子供に伝わる話し方:言い換えや合言葉(標語)で育児ストレスを軽減しましょう
お子さんに伝わる話し方を育児に取り入れると、パパやママの伝え方がソフトになるだけでなく、お子さん自身が楽しくなってスムーズに行動に移しやすくなります。その結果、育児ストレスとお子さんのストレスの両方を大幅に減らすことができます。
お子さんが自ら身の安全を守れるよう、幼稚園や保育園、警察などの関係各所でも、分かりやすい言い換えや合言葉(標語)が使われています。ぜひパパやママも、こうしたお子さんに伝わる言い換えや合言葉を覚えて育児に活用してみましょう。
子育て4コマ漫画:子供に伝わる話し方とは?使える合言葉
子供に伝わる話し方~日常の「言い換え」編~
小さな幼児に難しい言葉で説明しても、なかなか理解できませんし、一度理解してもすぐに忘れてしまいがちです。何度も同じことを繰り返して説明しなければならないパパやママはイライラしてしまうかもしれませんが、それはお子さんに聞く気がないせいでも、頭が悪いからでもありません。
お子さんの記憶力は、親が想像するほど発達していないことが多いです。興味のあることは覚えやすいですが、興味がないことは覚えにくいという特徴があります。イライラしてしまう時は、面白く言い換えたり、ゲームのようにすることで、お子さんに伝わる話し方を心がけましょう。
ダンゴムシのポーズ!災害時の安全な姿勢
保育園や幼稚園で指導されることが多い「ダンゴムシのポーズ」。これは、地震などの災害時に一番大切な頭を守る姿勢を、お子さんに伝わりやすいように言い換えたものです。具体的には、地面に両ひざと両ひじをついて体を丸め、両手で首の後ろ(後頭部)を押さえる姿勢をとらせます。
未就園児の場合は、低い姿勢で体を丸めているパパやママのお腹の下に入ってダンゴムシのポーズをすることを教えておくと、勝手にどこかへ行ってしまうことなく、すぐにそばに来てくれるので安心です。
ライオンの声とネズミの声!声の強弱をコントロール
元気よく大きな声を出してほしい時は「ライオンの声で」、ヒソヒソと小さな声で話してほしい時は「ネズミの声で」というように、動物の声に言い換えて声のトーンを伝える方法があります。
小さな子供は、場に応じた声の強弱をコントロールするのが難しいものです。公共の場では小さな声で話すこと、挨拶は元気よく大きな声で言うことなど、声のトーンをコントロールすることを教えるのも家庭教育の一つです。
幼稚園や保育園、小学校、療育現場などで使われているお子さんに伝わる話し方ですので、「静かにしなさい!」「元気よく!」「こら!」といった、お子さんにとって抽象的で伝わりにくい伝え方の代わりに使ってみましょう。
子供に伝わる話し方~安全・生活の「合言葉(標語)」編~
お子さんに伝わる話し方は、さまざまな「合言葉」としても活用されています。入園後や入学後に、園や小学校を近所の警察、消防、役所の人が訪れて教えてくれることもある標語をご紹介しますので、知らない場合はぜひお子さんに教えてあげてください。
また、ご家庭の中でも応用し、本当に伝えたいことを合言葉にしてみると、パパやママの脳トレになるだけでなく、大切なことがお子さんに伝わりやすくなるのでぜひ試してみてください。
い・か・の・お・す・し/つ・み・き・に・お・に(防犯標語)
「いかのおすし」は、平成16年(2004年)に警視庁少年育成課と東京都教育庁指導企画課が考案した防犯標語です。現在は全国各地に広がり、地域によっては応用編の「きょうはいかのおすし」などと指導されている所もあります。
- いかない(知らない人についていかない)
- のらない(知らない人の車に乗らない)
- おおきな声を出す(危険な時は大きな声を出す)
- すぐにげる(危険を感じたらすぐに逃げる)
- しらせる(怪しい人に出会ったら親や先生などに知らせる)
「つみきおに」も、愛知県警が子供に伝わる話し方として普及に努めている防犯標語で、今全国に広がり始めています。下校時など、お子さんが一人になる時は日中でも犯罪に巻き込まれやすいので、防犯ブザーを持たせると共に、こうしたお子さんに伝わる防犯の合言葉を教えておくことが大切です。
- ついていかない
- みんなといつもいっしょ
- きちんと知らせる
- おお声で助けを呼ぶ
- にげる
たとえ声をかけられても知らない人にはついていかない、みんなといつも一緒にいる、出かける時や異変があった時はきちんと知らせる、知らない人に連れられそうになったら大声で助けを呼ぶ、怖いと思ったらすぐに逃げるという意味があります。
お・か・し・も・ち/お・は・し・も(防災標語)
「おかしもち」は、お子さんに伝わる話し方として広く知られている防災標語です。他にも似たような防災標語に「おはしも」があります。避難訓練の際に消防庁職員などによって指導が行われていますので、ご存知のパパやママも多いでしょう。
- おさない
- かけださない
- しゃべらない
- もどらない
- ちかよらない
火災による避難の際には、押さない、駆けださない、喋ったり元の場所に戻ったりしない、火元には近寄らないという意味があります。
ちなみに「おはしも」は、押さない、走らない、喋らない、戻らないという意味です。短いので、小さな幼児には「おはしも」の方が覚えやすいかもしれません。日頃からパパやママが教えてあげると良いでしょう。
「おはしも」避難訓練の合言葉
7歳の小学生の子供がいる母親です。保育園の頃から月に一度は避難訓練などが行われていますが、小さな子供でも覚えやすい短い言葉で身につけさせているようでした。
『お』は押さない、『は』は走らない、『し』は喋らない、『も』は戻らないで教わったそうです。保育園の頃、子供からこの合言葉を聞きました。難しい言葉ではなく分かりやすかったようで、ちゃんと意味も理解しているようでした。
し・じ・み・と・れ・た(生活習慣定着への合言葉)
「しじみとれた」は、鳥取県教育委員中部教育局が推奨する、正しい生活習慣をお子さんたちに定着させるための合言葉です。
文部科学省では「早寝・早起き・朝ごはん」を推進していますが、「しじみとれた」はさらにきめ細やかな生活習慣の指標となっています。しつけの仕方に自信がないパパやママにも役立つでしょう。
- しっかり朝食を食べよう
- じっくり本を読もう
- みなり(服装)を整えよう
- そとで元気に遊ぼう
- テレビを長時間見るのをやめよう
- たっぷり寝よう
お子さんの生活リズムを整えることは、学力や事故・トラブル防止に直結します。ぜひ理想的な生活リズムを、小さい頃からお子さんが自主的に守れるよう、ご家庭で教育してあげてください。
ブ・タ・ベ・ル・サ・ハ・ラ(自転車点検標語)
「ブタベルサハラ」は、埼玉市などで行われる子ども自転車運転教室などで利用されている自転車点検標語です。
小学校3~4年生になると、親任せではなく、お子さん自身も自分の自転車に異常がないか確認することが大切になりますが、点検項目を覚えるのは少し難しいかもしれません。しかし、こうした合言葉を使えばお子さんに伝わる話し方ができますので、お子さんや歩行者の日々の安全をより守りやすくなります。
- ブレーキは効く?
- タイヤは大丈夫?(空気圧、溝)
- ベルは鳴る?
- サドルの高さやグラつきは大丈夫?
- ハンドルや反射板は大丈夫?(曲がり、汚れ)
- ライトはつく?(向き)
タイヤは空気圧や溝のチェック、サドルは身長に合っていてグラグラしないか、ハンドルは曲がっていないか、反射板は壊れたり汚れたりしていないか、ライトはつくだけでなく向きもあっているかといった毎日の利用前の点検に、お子さんだけでなくご家族で「ブタベルサハラ」を利用しましょう。
ま・け・な・い・よ(少年非行防止の合言葉)
「まけないよ」は、宮城県警少年課などが推奨する非行防止の合言葉です。非行には家庭環境が影響することもありますが、同じような家庭環境の子供たち全てが非行に走るわけではありません。
たとえ難しい状況にあっても、「まけないよ」を覚えていることで少しでも非行への抑止力となるよう、小さい頃から親だけでなく周囲の大人たちみんなで教えてあげたい、お子さんに伝わる話し方でしょう。
- まんびきしない
- け-タイの危険に注意する
- なぐらない
- いじめない
- よ遊びしない
小学生になったら、「まけないよ」
二児の母です。宮城の親戚に教えてもらった合言葉は「まけないよ」でした。万引きしない、携帯危ない、殴らない、いじめない、夜遊びしないという意味の「まけないよ」は、小学生のお子さんに教えるのにぴったりな言葉だと思います。
宮城の親戚のおばさんは、うちの子が小学生になると知って「小学生になったらまけないよ、だよ!」と言い聞かせてくれました。男の子にはかっこいい言葉に聞こえるらしく、その名の通り様々な悪い誘惑に負けないで頑張ろうという気になったようでした。
先生が教えてくれた!幼稚園・保育園で使える子供に伝わる話し方
幼稚園や保育園では、多くの子供たちを少ない人数の先生方が指導しなければなりません。そのため、お子さん一人ひとりにきめ細やかな指導をするためには、伝え方が非常に重要になります。
そんなお子さんに伝わる話し方に長けた先生方に、3歳くらいのお子さんに有効な伝え方について聞いてみました。ぜひあなたのご家庭でも参考にしてみてください。
「おやますわり」でお話を聞こう
元幼稚園教諭をしていた現役ママです。お尻を地面につけて膝を曲げて座る「体操座り」を教えるときは、「お山すわり」と教えると3歳くらいの小さな子供に伝わりやすいです。幼稚園で働いていたときに知りました。
まず自分が体操座りをして見せて、脚が「おやま」になっていることを説明しましょう。「体操座り」という言葉ではイメージしづらい座り方ですが、脚の形が山に似ている「おやますわり」ならイメージしやすいです。3歳の子はすぐ理解して座れるので、集団で話を聞いたりする場面でスムーズに活動ができました。
忍法壁ぺったんの術
女性の教育関係者です。3歳児に有効な、お子さんに伝わる話し方として、先輩がやっていたのを真似していました。なんでも忍者修行をしているストーリーの中に入れてしまいます。
例えば片側に寄って歩いてほしい時などは、「端っこに寄って」などというとわざと違うようにしようとする子などもいますが、「ニンニン!修行でござる!できるかな?」などとニンニンフレーズを使ってゲーム感覚にしてしまうと、知らず知らずのうちにこちらの意図通りになります。
他にも止まってほしい時に「石の術」と言ってみるなど、色々と応用ができます。
まだまだある!ママパパが教えてくれた子供に伝わる話し方
パパやママの中にも、どこかで習った合言葉や自分で編み出した言い換えを上手く取り入れて、お子さんに伝わる話し方で楽しく子育てをしている人たちがいます。あなたも今日から参考にして、育児ストレスを減らすことに取り組んでみましょう。
「ぶたさん、ブー!」でお鼻をかもう!
7歳の娘の母親です。娘が2歳くらいの頃、鼻をかむ方法を教えたくて考えた合言葉が「ぶたさん、ブー!」でした。
まず「ぶた(左)さん(右)」という声に合わせて、片方ずつお鼻の穴の上に一本ずつ指を添えます。お鼻の穴を指でふさぐイメージです。
もちろんこのまま鼻をかむと耳を痛めてしまうので、続く「ブー!」でどちらか片鼻の指を離させて鼻から息を吹かせると、立派な鼻水が出ます!リズムが良いので娘も喜んで乗ってくれました。
「わかりやすいね」と保育園の先生にも褒められましたよ。まだ小さな子には口で説明しても分かりづらいので、できるようになるまではママが手を取って教えてあげるとよいと思います。
「みがみがして」歯磨きの言い換え
ママです。教育関係ではありませんが、福祉施設で仕事をしていたことがあります。自分の歯にひどいコンプレックスを持っていたため、どんなことをしても歯磨きの習慣をつけさせたかったので、この言い換えで子供に伝えました。
子供に夜になって「歯磨きして」と堅い言葉で言っても、やはりあまり伝わらないのですね。それで「みがみがして」というように二人の子供に毎日言って聞かせました。「みがみが」というのはもちろん、歯磨きの「磨き」からきていますが、子供は言葉を重ねた方が単純にわかりやすいのです。それを毎日言っていると、自然と歯磨きをするのだなと伝わります。
「1・2・3・し~」お口にチャックをさせる時の話し方
2人の子供がいるママです。子供を静かにさせたい時、「1・2・3」と言ってから人差し指を口にあてて「し~」と言います。特に3~6歳の幼児を静かにさせる時に使える、お子さんに伝わる話し方です。
保育園の先生をやっている友人に教わりました。言う前に「みんな~」と注目させるとより効果があります。「静かにして!」というよりも「1・2・3」と注意を向けてからなので伝わりやすかったです。面白がって一緒にやるようになり、すぐにおしゃべりをやめさせることができるようになりました。
「こおりにへんしん」で静かにさせる
4歳児の男の子のママです。「こおりにへんしん!」は、息子がいとこのお姉ちゃんと「こおりおに」をしたときに、「こおり」になると「固まる」ということが理解できていたので、それから使うようになったお子さんに伝わる話し方です。
レストランなどのお店や公共機関の中で、テンションがあがってしまい、大きな声でおしゃべりしたり、はしゃぎ始めたりしたときに、息子の頭にそっと手をおいて、魔法をかけるように一言「こおりにへんしん!」というと、ピッと固まります。
その直後(間をあけてはいけません)に、「ここは遊んでいいところ?」などと質問し、自分の行動を反省させています。あえて「静かに!」というよりも、ゲームの延長線上の言葉なので、息子にはすんなり入っていくようです。
「リボンがまーえ」でトイトレや着替えが上手くなる
3歳の女の子の母です。2歳を過ぎてからトイレトレーニングを始めましたが、トイレトレーニング自体はスムーズで、便意があるとすぐに教えてくれました。しかし、パンツを履くときにいつも裏返しになったり、前後ろが反対になったりしていました。
そこで「リボンがまーえ」と言いながら直していくと、自分でもパンツを履くときにリボンを探して、見当たらなければ一旦脱いで反対にしたり裏返しにしたりして、きちんと履くことができるようになりました。これを応用して、保育園での体操着にもリボンをつけてあげると、間違わずに上手に着替えができるようになりました。
「ウソは泥棒の始まり」
私は父親ですが、10歳ぐらいまでの子供には実感でき、なおかつ少し面白く愛着のある言葉の方が伝わりやすいかと思います。
「ウソは泥棒の始まり」という言葉は、私が小さい時に親から伝えられた言葉です。子供に普通に「ウソをつくな」と叱るだけでは伝わりにくいため、なぜいけないのかという理由と、その結果起こりうる怖さを具体的に伝えることが、子供の心に伝わりやすいと考えます。
子供に伝わりやすく、子供自身も覚えてくれ、友達にも子供自身で伝えていました。そのため、親が嘘をつく場面を目撃したり、実際に子供がウソをついたりすること自体が減りました。
怒鳴らずに伝えるためのヒント:子供の特性を理解しましょう
小さな子供は想像力が大人ほど発達しておらず、経験も不足しています。そのため、大人が「真剣に怒れば伝わる」と思って怒っても、怒られた恐怖や不快感しか伝わらず、本当に理解してほしいことが記憶に残らないことが多いです。ですから、大人は子供の特性をよく理解して伝えることが大切です。
例えば、小さな子供はフレーズや映像を記憶する方が得意です。そのため、言葉のみで長々と説明するのではなく、短めの面白いフレーズや絵(イメージ)を見せて説明する方が効果的です。
また、状況にもよりますが、危険に関わること以外であれば、笑顔のパパやママからされるお話の方が、怒られるよりずっと素直に言うことを聞きやすくなります。怒られると、恐怖で頭の中が真っ白になってしまう子が多いからです。
言うことを聞かないお子さんや話を聞くのが苦手なお子さん、何度伝えても身につかない年齢のお子さんには、ぜひこうしたポイントを思い出し、怒鳴らなくてもお子さんに伝わる話し方を心がけましょう。