マイナンバー制度が開始!あなたの預金に及ぼす影響
2016年に入り、いつの間にか正式な導入が始まってしまったマイナンバー制度。それに先立ち、2015年末、通知カードが全国民に送付されました。しかし、これ自体が身分証明書として使えるわけではないのか?など、どんな使い方をすればいいのかきちんと周知されきっていません。
また、メディアでは通知カードの誤配送や受け取り拒否、制度によって問題視される個人情報の漏えいなどの話題ばかりが盛んに取り上げられているのが現状です。もちろん、具体的にどんな役割がある制度なのかも報道されていますが、実は国民にとって得なのか損なのかわからない預金に関するルールも始まろうとしています。それは一体どんなルールなのか、預金に対してどんな影響があるのでしょうか?
マイナンバー制度において預金で得する点&損する点
そもそもマイナンバー制度とは、どうして設立されたのでしょうか?バブル経済最盛期の頃から、高額所得者による脱税の話題は注目のニュースであり続けました。それをテーマにした映画やドラマまで昭和時代には制作されたくらいです。しかし、景気が良かったからこそ、少しくらい税金の徴収の見落としがあっても日本社会全体の悪影響にはすぐにつながりませんでした。
やがて、バブルが崩壊し税金だけでなく、国民健康保険、国民年金などの未払い問題が露呈してきます。そのような問題を解決するためと災害対策のために考案されたのが「マイナンバー制度」です。このマイナンバー制度によって、国民の預金を利用してさまざまな問題を解決しようとしています。
行政側のメリットは税務調査の緩和や正当な年金支給
具体的に行政は国民の預金を使って、何を解決するのでしょうか?番号を割り振ることで国民ひとりひとりを管理し、スムーズな税務調査やそれによる脱税防止、年金や生活保護などの社会保障制度の手続きの簡素化とそれによる不正受給の防止がしやすくすることはわかりました。
さらに、税務調査や社会保障を不正に受給しているか、していないかを明確にするには、時として個人資産を調べることも必要になることもあります。その個人資産を手っ取り早く調べる資料として取り上げられるのが、個人の預金でした。個人の預金の詳細を調べれば、入出金記録でどのくらいの収入があるのか分かり、その人にどのくらい課税すべきか、それとも課税すべきでないか、社会保障を受給していいのか悪いのかを容易に判断できます。
国民側が得るメリットは税金による公平な生活の実現
スムーズな税務調査、社会保障の不正受給の防止のためとはいえ個人の預金を覗かれる行為はきちんと納税し、社会保障の不正受給などしない善良な国民には正直不快ですが、脱税したり生活保護などの不正受給をしている人たちが増加し野放しになっている現状はもっと不愉快ではないでしょうか?
自分はきちんとやるべきことをやっているのに、やらない人が得しているのは許しがたいことと認識する人は少なくありません。脱税や社会福祉の不正受給問題をどうにかしてマイナンバー制度により預金を利用し、行政は解決しようとしているのです。預金の詳細が知られるのは気分のよいことではありませんが、無駄な税金の支出防止にはつながります。
預金の達人たちが計画している対策を知りたいのだが
常に最先端の利益を追求している高額所得者の中には、マイナンバー制度導入に伴う預金への介入への対策を考えている人もいます。
まず、これは昔から取り入れられている方法ですが、個人情報を外部に漏らさない海外の銀行に口座を作り、自分の預金を全てそこへ移してしまう方法です。これらの銀行は、日本の腕利きの調査官でもなかなか協力してもらえないと定評があるので、今まで以上に海外の銀行へ口座を開く高額所得者は増えることは簡単に予測されます。
また、大胆に海外へ居住地を移転させてしまうことを予定している高額所得者もいます。マイナンバー制度は、日本の居住者が対象なので、日本に住んでいなければ無関係で預金を調べられる心配もありません。
マイナンバー提示義務化の前と後で差が出る口座開設
マイナンバー制度には、預金への介入に伴い予想されるメリットとデメリットが混在することがわかりました。と同時に、余計に自分はどうしたらいいのかわからなくなってしまった人もいると思います。
でも、安心してください。まだ、本格的には預金への介入は始まっていません。現在、マイナンバー制度自体が導入されたとはいえ、準備段階で、具体的な預金への介入は2018年以降の予定です。
では、2018年以降に何が始まるのでしょうか?2018年以降からは銀行の口座を新たに開設する時、来店する時にマイナンバー提示が義務付けられる予定です。ちなみに現段階では、マイナンバーの提示は任意なので、銀行側に教えたくなければ教えなくても問題ありません。
マイナンバー提出義務化の前に口座を解約するリスク
自分の預金に関して行政に対して後ろめたいことをしていなければ、堂々とマイナンバーを提示しましょう。何も悪いことはしていないのですから、提示したからと言って何も起きない、何もとがめられないのは明白です。しかし、中には何も身に覚えがなくても個人情報の漏えいにつながるのがどうしても気になるということでマイナンバーの提示に抵抗がある人もいます。
そこで、思いつく方法のひとつが、非常に単純ながらも義務化の開始前に自分の口座すべてを解約してしまうことですが、実は墓穴を掘るような結果に陥ってしまいます。口座を解約し自宅でのタンス預金計画によって、高額の出入金記録が発生するとなると、タンス預金計画は逆に怪しまれるのです。
提出義務化の後に新規の口座を開設したら起きること
預金へのマイナンバー制度の介入メリットは、適正な社会保障の支給、スムーズな税務調査の実現なのでなるべく銀行でのマイナンバーの提示には前向きに考えたいものです。
しかし、マイナンバー提出義務化の後は、新規で口座を開設するたびに必ずマイナンバーを提示しなくてはならず、段階的に既存の口座にもマイナンバーが紐づけられていく可能性があります。マイナンバー情報が口座情報とも連結し運用されると来店時にもマイナンバーを提示しなくてはならなくなります。そうなると、個人情報漏えいの危険性がますます高くなることも予想されます。
それを避けるにはどうすればいいかというと、なるべく開いている口座を少なくすることです。少額しか預金が残っていない、いわゆる休眠口座の解約なら、記録が残っても少額なので怪しまれません。
子供の口座に及ぼすマイナンバー制度の影響の注意点
マイナンバー制度が口座情報と紐づけられた後は個人情報漏えいの危険性の心配が高まることになりますが、加えて注意したいのが子供の銀行口座です。
現在のところ、例えば30歳未満の子や孫に教育資金を贈与した場合、1,500万円まで贈与税が非課税。20歳以上50歳未満の子や孫に結婚や育児のための資金を贈与した場合、1,000万円まで贈与税が非課税です(その中で結婚に関しては300万円まで)。
ただ、これらの制度を利用するには、信託銀行に預け、引き出す場合も面倒な手続きがあるので、通常の贈与税がかからないように何度にも分割して、子や孫の口座へ入金する方法がメジャーでした。実際何の指摘もなかったのです。しかし、マイナンバー制度が導入されると、金の出所がすぐに分かってしまうので、贈与税の請求が両親や祖父母に通知されます。
マイナンバー制度と預金からわかる行政と国民の関係
国民の資産を把握することで、スムーズな税務調査や正しい社会保障の支給が実現できるのは理解できますが、例えば預金に課税するという現段階ではうわさに過ぎない情報が実際に導入検討されるようなことがあったり、マイナンバー制度による管理があまり厳しすぎると今以上の反発も予想されます。
さらに高額所得者は高額納税者とも言える訳ですから、せっかくの税収の頼りになる国民がマイナンバー制度対策の後海外へ流出してしまうと、日本の税金の減少につながりかねません。これでは本末転倒です。しかし、脱税や社会保障の不正受給などを解決しないと、国民から徴収した大切な税金の無駄使いとなり、行政の役割や存在自体も自ら否定していることになります。
マイナンバー制度による行政の預金の監視が国民にとって、どのくらい利益があるのか、ないのか国民全員でしばらく様子を見ることが大切です。