給食ハラスメントに関する記事

給食ハラスメントから子供を守る!完食指導の悪影響と親の適切な対応

給食ハラスメントから子供を守る!完食指導の悪影響と親の適切な対応

「給食を食べきれない子供が悪いのでは…」と悩む親御さんへ。実は行き過ぎた完食指導は、自己肯定感の低下や不登校など深刻な悪影響をもたらします。先輩ママの体験談から、子供を追い詰めない寄り添い方を学びましょう。

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給食ハラスメントは子供が悪いから仕方ない?まずは親が正しく理解して

給食ハラスメントという言葉を聞き、親の中には学生の頃の給食の様子を思い浮かべて「残す子供が悪いから仕方がない」「好き嫌いは直すべきだ」と思ってしまう人もいるでしょう。

親自身や過去の教師から「給食を残すことは悪いことだ」と教えられ、疑うことなく従ってきた人の中には、子供が給食ハラスメントを受けたと訴えても「あなたが悪い」と責めたり、家で食べられるようになるための訓練を強要したりする人もいます。しかし、親がこの認識のままでいると、子供は一番の安全基地であるはずの家庭でも逃げ場を失ってしまいます。

豊かな人間形成は強要される苦痛からは育めない!

食育とは、食の楽しさを体験させることで導く教育です。2005年に制定された食育基本法にも「国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成を旨として行われなければならない」と記されています。強要される苦痛から食への興味感心や楽しさは学べません。親は給食ハラスメントがどれほど子供の将来に深刻な悪影響を与えるかを知り、行き過ぎた善意から子供を守る必要があることをまずは理解しましょう。

給食ハラスメントとは?完食できない子への先生の強要や友達の嫌がらせ

「給食ハラスメント」とは、保育園や幼稚園、学校の教職員が完食を強要する指導やお友達からの嫌がらせなど、給食が食べられないことで引き起こされるトラブル全般を指す言葉です。

2017年9月には小学校の教諭が無理やり給食を食べさせたことで児童が体調を崩したというニュースが報道され、全国のパパやママに衝撃を与えました。これも典型的な給食ハラスメントの一つです。

給食ハラスメントの類型

  • 給食完食の強い強要(「一口だけでも絶対食べなさい」と迫る)
  • 食べ終わるまでの昼休みの居残り・掃除時間への食い込み
  • 給食を残すことをみんなの前で「わがまま」「努力不足」と言う
  • 食べきれない量や苦手な食材の給食を無理やり盛り付ける
  • 残したことをからかう、嫌味を言う(「また〇〇ちゃん残してるよ」と囃し立てる)

給食は子供の健やかな成長のためにカロリーや栄養を調整し、美味しく作られているものですが、食の嗜好や味の好み、適正な食事量は人それぞれで違います。特に乳幼児から学童期にかけては、噛む力や飲み込む力、胃の大きさなどの身体的発達に大きな個人差があります。

アレルギーなどの正当な理由がなくても、どうしても食べられない食材は多くの子供にあり、出された給食を完食できないケースもあります。

こうした個人差を教師や周りのお友達が認めてくれないと、給食を食べることができない子供の心には深い傷が残ってしまいます。「みんなができているのに、自分だけできない」という劣等感は、学校生活全体の自信を奪うことにもつながりかねません。

給食ハラスメントの悪影響は?自己肯定感の低下と心への深刻なダメージ

献立表を見る小学生の女の子

食事の量はその日の体調によっても大きく変わりますので、多くの人が給食を食べきれずに困ったという経験をしたことがあるでしょう。

問題なのは、こういった給食に絡むトラブルが恒常化してしまうことです。食べることは生きるための本能の一つですが、人間の行動はメンタルによっても大きく左右されます。保護者から見れば教育熱心に思える担任の「指導」であっても、子供にとっては逃げ場のないプレッシャーとなり、心身に大きな苦痛を伴うトラウマになることがあります。

給食の時間になると極度の緊張に襲われ、登校拒否になってしまったり、給食の時間を避けたいばかりに学力に見合わない午前だけの定時制高校への進学を選んでしまったりする子もいて事態は深刻です。

幼児期や学童期に得る記憶や体験は、将来生きるための礎となります。給食ハラスメントの記憶が高じると、大人になっても「人と一緒に食事をすること」自体に強い不安や苦痛を感じてしまうケースがあります。集団でのコミュニケーションや社会生活に支障が出てしまいますし、友人との外食やデートに消極的になるなど、人生の楽しみを大きく奪ってしまうことにもつながりかねません。

ママになっても苦しい!給食ハラスメント体験談

給食ハラスメントの子育て4コマ漫画

周りの強い励ましやからかいをきっかけに給食ハラスメントや好き嫌いの克服ができる子供もごく一部にはいますが、なかにはどうしても乗り越えられない子もいます。そういった特性を教師やママ達が理解していないと、子供の心に生涯消えない不安を植え付けてしまうかもしれないのです。

シャーン
36歳

給食恐怖症です

小学4年生の女の子と、1年生の男の子のママです。
うちの子供達は幸い給食嫌いではありませんが、現在36歳の私は小さな頃のトラウマで給食嫌い。私が子供の頃の先生はとても厳しくて、給食のお残しはダメだったので、好き嫌いが多い私はいつも泣きながらお昼休み無しの居残り。男の子からはからかわれて、いつもイヤな思いをして成長しました。

そのため子供達の授業参観に行っても、教室の中に給食の匂いが残っているだけで気分が悪くなってしまい、いつも参観を途中で断念してしまいます。

とくとく茶
40歳

今でも急に涙が出てきます

私は小さな頃からマヨネーズが嫌いで、口に入れるとどうしても体が受け付けないため給食の時間は本当に苦痛でした。私の担任は食べられないことで怒ることはありませんでしたが、昼休みも掃除の時間も5時間目もとにかく完食するまで食べるというルールを作っていたので、苦しい思いをしながら給食を食べていました。

幼いながらに本気で悩み、自宅でも自分でマヨネーズを作るなどして克服しようとしましたが、油と酢を多量に使うマヨネーズは元々体が弱い体質の私には負担だったのでしょう。クラスで1、2を争う程小さかったこと、早生まれであることなどもあり、どうしても体が給食を時間内に完食することやマヨネーズを受け付けてくれませんでした。

私は担任に文句を言ったり、親に苦痛を訴えたりできるタイプではなかったので、あまりにも辛い時は仮病を使って学校を休み、気分をリフレッシュしていました。学校って自己主張ができない弱者にとっては過酷な場所です。子供ながらに自分のことを棚に上げて道徳の授業などで思いやりを語る先生や大人の理不尽さに呆れていました。

今は油の量を抑えるなどして多少食べられるようにはなりましたが、揚げ物などで油を大量に摂ると胸がムカムカして苦しくなります。自分の体質を理解し、今では無理をしないように心がけています。今でも昔のことを思い出したり小学校に行ったりする度に、気づいたら涙が出ています。

はるママ
39歳

給食ハラスメントで好き嫌いがひどくなった

物心ついた頃から食が細くて好き嫌いが多い子供だった私は、当然給食も苦痛でした。小学校での給食ハラスメントが嫌で、床にこぼすフリをしたり、掃除の時間になると床に嫌いな肉だけポイ捨てしたりしていました。

うちは母子家庭で母親は料理が下手で食事に手をかけられない人でしたが、給食の度に嫌な思いをするので、好き嫌いが余計にひどくなり、給食や食事が大嫌いになりおやつばかり食べていました。今でも好き嫌いは直りません。

体験談からわかる「自己主張できない子」への深いダメージ

先輩ママたちの体験談から共通して見えてくるのは、「親や先生に助けを求められない真面目な子ほど、深く傷ついてしまう」という事実です。

子供は「先生の言うことは絶対」という世界で生きています。「食べられない自分が悪いのだ」と自分を責め込み、親にも心配をかけまいと必死に隠す傾向があります。だからこそ、親は「うちの子は何も言わないから大丈夫」と過信せず、小さなサインを見逃さないことが重要なのです。

給食ハラスメントがなくならない理由は?感謝への誤った理解や勉強不足

献立メニュー

「給食ハラスメント」という言葉は近年聞かれるようになった言葉ですが、保育園や小学校の給食の強要は昔からあったことです。

けれど昔と今では指導方法もかなり異なっており、平成17年6月には国会で「食育基本法」が成立し7月より施行され、現在は厚生労働省「保育所における食事の提供ガイドライン」、文部科学省「食に関する指導の手引」共に食育推進について記されていて、保育園や学校では子供に喜ばれる美味しい給食レシピを公開するなど、食育に繋がる活動を行っています(注1、2)。

食育基本法は「生涯にわたり健全な食生活を実現することで、心身の健康増進及び豊かな人間形成に役立てる」という目的を持つ食育を推進させるための法律(注3)。それなのにどうして子供達の心身の負担となる指導が、一部の保育園や小学校で行われているのでしょう?そこには次の2つの理由があります。

  • 食の感謝への誤った理解
  • 指導者の知識のアップデート不足

動物は人間と異なり不必要な狩りや無理な完食をしません。生きるために食べ、他者の命を受け継いで生きています。それこそが生き物の健全で自然な姿なのですが、苦痛を感じてでも食べること、不必要な量や体が受け付けない食べ物までお腹に入れることが、食への感謝に繋がる行為だと勘違いしている指導者がいるのです。

飽食の時代である現在の日本では、偏食や朝食を抜くことによる課題が指摘されています。そのため厚生労働省は次の5つの特徴を持つ子供を理想像とする「楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~」を参考にするようにとしています。(注3)

  1. お腹がすくリズムを持っている
  2. 食べたい物や好きな物が増やせる
  3. 一緒に食べたい人がいる
  4. 食事作りや準備に関わる
  5. 食べ物の話題をする

小学校の食に関する指導についても「食事の喜びや楽しさの理解」「食べ物を大切にし、感謝する心を持つ」といった内容が記されており、文部科学省が作成した指導の手引などを見ても、給食を強制的に完食させる指導をするようにといった記載は一切されていません。(注2、4)

つまり昔の指導から方針が変わっていることや、発達段階に合わせた適切な声かけの知識がない指導者が、過去の自分の経験に基づいた誤った指導を独自の判断で行っているために給食ハラスメントがなくならないのです。

給食ハラスメントから子供を守る親の具体的な3つの対応

基本的に保育園や幼稚園、小学校での子供の指導は担任の先生に一任されていて、なかなか周りの手が入りにくいのが実情です。そうなると給食の時間は先生と子供だけの密室。子供が家庭で給食や先生に対する不満を訴えたり、急に行き渋りを見せたりして、初めて給食ハラスメントに気付くことになります。

我が子が給食ハラスメントにあっていることが分かった場合、親は保育園や幼稚園、小学校にどう対応すればいいのでしょう?感情的にならず、かつ確実に子供を守るステップをご紹介します。

1子供の訴えを絶対に否定せず、共感して受け止める

まず大事なのは、子供の訴えを無視したり否定したりしないことです。親自身も完食教育で育った世代であるため、つい「先生の言う通り、頑張って食べなさい」「残すあなたが悪いんじゃない?」と言ってしまいがちです。しかし、これを言われると子供は完全に心を閉ざしてしまいます。

子供にとっての絶対的な味方はパパやママです。「給食の時間、辛かったね。教えてくれてありがとう」「無理して食べなくていいんだよ」と、親身になって子供の話に耳を傾け、まずは子供の気持ちを100%肯定してあげましょう。安心感を与えることが、登校意欲を取り戻す第一歩になります。

2「相談ベース」で園や学校に早めに連絡をする

担任の先生の対応についての苦情は言いにくいものですが、給食は毎日のことですから、トラブルを把握したら早めに担任の先生に連絡を取りましょう。

この時のポイントは、決して「先生の指導がおかしい!」とストレートにクレームをつけないことです。先生も人間ですので、攻撃されると感情的になったり防衛的になったりして、結果的に子供の学校生活に溝ができてしまいます。

【おすすめの伝え方・会話例】
「最近、家で『給食が苦痛だ』と泣いて学校に行きたがらないことが増えまして…ご家庭での食事量もかなり減っていて心配しています。学校でのご迷惑をおかけしていないか、普段の給食の様子を教えていただけませんか?」
このように、あくまで「家庭での子供の異変に対する悩み相談」として話を向けると、先生も耳を傾けやすくなります。

熟練の先生の中には自分の指導方法に絶対の自信をもっていて、「お宅のお子さんだけ特別扱いできません」と平行線になるケースもあります。そういったときには担任の先生と二人きりで抱え込まず、学年主任や教頭先生などの管理職にも同席してもらい、客観的な視点を交えて話し合いの場を持つと良いでしょう。

3子供の具体的な事情と特性を理解してもらう

給食ハラスメントの多くは悪意からではなく、担任の先生の「子供の個人差への理解不足」で起こります。そのため、子供の食の嗜好、胃の小ささ、食べるペースなどを具体的に理解してもらえれば、無理な指導は減らせるはずです。

「この子は一度に食べられる量が他の子の半分くらいなので、あらかじめ配膳の時に減らしていただけるとありがたいです」「一口でも食べられたら本人の自信になるので、完食のプレッシャーは外していただけませんか」と、明確な妥協点と要望を伝えましょう。

文部科学省のホームページで紹介されている「食に関する指導の手引」(注2)など、現在の国の方針をさりげなく話題に出し、「今は楽しく食べることが推奨されていると聞いたので…」と、少し考え方をやわらげてもらうよう働きかけるのも一つの知恵です。

給食ハラスメント早期発見のポイントは?相談しやすい家庭環境

保育園の給食室の前に立つ子供

給食ハラスメントの害をくい止めるには、日頃から子供が何でも話せる良い家庭環境を作っておくことが大事です。子供は言葉でうまく表現できなくても、態度でSOSのサインを出していることがよくあります。

気をつけておきたい子供のSOSサイン

  • 日曜日の夜や月曜日の朝になると、お腹が痛い・頭が痛いと言う
  • 家での食事の量が急に減った、または食事の時間を嫌がるようになった
  • 学校や園の話題を振ると、急に無口になったり表情が曇ったりする
  • 給食の献立表を見てため息をついている

こうしたサインに気づくためにも重要なのが、家庭でも子供に対して食のプレッシャーを与えないことです。「もったいないから残さず食べなさい」と厳しく教育しているのは、保育園や小学校の担任だけでなくパパやママも同じになりがちです。

子供の食の嗜好や食事量は個人差があって当然ですし、小さい頃は苦手でも、身体の成長や味覚の発達に従って自然に克服できる可能性は充分にあります。焦って好き嫌いを親が強制したり、ご褒美で釣って無理に食事量を増やしたりする必要はありません

子供に好き嫌いが多い理由(食感への敏感さ、味覚の防衛本能など)を理解し、子供の成長する力を信じて温かく見守りましょう。普段から家庭の食卓を「自分のペースで無理のない範囲で楽しく食べられる安心の場」にすることが、結果的に外の世界のプレッシャーから子供の心を守る最大の盾になるのです。

参考文献

  • 注1:厚生労働省「保育所における食事の提供ガイドライン」
  • 注2:文部科学省「食に関する指導の手引」
  • 注3:農林水産省「食育の推進にむけて~食育基本法が制定されました~」
  • 注4:文部科学省「小学生用食育教材 たのしい食事つながる食育(平成28年2月)」
この記事を書いたライター
羽根田るみこ

羽根田るみこ

第一子から15年間保育園に通い続け、まだまだ記録更新中です!