赤ちゃんが泣き寝入りするのはナゼ?ギャン泣きして眠る子への対応
赤ちゃんが泣き寝入りするとは、ギャン泣きをしてぐずった末にそのまま寝てしまうことです。あれ?泣き寝入りって「理不尽な仕打ちを受けた時に黙ってあきらめる」という意味じゃないの?と思うママやパパもいるでしょうが、辞書を調べると子供が泣きながら眠ってしまうという意味も記されています。
通常赤ちゃんの泣き寝入りは成長するにつれて収まっていきますが、中には見過ごせないケースもありますので、親は赤ちゃんがよく泣寝入りする場面でどのようなことを心掛けたらよいのか対応を知っておきましょう。
子育て4コマ漫画:赤ちゃんの泣き寝入りvsママの寝落ち
赤ちゃんの泣き寝入りを目の当たりにすると、親は可愛そうに感じて自分の育て方が悪いのではないかと自信を失ったり、赤ちゃんの心に悪影響がないか心配したりしますが、子育て中に赤ちゃんの泣き寝入りを体験したことがあるママやパパは決して少なくありません。
赤ちゃんが泣き寝入りする時の心理は、ズバリ「不快」
赤ちゃんの寝かしつけに苦労するパパやママにとって、泣き寝入りは日常茶飯事。親は赤ちゃんが泣くと「なんで泣くの?どこか痛いの?」と不安になってしまいがちですが、生後3~4ヶ月ごろまでの赤ちゃんが泣き寝入りする時の心理はたった一つ、「不快」だからです。
この時期までの赤ちゃんには、基本的に「快」と「不快」の感情しかありません。そのため何らかの理由で不快だから、助けを求めて泣いているのです。
赤ちゃんの情緒の種類って実は少ない!月齢別の発達
- 新生児から生後3ヶ月過ぎ
「快」「不快」 - 生後4~5ヶ月ごろから6ヶ月過ぎ
「快」「不快」「怒り」「嫌悪」「恐怖」 - 生後7~8ヶ月ごろから1歳
「快」「不快」「怒り」「嫌悪」「恐れ」「愛情」「得意」
もちろん赤ちゃんの情緒の発達には個人差があり、赤ちゃんによってはこの時期よりも遅かったり早かったりしますので、いずれにせよ赤ちゃんの情緒の発達は基本的に満1歳の幼児になるまで「快」「不快」が主体。
そこをしっかり理解しておくと、これまで泣かれることでイライラしていたママやパパも、「赤ちゃんも大変なんだなぁ」と共感しやすくなります。
赤ちゃんが泣き寝入りするほど不快になる原因
生まれて間もない頃はオムツの汚れや空腹、暑さ寒さといった生理的欲求、便秘によるお腹の張りや鼻づまりによる呼吸の苦しさなどの体調不良、寝具や肌着の不快感や乳児湿疹によるかゆみや痛みなどが、親が解決してあげやすい泣寝入りの主な原因ですが、成長と共に不快になる原因は増えていきます。
何が嫌なの?不快になる具体的な理由の一例
- 寒い(又は暑い)
- かゆい
- 痛い
- お尻が汚れている
- パパやママと離れるのが不安
- 眠いのに、眠れない
- まだ遊びたい(又は起きていたい)
- 思い通りにならずにイライラする など
アトピー体質や乾燥などで肌荒れを起こしている赤ちゃんの場合、入眠前に体温が上昇することでかゆみが発生して不快に感じ、泣き寝入りすることがあります。
またオムツも変え、おっぱいも与え、抱っこもして、それでも赤ちゃんが泣き寝入りするのが習慣のようになっている場合は、眠いのに寝られないという原因が考えられます。赤ちゃんによっては寝るのが苦手な子や恐れを強く感じやすい子がいて、そのような場合は毎晩のように泣き寝入りすることもあるのです。
赤ちゃんが泣き寝入りに至る原因の多くは、大人であれば我慢できる日常生活によくある不快ですが、赤ちゃんはまだまだ脳が未熟なので、大人のように自分を慰め、感情のコントロールをすることができないのです。
あまり泣かれると困ってしまうこともありますが、意思表示をする手段が少ないため泣くことでしか自分の気持ちを周りに伝えられないことを理解してあげましょう。
入眠時の泣き寝入りは、体のメカニズムと関係している!
人間は活動する日中になると体や脳を活動状態にする交感神経が働き、眠くなる夜や睡眠時などのリラックスタイムには副交感神経が働きます。
夜は副交感神経が上手に働かないと眠くならないのですが、乳幼児は交感神経と副交感神経の切り替え機能が未発達であったり、眠くなってまどろむ感覚と日中の感覚の違いを不快に感じたりして、泣いてしまうことがあると考えられています。
しかも泣くことで交感神経がより優位に働き、知らず知らずに体は興奮状態に。そうなると自分で泣き止むこともできない赤ちゃんは、この悪循環により不快さを募らせて泣きます。その結果、泣きまくって体力を消耗した末に、ようやく眠りが訪れるのです。
泣き寝入りする赤ちゃんには、「不快」を「快」に変える対応をしよう
赤ちゃんに皮膚トラブルや鼻づまりなどの体調不良があり、それが泣き寝入りの原因になっている場合は早めに病院を受診して不快になる体調不良の原因を取り除くことが大切です。
また手のひらや背中に汗をかくほど暑くなっている場合は、衣服を調節したり室温を下げたりして快適な環境に整えてあげましょう。原因が思い当たらないけれど泣いている時は、穏やかな気持ちで抱っこして様子を観察してあげてください。
親が赤ちゃんのお世話をして不快を取り除くことで、乳幼児期に最も身に着けるべき基本的信頼感をママやパパに対して築くことができます。
赤ちゃんが興奮状態の時はしばらく様子を見て
パパやママが困るのは不快を取り除く対応をあれこれしても、ギャン泣きしたり暴れたりするなどの興奮状態が長引いているときでしょう。
泣き始めで交感神経が優位に立つ前であれば、ある程度抱っこやなだめることも有効なのですが、しばらく経ってしまうとパパやママの介入が興奮をあおる原因になってしまうこともあります。
もちろんこのときに怒ったり怖い顔をしたりしても、興奮をあおるだけです。逆に一人っきりにしても赤ちゃんは不安になり、さらに興奮状態に陥ってしまいます。
赤ちゃんがギャン泣きしたらつかず離れず
赤ちゃんがギャン泣きしたら体に異変がないかをまず確認し、特に異変が見当たらない場合は冷静に様子を観察し続けてください。ギャン泣きして暴れる赤ちゃんの「不快」をより早く「快」に変えるには、興奮をあおらずつかず離れずの距離でいるのがポイントです。
何度か繰り返しているうちに、泣き方の変化や指しゃぶりをはじめるなどの疲れた状態へ切り替わるパターンが見えてきます。
その状態を上手にとらえて抱っこしたり入眠儀式を行ったりするなど、早めに興奮状態を鎮めるように導く対応が赤ちゃんの泣き寝入りには効果的です。
また、ライナスの毛布のような入眠アイテムをそっと与えるものおすすめ。赤ちゃんの寝かしつけの方法として、タオルやガーゼ、おしゃぶりを使うご家庭もあります。
泣き寝入り?泣き入りひきつけ?親が注意したいチェックポイント
もし赤ちゃんが泣き疲れて寝入る過程で、一時的にでも次のような症状がみられた場合には注意が必要です。
これらはひどく泣くことで一時的に無呼吸となり、脳が一過性無酸素状態に陥って起きる「泣き入りひきつけ(憤怒けいれん)」に特有の症状です。
- 息を吐いた状態で、一瞬呼吸が止まる
- 顔色が極端に青い、白い
- 呼びかけても反応しない
- 力が抜けて、ぐったりする
- けいれんが起きる
呼吸が止まって1分以上経過していたら、直ぐに救急車を呼んで病院を受診してください!
泣き入りひきつけは泣いている間に起こる症状で、グッスリと眠り込んだ睡眠中には起こりませんので、泣き寝入りしてしまってからは心配ありません。
ただし新生児期も稀ですが起こりますし、生後6ヶ月から3歳ぐらいまでは4~5%といった比較的高い割合でみられる疾患ですので、泣き寝入りしたのか泣き入りひきつけの発作を起こしたのかは区別する必要があります。
泣き入りひきつけは顔に息を吹きかけると呼吸を再開しやすく、基本的にはすぐ呼吸が再開して平常な状態に戻りますので、子供がひどく泣いた時は側を離れず、冷静に様子を観察しましょう。
慌てたパパやママが揺さぶったり強く抱きしめたりすると、赤ちゃんを思わぬ危険にさらすことがあります。もし何度も繰り返すなどの心配な様子が見られる場合は、小児科医に相談してみるといいでしょう。
赤ちゃんの転倒や転落など、頭をぶつけてからの泣き寝入りにも注意!
赤ちゃんはベッドや階段などから転落したり棚や机に頭をぶつけたりすると、痛みで泣き寝入りすることがあります。
「頭をぶつけてもすぐに泣けば、ひとまず安心」と言われているため、親は赤ちゃんが大泣きしたことで油断しがちなのですが、脳挫傷や脳内出血などの異常が頭部で起こっているために、後から嘔吐などの症状を発症することがあります。
怪我による痛みで赤ちゃんが泣き出したら安易に考えてそのまま泣き寝入りさせるのではなく、すぐに外傷や意識の有無、目つきや表情、手足の動きに普段と違うところがないかをしっかり確認しておきましょう。
頭をぶつけてから2~3日は次の症状がないかをチェックして、赤ちゃんの安全を見守ることが大切です。
頭を打って泣き寝入りした後のチェックポイント
- 呼吸におかしいところはないか
- 普段と違ういびきをかいていないか
- ぐったりしていないか
- 顔色や唇の色は青くないか
- 嘔吐はないか
- けいれんはないか
先輩ママに聞く!赤ちゃんの泣き寝入り体験談
小さい赤ちゃんはミルクをたっぷり飲めばすぐにコトンと寝ついてしまいますが、生後しばらくたつと夜泣きや泣き寝入りが始まります。出産の疲れの残るママを疲労困憊させてしまう赤ちゃんの泣き寝入りの実態を、先輩ママの体験談からご紹介していきましょう。
とにかくしつこい
うちの生後9か月の次男も、たま~にですが、30分以上泣き続けてからでないと眠りません。顔を真っ赤にして、目は半分閉じてうとうとしながら、「もう眠ればいいじゃん!」という状態になっても泣き続けます。
床に突っ伏して眠りそうになっても、「ハッ!」とおきて、またギャン泣き…。そしてようなくトントンされて寝ついても、私の手が離れた途端シクシク…。とにかくしつこいです。
3歳違いのお姉ちゃんは、こんなことなかったのになぁ。子供って一人一人で違いますよね。
何をしてもダメダメ
1歳の誕生日を迎えたママです。うちの子の場合は生後8ヶ月くらいから寝ぐずりがひどくなり、泣き寝入りが入眠の儀式のようになりました。
眠くなると途端に機嫌が悪くなって大泣きするのですが、抱っこをするとそれも嫌がり、サケのようにビチビチと暴れて逃げ、部屋の隅にいってまた大泣き。ベビーシートに座って夕食を手でかき混ぜて怒られ、むきになって料理を床に投げ落として泣いていると思ったら、次の瞬間にはガクッと寝ているのもしばしばです(笑)。
最近はしばらく泣かせておいてから「おいで」をしたときに、素直にくれば泣き疲れて眠るというパターンがわかったので、仕方なく付き合っています。
うちはジメジメキノコ型
いまうちの娘は1歳半ですが、イタズラをして私に怒られたときや、駄々をこねた時などは泣き疲れて眠ってしまいます。他のママさんの話を聞くと、ギャン泣きをして困るって人が多いようですが、うちの娘は「あーん!」と少し大泣きをしてから一人で毛布にくるまり、シクシクといつまでも布団の中で泣いています。
親を拒絶するような泣き方は結構心にくるのですが、カメノコになって絶対に毛布から出てこないので、私も一緒になって横になって寝るようにしています。起きたときは眠る前のことは引きずらず、「ママー!」と飛びついてくるので、ほっとしています。
赤ちゃんの泣き寝入りが人格形成に与える影響への考え方
赤ちゃんをオムツとミルク以外で泣き寝入りさせると、「親への基本的信頼感を育めないまま次第に期待しなくなる、サイレントベビーになってしまうのでは?」と人格形成に悪影響を与えることを心配するママやパパもいるでしょう。
実はサイレントベビーに対する明確な定義や医学的な根拠はありません。
日本では赤ちゃんはママ達と眠り、ぐずったら抱っこをしてもらうことが多いのですが、フランスをはじめとする欧米諸国では赤ちゃんは親と離れて一人で眠り、夜泣きしない子に育てるためにすぐに抱き上げず、声掛けなどをして自分で眠ることを学ばせます。
つまり泣かれてもミルクを与えずオムツも変えず長時間放置したり、体調不良でギャン泣きして訴えているのに病院にも連れて行かずに赤ちゃんを無視したりするような虐待レベルのお世話状況でなければ、親がサイレントベビーになることを心配する必要はないのです。
赤ちゃんが泣き始めてから泣き寝入りするまでの時間はその子にどれだけの体力があるかによっても違いますが、10分~30分以上泣き続けてようやく眠るといったケースも多いです。
泣き寝入りは赤ちゃんの身体機能や精神が発達するうえの特有の行動ですので、パパやママのせいではありません。人格形成についてはあまり神経質にならず、できる範囲で赤ちゃんに寄り添ってあげましょう。