幼児のサッカースクール選び:始める時期、メリット・デメリット、自宅練習法まで徹底解説
男女を問わず、幼児期の習い事としてサッカーを選ぶご家庭が増えています。FIFAワールドカップを始め、世界的に注目を集めるサッカーは、お子様をプロ選手にしたいという夢を持つきっかけにもなります。
しかし、いざ幼児にサッカーを習わせるとなると、まずはお子様本人がサッカーを好きになる環境を整えることが必要です。環境が合わずにサッカー嫌いになってしまっては元も子もありません。
また習い事は多かれ少なかれ親御様に負担がかかるものですので、ご夫婦で相談し、無理のない環境を選ぶことも大切です。幼児にサッカーを習わせる前に親が知っておくべき情報を押さえて、お子様と親御様の両方にマッチした環境を整えましょう。
子育て4コマ漫画:幼児のうちから習わせたい!サッカーの魅力
幼児にサッカーを習わせるのはいつから?多くは4~5歳からが対象
幼児にサッカーを教える団体の多くは、4~5歳以上を対象としています。教室によっては3歳から参加できるところもありますが、早く習わせればその分だけ上達するとは限りません。
4~5歳になると、練習に参加するための基礎体力や、友達と一緒に行動する協調性、人の話を聞く力が身に付き始めるお子様が増えます。これらの能力はこの時期の発達課題でもあるため、幼稚園や保育園でもサッカーを行ったり、サッカー教室を誘致したりする傾向があります。
ちなみに、ワールドカップなどで活躍した多くの日本代表選手も、幼稚園や小学校低学年からサッカーを習い始めていることが知られています。
日本代表選手がサッカーを始めた時期の例
多くのプロサッカー選手は、幼少期からサッカーに親しみ、その才能を伸ばしてきました。著名な選手の例をいくつかご紹介します。
長谷部 誠選手:2歳頃におじい様からボールを買い与えられたことがきっかけで、地元のサッカークラブに3歳で入団したというエピソードが知られています。
大迫 勇也選手:地元鹿児島のスポーツ少年団に3歳で加入し、本格的にサッカーを始めています。
香川 真司選手:Jリーグ開幕後にサッカーに熱中し、地元のクラブチームに小学校1年生から入団しました。
長友 佑都選手:小学校1年生からサッカースクールに入会してサッカーを始め、その後中学での走り込みなどを通じて豊富な運動量が培われました。
本田 圭佑選手:地元のサッカークラブに小学校2年生から入団してサッカーを始め、その後も成長を続けました。
幼児がサッカーを習える場所は主に3種類!費用や指導者の違いを知ろう
幼児期からサッカーを習わせようと思っている場合、主に次の3種類から選ぶことになります。指導者や方針、費用や親の関わり方などが異なりますので、ご家庭の都合とお子様の性格や考えに合うところを選ぶことが大切です。
1プロの指導者が所属する「クラブチーム」
クラブチームとは、JリーグやJFL(日本フットボールリーグ)に属するチームの傘下などにあるサッカーチームのことです。ジュニアユースやユースチームを持っている所が多いのが特徴で、将来、お子様を本格的にプロサッカー選手にしたいパパママにおすすめです。
指導者は経験豊かなプロがほとんどで指導スキルや技術は高く、お子様にも高い身体能力や意欲を求められる傾向があります。また保護者の関与はほとんどない代わりに月謝が高めです。
2地域に根付いた「サッカー少年団」
サッカー少年団とは、地域密着型の自主団体です。親の負担が大きいため、「サッカーの楽しさを感じながら安く習わせたい」「習い事のお手伝いに親が積極的に参加することを苦に感じない」というご家庭におすすめです。
指導者はボランティアのことが多く、指導経験やスキルにはレベル差がある場合があります。そのため、勝敗にこだわるチームもあれば、全員参加にこだわるチームもあり、指導者の色が出やすい傾向があります。
また保護者の関わりが強く、役職やお当番があるところがほとんどです。お茶出しや試合会場への車での送迎など、チームにより多少違いはありますが、親の介入が必須となることが多いです。
別途ガソリン代やユニホーム代がかかるものの、親が関わることが多いため人件費や施設費が抑えられ、費用はおよそ月1,000~3,000円で習える少年団が多いです。
3チームとしての活動がない「サッカースクールや教室」
サッカースクールや教室とは、クラブチームや企業が運営している、技術習得を主な目的とした教室です。チームとしての活動(試合など)がない場合が多いです。「少年団より費用が高くてもいいから、技術力を高めたい」という方針のご家庭の幼児におすすめです。
指導者はプロもいればアルバイトもいます。教室やスクール、教える人により異なることが多いので、事前に体験レッスンを受けるなどのリサーチが必要です。親の関与が必要ないかわりに、費用はクラブチームと同じか少し安いぐらいのことが多いです。
幼児にサッカーを習わせる4つのメリット
幼児が習える色々なスポーツがある中で、なぜサッカーが人気なのでしょうか。サッカーを習うことで期待できるメリットを知ることで、大らかな目線で納得してお子様に習わせることができます。
1非認知能力(自制心や意欲など)の育成に役立つ
脳が急成長する幼児期にサッカーを習わせることで、自制心や目標に向かう意欲、社会性といった非認知能力(学力テストでは測れない能力)を高めるのに役立つと考えられています。
これは、広い視野で状況判断を行うサッカーの特性や、チームメイトとのコミュニケーションが非認知能力の発達を促すためです。社会生活において活躍しやすい土台作りにつながることが期待できます。
2基礎体力や運動神経の向上に役立つ
サッカーは持久力や筋力、スピード、柔軟性など全身を鍛えることができるスポーツです。サッカーを習い始めたことで足が速くなるお子様は多いです。
幼児は様々な動きを経験することで運動神経を効果的に高めることができます。広いサッカーコートで走る動きのみならず、ドリブルやシュートといった普段あまりしない動きを全身の筋肉を動かして経験できるサッカーは、運動神経を向上させるのに適しています。
また4~5歳になると、適度な運動量を確保することが運動能力と基礎体力の向上に必要不可欠ですので、降園後の運動量を確保できるというメリットもあります。
3精神面を鍛えるのに役立つ
サッカーを習わせることで、幼児期から精神面を鍛えることができます。幼児は何かに負けるとかんしゃくを起して泣くこともありますが、集団で行うスポーツを通じてゲームの勝ち負けに触れます。
これにより、徐々に我慢する気持ちや、もっと頑張ろうとする向上心、失敗に負けない強い心を育むことができるのです。
4コミュニケーション能力の向上に役立つ
サッカーはチームプレーです。そのため、チームメイトとのコミュニケーションを取ることが必須となります。幼児の頃はまだ本格的な練習は少ないかもしれませんが、ミニゲームなどを通して協調性や思いやりなどは学んでいきます。
こうした活動によってチームメイト(友達)との絆が徐々に強くなるにつれて、無意識にお子様のコミュニケーション能力も向上しやすいのです。
幼児にサッカーを習わせる際の注意点:4つのデメリットと親のサポート
幼児にサッカーを習わせたからといって、すぐに上達するわけではありません。幼児は集中できる時間が短いものですが、お子様の能力に夢を抱いている親御様は特に、注意点があることを知っておきましょう。
1集団行動への適性が合わないと、練習に集中できない場合がある
幼児は落ち着きがないものですが、コーチの話を聞かない、友達にちょっかいを出す、ボールを手で持つなど、目に余る行為を繰り返す場合は、トラブルになって親も子も周囲も嫌な思いをすることがあります。
親御様側が「幼児だし仕方がない」と放っておくと、お子様が周りに迷惑をかけるだけでなく、本人も集中できず、自信を失ってしまう可能性があります。親御様も「費用が無駄だ」と感じてしまうかもしれません。
そのような場合は、習い事をさせる年齢が早すぎなかったか、お子様の性格に合う団体だったかを再確認し、お子様がサッカーを集中して楽しめる環境を整えてあげることが大切です。
2指導者選びを失敗すると、期待通りのスキルアップが見込めない
プロを目指すかに関わらず、ある程度の技術の向上や達成感を経験できないと、サッカーの楽しさは半減してしまいます。特に本格的にプロを目指すのが親子の共通認識であれば、チーム選びや良い指導者の選択は慎重に行う必要があります。
お子様がサッカーをより楽しむために、スキルアップできる指導者を選ぶことは大切です。
3不適切な指導や運動でケガのリスクがある
体の使い方がまだ上手くできない幼児の場合、きちんとした指導を受けていない状態で無理な運動をしたことで、ケガをしてしまう恐れがあります。その結果、その後スポーツを心置きなくできなくなるという可能性も考えられます。
どんなスポーツを習う場合も共通ですが、専門知識を持った指導のもとで体を動かすことが重要です。不適切な体の動かし方は、変な癖をつけたり、無理な負荷がかかったりして、怪我に繋がることがありますので注意しましょう。
4子供の性格や意志を考慮しないと全く練習に参加してくれない
親御様の中にはサッカーファンやサッカー経験者も多く、お子様の意思とは無関係にサッカーを習わせるご家庭もあります。そのような場合は、親が費用を出し頑張って送迎をしても、お子様が積極的に練習をしない可能性があります。
例えば、お子様の体を鍛えたくて性格を考えずにサッカースクールに入れたご家庭では、3歳の息子さんが興味を示さず練習にも参加せず、端っこでボールの数を数えていたというような例もあります。
このような状況にならないためにも、サッカーを習わせる前には必ず体験や見学を活用して、お子様の意思や好み、その年齢では早すぎないかなどの適性を確認しましょう。
幼児用のサッカーボールは3号!サイズアップは小学校入学の時期
何度も買い替えるのはもったいないからと幼児に4号のサッカーボールを与えても、幼児には重すぎるため、足をひねってしまうなどケガに繋がる恐れがあります。幼児の体に合うサッカーボールのサイズは3号ですので、購入時は大きいボールを選ばないように注意しましょう。
3号のサッカーボールは小学校低学年でも使用できますが、小学生からは日本サッカー協会の規格が4号にサイズアップしますし、小学校でも4号を使用します。そのためサイズアップの目安は小学校入学時です。お子様の体の成長やボールの扱いの習熟度に応じて、サイズアップを検討しましょう。
幼児のサッカーシューズは値段やデザインより、足を傷めないチョイスが重要
幼児にサッカーを習わせるにあたり、シューズ選びはとても重要です。お子様の成長の妨げにならない、足への負担が少ないサッカーシューズを選ぶようにしましょう。
幼児にはスパイクではなくトレーニングシューズを選ぶ
スパイクを幼児期から履くと、足への負担が大きく、骨格変形などの障害の原因になる可能性がありますので、早くてもスパイク使用は小学校3年生ぐらいからと覚えておくと良いでしょう。トレーニングシューズという名前の靴ですが、公式戦で使うことも可能です。
必ず試し履きをし、足にピッタリのサイズを選ぶ
幼児の足は大人の足と異なり幅広なことが多く、成長過程ですので必ず試し履きをし、足への負担の少ないサイズの合ったシューズを購入することが大切です。
幼児の足に合うサッカーシューズの選び方
- ソックスを履き、足がむくむやすい午後に選びに行く
- シューズが曲がる位置と、足が曲がる位置があっているかを確認する
- 立った状態で足をシューズのかかとに合わせて履き、親指の足先に5~10mmの余裕(遊び)があり、かつ甲の高さが合っているものを選ぶ
大きめのサッカーシューズをわざと購入するご家庭もありますが、地面を蹴る自分の足と靴との感覚に差が出て不快に感じるだけでなく、悪い癖がついたりケガをしたりする原因になることがあります。また、曲がらない硬いソウルの靴を選ぶと、かかとが浮いて歩幅が狭くなり、すり足になってしまいがちです。
幼児のサッカーシューズを購入する際は足がむくみやすい午後に、サッカー用のソックスを履いて選びに行きましょう。幼児期は1年におよそ1cmも足が大きくなりますので、こまめにチェックして小さくなっていないか確認することも大切です。
靴紐が結べない幼児は、マジックテープのシューズを購入する
幼児の場合、サッカーシューズの靴紐が上手く結べない子も珍しくありません。蝶結びができる時期には個人差がありますので、焦らずお子様と一緒に練習することが大切です。それまでは無理せず、自分で履けるマジックテープ式のサッカーシューズを購入しましょう。
自宅でできる!幼児が楽しめるサッカーの練習メニュー
幼児をサッカースクールに通わせるだけで上達させるのはなかなか難しく、ご自宅での練習が上達のカギとなります。とはいえ、お子様自身が「練習したい」と言わなければ続けることは難しいので、遊びの中にサッカーの練習要素を取り入れて楽しく練習させましょう。
1柔軟性が鍛えられる!ボールを使わない動物ごっこ
実際の幼児向けサッカー教室でも、最初のウォーミングアップに使用されており、柔軟性を鍛えるのに有効的です。
パパやママが「うさぎ」など動物の名前を言って、お子様が真似しながら跳ねたり走ったりします。動物によっては地面をはったりするため、お子様も楽しみながら柔軟性を鍛えられますし、親子で問題を出し合うのも楽しいです。
2ボールを使ってバランス感覚を養う!ボディでタッチ
ボールを実際に蹴るのではなく、指定した体の部位でボールに触れるだけです。これだけでボールの感覚や機敏な動きが鍛えられます。
例えば「おなか」と問題を出し、地面にサッカーボールを置いたまま手を使わずにお腹にボールに素早く触れさせます。色々な体の部位を繰り返し言い、瞬時に触れる訓練をすることで、瞬発力やボールを体に触れさせる感覚を養うのです。
3ゲーム感覚でドリブルを強化!石や落ち葉集め
ドリブルの練習となると幼児にはハードルが高いですが、石集めなどであれば幼児は大好きです。「動く時はドリブル。綺麗な石を探してママの所までドリブルで持ってきてね。」と伝えるだけでOKです。
石でも落ち葉でも何でも構いません。ただし、両手にたくさん持ってくると、バランスを崩して転倒した際に手が出ないのでケガの原因になります。1つずつ拾うように約束してから行いましょう。
幼児のサッカーが上達する教え方の一番のコツは「楽しませる」
「サッカーは楽しい」とお子様に感じさせるのが、一番の上達のコツです。そのために最初は上手に練習に参加できなくても、親御様は温かく見守ることを忘れないようにしましょう。そして、少しでも上手にできたことは積極的に褒めてあげましょう。
親御様が焦らなくても、サッカーが好きになれば、成長するにあたり「友達とサッカーすることが楽しい」「試合に勝つことが嬉しい」「負けたら悔しい」といった複雑な感情が自然に湧き上がります。
むしろ親やコーチに怒られたり、練習を強要されたり、できないことを指摘されたりすると、サッカーを嫌いになってしまうことが多いです。ですから本人の心の準備が整うまでは、幼児がボールに親しみ、ボールを使いながら楽しむことに重点を置いた教え方をすることが大切です。