赤ちゃんとの子連れフェスはいつから?リスク対策と安全に楽しむコツ
赤ちゃんを連れてフェスに行きたい!音楽やアウトドアイベントが大好きなお母さん、お父さんならそう思いますよね。妊娠、出産、産後と、子育て優先の生活になり、つい自分のことは後回しになりがちです。そんな中、大好きなアーティストの音楽を楽しめるフェスに行けば、気分もリフレッシュします。
ですが、まだ小さい赤ちゃんをフェスに連れて行くことには、音響外傷や熱中症など、大きなリスクも伴います。赤ちゃんをフェスに連れて行く前に、そういった危険性があることをしっかりと確認し、徹底した対策を準備して、親子でフェスを安全に楽しみましょう。
子育て4コマ漫画~赤ちゃんのフェスデビュー~
私も音楽フェスが大好きなママの一人です。私が赤ちゃんとフェスデビューしたのは、赤ちゃんがちょうど生後6ヶ月になった時でした。音響外傷や人混みの中での感染症など心配は多かったのですが、友人の協力もあり、事前準備をして大荷物で参戦しました。
季節は5月で暖かく、ステージから少し離れた場所にテントを張り、音楽を楽しみました。遠くても好きなアーティストの音楽はちゃんと聞こえて、横を見ると赤ちゃんも首を縦にふって喜んでいる様子が見られ、記念の写真も撮ることができ、不安はありましたが楽しい記念になりました。
赤ちゃん連れでのフェスはリスクがたくさんありますが、事前準備と無理せず楽しめるフェスを選べば、親子でイベントを楽しむことができます。
赤ちゃんとのフェスはいつから楽しめる?おすすめの時期は生後半年以降
赤ちゃんをフェスに連れて行くには、音響外傷や感染症、熱中症、人混みによる事故など、いくつかの危険性があります。当然ですが、体温調節機能や免疫力が未熟な生後3ヶ月未満の小さい赤ちゃんをフェスに連れていくことはおすすめできません。
赤ちゃんとフェスデビューをするには、首がしっかり座った段階、生後6ヶ月以降が一つの目安となります。この時期は、赤ちゃんも音や動きにも興味が出てくるため、音源から離れた場所で、ゆったりとフェスを楽しめる可能性が高まります。
ただし、赤ちゃんによって成長のスピードや人見知り・場所見知りの始まる時期も異なるため、赤ちゃんの心身の成長を見て判断することをおすすめします。また、生後6ヶ月から1歳半頃は、ママからもらった免疫が減り、自分自身の免疫がつき始める前段階で、風邪などの感染症にかかりやすい時期でもありますので、特に人混みを避けるなど感染対策には注意が必要です。
赤ちゃんを連れてフェスに行くのは虐待?心配される「音響外傷」とは
赤ちゃんとのフェスで最も心配されるリスクの一つが「音響外傷」です。音響外傷とは、日常にはない大音量によって、内耳の聴覚機能が損傷し、耳が聞こえにくくなることを指します。
一般的に音楽フェスティバルの音量は95〜115デシベル(dB)にもなると言われています。これは聴覚に負担がかかる非常に大きな音量です。世界保健機関(WHO)は、子どもの耳にとって安全な音量を80dB以下(走行中の電車内くらいの音量)としています。98dBではわずか75分の暴露でも耳を傷める可能性があり、大音量の音楽を長時間聴き続けると、音響外傷が起こるリスクが高まります。
音響外傷で起こる耳鳴りや聴力低下を放置すると難聴が進行してしまうこともあり、「赤ちゃんをフェスに連れて行くのは虐待ではないか」とSNS上では物議も交わされています。赤ちゃんの聴覚は非常にデリケートであるため、徹底した保護対策が必要です。
赤ちゃんの耳への悪影響を回避しよう!知っておきたい3つの対策
野外フェスで聴く生の演奏や歌声は大迫力ですが、赤ちゃんにとっては強い音は刺激が強く、音響外傷で難聴になってしまう恐れがあります。
大人なら耳に異変があったら自分で音から離れたり、病院に行ったりすることができますが、赤ちゃんは自分の耳の不調を伝えることができず、発見が遅れてしまうかもしれません。赤ちゃんを難聴で苦しませないため、次のような聴覚保護対策を知っておきましょう。
1「赤ちゃん用の耳栓」でライブの大音響から耳をガードする
赤ちゃん用の耳栓は、シリコンやスポンジなどの柔らかい素材でできており、水泳用や安眠用などに作られたものがあります。価格も比較的安価で手に入りやすいものが多いです。
ただし紐が付いていない耳栓の場合は誤飲する恐れがありますし、耳に物が入る不快感を嫌う赤ちゃんもいるため、フェスに行く前に必ず使って試すようにしましょう。
2「赤ちゃん用のイヤーマフ(イヤープロテクター)」を使う
赤ちゃん用のイヤーマフ(ヘッドフォン型)は防音用に作られているもので、屋内の音楽イベントに赤ちゃんを連れて行く際に装着させて行く方も多いようです。赤ちゃん用の耳栓よりも高価ですが、頭部全体を覆ってしっかりと防音できる(遮音性能が約20〜30dB程度)ため、より安心です。大音量のフェスに参加する際は、イヤーマフの装着を徹底しましょう。
3音量が小さくて安全な場所を確保する
野外フェスでは、テントスペースやキッズスペースが用意されていることがあります。まず赤ちゃんとフェスに行く際は、そういったステージから離れて音楽を楽しめる安全な場所があるかを事前に調べてから出かけましょう。
できれば音量がある程度低い離れた場所で、赤ちゃんと無理無くゆったりと楽しむフェスをお勧めします。ベビーカーに乗せている場合は、地面からの音の反響にも注意が必要です。
赤ちゃんとのフェスデビューの危険は耳だけじゃない!その他のリスク
赤ちゃん連れのフェスのリスクは、音響外傷以外にも、人混みによる事故、熱中症、感染症など様々あります。子連れフェスへの参加を決めたママやパパはリスクがあることを理解し、しっかりと前準備をして、赤ちゃんと安全にフェスを楽しみましょう。
人混みによる事故や感染症に注意!
音楽フェスはたくさんの人が集まり、それぞれ大好きなアーティストの音楽を楽しみ、興奮した状態の方が多いです。その中に小さい赤ちゃんを抱っこして入ると、転倒や赤ちゃんが潰されてしまうなどの事故が発生する恐れがあります。安全な場所を確保し、盛り上がっているステージ前方には近づかないことを強くおすすめします。
子連れフェスの人混み対策と感染予防
人混みでの感染症リスクを減らすためには、「時間をずらす」のが一番のおすすめです。予めタイムスケジュールを確認し、人気アーティストの演奏の時間にフードや飲み物の買い物やトイレに行く、お昼ご飯の時間をずらすなど、人が密集した場所に行かないよう計画を立てると良いでしょう。屋外でも人との距離を保つことが大切です。
また、野外で赤ちゃんに授乳やおやつをあげる際は、お母さんもアルコール入りのウェットティッシュなどで手指を消毒してから赤ちゃんに触れると、感染予防に効果的です。
夏フェスで急増する熱中症!夢中になって赤ちゃんを忘れないで
直射日光を浴びる野外フェスでは熱中症になる危険性があり、大人でも水分を摂らずに気温の高い野外に長時間いると、頭痛や吐き気などを発症する熱中症になります。赤ちゃんは体温調節機能が未熟で体温が高くなりやすい上、自分で水分を補給したり、不調を伝えたりすることが出来ないので、お母さんやお父さんのサポートが不可欠です。フェスでハイテンションになっても、赤ちゃんの様子だけはしっかり観察しましょう。
赤ちゃん連れフェスの熱中症対策
水分補給をこまめに行い、体温が高くなった際は保冷剤をタオルに包んで首元や脇の下などを冷やす対策が効果的です。地面に近づくほど温度が高くなるため、ベビーカーのマットの下などに保冷剤を入れるのもおすすめです。日陰でこまめに休憩し、直射日光を避けましょう。
また、毎年夏にニュースを騒がせる熱中症は、夏に起こる物だと思われがちですが、急に気温が上がり始めた春や日差しの強い秋にも起こる可能性がありますので、春フェスや秋フェスに参加する際も、赤ちゃんの熱中症に注意してあげましょう。
日本脳炎など、蚊が媒介する感染症と虫対策
赤ちゃんは蚊に刺されると、日本脳炎などの感染症にかかるリスクがあります。日本脳炎はウイルスを持った蚊に刺されることにより感染する疫病で、高熱や嘔吐の症状になり、体力の弱い子どもや赤ちゃんは特に重症化しやすい病気です。
赤ちゃんは体温が高く汗をかきやすいため、大人よりも蚊に狙われてしまいます。日本脳炎の予防接種は生後6ヶ月以降に開始可能(現在は3歳からの接種が一般的ではありません)ですが、乳幼児の場合は赤ちゃん用の虫除けを準備し、汗はこまめに拭くなどして、赤ちゃんが蚊に刺されないように対策を取りましょう。長袖や長ズボンなどの肌の露出を避けた服装も有効です。
赤ちゃんのフェスデビューに欠かせない便利な持ち物
赤ちゃん連れでフェスに行く際は、様々なリスクがあるため、持ち物も重要です。授乳用品や着替え、オムツなどの基本的なお出かけグッズに加えて、万が一の雨に備えてレインコートなどの雨具、保険証、日焼け止めに虫よけ、移動や買い物の際に便利な抱っこ紐などもあるとよいでしょう。以下の物が、フェスに持って行くと便利な持ち物です。
- ポップアップテント(日よけ、授乳、おむつ替え用)
- レジャーシート
- 保険証、母子手帳(必須)
- 赤ちゃん用の日焼け止めや虫よけ
- 抱っこ紐(人混みや移動に便利)
- 赤ちゃん用耳栓やイヤーマフ(聴覚保護)
- オムツ、着替え(いつもより多めに)
- 雨具(大人用、ベビーカー用)
- ベビーカー(持ち込み可能か事前確認を)
- 保冷剤、冷えピタ(熱中症対策)
- タオル(汗を拭いたり、保冷剤を包んだり、万能です)
- あかちゃんのおやつやお気に入りのおもちゃ(赤ちゃんが飽きたときやぐずった時用に)
日差しをよけて授乳やおむつ交換や休憩などに使うポップアップテントは非常に便利です。ポンプアップテントとはワンタッチで開く初心者向けテントのことで、日よけ、おむつ替え、授乳に使えます。ホームセンターやアウトドアショップで販売しています。
レジャーシートも、テントの中に敷いたり赤ちゃんが転がって遊んだりできるので、持って行くと便利です。また、荷物が多くなるので持ち込みが可能であればベビーカーがあるとよいでしょう。持ち込みがOKかあらかじめ確認しましょう。ただし、階段が多い場所では邪魔になる事もありますので、抱っこ紐との併用を検討してください。
赤ちゃん連れのフェス参加への季節ごとの注意点
赤ちゃん連れでフェスに行く場合、暖かくなってきた春フェスや夏フェスは、人混みによる感染症リスクが比較的低い季節ですが、重症化しやすいRSウイルスやインフルエンザは冬場がピークです。人混みが多い秋冬の屋内イベントへの赤ちゃん連れでの参加は、特に感染リスクが高いため、あまりおすすめできません。
とはいえ、赤ちゃんとのフェス参加は秋冬だけでなく一年中リスクがありますので、フェスに赤ちゃんと行きたい場合は、季節ごとの次のようなポイントに注意しましょう。
春フェスは気温差に注意!
気温差の激しい春は、日中は暖かくても夕方にかけて急激に冷え込むことがあります。この気温差で体調を崩すことがあるので、羽織るものやブランケットなど、体温調節ができる防寒対策グッズを持って行くことをおすすめします。日差しが強い場合は、春でも熱中症に注意が必要です。
夏フェスは熱中症に注意
とにかく暑い夏フェスは熱中症対策を万全にしましょう。自動販売機が売り切れる場合もありますので、飲み物は多めに持参することをおすすめします。日陰での休憩と、こまめな水分補給、冷却グッズの活用を徹底してください。
秋フェスは虫対策と寒暖差に注意
まだまだ蚊などの虫が多い秋は、暖かい日でもできる限り赤ちゃんの肌を出さないような服装がおすすめです。また、春フェスと同じで日中と夕方の気温差があるので、上着やブランケットを準備するといいでしょう。
冬フェス(屋内イベント)は感染症に注意
冬に多く流行するインフルエンザやRSウイルスは赤ちゃんが感染すると重症化する恐れがあるため、特に人混みに注意し、お母さんはマスクを着け、アルコールで手を消毒するなどの対策が必要です。
ちなみに最近は赤ちゃんにマスクを着けるママもいますが、日本小児科学会では2歳未満の子どもは窒息や熱中症のリスクからマスクの着用は推奨されていません。自分の意志でマスクを外せない赤ちゃんにつけるのは危険ですのでやめましょう。
赤ちゃんと子連れフェスを楽しむには、赤ちゃん第一!と予習が大切です
以上、赤ちゃんとフェスデビューについて、危険性や注意点、持ち物などをご紹介しましたが、赤ちゃんとフェスを楽しむために一番大切なことは、「赤ちゃん第一にすること」です。好きなアーティストの演奏中でも、赤ちゃんが暑くないかな?疲れてないかな?音にびっくりしていないかな?と常に赤ちゃんに意識を向けてあげましょう。
まだ言葉で感情や不快感を伝えられない赤ちゃんですが、毎日お世話をしているママやパパには、赤ちゃんが今どんな様子か異変がわかるはずです。赤ちゃんの異変に気付くのは、他でもない保護者しかいないのです。
ママになっても音楽やイベントを楽しみたいですよね。しかし赤ちゃんが体調を崩してしまえば、楽しいフェスも嫌な思い出になってしまいます。赤ちゃんとフェスを安全に楽しむためにも、赤ちゃんの安全第一を考えた行動計画を立てましょう。
そしてフェスに行く前に必ず行くフェスの予習をしましょう。キッズスペースがあるか、テントやベビーカーを持っていけるか、どのアーティストの時が混雑するか、万が一の時に近くに病院はあるか、赤ちゃんを連れて行っても大丈夫なフェスか確認し、赤ちゃんもママもパパも安全に楽しめるフェスにしてください。


