【お食い初めのやり方と準備】生後100日祝いを成功させる完全ガイド(時期・献立・食器)
お食い初めとは、赤ちゃんが生まれておよそ100日後に行う儀式のことです。正式には「御百日祝い(おももかよいわい)」と言いますが、ほかにも「真魚始め(まなはじめ)」「箸祝い」「箸揃え」など、地域や時代によって様々な名称で呼ばれてきました。
この儀式は、赤ちゃんが「一生食べ物に困らないように」「丈夫な歯が生えてくるように」「長寿であるように」という親の切なる願いを込めて行われます。準備したお祝い膳を食べるマネをさせたり、歯固めの儀式を行ったりするのが特徴です。
今回は、この大切なお食い初めについて、準備から当日の進め方まで詳しくご紹介します。ぜひ赤ちゃんのために、両家の祖父母も呼んで、家族みんなでお祝いしましょう!
Q1お食い初めの時期はいつ?生後100日目である必要はありますか?
一般的に「お食い初め=御百日祝い」という名前の通り、生後100日目に行う儀式とされています。ただし、地域によっては110日目、120日目(百二十日)に行う所もあるそうです。
まず、生まれた日を1日目として、生後100日目がいつなのかを正確に数えてみましょう。計算には、出産日を基準日とする簡単な計算ツールを利用すると便利です。
最近では厳密に100日目に行わないママやパパが増えています。ママや赤ちゃんの体調、ご家族や親戚の都合、お祝いの席にふさわしい日取り(大安など)、そして気候や気温などを考慮して、だいたい100~120日目くらいの間で行うのが一般的です。ご家族やご親戚が集まりやすい週末や祝日を選ぶ柔軟な考え方が主流となっています。
Q2お食い初めはどこでやればいいの?(自宅・お店のメリット)
基本的にどこで、どのように行っても構いません。主に「自宅」か「料亭・レストラン」のどちらかを選ぶご家庭が多いです。
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【自宅で行う場合】
ママがお祝膳を用意する場合は、自宅に祖父母や親戚を招いて行います。おばあちゃんたちが協力してくれる場合は、実家や義実家などで行うこともあります。自宅のメリットは、赤ちゃんが慣れた環境で過ごせること、そして費用を抑えられることです。ただし、準備や後片付けの負担がママにかかりやすい点に注意が必要です。 -
【料亭・レストランで行う場合】
産後まだ完全に体調が回復していないママの負担を考慮したり、自宅の広さなどの住宅事情を考えたりして、お食い初め膳を用意してくれる料亭やレストランに、両家の両親や兄弟姉妹を招いて行うケースも増えています。お店で行うメリットは、準備や後片付けの負担が一切ないこと、本格的なお祝い膳を用意できることです。最近では、個室を完備し、お食い初めのプランを提供しているお店も多くあります。
ご家庭によっては、仕出し弁当や宅配サービスを利用して、自宅で本格的なお祝い膳を用意し、準備の手間を軽減するという方法もあります。ご夫婦で話し合い、ママの負担が少ない方法を選びましょう。
Q3お食い初めで着る服装は?
お食い初めの日は、生後100日を記念して「色直し式(いろなおししき)」と呼ばれる儀式を合わせて行うのが伝統でした。これは、生後100日まで白い産着を着せていた赤ちゃんに、お食い初めの日に初めて色付きの小袖を着せるという儀式です。この色付き小袖は、母方の実家の祖父母が贈るのが一般的です。
現代では、赤ちゃんに和装のロンパースや、袴(はかま)風のカバーオールを着せることが一般的です。着物までは用意しなくても、せっかくのお祝いの席なので、赤ちゃんにいつもと違った正装をさせてみてはいかがでしょうか。とても良い記念写真が撮れますよ。
また、ご両親や祖父母の服装も大切です。料亭などで行う場合は、略礼装(スーツ、ワンピースなど)を、自宅で行う場合は、きれいめの私服(カジュアルすぎない服装)を選ぶと良いでしょう。主役は赤ちゃんですが、参列者も服装を揃えることで、よりお祝いムードが高まります。
Q4お食い初めで用意するお祝い膳とは?献立の意味は?
正式な献立としては、一汁三菜(いちじゅうさんさい)を基本として用意します。これらは本当に赤ちゃんに食べさせるのではなく、食べるマネをさせるだけなので、味付けは大人用にして大丈夫です。
一汁三菜以外にも、丈夫な歯が生えるよう願いを込めて歯固めの石を用意し、歯固めの儀式を行います。また、皺ができるまで長生きできるようにという願いから梅干しを用意したり、地域によっては、紅白のお餅を用意したりするところもあります。
歯固めの石は、お宮参りの際に神社の境内から授かるか、ネット通販などで予め用意しておきましょう。ネットショップなどでお食い初め膳を取り寄せたり、料亭やレストランでお食い初めを行ったりする場合には、歯固めの石がついていることもありますので、事前に確認しておくと安心です。
<用意するメニューとその意味>
・尾頭付きの鯛:「めでたい」に通じる縁起物。長寿を願う意味もあります。
・お赤飯:昔から「魔除け」や祝いの席で用いられてきた食べ物です。
・お吸い物(鯛やハマグリなど):「吸う力が強くなりますように」という願いが込められています。ハマグリは、対の殻しか合わないことから「夫婦円満」の意味も持ちます。
・煮物(昆布や人参、大根、レンコンなどの煮物):レンコンは「見通しが良い人生」、昆布は「よろこぶ」に通じる縁起物です。
・香の物(漬物):一汁三菜の「菜」の一つ。季節の野菜などを漬け込みます。
・和え物または酢の物(タコ入り):タコは「多幸(たこう)」に通じるとして、縁起物とされることがあります。
・歯固めの石、梅干し:丈夫な歯と、皺ができるまで長生きできるようにという願いが込められています。
Q5料理をのせる食器は?男の子と女の子で違いはありますか?
食材以外に揃えておくべきものは、高足の漆器のお膳セットです。正式な漆器の色は、男の子と女の子で異なります。
- 男児の場合:内側外側ともに赤い漆器。
- 女児の場合:内側は赤で外側は黒い漆器。
これも、母方の祖父母が贈るのが習わしだそうです。
最近では、この日だけのために高価な漆器の食器を揃えるのはちょっと…というママやパパも多く、離乳食で使えるような赤ちゃん用の食器セットを祖父母が贈り、それを使ってお食い初めの儀式を行うご家庭も増えています。また、漆器のレンタルサービスを利用する、お食い初め膳の宅配サービスに付属している食器を使うなど、柔軟な選択肢があります。
大切なのは形式よりも、赤ちゃんを祝う気持ちです。ご家庭の状況に合わせて、無理のない範囲で用意しましょう。
Q6料理はどの器に盛り付けるの?正しい配膳を教えてください
用意した料理をどの器に盛り付けるか、お椀はどこに配膳するかには決まりがあります。せっかく準備した料理や器ですので、正しい配膳のマナーを守りましょう。これは、漆器のお膳でも赤ちゃん用の食器セットでも同様です。
配膳は、赤ちゃんに向かって膳の手前側にご飯と汁物、奥側におかずを配置する「飯椀左、汁椀右」の基本を応用します。
- 親椀(おやわん):お赤飯を入れます。左手前に配膳しましょう。(飯椀の位置)
- 汁椀(しるわん):お吸い物を入れます。右手前に配膳しましょう。(汁椀の位置)
- 平椀(ひらわん):温かい煮物を入れます。左奥に配膳しましょう。(煮物の位置)
- つぼ椀(つぼわん):冷たい料理や和え物を入れます。右奥に配膳しましょう。(香の物・和え物の位置)
- 腰高(こしだか)または別皿:歯固めの石や梅干し、香の物を入れます。真ん中に配膳しましょう。
- 焼き魚:尾頭付きの鯛などの焼き魚は、別のお皿(長皿など)に入れ、お膳セットの奥側中央に配置しましょう。
Q7お食い初めの儀式はどのように進めるの?「誰が食べさせる」のですか?
お食い初めの儀式は、赤ちゃんに実際に食べさせるのではなく、食べさせるマネをする「養い親(やしないおや)」が行います。この養い親は、長寿にあやかるという意味から、招待した親族の中で最年長の方が務めるのが習わしです。性別は、男の子なら男性、女の子なら女性の最年長者が務めます。
儀式は、以下の順番で食べさせるマネをします。一連の流れを3回繰り返すのが正式なやり方です。
- ご飯(お赤飯)→ 汁物(お吸い物)の順に、箸で少量取って赤ちゃんの口元に運ぶマネをします。
- 焼き魚(鯛)→ 汁物の順に、箸で少量取って赤ちゃんの口元に運ぶマネをします。
- 煮物 → 汁物の順に、箸で少量取って赤ちゃんの口元に運ぶマネをします。
- 歯固めの儀式:箸を歯固めの石に触れさせ、その箸を赤ちゃんの歯茎に優しくちょんちょんと触れさせるマネをします。
この儀式が終わったら、用意したお祝い膳は参列した大人たちで美味しくいただきます。お食い初めは、準備や儀式の進め方など、初めてのことばかりで戸惑うことも多いかもしれませんが、赤ちゃんの健やかな成長を願う気持ちが何よりも大切です。形式にこだわりすぎず、ご家族の思い出に残る素敵な一日を過ごしてくださいね。