小学生の勉強で親が最も心掛けるべきことは?10年後を見据えた対応
可愛かった幼児期を過ぎて子供が小学校に入学すると、親はとかく子供の成績やテストの点数を気にしてしまいがち。子供の将来のことを考えて、一生懸命「勉強しなさい!」と言ってはみるものの、子供が成長してくると「放っておいて」と次第に素直に言うことを聞かなくなり、自分の教育方法に疑問を持ってしまうママも多いですね。
小さな頃から勉強して知識を蓄えることは、子供の将来にとって大きな糧を与えますが、知識や学力があれば子供が将来幸せな人生を送れるのかと聞かれれば、必ずしもそうとはいえません。子供の10年後の将来のために、今、何が必要なのでしょう?今回は、小学生の学習時間や量、環境について解説します。小学生の子供を持つ親が心掛けるべき、生活や勉強へのサポート方法についても一緒に考えていきましょう。
小学生の勉強で親が最も心掛けるべきこと
子供が小学校に入ると、自分から進んで勉強をする子と、なかなか勉強に興味を示さない子と2通りに分かれます。小学校低学年のうちは、親が注意をすればしぶしぶ机に向かってくれた子も、小学校3年生になる頃にはそれも難しくなって、注意をするたびに「今やろうと思ってたのに。もうやる気にならないよ~」なんて言い出し、親がコントロールをすることが難しくなってしまいます。
中学校に入るとますます親の言うことは聞かなくなり、部活の忙しさから子供がせっかくやる気になっても時間管理が難しくなり、授業や自宅学習での集中力も低下して、なかなか結果が出なくなるという悪循環に…。こういった悪循環を避けるためには一体何が必要なのでしょう?一緒に考えていきましょう。
「勉強しなさい」は親子の間に溝を作ります
「親が注意して子供がそれを素直に聞く」という構図には、親子の信頼関係が不可欠なのですが、子供は繰り返し「勉強しなさい」といわれると、「もしかして自分は、勉強する子供だと親から信頼されていない?」という不信感を持ってしまいます。親の何気ない、習慣のようになってしまった一言が、それまで培ってきた子供からの信頼にひびを入れてしまうんですね。
子供に反抗されたことで親は動揺し、言うことをきかせようと「勉強しなさい」を重ねてしまいますが、子供はさらに反抗心を募らせて親子関係が悪化してしまい、次第に勉強に集中する気力が持てないようになってしまいます。それだけでなく、子供は親の期待通りにできないことで自分への自信を失ってしまい、自己肯定感が低くなり勉強する意欲をも失ってしまうのです。
勉強する時間の長さも問題です
子供を将来医師や弁護士などの高学歴でないと就けない職業につかせたいと考える親は、子供が小さい頃からそれこそ赤ちゃんの頃から幼児教室や塾、習い事にいかせようとしがちです。小さい頃から塾などに通っている子供は、小学校に入っても良い成績をキープできるので、「もうちょっと頑張れば、中学受験も夢じゃない」と、親もさらに上を目指して勉強をすることを要求しまいます。
こうなると子供は毎日遊ぶ間もなく塾通いや勉強に追われてしまい、心に余裕が持てません。勉強のために遊ぶ時間が減ってしまうと、体力が維持できず、疲れやすくて病気にもかかり易くなってしまいます。心身の健康は子供の学習意欲を支える大事な要因ですが、勉強時間のコントロールがうまくいっていないと子供は疲れとストレスから眠ることができなくなり、勉強にも集中できなくなって、結果も出せなくなってしまうのです。
また、文部科学省による成績表の付け方では、学習意欲が重視されますが、既に知っていることを習う子供達は、授業に楽しみを感じられずつまらなくなり、成績がテストの点数に反して悪いことがあります。そうなると、本人も自信を失い悪循環に陥ってしまいます。
小学生の勉強に必須なのは「早寝早起き朝ごはん!」
小学生の時期に親がドンドン勉強を詰め込んでしまうことは、子供からパパやママとの安心できる生活を奪い、学習意欲や自信、健康までも奪ってしまうリスクがあります。小学生の時期は、中学生以降の自発的な勉強をする体制えるために、健康な心と体を養っていく大事な時期。「早寝早起き朝ごはん」の習慣を子供に身につけさせ、10年後に自ら勉強を行い、実力を発揮できる土台を作ってあげましょう。
「早寝早起き朝ごはん」のメリット
- 睡眠時間を充分にとることで、成長ホルモンの分泌が活発になり脳や体が発達
- 朝の光を浴びることで、脳内ホルモンのセロトニンが活発に分泌され、集中力がアップ
- 生活リズムを整えることで、交感神経が優位になり活動しやすい体を作ります
- 朝ごはんを食べることで、エネルギーが補充され1日中活動的に過ごせます
- しっかり噛んで朝ごはんを食べることで、脳の働きが活発になります
- 朝ごはんを食べることで、内臓機能が向上し朝の排便を促します
- 1日活動的に過ごすことで、筋力を養い体力を維持できます
高度成長と共に生活が豊かになり、さまざまな生活様式が認められて、これまで育児の中で生活リズムを整えることは軽視されがちでしたが、近年は生活リズムの乱れが子供の学習意欲や体力、気力の低下を招いていると専門家が指摘しています。あなたも「早寝早起き朝ごはん」の良さを、見直してみませんか?
反抗期ではありませんでした
いま高校3年の男の子がいます。親馬鹿なのですが、息子は幼稚園の頃から利発で、小学生の頃からよく勉強が出来ました。ちょうど通える範囲内に某難関中学があるので、小学5年生の時に息子が受験できるかどうか担任の先生に相談をしたところ、「狙えないことはないけれど、本気の家庭は低学年の頃から塾に通わせている。その方が情報もはいるので、もし受験をするなら早めに進学塾に入れた方がいいですよ」とアドバイスされ、遅まきながらビッシリ塾の予定を入れました。
息子も中学受験には前向きだったのですが、塾に入れてから息子の成績は芳しくなく、結局それまで入っていた地区のバスケットボールチームもやめて、勉強に集中させることにしました。
ところが息子の成績は変わらず、それにプラスして息子はイライラと乱暴な口をきいたり、弟に八つ当たりをしたと思ったら、ぼんやりと引きこもってしまうなんてことが多くなってしまいました。私はそのとき焦るばかりで、「反抗期だから仕方がない」なんて思っていたのですが、それって息子のささやかな抵抗だったんですよね。
あるとき、息子が友達と電話で「バスケはやめたくなかったけど、お母さんをガッカリさせたくない」と話をしているのを聞いて、憑き物が落ちました。それから息子とよく話し合い、息子との関係改善と、無理な日課をやめて生活リズムを整えて息子の心身の健康を整えることを第一に考えることにしました。
息子はその後塾もやめ、中学受験はせずに近くの公立中に進学しましたが、中学では「県内トップの進学校に入る」という目標を立てて自発的に勉強を頑張り、見事目的を果たして、今は弁護士になるために大学受験準備中です。
今のままで10年後は大丈夫?小学生の勉強へのNG対応
赤ちゃんの頃からは格段に成長いていると思っても、まだまだ心も体も充分に発達しておらず、勉強にしっかり向き合う体制が整っていないのが小学生です。小学生を勉強させるときは、どんな親でもこどもがやる気を見せてくれないことに悩んでしまいますが、もしかしたら、それはママ達の対応方法が間違っているからかもしれません。
小学生の子供はとてもデリケートで、褒められれば120%の能力を発揮できますが、気分がのらなければ全く実力を発揮できないほど。子供の集中力は不安定です。その不安定な集中力を一定に維持するためには、次のような対応方法はNG!ぜひ見直していきましょうね。
- 「できない」ことを怒る
- 「できない」ことをちゃかしたり、バカにしたりする
- 命令・強制する
- 内容よりも時間を重視する
- 他の子と比べる
子供のやる気は子供の心の内側からしか出てきませんし、ママ達が無理やり引っ張り出すこともできません。ときに一緒に勉強をし、ときに子供の良いトコロをたっぷり褒めてあげて、子供のやる気が出るように子供の心をサポートしてあげましょう。
小学生が勉強に集中できる時間と学習時間の目安
小学生の学力をあげようと考えると、親は単純に「学習時間を延ばせば良い」と考えてしまいがちですが、子供は集中力を長時間持続することはできません。子供の集中力が続く時間は学年×10分が目安だといわれていて、年齢別の集中力が持続する望ましい学習時間は次のとおりです。
- 低学年 15分
- 中学生 30分
- 高校生 45分
意外と短くて驚きませんか?どんなに長い時間机に縛り付けても、集中していなければ知識は頭に入っていきません。学習時間を間違えると、子供を疲れさせるだけでなく、勉強嫌いを作ってしまいかねないので、子供の学習時間が適しているか、見直しをしてみて下さいね。
小学生の勉強への対応6つ!10年後に花開かせよう
小学生の時期はまだまだ自分のやりたいことや自分の将来が定まっておらず、自発的な勉強をする体制を準備している段階です。この大事な時期に子供のやる気をくじかず、勉強に対する自信を失わせないためには、パパやママとの良好な関係を維持して心身を安定させることが大事。子供との良い関係を維持しながら、子供の学習意欲を盛り立てていきましょう。
1本人に選ばせる
小学生は自立する心が芽生え始め、親から強制されることを無意識に嫌います。ここで親の都合を押し付けてしまうと、子供はやる気が出なくなりますので、多少不安かもしれませんが、子供の事は子供自身に選択させましょう。
例えば勉強のタイミングなども、「いつしろ」ではなく「ご飯前、帰ってからどっちがいい?」などと質問し、子供が親の妥協できる範囲を自然に選ぶことができるよう、対応方法を工夫するといいですね。
2子供の将来を親が決めない
親は自分が手塩にかけた子供がかわいく、いつまでも一緒にいると勘違いをしてしまいがちですが、子供には子供の人生があって、いずれは親から離れて一人で生きていくのが自然の道理です。子供の将来は、親ではなく子供が決めるもの。自ら選ばなければ、失敗を全て親や他人のせいにし、自分の人生に無責任な大人になってしまう恐れもあります。
親として将来子供が選んでほしい職業などがあるのであれば、その職業のメリットや良いトコロを子供にアピールして、子供が自然と自分の将来を選べるようにフォローしていきましょう。
3努力を褒める
将来受験などに失敗して挫折しても踏ん張れる人間になるためには、小学生の時期「自分の存在は素晴らしい!」という自己肯定感を養っておくことが大切です。勉強というと、親はとかく成績や結果を評価しがちですが、子供の頑張った姿勢や努力を認めて褒めてやり、どんどん愛情を示していきましょう。
4ミスは責めず、リカバリーの方法を考えさせる
子供が実力を充分発揮できず、良い成績をとることができなくても、失敗を責めてはいけません。その失敗こそが子供の実力を伸ばす良い経験になるからです。親が失敗を頭ごなしに責めていては、子供は「失敗=悪いこと」と勘違いをしてしまい、チャレンジを避ける子供に育つ恐れがあります。
子供が失敗した時は、ママ達が上手に誘導して、次のチャンスのときに失敗をしないためにはどうすればいいのかを、失敗の経験から子供自身が見つけ出せるようにサポートしてあげましょうね。
5小学生でも働かせる
「子供は勉強が仕事」だとよく言いますが、これば学習のことではありません。人生を生きるために必要な知識全てが勉強で、キャリア教育などもこれに含まれていますよ。生きるために掃除をすること、食事の用意をすること、身の回りを清潔に保つこと。全てが子供の学ぶべき勉強ですので、子供には積極的に家のお手伝いをさせましょう。
「砂糖を加えるとホイップが泡立つのはなぜか?」など、家のお手伝いには勉強のヒントが隠されていますので、お手伝いを通して子供の学習意欲を養っていきましょう。小学生にとってお手伝いは、学校の成績アップにも繋がる大切な勉強です!
6子供を信じる
良い親子関係を維持し、子供が心身ともに安定した生活を送り学習に集中して取り組んでほしいのであれば、親であるあなたが子供のやる気を信じてあげることが大切です。
大人から見れば、子供は何かとサポートを必要にしているように見えてしまいますが、小学生の子供は自分にとって何が必要で、何をするべきかを考える力を充分に持っています。必要以上に大人が手を出すのではなく、子供が勉強しようとする心を大事にし、待ってあげることも必要ですよ。
小学生の勉強に無料アプリやゲーム、タブレットは効果的?
最近はスマホやタブレットが子供の間にも普及していて、「楽しく勉強する」という宣伝文句で勉強に役立つ無料アプリやゲームなども多く配信されています。勉強にこういったアプリやゲームを使うことは、賛否両論。
ただし、次のようなメリットがあります。
- 動きのある映像や音などで、楽しく勉強ができる
- 視覚に訴え、理解しやすい・分かりやすい
- 繰り返し、何度でも学習できる
- 自分のペースで学習ができる
- 楽しいから、自主的に学習に取り組める
確かに、子供にとって「楽しい」は大きな原動力になりますね。
その反面、次のようなデメリットもあります。
- 学習よりも遊びに偏ってしまう
- 必要以上に目が疲れ、身体が疲労する
- 必要以上時間を費やしてしまう
アプリやタブレットを利用する時は親子で良く使い方を話し合い、ときに大人が一緒に参観するなど、こまめに大人が子供の学習状況をチェックしていきましょう。
小学生の勉強はやっぱり勉強机が必要?
小学生になると「自分から進んで勉強するように」と、子供一人ひとりに学習机を与えることが多いです。親が購入しなくても、入学のお祝いにと、お祖父ちゃん・お祖母ちゃんからプレゼントされる家庭も多いのではないでしょうか。これは、勉強部屋で一人になって、集中して学習効果をあげてもらいたいという大人の希望なのですが、小学生の学習にはまだまだ周りのサポートが必要で、子供だけの学習では実力が伸びないという専門家の指摘も…。
子供が1人で勉強していれば、わからないことを誰かに聞いてヒントを得ることができませんし、誰もいさめてくれないから、勉強をそっちのけにして遊びだしちゃうかも!これを解決するのが、リビング学習なんです。小学生のうちは家族の暖かい雰囲気の中で、ワイワイ・ガヤガヤと勉強をしたほうが、子供は安心して集中できるのかもしれませんね。
東大に入る大学生の多くは、小学生の頃にこういったリビング学習をしているといわれていますので、ぜひリビング学習を見直してみて下さいね。
小学生なのに勉強があまりにできない…親の責任?
子供があまりにも勉強に向き合わないと、「私の指導がいけないから」とか、「発達に問題があるのでは」と考えてしまいがちですが、小学生の子供は自発的な勉強ができないことは、ごく自然なことです。自分や子供を責めるのではなく、なぜ勉強ができなくなったのか、いつから勉強を嫌がるのかを自宅や学校での学習態度からしっかりと突き止めて、原因を取り除くことを考えていきましょう。
本人が頑張っているのに思うように成績が上がらないといった学習障害の可能性もある場合は、専門家に相談して対処することが大切ですが、特に問題はなく本人のやる気次第であると感じられる場合には、子供自身からやる気を引き出すことが必要。親は子供の味方となり、コミュニケーションの中で子供に学ぶことの自信をつけさせ、やる気を引き出していけるといいですね。