マイナンバーと個人事業主に関する記事

マイナンバーで個人事業主やフリーランスが気を付けること

マイナンバーで個人事業主やフリーランスが気を付けること

マイナンバーで個人事業主は、どのようなことに気をつけて対処すればよいのでしょうか?ケースに分けて具体的に見てみましょう。

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「税」に関わるマイナンバー、個人事業主が気を付けたいこと

2016年1月からスタートしたマイナンバー制度では「社会保障」「税」「災害対策」に関する手続きの際に、マイナンバーの提示が必要になります。この3つの中で、フリーランスで活躍する方や個人事業主の方あるいはオークションやハンドメイド通販、フリーマーケットで収入を得ている人がいちばん気になるのは「税」ではないでしょうか?

税に関する手続きにおいて、これまでと変わることは何があるのでしょうか。そして、どのような対処が必要になるのでしょうか?

申告書類にはマイナンバーが必要 個人事業主の確定申告

確定申告について注意する女性

個人事業主がしなければならない税の手続きで真っ先に思い浮かぶのが、確定申告です。確定申告では、平成28年分の確定申告書類(2017年の2月~3月に提出)から、マイナンバーを記載するようになります。実は、マイナンバーには「個人番号」と「法人番号」の2つがあります。

国の機関や地方公共団体、株式会社などの設立登記法人などには13桁の「法人番号」が割り振られ、給与の支払いなど、組織としてマイナンバー制度を利用するときに使います。ですが、個人事業主には事業のための番号は割り振られていません。そのため、個人事業主が税関係の手続きで利用するのは個人番号であるマイナンバーになります。

申告書類にマイナンバーを記入するだけのことであれば、事業に関することで使ったとしても、制度の影響はあまりないと言えそうです。ところが個人事業主で書類作成以外にマイナンバーをやり取りしなければならない場合があるのです。どんなやり取りかは、個人事業主としての立場によって違ってきます。

個人事業主としての立場

ひと口に「個人事業主」と言っていますが、次のふたつの立場があります。

  • 給与等を支払う側 例:従業員を雇っている個人商店など
  • 支払いを受ける側 例:個人で活動しているフリーライターなど

給与等を支払う側であるか、支払いを受ける側であるかによって、個人事業主とマイナンバーとの関わり方は大きく変わってきます。立場ごとのケースで見ていくことにしましょう。

ケース1 給与等を支払う従業員のいる個人事業主

従業員がいて給与等を支払う側である場合、個人事業主であっても法人と同様のことをする必要があります。具体的には次のようなことです。

従業員のマイナンバーを収集する

給与等を支払う立場にあるため、雇っている従業員のマイナンバーを収集する必要があります。従業員に代わって、給与所得の源泉徴収や社会保険などの手続きをするためです。

個人業務委託先のマイナンバーを収集する

マイナンバーを記入する確定申告の書類

フリーランスなどの個人に業務委託をしている場合は、年間の支払いが一定額を超えたときに「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」(以下、支払調書)を作成して税務署に提出しなければなりません。この支払調書を作成するために、業務委託をしている人のマイナンバーを収集しなければなりません。

これまで税務署では、業務委託をした事業主が税務署に提出した支払調書と、支払いを受けた人が提出した確定申告書を照らし合わせて、不正がないか等のチェックを行ってきましたが、今後は双方の書類にマイナンバーが記されることで照合がしやすくなります。考えようによっては、これまですり抜けていた部分にも目が届きやすくなるため、「マイナンバー制度の導入は国民にとってはデメリット」と感じる人も少なくないようです。

とはいえ、納税は国民の義務のひとつ。マイナンバー制度の導入をきっかけにして、より公平な納税が行われることに期待したいところです。

マイナンバーを収集する際の取り決め

さて、マイナンバーの収集に関しては、法律で定められていることも含め細かい取り決めがあります。要点をまとめますので、マイナンバーを収集する個人事業主の方はぜひ参考にしてください。なお収集の方法としては、郵送や電話、メールでのやり取りも認められています。

利用目的を告げること

収集する際には、どんなことに利用するかを知らせる義務があります。ただし、複数の利用目的をまとめて知らせ、収集を1度で済ませることもできます。

本人確認を行うこと

なりすましを防ぐため、マイナンバーを提出してもらうときには、必ず本人確認をしなければなりません。

提出する人が「個人番号カード」を所有している場合は、このカード1枚で番号確認と本人確認を行うことができます。そうでない場合は「通知カード」「住民票」などマイナンバーが記されているものと、運転免許証やパスポートなどで本人確認をしてください。

管理を徹底すること

パソコンにある個人情報を守るための南京錠

マイナンバーは、知らせた利用目的以外で使うことはできませんし、例えば社員番号として使うといったことは禁じられています。目的以外のことで利用した場合は、罰則が適用されることもあります。

また、収集したマイナンバーの保管については、漏えい対策をしっかりする義務もあります。棚や引き出しに保管する場合は鍵をつける、パソコンの場合は、パスワードで管理するなど、セキュリティを徹底することを心がけ、保管の必要がなくなったマイナンバーは速やかに廃棄しなければなりません。

その場合も書類であれば、必ずシュレッダーで処理します。パソコンの場合は、単に削除するだけではなく、データ削除のソフトなどを使うなどして厳重な処理をすることが求められています。

過失による漏えいの罰則は今のところ定められてはいませんが、刑事訴訟に発展する可能性や損害賠償請求をされる可能性がないとは言い切れません。さらにマイナンバーはその人のあらゆる分野での情報が紐付けられて行く予定であるため、漏えい、流出が原因となって悪用されては大変なので取り扱いには細心の注意が必要です。

ケース2 個人事業主としての立場が、支払いを受ける側である場合

マイナンバーカードを申請する個人事業主

個人事業主として取り引き先から一定額以上の支払いを受けている場合は、取り引き先が支払調書を作成する都合上、マイナンバーの提供を求められます。

もしも、マイナンバーの提供をしたくない場合、2016年1月時点で提供拒否についての罰則は定められていませんから、拒否することは可能です。ただし、支払調書の作成等がスムーズに行かないと取り引き先に迷惑がかかりますし、お互いの信頼関係にも影響が及ぶことが考えられます。

また、支払調書がないと、自分が確定申告をするときに手続きも煩雑になることも予想されますから、できれば気持ちよくやり取りしたほうがお互いのためといえそうです。

ケース3 個人事業主としては届けていないが収入がある場合

平成28年分からの確定申告にはマイナンバーが必要となります。同時にマイナンバーで管理されるため無申告の場合などは追徴課税の可能性も出てきます。

インターネットの普及により、ハンドメイド作品の通販、オークションなどで収入を得る人もたくさんでてきている現在、フリーマーケットサイトやアプリ、オークションを通し収入を得る主婦も増えているようです。個人事業主としての届け出はしていないものの収入がある場合は、どんな対応が必要になるのでしょうか?

ポイントは給与所得があるかどうかと年間所得額

一定以上の収入がある場合は、確定申告をして税金を納める必要があります。その額は、給与所得があるかないかや収入の条件で違いますが一般的には以下の2パターンがあります。

給与所得がある場合

給与以外の収入での年間所得が20万円を超えているときには、確定申告をして税金を納める必要があります。

給与所得など、ほかの収入がない場合

インターネットやフリマなどの収入のみで、年間所得が38万円を超えたときには、確定申告をして税金を納める必要があります。38万円以下であれば確定申告の必要はありません。

年間所得の計算方法

年間所得を計算するためのスケジュール帳

年間所得は、収入から必要経費を差し引いた金額です。必要経費は、その収入を得るためにかかった金額のことです。給与収入については給与所得控除としてあらかじめ65万円が所得税非課税分として控除されますが、個人事業の場合はどうでしょうか。

例えば、ハンドメイドの作品を通信販売で売った場合なら、材料費、郵送費などが必用経費に該当します。また自宅で作業をしたときには、家賃や電気代を経費にすることもできます。その場合は、家の面積の何%くらいを使っているかをもとに経費を割り出します。

なお、必要経費では、最低65万円を経費とすることが認められています。ですから、もしも収入がフリーランスでの活動による103万円の場合、65万円の経費を計上すると収入全体の103万円から差し引き年間所得は38万円になります。38万円以下は税金を納める必要がありませんから、確定申告は必要ないということになります。

ただし、確定申告をするか否かに関わらず、必要経費分の領収書やレシートは、最低7年間は保管しておくようにしましょう。税務署は最大7年間をさかのぼって税務調査をすることができます。そのようなときに領収書やレシートが保管してあれば、スムーズに対応することができます。

マイナンバー制度と税。個人事業主が快適にフリーで活動していくには

マイナンバー制度を導入する目的のひとつに、税負担を不当に免れることの防止、つまり「脱税」の防止があります。収入と社会保障、税に関することをマイナンバー管理することで、不正や脱税が見抜きやすくなるといわれています。

数年先には預金や個人資産もマイナンバーで把握される可能性があるとも言われています。預金や資産が増えているのに税金を納めていない場合など、税務署のチェックに引っかかりやすくなることも考えられます。

税金を納めるのは気が重い部分もありますが、一定以上の収入がある場合は、きちんと税金を納めるのが私たちの務めでもあります。

従業員を雇っている個人事業主の方は、自分のマイナンバーはもちろんのこと、従業員から収集したマイナンバーもしっかり管理しましょう。セキュリティがしっかりしたクラウド型の管理システムも出ていますから、そういったものを上手に利用してみても良いかもしれません。

個人事業主として届けていない主婦の方でも、収入と必要経費はきちんと管理し、必要があれば確定申告をすることが大切です。マイナンバーとは一生のつき合いになります。理解を深めて、できるだけ仲良くしていきましょう!

この記事を書いたライター
木村さくら

木村さくら

自称「健康オタクで美容オタク」。最近自家栽培にハマってます。

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