【子供を育てられない】追い詰められたママが頼るべき公的・専門的な相談先と支援体制
子育ての悩みは千差万別で、さまざまな事情から「子供を育てられない」と深刻に考えてしまうことは、母親にとってとてもつらいことです。追い詰められると「私は独り」「誰にも相談できない」「誰も助けてくれない」と思ってしまいがちですが、実は「こんなことでも相談できるんだ」と思うようなお悩みでも、様々な場所で、無料であなたを助けるお手伝いをしてくれるんですよ。
今回はさまざまな事情で追い詰められてしまったママのために、子供を育てられないと思った時に頼るべき場所、同じように追い詰められる母親に多い悩みの原因、具体的な対処法などについて、公的支援の情報を中心に詳しくご紹介していきます。「育児ノイローゼ 相談」や「子育て 追い詰められた」と感じる方は、ぜひこの情報をご活用ください。
子供を育てられないと思ったら頼るべき3つの公的機関
どんなに子供が可愛くとも、どれだけ子供を愛していても、「子供を育てられない」と追い詰められる経験をしたことがあるママは実はたくさんいます。同じ悩みで苦しむママはあなただけではありません。追い詰められたと感じる感覚は、ご自身と子供を守るための重要なサインであり、全国の様々な機関でサポートが行われています。
頼るべき主な行政・公的機関
- 市町村の役所(福祉課、子育て支援課など):地域の子育て支援サービスや経済的な支援に関する相談窓口です。
- 児童相談所(全国共通ダイヤル189):子供に関するあらゆる相談を受け付け、専門的な支援や一時保護を提供します。
- 保健センター:乳幼児の健康診査、育児相談、保健師による訪問指導などを行います。
これらの公的機関の他にも、様々なNPOなどの支援団体や電話相談などで、母子を助ける手助けをしてくれる専門家がいます。「子供を育てられない」と感じることは、決して悪いことではありません。そういった母親のSOSこそが、母子を救う第一歩になるのです。
「母親なのに」と自分を責めてしまい、「もう、どうしようもない…」と自分で思い込んで、助けを求めないママも多く見受けられます。しかし、それが母子にとって一番悲しい結末に繋がってしまうこともあります。子供を育てられないと感じたら、勇気を出してこれらの機関に連絡をし、自分の気持ちを素直に相談してみましょう。きっとママも子供も前に進むためのよい方法を得ることができ、幸せになるためのきっかけになるはずです。
子供を育てられないと感じる主な原因と背景
人間にはさまざまな事情があり、我が子の子育てを心から楽しめず、苦痛に感じてしまうことがあっても当然です。追い詰められる母親が抱える一般的な悩みの原因を知り、ご自身の状況を理解して受け入れるための参考にしてください。
1子供の発達上の特性や障害
子供を育てられないと感じる大きな原因の一つに、子供の育てにくさがあります。そういった気持ちを抱く場合、子供に何らかの発達上の特性や障害があることがあり、母親はさまざまな育児の悩みや困難さ、人生の苦悩に追い詰められやすい傾向があるのです。
- 子供に落ち着きがない、衝動性が高い
- 集団行動でのルールや約束事を守るのが難しい
- 学校や園生活への不適応、不登校
- 頻繁にお友達とトラブルを起こす、乱暴な言動がある
- 子供の特性や障害のことが頭から離れずに辛い
- 子供のことで夫や親族から理解や協力を得られずに責められる
- 普通の母子関係を築けないのがツライ など
子供の発達上の特性は、子供と母親の関係を行き詰まらせるだけでなく、父親や他の家族との関係、家庭環境を悪化させ居心地が悪くなることも多いです。発達の専門機関(児童発達支援センター、医療機関)の診察を受けて、母親や家族がその子の持つ特性について正しく理解し、療育や適切な環境調整をすすめることが大切です。専門的なサポートを受けることで、子供は次第に社会への適応能力を増していけますし、特性があっても幸せに暮らしている人は大勢います。
ところが、家族や幼稚園、学校などの協力が得られないと、二次障害を起こしてしまい家族関係にまでヒビが入ってしまったり、母親が「この状態が一生続くの…」などと子供の将来を悲観してしまい、母親自身がそのストレスで育児疲れや抑うつ状態に陥ってしまうことがあります。発達障害の診断や療育に関する悩みは、一度児童相談所や保健センターに相談に行ってみましょう。
国や専門機関では、発達上の特性を持つ子供への支援だけでなく、家族全体へのサポートにも力を注いでいます。子供の育てにくさに追い詰められたら、一人で抱え込まず、専門的な視点を持つ相談員に話を聞いてもらうことが解決への第一歩となります。
2経済的な困窮や貧困
現代の日本社会において、家族の収入が少なく、生活が立ち行かない家庭が増えています。子供を育てていくためには、食費、被服費、教育費など、さまざまなお金がかかるため、経済的な問題から「子供に十分な生活環境を提供できない」と考えてしまい、手放すことを考えざるをえない母親も多いのです。「お金がない 子育て 相談」は、深刻な検索ワードの一つです。
日本には、何らかの理由で家族が生活するだけの収入を得ることができない場合に、市町村で生活保護や児童扶養手当、就学援助などの公的支援を受けることができる社会制度が整っています。しかし、子供が多く出費が多い、親の病気のために高額な治療費が必要になるなど、行政の支援だけでは十分に解決できない家庭も増えています。経済的な問題で悩んでいる場合は、まず市町村の福祉課や社会福祉協議会に相談し、利用できる制度をすべて確認しましょう。
3配偶者からの暴力や家庭環境の悪さ
近年ニュースでも大きく取り上げられるように、愛し合って結婚したはずなのに、配偶者からの暴力(DV)やモラルハラスメントが日常化している危険なケースが増えています。こういった家庭環境の悪さは、子供の安全や精神衛生に極めて好ましくなく、子供の命や心を乱暴な環境から守るために、子供を手放す決心や、母子で避難する決断をする女性も少なくありません。
離婚後、再婚によりステップファミリーを築いたことで、再婚相手が子供を邪険に扱ったり、乱暴な行為をしたりしても、母親として「子供が可哀想」と思いつつも、生活のため離婚することもできず、追い詰められ深刻な悩みを抱えるケースもあります。配偶者からの暴力や子供の安全が脅かされる場合は、警察、婦人相談所(DV相談プラス)、児童相談所などへの緊急の相談が必要です。
4母親自身の心身の不調や病気
子育ては夫婦そろっての共同作業であることが望ましいのですが、男性はどうしても家庭外の仕事についていることが多く、子育ての責任が母親に大きく降りかかっている状況があります。そういった精神的・肉体的なストレスや育児による疲労から、母親自身が病気を患ってしまい、育児が困難になって「子供を育てられない」と追い詰められるケースが近年急増しています。
育児中に増える心身の不調の例
- 抑うつ状態、不安障害などの精神的な疾患
- 慢性的な寝不足や疲労
- 自律神経の乱れによる不調
こういった時に夫が母親の替わりになって育児をしてくれたり、実家に預けたりできれば問題は解決するのですが、夫の協力が得られなかったり、親族のサポートが得られなかったりすると、「もう、子供を育てられない」と追い詰められてしまうのです。心身の不調を感じたら、迷わず医療機関を受診するとともに、保健センターなどに相談し、一時預かりや家事援助などの公的支援の利用を検討してください。
5核家族化による孤立と育児不安
日本では家族関係が多様化し、核家族化が進んでいます。村社会の崩壊は若い世代にとって気楽であるものの、育児経験者の助力を得にくくなり母親が孤立し、人知れず育児の悩みを抱え込んでしまうといったデメリットもあります。
子供の世話の仕方がわからず、子供にどう対応すべきか不安なママは、たった一人で子育ての不安と闘いながら、子供と24時間向き合わなくてはいけないストレスで、育児の楽しさを味わうどころか育児のつらさしか感じられなくなる傾向があります。そしてそのストレスに負けて、「子供を育てられない」と追い詰められる女性も増えています。地域のNPOや子育てサロンなど、孤立を防ぐための居場所や相談先を見つけることが重要です。
「子供を育てられない」=「里子」ではない:多様な一時的支援
「子供を育てられない」と思った時、「児童相談所などの専門機関に行くと、子供を里子に出されてしまうのでは?」と不安になり、相談できないママも多いですよね。しかし、児童相談所はまず「親子が一緒に暮らせるよう支援すること」を最優先に考えます。
日本には児童福祉法に基づく里親制度があり、役割によって次のような里親が、親元で育てられない子供を受け入れてくれます。里親に委託されるのは、様々な支援を受けてもなお、家庭での養育が困難な場合や、子供の安全を守るために緊急の保護が必要な場合に限られます。
日本の里親制度の主な種類
- 養育里親:実の親が子供を引き取ることができる状態になるまで、一時的に家庭で里子を養育します。(期間は原則短期)
- 専門里親:虐待などによって心に傷を負った子供や、発達上の特性を持つ子供など、専門的なケアが必要な里子を一時的に家庭内で養育します。
- 養子縁組を前提とした里親:将来的な里子との養子縁組を目的として、家庭内で里子を養育します。
- 親族里親:両親が亡くなったり行方不明になったりしたため、三親等以内の親族が里子を家庭内で養育します。
里親となる人たちは家庭的にも、経済的にも一定の基準をクリアしていて、安心して我が子を託すことができる相手ではあります。しかし、安易に里子に出すのではなく、行政機関に相談をして乳児院や児童養護施設などに一時的に子供を預かってもらい、自分が元気を取り戻したら子供と再び一緒に暮らすという方法も残されています。里親委託や施設入所は、親子分離の「最終手段」であり、「一時預かり」という選択肢をまず検討しましょう。
悪い方向に自分を追い詰めず、自分の気持ちを誰かに素直に伝える勇気をもって、行政や専門家が差し伸べる助けの手をとることを考えてみてくださいね。
子供を育てられない時に預かってくれる3つの児童福祉施設
里親以外でも子供を受け入れてくれる、万が一のときに頼れる公的な児童福祉施設には、次のようなものがあります。これらはすべて、子供の福祉増進を目的とした施設です。
1乳児院
乳児院は児童福祉法の規定で設けられた、地方自治体などが運営する児童福祉施設で、事情があって親が子供を育てることができない子供のうち、原則として1歳未満の乳児を養育してくれる施設です。昔は親が亡くなって天涯孤独になってしまった赤ちゃんや、経済的な理由で養育できない赤ちゃんが預けられることが多かったのですが、最近は親の病気や虐待・ネグレクト(育児放棄)など、さまざまな理由で子供を引き受けることが多くなっています。
乳児院では、後になって親が子供を引きとることを希望すれば、子供を親元にかえしてくれます。子供が親元にかえった後も、その後の生活に関する相談や、さまざまな援助の受け口になってくれるので、乳児院は乳飲み子を抱えて追い詰められた女性にとって、頼れる施設だといえます。
2児童養護施設
児童養護施設は、乳児院と同じ役割を果たす児童福祉施設で、原則として満1歳から18歳未満の児童を預かってくれます。児童養護施設では児童指導員や保育士などの資格を持つ指導員が子供たちの生活の面倒を見てくれますが、子供の権利擁護や生活の質の向上が課題として挙げられています。
児童養護施設に居られるのは原則18歳までですので、施設を退所した子供が一般家庭の子供よりも早く社会に出て経済的に独り立ちをしなくてはならないといった問題も、しばしば大きく取り上げられています。近年では退所後のアフターケアや進学支援にも力が入れられ始めています。
3こどものためのシェルター(一時保護施設)
こどものためのシェルターは、児童福祉分野の専門家たちが集まって運営している、子供の一時避難センターです。親の乱暴な行為や、心身を傷つける行為などで生活や命が脅かされている18歳までの子供を、一時的に保護して手助けしてくれる施設です(一部、継続的な支援が必要な場合は20歳まで利用できる施設もあります)。
シェルターに逃げ込む子が抱える問題
- 親からの身体的・精神的な虐待(殴る、暴言、心を傷つける行為)
- 経済的搾取(働くことを強要された挙句、給料を搾取される)
- ネグレクト(食事や衣服を与えてもらえない)
児童福祉では支援が難しい年齢層の子供のケアもでき、子供の人権相談をしてくれる機関とも連携して、親の保護下から離れた子供の細やかなケアを目指しています。
また、発達上の特性のあるお子さんが二次障害を起こしているため親子で疲弊しきっている時も、シェルターで一時子供を預かってもらい親子で支援を受けることもできます。シェルターの利用は、児童相談所や各自治体の相談窓口を通じて行うことができます。
日本全国には、ご紹介した以外にもNPO法人によるシェルターや自立援助ホームがあり、児童相談所ではそれらの施設の紹介も行ってくれますので、「子供を育てられない」と追い詰められたときは、紹介してもらうことも検討しましょう。
子供を育てられないと思った時にすべきこと:まず自分を労わる
女性は母親として我が子を自分の胎内で育み、最も身近に子供を感じて愛する存在です。そんな母親が育児に行き詰まるということは、本人にとってとても切なく悲しい出来事です。どうぞ自分を責めるのではなく、労わってあげることを考えてください。母親の心身の状態は子育てに直結していますので、つらい時こそ自分の体を大切にし、心身の不調を感じたら迷わず専門医を受診したり、専門機関に相談したりすることも検討して下さいね。
育児に対する悩みは人それぞれで、家族に相談してもその辛さをわかってもらえないことがよくあります。でも、あきらめてはいけません。行政機関や専門家は、家族ではないからこそ冷静に相談に乗り、多様な選択肢の中から的確に救いの手を差し伸べることができます。そういったプロたちは真剣に話しを聞いて、本気であなたを助けようとしてくれます。
相談先の専門家が分からない場合には、とにかく児童相談所(全国共通ダイヤル189)などの身近な行政機関に遠慮なく相談し、子供を育てられないと感じる苦しい状況から抜け出すことを考えてください。「子供を育てられない」と感じたその瞬間が、支援のネットワークにつながるチャンスなのです。