ペープサートは作り方がとっても簡単!幼児教育で大活躍する手作り教材
小さなお子さまに絵本の読み聞かせをされている保護者の方も多いと思いますが、絵本から一歩進んで、ペープサートを取り入れてみませんか。
幼稚園や保育園などのお楽しみ会などで用いられ、お子さまが入園すると目にする機会が増えるペープサートは、ご自宅でも簡単に作ることができます。お子さまへ知識を授ける知育教材としても活用できるのです。
今回は、ペープサートのメリットや基本的な作り方、遊び方のヒントなどについて詳しく解説していきます。親子で一緒にペープサートを作って、歌やお話を楽しんでみましょう。
幼児が夢中になるペープサートとは?保育や教育の場で活用される紙人形劇
「ペープサート」とは、棒をつけた紙製のキャラクターを動かし、お話や歌に合わせて物語を進めていく人形劇の一種です。この名称は、英語の「paper puppet theater(ペーパー・パペット・シアター)」から生まれた和製英語とされています。
ペープサートの第一人者である永柴孝堂氏(1908-1984)が、保育の現場で紙芝居と区別して取り入れる際に、この呼び名をつけたと伝えられています。
戦後に紙芝居を立体的に進化させたペープサートは、歌を取り入れたり、演じ手がキャラクターや背景を面白く動かしたりすることで、より臨場感のある読み聞かせができます。現在も幼稚園や保育園などの幼児教育の現場で広く活用されている教材です。
ペープサートが幼児の成長にもたらす5つの教育的な利点
ペープサートを「幼稚園や保育園でのレクリエーション」と、お子さまを楽しませるための演出の一つとして捉えている方も多いかもしれません。
しかし実際には、ペープサートはお子さまの知的な成長や表現力の発達に大きな利点をもたらすことが期待されています。具体的に、次の5つのメリットが挙げられます。
1発想力や表現力を育むことができる
声とキャラクターの動きを伴うペープサートは、絵を見るだけでは得られない劇場型の臨場感を生み出します。台本にとらわれずにお話を進められるため、筋書きを予想する楽しさがお子さまの発想力を育てます。
演じ手がお子さまの反応や希望を取り入れながら物語を進められるのも魅力の一つです。お子さまが自ら声を出して参加することで、言葉の発達が促され、表現力を身につける助けにもなります。
2考える力や知識の理解を深める
ペープサートは絵やイラストを使うため、小さなお子さまにも言葉だけで伝えるよりも内容を理解しやすいという特徴があります。遊びを通して自然に知識を豊かにすることができ、クイズや謎かけに活用すれば知育にも応用が可能です。
ペープサートがお子さまを惹きつける理由の一つに、棒を回して表裏を入れ替え、キャラクターの表情や状況の変化を楽しむことができる点が挙げられます。
このような意外性はお子さまが喜ぶポイントです。「これは何かな?」「次にどう変わるのかな?」とワクワクしながら見ることで、推理力や直感力を育むことにつながります。
3動くものへの興味で集中力を養える
幼児期のお子さまは、動くものに興味を惹きつけられやすいという特性があります。絵本では途中で飽きてしまうお子さまでも、キャラクターが目の前で動くペープサートなら、集中力を途切れさせずに最後まで楽しむことができるでしょう。
ペープサートは、お話を通して伝えたいメッセージや、生活習慣などの学習内容を直接的に伝えることができる教材です。動的な要素がお子さまの関心を引きつけ、学習への良い影響が期待されます。
4お子さまの成長や発達のレベルに合わせやすい
お子さまの成長には個人差があり、同じ絵本を読み聞かせても理解度に差が出ることがあります。絵本だけの読み聞かせでは応用が利きにくい場合もありますが、ペープサートならお子さまとの会話を挟んだり、簡単な言葉に置き換えたりしても話の流れを損ないません。
そのため、お子さまの成長や発達のレベルに合わせた柔軟な対応がスムーズに行えます。難しい内容のお話でも、親しみやすい可愛いキャラクターに置き換えて分かりやすくメッセージを伝えることができるため、幅広い年齢のお子さまを楽しませながら学ばせることが可能です。
5自分自身で手作りすることで創造性を育める
ペープサートの作り方はシンプルなので、鉛筆やハサミが使えるようになった幼児期から、お子さま自身がアイデアを出して工作できるのも大きな魅力です。
工作は手指を器用に動かす訓練になりますし、「どんなお話にしようかな?」「どんな顔やポーズにしようかな?」と考えながら作ることで、想像力や考える力をより高めることができます。
自分で描いたイラストが実際に動くことはお子さまにとって大きな感動体験であり、周りの人に褒められることで自己肯定感を育む機会にもつながります。
ペープサート作りに必要な道具と材料|アイスの棒は100円ショップでも購入可能
- 画用紙
- アイスの棒(割りばしでも代用可能)
- 色紙
- 両面テープ
- ノリ
- サインペン
- 色鉛筆
- ハサミ
ペープサートの持ち手には割りばしを使うこともできますが、お子さまでも持ちやすく安全なように、割りばしを使う場合は長さを短くして調整してください。
特におすすめなのはアイスの棒です。適度な厚みがあり、画用紙を貼り付ける作業も簡単です。
複数のペープサートを作る場合は、100円ショップで販売されている50本入りなどのアイスの棒(木製スティック)を利用すると便利でお得です。
余ったアイスの棒は、竹串やバナナアイスの持ち手として使ったり、お子さまのお人形遊びのテーブルや椅子などを作る工作の材料としても活用できます。
幼児でも自分で作れる!基本的なペープサートの作り方
どのようなお話を作るか決めたら、さっそくペープサート作りを始めましょう。幼児向けであれば、小さな子でも歌いやすい童謡や人気の絵本などをモチーフにするのがおすすめです。
ここでは童謡「いぬのおまわりさん」のキャラクターで作成する手順をご紹介します。
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まず、画用紙に作りたいキャラクターの絵を描きます。裏面と表面で表情や様子が変わるように描くと、劇がより面白くなります。 -
色紙をキャラクターの形に合わせて切り、二つ折りにします。二つ折りにした色紙の間にアイスの棒を挟み、両面テープで貼り合わせてペープサートの土台を作ります。棒を下の方に付けるとキャラクターが倒れやすくなるため、写真のように上の方までしっかりと付けてください。 -
描いたイラストの周りを切り取り、ノリで色紙の土台に貼り合わせます。裏面のイラストも同様に貼り付けますが、光に透かしながら、表裏のイラストができるだけ重なるように位置を調整して貼りましょう。 -
裏面のイラストも貼ったら、表裏を透かしながら色紙の余白部分を切り落とせば完成です。
余白を切り取らなくても遊べますが、切り取った方がキャラクターの形が際立ち、見栄えが良くなります。
完成したペープサートは、手に持って上下・左右に揺らしたり、トコトコと歩かせたり、スーッと滑るように動かしたりすることで、言葉だけでは伝えられない臨場感を演出できます。「迷子の、迷子の、子ネコちゃん~」とお子さまと一緒に歌ったり、お話を読み聞かせたりして遊びましょう。
応用編:動かせるパーツをつけたペープサートの作り方
ペープサートの一部に動かせるパーツをつけておくと、意外性が生まれて、見ているお子さまを「あっ」と驚かせることができます。ここでは、ネコの右手を動かせるようにするペープサートの作り方をご紹介します。
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ネコの右手のパーツを別に作り、厚紙を貼って切り抜きます。 -
ビーズに縫い糸を結び付け、針で穴をあけて手と体のパーツを糸で結びます。余った糸は、体のパーツの裏面にセロハンテープでしっかりと止めておきましょう。 -
そのままイラストをペープサートの土台に貼って余白を切り取れば、場面によって動かせるパーツがついたペープサートの完成です。
一風変わったペープサートの作り方アイデアと活用法
ペープサートは、キャラクターを動かしたりひっくり返して表情や場面を変えたりすることで、テンポよくお話や歌を進めることができる、それだけでも知育に役立つ教材です。もう一工夫することで、さらにユニークなペープサートにすることができます。
表と裏でシルエットクイズができるペープサート
裏と表のイラストを瞬時に変えられるペープサートは、クイズ遊びにも活用できます。
例えば、シルエットクイズです。「この影は、クマかな?それともネズミかな?」と尋ね、ひっくり返すと「カエルさん!」というように使えます。
クイズは、お子さまが楽しみながら考える力を養うことができる、おすすめの幼児遊びです。物語や歌の合間にこのようなクイズを挟むと、お子さまは大喜びし、集中力も維持しやすくなります。
シルエットクイズをモチーフにした「これなあに?」「くらいくらい」「やさいのおなか」などの絵本も参考にしながら、オリジナルのペープサートを作ってみましょう。
イメージが掴みやすく数字や文字に親しみやすいペープサート
数字や文字に親しむための知育玩具としてペープサートを作るのも良い方法です。
例えば、数の勉強です。表には大きく数字を書いたペープサートを用意し、裏には童謡「いっぽんでも、にんじん」の数え歌をモチーフにしたイラストを描いておきます。
「一本でも、ニンジン。二足でも、サンダル。」と歌いながらペープサートを出し、ひっくり返してイラストを見せていけば、幼児でも楽しく数字を覚えることができるでしょう。
このような学習教材になるペープサートは、足し算や引き算、九九なども楽しく学べるため、小学校入学後の家庭学習にも役立てることができます。
ペープサートの舞台を手作りし、ストーリーの幅を広げましょう!
ペープサートが1本や2本であれば手に持って演じられますが、本数が多いと持ちきれませんし、キャラクターの差し替えも大変になります。そんな場合は、ペープサートを挿して立たせておける舞台を作っておくと便利です。
舞台があれば、背景や出番待ちのペープサートも飾っておくことができるため、ストーリーの幅が広がります。遊び終わった後も舞台に挿しこんでおけるので、お片付けにも活用できます。
ペープサートの舞台の材料
- プラスチック容器
- カッター
- 折り紙
- 色紙
- セロハンテープ
プラスチック容器は、生鮮食品などが入っている浅いものだとペープサートを立てることができません。カップ焼きそばのように、ペープサートの持ち手部分よりも深さがあるプラスチック容器を使用してください。
ペープサートの舞台の作り方
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プラスチック容器の底に、カッターで5~10個程度の小さな穴を開けます。カッターの使用は危険ですので、この作業は必ず保護者の方が行いましょう。 -
プラスチック容器をひっくり返し、側面に色紙などをテープで貼って飾ります。 -
色紙の部分に草などの絵を挟み込むことで、場面に合わせた背景も作ることができます。
開けた穴の部分にペープサートを差しておけば、手に持たずに演じられます。容器が深い場合は、中に丸めた新聞紙などを入れて、高さを調整してください。
手作りしたペープサートで遊んでみよう!具体的な遊び方の事例
それでは、作ったペープサートを使った簡単なストーリーの作り方と、上手に演じるコツをご紹介していきましょう。
「えーん、えーん!」(子ネコを上下や左右に大きく動かす)
おやおや、子ネコちゃんが泣いています。どうしたのかな?
「ピーポー、ピーポー・・・」(パトカーを子ネコの周りをグルグルと回るように動かす)
そこにパトカーがやってきました。
「やあ、子ネコちゃん!どうして泣いているの?」(おまわりさんをトコトコと歩かせて、子ネコに近付ける)
イヌのおまわりさんが、子ネコを助けに来てくれました。
「お家がわからなくなったよう、ママにあいたいよう!えーん、えーん!」(子ネコを大きく上下に動かす)
「それは困ったね。そんなに泣かないで、僕も悲しくなってしまうよ。わーん、わーん!」(話しかけるときは左右に揺らしながら、泣くときはペープサートをひっくり返し、大きく上下に動かす)
「そうだ、子ネコちゃんのお家とママを探しに行こう。」(ひっくり返したおまわりさんと子ネコを、一緒にトコトコと動かして、歩く場面を演出する)
「茶色い屋根のお家があったよ。子ネコちゃんの毛皮の色に似ているね。トン・トン・トン!子ネコちゃんのお家を知っていますか?」(手の動作も加えて、見ているお子さまにも「トン・トン・トン!」と手ぶりを促す)
「まあ、おまわりさん。ここはスズメのおうちですよ。子ネコちゃんのお家は知りません。」(家をひっくり返してスズメを出し、左右に大きく振る)
「えーん、えーん!」(子ネコを上下に動かす)
「わーん、わーん!」(イヌを上下に動かす)
「ありがとうスズメさん、さあ、子ネコちゃん、君のお家を探しに行こう」(ひっくり返して、子ネコと一緒にトコトコと歩かせる)
「赤色の屋根のお家があったよ。子ネコちゃんの洋服の色に似ているね。トン・トン・トン!子ネコちゃんのお家を知っていますか?」(手の動作も加えて、見ているお子さまにも「トン・トン・トン!」と手ぶりを促す)
「まあ、おまわりさん。ここはカラスのおうちですよ。子ネコちゃんのお家は知りません。」(家をひっくり返してカラスを出し、左右に大きく振る)
「えーん、えーん!」(子ネコを上下に動かす)
「わーん、わーん!」(イヌを上下に動かす)
「困ったなあ、子ネコちゃんのお家が見つからない」(イヌも子ネコも左右に動かして、近づけたり遠ざけたりする)
「おやおや、向こうにもお家がありますよ」(ヒヨコをトコトコと動かして近付け、話しかけるときは上下に動かす)
「ありがとうヒヨコさん、さあ、子ネコちゃん、君のお家を探しに行こう」(ひっくり返して、子ネコと一緒にトコトコと歩かせる)
「赤色の屋根のお家があったよ。ここに子ネコちゃんのママはいるかな?トン・トン・トン!子ネコちゃんのお家を知っていますか?」(手の動作も加えて、見ているお子さまにも「トン・トン・トン!」と手ぶりを促す)
「まあ、おまわりさん。まあ、心配していたのよ、子ネコちゃん。」(家をひっくり返してネコのママを出し、左右に大きく振る)
「あ、ママだー!」(子ネコを上下に動かす)
「わーい、よかったね!」(イヌを上下に動かす)
「お家とママが見つかってよかったね。子ネコちゃん、もう迷子になっちゃダメだぞ」(イヌもパトカーも左右に動かす)
「ありがとう、おまわりさん。バイバーイ!」(子ネコの手を振る)
はい、おしまい。
話すときや歌う時には、必ずペープサートを手に持って動かしてください。これがペープサートを上手に演じるための重要なコツです。
見ているお子さまに話しかけたり、手ぶりや声掛けで参加させたりすると、劇がより一層盛り上がります。いろいろなストーリーを作って、お子さまと楽しく遊んでみましょう。
ペープサートで遊ぶ際の注意点と保管方法
ペープサートはお子さまが手作りして楽しく遊べるおもちゃですが、細い棒を使っているため、使い方には注意が必要です。座って遊ぶこと、手で持って走り回らないことなどを、事前にしっかりとお子さまに伝えておきましょう。
兄弟やお友達と一緒に遊ぶ際、興奮して棒の部分でつつき合ってしまうことも考えられますので、特に幼児の場合は保護者の方がそばで見守ってあげてください。
紙製のペープサートは端が折れやすいため、舞台に立てるか、平らに重ねて置ける保管場所を作っておくと、繰り返し長く遊べます。
舞台にしたプラスチック容器は、裏返せばそのままペープサートを保管する入れ物としても使えます。遊びだけでなく、お片付けの習慣も楽しく身につけさせてあげましょう。お子さまのお片付けは、幼児期から楽しく教えて習慣化させることが大切です。
ペープサートは作り方がとっても簡単!幼児教育で大活躍する手作り教材
小さなお子さまに絵本の読み聞かせをされている保護者の方も多いと思いますが、絵本から一歩進んで、ペープサートを取り入れてみませんか。
幼稚園や保育園などのお楽しみ会などで用いられ、お子さまが入園すると目にする機会が増えるペープサートは、ご自宅でも簡単に作ることができます。お子さまへ知識を授ける知育教材としても活用できるのです。
今回は、ペープサートのメリットや基本的な作り方、遊び方のヒントなどについて詳しく解説していきます。親子で一緒にペープサートを作って、歌やお話を楽しんでみましょう。
幼児が夢中になるペープサートとは?保育や教育の場で活用される紙人形劇
「ペープサート」とは、棒をつけた紙製のキャラクターを動かし、お話や歌に合わせて物語を進めていく人形劇の一種です。この名称は、英語の「paper puppet theater(ペーパー・パペット・シアター)」から生まれた和製英語とされています。
ペープサートの第一人者である永柴孝堂氏(1908-1984)が、保育の現場で紙芝居と区別して取り入れる際に、この呼び名をつけたと伝えられています。
戦後に紙芝居を立体的に進化させたペープサートは、歌を取り入れたり、演じ手がキャラクターや背景を面白く動かしたりすることで、より臨場感のある読み聞かせができます。現在も幼稚園や保育園などの幼児教育の現場で広く活用されている教材です。
ペープサートが幼児の成長にもたらす5つの教育的な利点
ペープサートを「幼稚園や保育園でのレクリエーション」と、お子さまを楽しませるための演出の一つとして捉えている方も多いかもしれません。
しかし実際には、ペープサートはお子さまの知的な成長や表現力の発達に大きな利点をもたらすことが期待されています。具体的に、次の5つのメリットが挙げられます。
1発想力や表現力を育むことができる
声とキャラクターの動きを伴うペープサートは、絵を見るだけでは得られない劇場型の臨場感を生み出します。台本にとらわれずにお話を進められるため、筋書きを予想する楽しさがお子さまの発想力を育てます。
演じ手がお子さまの反応や希望を取り入れながら物語を進められるのも魅力の一つです。お子さまが自ら声を出して参加することで、言葉の発達が促され、表現力を身につける助けにもなります。
2考える力や知識の理解を深める
ペープサートは絵やイラストを使うため、小さなお子さまにも言葉だけで伝えるよりも内容を理解しやすいという特徴があります。遊びを通して自然に知識を豊かにすることができ、クイズや謎かけに活用すれば知育にも応用が可能です。
ペープサートがお子さまを惹きつける理由の一つに、棒を回して表裏を入れ替え、キャラクターの表情や状況の変化を楽しむことができる点が挙げられます。
このような意外性はお子さまが喜ぶポイントです。「これは何かな?」「次にどう変わるのかな?」とワクワクしながら見ることで、推理力や直感力を育むことにつながります。
3動くものへの興味で集中力を養える
幼児期のお子さまは、動くものに興味を惹きつけられやすいという特性があります。絵本では途中で飽きてしまうお子さまでも、キャラクターが目の前で動くペープサートなら、集中力を途切れさせずに最後まで楽しむことができるでしょう。
ペープサートは、お話を通して伝えたいメッセージや、生活習慣などの学習内容を直接的に伝えることができる教材です。動的な要素がお子さまの関心を引きつけ、学習への良い影響が期待されます。
4お子さまの成長や発達のレベルに合わせやすい
お子さまの成長には個人差があり、同じ絵本を読み聞かせても理解度に差が出ることがあります。絵本だけの読み聞かせでは応用が利きにくい場合もありますが、ペープサートならお子さまとの会話を挟んだり、簡単な言葉に置き換えたりしても話の流れを損ないません。
そのため、お子さまの成長や発達のレベルに合わせた柔軟な対応がスムーズに行えます。難しい内容のお話でも、親しみやすい可愛いキャラクターに置き換えて分かりやすくメッセージを伝えることができるため、幅広い年齢のお子さまを楽しませながら学ばせることが可能です。
5自分自身で手作りすることで創造性を育める
ペープサートの作り方はシンプルなので、鉛筆やハサミが使えるようになった幼児期から、お子さま自身がアイデアを出して工作できるのも大きな魅力です。
工作は手指を器用に動かす訓練になりますし、「どんなお話にしようかな?」「どんな顔やポーズにしようかな?」と考えながら作ることで、想像力や考える力をより高めることができます。
自分で描いたイラストが実際に動くことはお子さまにとって大きな感動体験であり、周りの人に褒められることで自己肯定感を育む機会にもつながります。
ペープサート作りに必要な道具と材料|アイスの棒は100円ショップでも購入可能
- 画用紙
- アイスの棒(割りばしでも代用可能)
- 色紙
- 両面テープ
- ノリ
- サインペン
- 色鉛筆
- ハサミ
ペープサートの持ち手には割りばしを使うこともできますが、お子さまでも持ちやすく安全なように、割りばしを使う場合は長さを短くして調整してください。
特におすすめなのはアイスの棒です。適度な厚みがあり、画用紙を貼り付ける作業も簡単です。
複数のペープサートを作る場合は、100円ショップで販売されている50本入りなどのアイスの棒(木製スティック)を利用すると便利でお得です。
余ったアイスの棒は、竹串やバナナアイスの持ち手として使ったり、お子さまのお人形遊びのテーブルや椅子などを作る工作の材料としても活用できます。
幼児でも自分で作れる!基本的なペープサートの作り方
どのようなお話を作るか決めたら、さっそくペープサート作りを始めましょう。幼児向けであれば、小さな子でも歌いやすい童謡や人気の絵本などをモチーフにするのがおすすめです。
ここでは童謡「いぬのおまわりさん」のキャラクターで作成する手順をご紹介します。
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まず、画用紙に作りたいキャラクターの絵を描きます。裏面と表面で表情や様子が変わるように描くと、劇がより面白くなります。 -
色紙をキャラクターの形に合わせて切り、二つ折りにします。二つ折りにした色紙の間にアイスの棒を挟み、両面テープで貼り合わせてペープサートの土台を作ります。棒を下の方に付けるとキャラクターが倒れやすくなるため、写真のように上の方までしっかりと付けてください。 -
描いたイラストの周りを切り取り、ノリで色紙の土台に貼り合わせます。裏面のイラストも同様に貼り付けますが、光に透かしながら、表裏のイラストができるだけ重なるように位置を調整して貼りましょう。 -
裏面のイラストも貼ったら、表裏を透かしながら色紙の余白部分を切り落とせば完成です。
余白を切り取らなくても遊べますが、切り取った方がキャラクターの形が際立ち、見栄えが良くなります。
完成したペープサートは、手に持って上下・左右に揺らしたり、トコトコと歩かせたり、スーッと滑るように動かしたりすることで、言葉だけでは伝えられない臨場感を演出できます。「迷子の、迷子の、子ネコちゃん~」とお子さまと一緒に歌ったり、お話を読み聞かせたりして遊びましょう。
応用編:動かせるパーツをつけたペープサートの作り方
ペープサートの一部に動かせるパーツをつけておくと、意外性が生まれて、見ているお子さまを「あっ」と驚かせることができます。ここでは、ネコの右手を動かせるようにするペープサートの作り方をご紹介します。
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ネコの右手のパーツを別に作り、厚紙を貼って切り抜きます。 -
ビーズに縫い糸を結び付け、針で穴をあけて手と体のパーツを糸で結びます。余った糸は、体のパーツの裏面にセロハンテープでしっかりと止めておきましょう。 -
そのままイラストをペープサートの土台に貼って余白を切り取れば、場面によって動かせるパーツがついたペープサートの完成です。
一風変わったペープサートの作り方アイデアと活用法
ペープサートは、キャラクターを動かしたりひっくり返して表情や場面を変えたりすることで、テンポよくお話や歌を進めることができる、それだけでも知育に役立つ教材です。もう一工夫することで、さらにユニークなペープサートにすることができます。
表と裏でシルエットクイズができるペープサート
裏と表のイラストを瞬時に変えられるペープサートは、クイズ遊びにも活用できます。
例えば、シルエットクイズです。「この影は、クマかな?それともネズミかな?」と尋ね、ひっくり返すと「カエルさん!」というように使えます。
クイズは、お子さまが楽しみながら考える力を養うことができる、おすすめの幼児遊びです。物語や歌の合間にこのようなクイズを挟むと、お子さまは大喜びし、集中力も維持しやすくなります。
シルエットクイズをモチーフにした「これなあに?」「くらいくらい」「やさいのおなか」などの絵本も参考にしながら、オリジナルのペープサートを作ってみましょう。
イメージが掴みやすく数字や文字に親しみやすいペープサート
数字や文字に親しむための知育玩具としてペープサートを作るのも良い方法です。
例えば、数の勉強です。表には大きく数字を書いたペープサートを用意し、裏には童謡「いっぽんでも、にんじん」の数え歌をモチーフにしたイラストを描いておきます。
「一本でも、ニンジン。二足でも、サンダル。」と歌いながらペープサートを出し、ひっくり返してイラストを見せていけば、幼児でも楽しく数字を覚えることができるでしょう。
このような学習教材になるペープサートは、足し算や引き算、九九なども楽しく学べるため、小学校入学後の家庭学習にも役立てることができます。
ペープサートの舞台を手作りし、ストーリーの幅を広げましょう!
ペープサートが1本や2本であれば手に持って演じられますが、本数が多いと持ちきれませんし、キャラクターの差し替えも大変になります。そんな場合は、ペープサートを挿して立たせておける舞台を作っておくと便利です。
舞台があれば、背景や出番待ちのペープサートも飾っておくことができるため、ストーリーの幅が広がります。遊び終わった後も舞台に挿しこんでおけるので、お片付けにも活用できます。
ペープサートの舞台の材料
- プラスチック容器
- カッター
- 折り紙
- 色紙
- セロハンテープ
プラスチック容器は、生鮮食品などが入っている浅いものだとペープサートを立てることができません。カップ焼きそばのように、ペープサートの持ち手部分よりも深さがあるプラスチック容器を使用してください。
ペープサートの舞台の作り方
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プラスチック容器の底に、カッターで5~10個程度の小さな穴を開けます。カッターの使用は危険ですので、この作業は必ず保護者の方が行いましょう。 -
プラスチック容器をひっくり返し、側面に色紙などをテープで貼って飾ります。 -
色紙の部分に草などの絵を挟み込むことで、場面に合わせた背景も作ることができます。
開けた穴の部分にペープサートを差しておけば、手に持たずに演じられます。容器が深い場合は、中に丸めた新聞紙などを入れて、高さを調整してください。
手作りしたペープサートで遊んでみよう!具体的な遊び方の事例
それでは、作ったペープサートを使った簡単なストーリーの作り方と、上手に演じるコツをご紹介していきましょう。
「えーん、えーん!」(子ネコを上下や左右に大きく動かす)
おやおや、子ネコちゃんが泣いています。どうしたのかな?
「ピーポー、ピーポー・・・」(パトカーを子ネコの周りをグルグルと回るように動かす)
そこにパトカーがやってきました。
「やあ、子ネコちゃん!どうして泣いているの?」(おまわりさんをトコトコと歩かせて、子ネコに近付ける)
イヌのおまわりさんが、子ネコを助けに来てくれました。
「お家がわからなくなったよう、ママにあいたいよう!えーん、えーん!」(子ネコを大きく上下に動かす)
「それは困ったね。そんなに泣かないで、僕も悲しくなってしまうよ。わーん、わーん!」(話しかけるときは左右に揺らしながら、泣くときはペープサートをひっくり返し、大きく上下に動かす)
「そうだ、子ネコちゃんのお家とママを探しに行こう。」(ひっくり返したおまわりさんと子ネコを、一緒にトコトコと動かして、歩く場面を演出する)
「茶色い屋根のお家があったよ。子ネコちゃんの毛皮の色に似ているね。トン・トン・トン!子ネコちゃんのお家を知っていますか?」(手の動作も加えて、見ているお子さまにも「トン・トン・トン!」と手ぶりを促す)
「まあ、おまわりさん。ここはスズメのおうちですよ。子ネコちゃんのお家は知りません。」(家をひっくり返してスズメを出し、左右に大きく振る)
「えーん、えーん!」(子ネコを上下に動かす)
「わーん、わーん!」(イヌを上下に動かす)
「ありがとうスズメさん、さあ、子ネコちゃん、君のお家を探しに行こう」(ひっくり返して、子ネコと一緒にトコトコと歩かせる)
「赤色の屋根のお家があったよ。子ネコちゃんの洋服の色に似ているね。トン・トン・トン!子ネコちゃんのお家を知っていますか?」(手の動作も加えて、見ているお子さまにも「トン・トン・トン!」と手ぶりを促す)
「まあ、おまわりさん。ここはカラスのおうちですよ。子ネコちゃんのお家は知りません。」(家をひっくり返してカラスを出し、左右に大きく振る)
「えーん、えーん!」(子ネコを上下に動かす)
「わーん、わーん!」(イヌを上下に動かす)
「困ったなあ、子ネコちゃんのお家が見つからない」(イヌも子ネコも左右に動かして、近づけたり遠ざけたりする)
「おやおや、向こうにもお家がありますよ」(ヒヨコをトコトコと動かして近付け、話しかけるときは上下に動かす)
「ありがとうヒヨコさん、さあ、子ネコちゃん、君のお家を探しに行こう」(ひっくり返して、子ネコと一緒にトコトコと歩かせる)
「赤色の屋根のお家があったよ。ここに子ネコちゃんのママはいるかな?トン・トン・トン!子ネコちゃんのお家を知っていますか?」(手の動作も加えて、見ているお子さまにも「トン・トン・トン!」と手ぶりを促す)
「まあ、おまわりさん。まあ、心配していたのよ、子ネコちゃん。」(家をひっくり返してネコのママを出し、左右に大きく振る)
「あ、ママだー!」(子ネコを上下に動かす)
「わーい、よかったね!」(イヌを上下に動かす)
「お家とママが見つかってよかったね。子ネコちゃん、もう迷子になっちゃダメだぞ」(イヌもパトカーも左右に動かす)
「ありがとう、おまわりさん。バイバーイ!」(子ネコの手を振る)
はい、おしまい。
話すときや歌う時には、必ずペープサートを手に持って動かしてください。これがペープサートを上手に演じるための重要なコツです。
見ているお子さまに話しかけたり、手ぶりや声掛けで参加させたりすると、劇がより一層盛り上がります。いろいろなストーリーを作って、お子さまと楽しく遊んでみましょう。
ペープサートで遊ぶ際の注意点と保管方法
ペープサートはお子さまが手作りして楽しく遊べるおもちゃですが、細い棒を使っているため、使い方には注意が必要です。座って遊ぶこと、手で持って走り回らないことなどを、事前にしっかりとお子さまに伝えておきましょう。
兄弟やお友達と一緒に遊ぶ際、興奮して棒の部分でつつき合ってしまうことも考えられますので、特に幼児の場合は保護者の方がそばで見守ってあげてください。
紙製のペープサートは端が折れやすいため、舞台に立てるか、平らに重ねて置ける保管場所を作っておくと、繰り返し長く遊べます。
舞台にしたプラスチック容器は、裏返せばそのままペープサートを保管する入れ物としても使えます。遊びだけでなく、お片付けの習慣も楽しく身につけさせてあげましょう。お子さまのお片付けは、幼児期から楽しく教えて習慣化させることが大切です。