ぶと楽しいですよ。
ここでは、お手玉を拾い集める「玉入れ」の遊び方をご紹介します。
- みんなで丸くなる
- みんなの真ん中にお手玉を10個くらいかためて置く
- 遊ぶ順番を決める
- まず、お手玉を1個高く上に投げる(これが親玉となる)
- 親玉が落ちてくる前に、かためておいてあるお手玉を投げた反対の手でできるだけたくさん握る
- 投げた親玉を投げた方の手で受け取る
- 順番に繰り返す(何週してもよい)
- 親玉を受け取れなかったり、握った玉を落としたりした場合は0個
- お手玉をたくさん握れた人の勝ち
この遊びが面白いのは、欲張るほど失敗しやすいという仕組みがあることです。4個も5個もつかもうとすると手がふさがり、親玉を取り損ねて0個になります。「2個で確実にいく」か「4個を狙って賭けに出る」かの判断がそのまま結果に出るので、小学生になると自分なりの作戦を立て始めます。年齢差のある子が混ざっても、親玉を投げる高さを変えるだけで難易度を調整できるため、きょうだいや祖父母と一緒に遊びやすい形です。
もっと面白い、いろいろな遊び方
基本の技を覚えたら、ルールを足したり変えたりして遊びの幅を広げてみましょう。同じお手玉でも、条件をひとつ変えるだけでまったく別の遊びになります。
- 目を閉じて1個投げ。落ちてくる位置を音と感覚だけで当てる
- 座ったまま、あぐらの姿勢で2個投げ。立つより難しくなる
- お手玉を頭や肩に乗せたまま歩き、落とさずにゴールを目指す
- カレンダーの裏紙に的を描いて置き、決めた距離から投げ入れる的当て
- 親子で向かい合い、1個ずつ同時に相手へ放って交換する二人組の技
- 洗濯かごを持って走り回る大人に、子どもがお手玉を投げ入れる追いかけっこ
ルールは子どもと一緒に考えるのがいちばん盛り上がります。「投げるとき片足で立ってたら2点ね」といった思いつきのルールでも、決めたのが自分たちだと最後まで楽しく遊べます。うまくできる子だけが勝ち続けると場がしらけるので、「利き手じゃないほうの手で投げたら3点」のようなハンデを入れておくと、年齢が違う子同士でも成立します。
動画やおうちの人を見本にした練習の進め方
お手玉の動きは、文章や写真だけでは伝わりにくい部分があります。特に3個のカスケードは、投げる間隔とタイミングが命なので、実際に回している様子を見るのがいちばん理解が早い方法です。動画を活用する場合は、再生速度をゆっくりにできる機能を使うと、どの瞬間に次の玉を投げているかがはっきり分かります。
ただし、動画を見ているだけでは手は動くようになりません。「1回見たら、必ず1回やってみる」を繰り返すのが上達の近道です。見る、真似る、うまくいかない、もう一度見る。この行き来のなかで、自分の動きと見本の違いに気づけるようになります。
身近な大人が見本になれるなら、それに越したことはありません。実際にやってみせて、失敗する姿も見せることが大切です。大人がわざと落として「あー、また落とした」と笑っていると、子どもは失敗しても平気だと感じます。逆に大人が完璧に成功する姿ばかり見せると、「自分にはできない」と早々にあきらめてしまうことがあります。「ママも最初は全然できなかったんだよ」と一言添えるだけで、子どもの表情は変わります。
お手玉は世界中にある
お手玉は日本古来の遊びですが、世界中に似た遊びがたくさんあります。アメリカには、コマのような心棒から数本の棒が立体的に飛び出たもの8~15個とゴムボールを使うジャックスという伝統的な遊びがあります。
イギリスにはファイブストーンという石のお手玉があり、女の子の遊びとして親しまれています。丸い石1個と四角の石4個を使い、丸い石を投げている間に四角の石を取るという遊び方です。
ウクライナには楕円形の木をビニールでおおったもの、カナダには木綿の糸で編んだもの、韓国には陶器でできたものなど、国によってさまざまなお手玉が存在します。
国が違っても遊びの構造がよく似ているのは興味深い点です。ひとつを空中に投げ、落ちてくるまでの短い時間に別のものを取る。この形が世界各地で独立して生まれたのか、行き来のなかで伝わったのかは分かりませんが、どこの子どもも同じことに夢中になってきたということです。子どもに世界地図を見せながらこの話をすると、「じゃあ隣の国は何で遊んでたの」と会話が広がります。
お手玉の歴史
お手玉の歴史には、いくつかの説があります。どれが本当かは定かではありませんが、代表的な説をご紹介します。
- 紀元前5世紀に発明されたのが世界最古のお手玉遊びで、その後シルクロードを通ってインドや中国に伝わり、東へ西へと広まっていったという説。
- 古代エジプト中王国時代の王子のお墓にお手玉のことが記されていることから、4000年の歴史を持つという説。
- 黒海周辺の遊牧民から始まる3000年の歴史説。
- 聖徳太子が使っていた「石名取り玉」が起源となり、お手玉になったという説。
これらの説から、お手玉遊びは人類の歴史とともに長く存在してきたことが分かります。もともとは石や木の実など、その辺りにあるものを使っていたと考えられており、布の袋に穀物を詰める形になったのは後の時代のことです。石から布へと材料が変わったことで、当たっても痛くなくなり、小さな子でも遊べるようになりました。今の子どもが手にしているお手玉は、長い時間をかけて姿を変えてきた道具というわけです。
日本のお手玉のかたち
一言でお手玉といっても、世界にはさまざまな種類のものがあるのがわかりましたね。日本にも伝統的なものとしてたわら型、ざぶとん型、かます型、まくら型の4種類のお手玉の形があります。新しいものも合わせると、もっとたくさんの種類がありますが、ここでは伝統的な4種類をご紹介します。
たわら型
一番シンプルなのがたわら型のお手玉です。中には小豆やペレット状のプラスチックなどが入っています。たわら型のお手玉は着物の端切れなどを筒状にし、両端を絞って留めるだけで作ることができます。米俵のような丸みのある形で、手のひらに転がしたときの収まりがよく、投げる遊びに向いています。
ざぶとん型
たわら型のお手玉の次にメジャーなのがざぶとん型です。一般的に売られているお手玉はざぶとん型のものが多いです。平たい形なので床に置いても転がらず、座敷遊びで床にまいて拾い集めるときに扱いやすいのが特徴です。
かます型
片側が空いた袋型のお手玉をかます型といいます。袋型のものの中では一番古いお手玉で、穀物を入れる袋として使っていた「かます」に形が似ていることから、この名前がつきました。
まくら型
見た目が四角いまくらの形をしているのがまくら型お手玉です。これも他のお手玉と同じ材料で案外簡単に作ることができます。角がはっきりしているぶん握ったときに指がかかりやすく、玉入れのようにたくさんつかむ遊びで使いやすい形です。
お手玉はどこで買える?
お手玉は、大きなスーパーや百貨店のおもちゃ売り場に売ってあることがあります。百貨店の和風雑貨を取り扱っているお店などにも高い確率で置いてあります。近くのお店で見つけられなかった場合は、インターネットでも買うことができますよ。
選ぶときは、遊ぶ人の手の大きさに合わせるのがポイントです。幼児の小さな手に大人用の大きなお手玉を持たせると、指がまわりきらずうまく投げられません。逆に小さすぎるものは、握ったときに手の中で埋もれてしまいます。片手で軽く握って、少し余るくらいの大きさが目安です。また、練習用には同じ大きさ・同じ重さのものを3個そろえておくと、投げる感覚が安定します。
また、お手玉は簡単に手作りすることもできます。祖父母なら作り方を知っていることもあるので、聞いてみてもいいかもしれませんね。
たわら型のお手玉を縫ってみよう
お手玉の楽しい遊び方がわかったところで、自分でもお手玉を作ってみましょう。難しいように見えるかもしれませんが、布を縫い合わせて中に小豆などを入れるだけと簡単なのでぜひやってみてくださいね。
用意するもの(1個分)
- 縦10cm×横17cmの布を1枚
- 針
- 糸
- 小豆・大豆や米など軽く一握り程度
たわら型お手玉の縫い方
- 布を半分に折り曲げて、縦10cm×横8.5cmにします
- 柄を内側(中表)にします
- 縦10cmの辺を縫います
- 次に8.5cmの1辺を縫い、ギュッと絞って玉止めします
- 反対側の8.5cmの辺は、2枚重ねないで縫います
- この時、玉止めはしないで針と糸をそのまま残しておきます
- 布をくるっとひっくり返し柄を表にします
- 閉じていない8.5cmの辺から小豆などの中身を入れます
- 糸を引っ張って口を閉じ、玉止めを内側にもぐらせて完成です
中身の量は、袋の6分目から7分目くらいがちょうどよい加減です。ぎっしり詰めると固くなって手になじまず、少なすぎるとぺったりして投げにくくなります。握ったときに、中身がゆっくり動くくらいがちょうどよい詰め具合です。3個作るなら、同じ量を計って入れると重さがそろい、練習がしやすくなります。
布は、着なくなった子ども服やハンカチ、余った手ぬぐいなどでかまいません。「これ、去年まで着てたシャツだよ」と話しながら縫うと、できあがったお手玉に愛着がわきます。針を使う作業は大人が担当し、子どもには布を選ぶ役や中身を入れる役をお願いすると、一緒に作った実感が残ります。縫い目のすき間から中身が出てこないか、遊ぶ前に一度ぎゅっと握って確かめておきましょう。
お手玉の日がある
「○○の日」はさまざまなものがありますが、実はお手玉の日もあります。1992年9月20日に第一回全国お手玉遊び大会が愛媛県で開催されたことを記念して、9月20日を「お手玉の日」としています。お手玉の日には、祖父母や両親と一緒に、お手玉をして遊ぶのも楽しそうですね。
この日に合わせて、地域の児童館や公民館で昔遊びの催しが開かれることもあります。秋のお彼岸が近い時期でもあるので、帰省のタイミングと重なる家庭も多いはずです。「今日はお手玉の日なんだって」と話のきっかけにすれば、久しぶりに祖父母の手さばきを見せてもらえるかもしれません。
お手玉についてよくある質問
Q. お手玉は何個そろえればいいですか
まずは3個あれば十分です。1個の基本練習から2個の同時投げ、3個のカスケードまで、この記事で紹介した技はすべて3個で足ります。玉入れのような座敷遊びをみんなでやりたい場合は、10個ほどあると盛り上がります。手作りなら少しずつ増やしていけるので、遊びの様子を見ながら足していくとよいでしょう。
Q. どうしても3個が続きません
3個に進む前に、2個の同時投げが安定しているかを確かめてみてください。2個が10回続かない段階で3個に進むと、ほぼ確実に行き詰まります。また、3個を続けようとせず「3回投げて手に持って止める」を繰り返すほうが、結果的に早く身につきます。焦らず段階を戻すのが遠回りに見えて近道です。
Q. 中身は何を入れるのがいいですか
小豆や米のほか、手芸用のペレットもよく使われます。小豆や米はシャラシャラとした昔ながらの音が魅力ですが、水分を含むと傷みやすいので、湿気の少ない場所で保管し、汚れたら中身を入れ替えると長く使えます。ペレットは水に強く、洗えるように作れば汚れても手入れが簡単です。
Q. 左利きの子はどう教えればいいですか
この記事の手順は右手を起点に書いていますが、左利きの場合は左右をそのまま入れ替えて読んでください。最初に投げる手を利き手にすると成功しやすくなります。「みんなと同じように」と右手からやらせる必要はまったくありません。
Q. 保育園や幼稚園で習ってきた遊び方と違います
お手玉の遊び方は地域や園によって呼び名も手順もさまざまです。どれかひとつが正解というわけではないので、子どもが習ってきたやり方を教えてもらうのがおすすめです。「園ではどうやるの、教えて」と聞くと、得意げに説明してくれます。
まとめ
お手玉は、1個の練習から始めて、2個の同時投げ、3個のカスケードへと少しずつ段階を上げていける遊びです。年齢に合わせて遊び方を選べば、2歳の子から小学生、祖父母まで同じ布の玉で楽しめます。うまくいかない時間も含めて面白がれるように、記録を数えたり、ルールを一緒に考えたりしながら遊んでみてください。
布と針、そして一握りの小豆があれば、今日から始められます。手のひらでシャラシャラと鳴る音を、次の世代にも渡していきたいものです。



