抱っこ紐での自転車は違法?乳幼児を乗せはじめる時期や事故事例
上の子の幼稚園の送迎や遠方への買い物など、乳幼児がいるけれど自転車に乗りたい時ってけっこうありますよね。その反面、「法律違反じゃない?」「赤ちゃんの体に負担や危険はない?」など、抱っこ紐で赤ちゃんと自転車に乗るのに不安を感じるママも少なくないでしょう。
そこで今回は、抱っこ紐での自転車運転や道路交通法、雨の日の自転車対策について体験談と一緒に詳しくご紹介します。子育て中は子供の命と法律を守って、安心して自転車を利用できるようにしましょうね。
抱っこ紐で自転車に乗るのは違法?
まずは、抱っこ紐で自転車に乗ることについての法律を確認してみましょう。乗り物の法律というと道路交通を思い浮かべますが、各自治体ごとに条例が設けられていますのでお住まいの地域の交通規則を警察庁のホームページなどで確認することが大切です。
こちらでは道路交通法と東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府の道路交通規則についてご紹介します。
道路交通法
日本には道路上の安全を守るために「道路交通法」という法律がありますね。近年では平成27年6月に改正され、ニュース等でも報道され話題になりましたね。
法律違反となる危険な運転をして2回以上摘発されると、悪質自転車運転者として公安委員会より3ヶ月以内に自転車講習の受講命令が下り、この命令に従わない場合は5万円以下の罰金となります。
抱っこ紐に関連する道路交通法
- 運転者はハンドルやブレーキなどを確実に操作し、他人に危害を及ぼさない方法やスピードで運転する(第70条)
- 保護者は児童や幼児を自転車に乗せる際に、乗車用ヘルメットをかぶらせるように努める(第63条の11)
(注1)
自転車操作の確実性が失われますので、傘を差したり物を担いだりするための片手運転は禁止です。
また、保護者が幼児や児童にヘルメットを装着させることについて努力義務や、危険な運転を回避しなければならない「安全運転の義務」に関しても記されていますが、抱っこ紐やおんぶ紐で赤ちゃんと一緒に自転車に乗ることに関して直接的な違反項目であるとは記されていません。
東京都 道路交通規則
東京都の条例である道路交通規則には、抱っこ紐やおんぶ紐などの「子守りバンド」での自転車運転に関して「16歳以上の運転者が幼児一人を子守りバンドで背負っていれば、運転者とみなして条件の範囲内で運転にのることができる」と記されています。
つまり、16歳以上の運転者が幼児をおんぶ紐で背負って自転車を運転するのは法律違反ではありませんが、抱っこ紐で前にくくりつけて自転車を運転するのは違法。また、運転者は16歳以上ですから16歳未満の兄弟などはおんぶ紐で背負っての自転車運転も違法です。
東京都の条例に記されているのは幼児に関してのみですので、抱っこ紐で赤ちゃんと自転車に乗ることは違法になりませんが、記されていない理由としては常識の範囲外の危険行為という認識がみえてきますね。(注2)
一般の幼児用座席がついた自転車
東京都の場合は運転者が16歳以上であれば、幼児用座席のついている一般の自転車に幼児1人を乗せて運転できます。その際に、おんぶ紐でしっかりと背負った幼児を1人おんぶすることもできます。
チャイルドシールを装着する際は安全性を確認して選びましょう。
幼児二人同乗用の自転車
自転車の前後に幼児2人の同乗が可能な構造の自転車や前と後ろに幼児が同乗できる特別な装置を装着した自転車であれば、6歳未満の幼児2人を乗車させることができます。
ただし、その際は運転者が幼児を背負って運転することはできません。
自転車用の傘立て装置
雨の日に子供をおんぶや幼児座席に乗せて自転車に乗る際、傘立て装置で傘を差して乗るママやパパを見かけることがありますが、傘立て装置や傘の幅などによっては下記の条件を満たせず積載物の大きさ制限超過違反となることがありますので注意しましょう。
傘立て装置に関連する東京都道路交通規則
- 傘立て装置に傘をつけた時、傘の先端が地面から2mを超えないこと
- 傘の幅が傘立て装置プラス30cmを超えないこと
子供を乗せる際は、子供乗せ自転車用のレインカバーやレインコートを上手に活用しましょう。
神奈川県 道路交通法施行細則
神奈川県の条例である道路交通施行細則でも、抱っこ紐で赤ちゃんと自転車に乗ることについては触れられていません。
幼児の抱っこ紐やおんぶ紐、傘立て装置に関しても、東京都の道路交通規則と同様です。(注3)
埼玉県 道路交通法施行細則
抱っこ紐やおんぶ紐による自転車の運転の法律は東京都や神奈川県と基本的に同じですが、おんぶ紐で自転車に乗れる幼児の年齢などが若干違うので気をつけましょう。
- 4歳未満の幼児までおんぶ紐で背負って運転することができます
- おんぶ紐を使わないおんぶでの運転は認められていません
ちなみに道路交通法施行細則を見るとおんぶ紐に関しては「4歳未満の者」と記されていますが、神奈川県警のホームページでは4歳未満の幼児と記されていますので気をつけましょう。違反すると2万円以下の罰金となりますので東京や神奈川から引っ越してきたママは注意してくださいね。(注4)
千葉県 道路交通法施行細則
千葉県の条例である道路交通施行細則では幼児の年齢を6歳未満とし、抱っこ紐で赤ちゃんと自転車に乗ることについては、東京都の道路交通規則と同様です。
ただし幼児を1人自転車に乗せ、さらにおんぶ紐で幼児を背負う場合は、幼児同乗用自転車でなければ運転できません。
また、幼児2人同乗用自転車には、次のような詳細な規定があります。
- 幼児2人を同乗させても耐えうる強度や制動性能が十分にある
- 駐輪の際に転倒を防止する安定性や操作性がある
- 自転車前方のハンドルキャリア等の幼児用座席を取り付ける部分や自転車フレームの剛性が十分にある
- ハンドル操作に支障がでる程の振動が運転中に発生しない
- 走行中だけでなく押し歩き中や発進時、停止時の操作や操縦に安定性がある
(注5)
大阪府 道路交通規則
大阪府は埼玉県と同様で、おんぶ紐で背負って自転車に乗れる幼児の年齢を4歳未満としています。
違反した場合には2万円以下の罰金が課せられますが、罰金だけでなく赤ちゃんや幼児の安全のためにも規則はしっかりと守りましょうね。(注6)
5都道府県共通の抱っこ紐での自転車規則
- 抱っこ紐で自転車の運転はでいない
- おんぶは確実に!(埼玉県は必ずおんぶ紐)
- 運転者は16歳以上
- 幼児二人用自転車の前後に幼児を乗せ、もう一人幼児をおんぶ紐で背負い、幼児3人と自転車に乗るのは禁止
抱っこ紐での自転車デビューはいつから?
法律を確認してお分かりのように、抱っこ紐で自転車デビューはできません。
また、都道府県の道路交通規則や道路交通法施行細則には満1歳を過ぎた幼児に関しておんぶ紐で自転車を運転することについての規則が記されていますが、赤ちゃんを背負って自転車に乗るのは危険です。
おんぶ紐は首がしっかりと座る生後3~4ヶ月から使用できる商品が多いのですが、小さな赤ちゃんが自転車に揺られることによる体への負担は大きく、思わぬ事故が発生した際にもヘルメットを装着していませんので大きなダメージを受けてしまいます。
また、国内ではブリジストンがアンジェリーノヘルメットという46cmからの自転車用ヘルメットを販売していますが、これは幼児用。他にも何社か自転車用ヘルメットを販売していますが、サイズはピッタリでもいずれも幼児用です。赤ちゃんに自転車用のヘルメットをかぶらせると首に負担が掛かり過ぎてしまいます。
抱っこ紐やおんぶ紐での自転車の事故事例
抱っこ紐やおんぶ紐を使用して自転車に乗ったことで危険な事故が起こった事例も国内で報告されています。最悪の場合は子供が命を落としてしまいますので、くれぐれも転倒には注意して法律や規則を守り、安全第一の運転を心掛けましょう。
- 抱っこ紐で0歳児が約1週間入院
上の子を自転車の前の座席、赤ちゃんを抱っこ紐で自転車に乗った際に転倒し、翌日赤ちゃんの頭に腫れを発見して受診したところ、頭部骨折等で入院となりました
- 抱っこ紐で0歳児が約10日入院
抱っこ紐で自転車のハンドルに荷物を下げて自転車を押していた際に転倒し、親子で自転車の下敷きになったことで、赤ちゃんが頭部骨折や脳挫傷などで入院となりました
- 抱っこ紐でおんぶして生後7ヶ月の男児が亡くなる
赤ちゃんを抱っこ紐でおんぶした母親が、信号待ちの車の間をすり抜けて道路を横断中に自動車に接触し、母親は軽症で男児は頭を強打し命を落としました
赤ちゃんは自転車の幼児席への乗車も危険
幼児の自転車乗車にはヘルメット着用の義務がありますが、赤ちゃんには首への負担が大きいです。1歳未満の赤ちゃんを幼児用自転車に同乗させるのはやめましょう。
危険?助かる?子育て中の自転車体験談
子供をおんぶして自転車に乗せることや、幼児用座席に座らせて自転車に乗せることについては、危険性が指摘されることもあります。子供をおんぶして自転車に乗る際には、ママやパパ自身が安全に十分配慮して乗る必要がありますね。実際に子育てしているママさんは、子供を乗せて自転車に乗ることについて、どのように考えているのでしょうか。
荷物のある日は歩いて
子供が産まれたのを機に電動自転車を購入。抱っこ紐でおんぶをして5ヶ月の息子を保育園に送る毎日です。ただ、保育園は月曜日の朝と金曜日の帰りは、荷物が沢山。子供をおんぶしながら、お昼寝マットなど沢山荷物を持って自転車をこぐのは危険なので、月・金は歩いて送迎しています。
雨の日も傘をさして運転できないので徒歩通園です。雨の日用ににオシャレな長靴も購入。少し重いですが、転ぶ危険性を考えると歩く安全な道を選びました。
駐車ストレスから解放
私は自動車の運転があまり得意ではありません。特に駐車が苦手です。長男の通う幼稚園の駐車場が狭くて毎回ドキドキしながら駐車していたのですが、次男の誕生を機に電動自転車を購入し、幼稚園にお迎えに行く時は次男をおんぶして自転車で行くようにしました。
駐車ストレスから解放され幼稚園に行くのが苦でなくなりました。電動自転車は高い買い物でしたが、時間の節約にもなり行動範囲も広がりました!
赤ちゃんと一緒の自転車にヒヤリ
次男が生まれて里帰りから帰宅した後、長男を前の席に乗せ次男を背負って幼稚園への送迎することにしましたが、朝出掛けようとしたところ危うく自転車を転倒させそうになりヒヤッとしました。
後ろの次男に気を取られて上の子を危険にさらしてはいけないと思い、まだ自宅近くだったため一旦家に帰って徒歩で幼稚園に行き、その日からは徒歩通園にしました。片道20分でしたが、しっかり歩くようになったためか長男の足は速くなりましたよ。
参考文献
- 注1: e-Gov 「道路交通法」
- 注2: 警視庁 「道路交通規則」
- 注3: 神奈川県警察 「道路交通法施行細則」
- 注4: 埼玉県 「道路交通法施行細則」
- 注5: 千葉県警察 「道路交通法施行細則」
- 注6: 大阪府 「道路交通規則」