離婚するには知識が必要!しっかり備えて事前にトラブルを回避!
皆さんは今までの人生の中で「離婚しようかな」と考えたことがありますか?!しかし自分の気持ちだけで突っ走ることができないのが離婚の難しいところ。手続きや法律のことを考えるだけで諦めてしまう人も多いのではないでしょうか。
離婚に至るまでのストーリーは人それぞれ、すべての人が同じ手順で離婚するわけにはいきません。自分が抱える状況や配偶者との現在の関係性を考慮して「離婚の方法を選択する」必要があります。
ここでは離婚をする上で知っておきたい3つの方法と、トラブルを招かないための基礎知識をご紹介します。
方法1.日本で一番ポピュラー&簡単な別れ方・協議離婚
協議離婚はお互いの同意があれば離婚の理由がなくて比較的簡単に離婚することができるため、離婚する人が最も選択する方法です。
しかし感情に任せて離婚届を提出した後に、「しまった!」と後悔してしまう人も多いのが協議離婚の怖い側面でもあります。相手の了解があればすぐに離婚が成立してしまう協議離婚をする場合に必ず前もってやっておくべきことがこちら!
協議離婚の心得:公正証書を作っておく
思いつきや勢いで離婚してしてから別れた相手にお金や子供についての話し合いを持ちかけても、決してスムーズに話は進みません。離婚後に必ず出てくる問題についてあらかじめルールを決めておくことが重要です。
万が一、相手が二人で合意して作ったルール(離婚協議書)を拒否する場合もあるので、法的な力を持つ公正証書を専門家に作成してもらいましょう。
公正証書(離婚給付契約公正証書)はどこで作成してもらうの?!
離婚をする上で決めておかなければならない問題(子供の養育費・財産分与・慰謝料・親権・年金分割請求など)は、公正役場に訪れ公証人に作成してもらいます。公正証書を作る際には、夫婦それぞれの印鑑証明や財産分与にまつわる書類など、公証人が指定する物を用意します。もちろん公証人への費用も発生するのでお忘れなく。
公正証書には具体的に何が書かれているの?!
公正証書には夫婦間で支払われるべきお金(養育費・慰謝料・財産分与)に関する金額、支払い期日、支払い方法、また夫婦の共有財産でもある不動産・物件・子供の親権などの特定を記します。
公正証書の契約をどちらかが拒否したら?!
離婚後に公正証書で結んだ契約をどちらかが拒んだ場合(生活費や養育費を払わない など)に、相手の差し押さえができる「執行認諾条項の取り決め」をしておくと強制執行することができます。
方法2.第三者を交えて解決!時間と根気がいる・調停離婚
夫婦だけでお金や子供の問題が解決できない場合には、家庭裁判所で調停委員2名が伴う・第三者を交えた調停離婚を選択します。
調停離婚の流れ
調停離婚は第三者を交えて家庭裁判所を通すため、夫婦間で離婚を決める協議離婚よりも長期戦になります。
1希望の家庭裁判所に離婚調停を申し立てる
全国の家庭裁判所は無料で「夫婦関係事件調停申立書」を配布しています。こちらに必要事項を記入して書面にて申し込み、または口頭で申し込みをすることも可能です。
「夫婦関係事件調停申立書」への記入項目
- 申立人(あなた)と相手方(配偶者)の情報欄
調停を申し立てる本人と配偶者の本籍・住所・職業・勤務先などを記します。 - 申し立ての趣旨
こちらの項目は離婚を回避するための「円満調整」と、離婚を前提に親権や養育費などの取り決めを記す「夫婦関係解消」の2つに分かれています。 - 申し立ての実績
こちらの項目は二人が同居を始めた日付と別居をした日付を記入。夫婦関係が悪くなったいきさつや事情を簡単に記入します。 - 申し立ての動機
調停離婚を申し立てる上での動機(例:異性関係・異常性格・浪費する など)を、選択肢から選んで丸をつけます。
ただし夫婦関係事件調停申立書にこのような動機を記す項目はありますが、原則として調停を申し立てる際に離婚理由は問われません。
なお、家庭裁判所に申し立てをする際に「夫婦関係事件調停申立書」と一緒に提出するものは、戸籍謄本・収入印紙(1200円分)・連絡を受け取るための郵便切手・など家庭裁判所によって若干違いがあるので、前もって問い合わせをしておきましょう。
2調停期日の指定と呼び出し
家庭裁判所に調停を申し立てしてから1~2週間後、夫婦それぞれに第一回目の調停期日が記された呼び出し状が届きます。第一回目の調停の日時は、申し立てをしてから1ヶ月後くらい、本人の出頭が求められます。離婚を申し立てる側の人は、第一回目の調停に向けてしっかりと準備をしておきましょう。
調停委員に「自分がどれだけ離婚について真剣に考えているか」「離婚しなければいけない状況があるのか」ということをアピールできるように万全の準備をします。離婚を考えるようになった原因が証明できる資料を持参することで、より調停委員に気持ちが伝わるのです。
調停日に申し立て人が準備するもの
- 預金通帳
離婚をせざるを得ない経済状況や、配偶者が生活費などを振り込んでいない形跡を示すこともできます。 - クレジットカードの明細
配偶者の浪費などを証明するにも効果的です。 - 不動産の権利書
財産分与の話をする際に、夫婦の共有財産の証明書などを調停委員に見てもらいます。 - 病院の診断書
配偶者からの暴力やモラハラによって通院した証明となる診断書は必ず取っておきましょう。
3第一回・離婚調停
いよいよ第一回目の調停日がやってきます。離婚調停は基本的に2つのタイプがあり、申し立て人と相手方が同時に調停を行う「同席調停」と、当事者双方が別々に面談を希望する「別席調停(交互面接調停)」があります。
こちらでは別席調停の流れをご紹介します。
- 待合室に通される
- 申し立て人が調停室へ
- 相手方が調停室へ
- 再び申し立て人が調停室へ
- 交互に調停室も入り第一回目の離婚調停は終了
- 第2回目の調停期日が提示される
家庭裁判所に到着したら待合室へ通されます。相手方とは別々の部屋に通されるので、顔を合わせたくない人にも安心です。
まずは離婚の申し立てをした人が調停室へ通されて、男女二人の調停委員と離婚を申し立てた理由や経緯を説明します。30分くらいの間に説明をしたり調停委員から質問に答えたりした後、再び待合室へと戻ります。
申し立て人が待合室に戻ると、今度は相手方が調停室へと入り質問に答えたり意見を聞いてもらいます。その後、相手方も待合室へ戻ります。
2回目に調停室へと戻った際には、調停委員が相手方の意見や主調を伝えてくれ、それを踏まえてまた質問や意見を交換します。
申し立て人と相手方が交互に2回ずつ調停室で面接を受けたら、一回目の調停は終わります。調停のトータル時間はおよそ2時間を目安に考えておきましょう。
調停離婚はこの流れを最低でも3回は繰り返します。次の調停期日までの期間が2週間であったり2カ月以上先であったり、とバラつくので離婚調停が成立するまで半年以上要することが多い長期戦になるのが調停離婚のデメリットでもあるのです。
4離婚調停が成立
調停を3~5回繰り返してようやく調停が成立すると、調停案を作成してもらえます。調停案とは、数回行われた調停で双方から意見を聞いた調停委員が、二人の現状を考慮して財産分与や養育費などの案が記されたものです。
調停離婚は調停委員と面談をして双方の意見を出し合った上で最良の結果へと導く方法であるため、あくまでも当事者本人が最終的な結論を下さなければいけません。
5調停調書を作成する
離婚調停で双方の同意が得られた場合は、調停室に二人一緒に入り裁判官同席の元で調停調書を作成します。
6離婚届けを提出する
調停調書を作成してもらってから、10日以内に市区町村の役場に離婚届を提出しなければいけません。提出期限を過ぎてしまうと3万円以下の過料が課せられてしまうので気を付けましょう。
家庭裁判所においてすでに調停調書が成立しているので、相手方の著名などは必要ありません。
離婚調停が不調に終わったら
調停が納得のいくような結果に終わらなかった場合は、法律を専門とする弁護士や行政書士に相談することをおすすめします。離婚調停で必ず議題に上がる養育費や慰謝料・財産分与などに関するお金問題は、しっかりと腑に落ちる結果を出しておかないと後で生活や人生にも大きな影響を与えることになる切実なものだからです。
離婚調停が成立しなければ審判離婚へ
何度も離婚調停を繰り返したにもかかわらず当事者の合意が成立しない場合に、「審判離婚」と呼ばれる職権によって離婚の処分を行います。では審判離婚の特徴を見てみましょう。
ー夫婦二人とも調停不調に納得がいかず審判離婚を望んでいる
ー当事者双方の離婚の合意はできているが、調停を成立する時にどちらかが出頭できなかった
ー家庭裁判所が下した調停調書に意義がある場合
ー調停離婚の合意が得られたのに、どちらかが調停の出頭を拒んだ場合
審判離婚の場合も、審判の確定後10日以内に市区町村役場に離婚届を提出する必要があります。(※その際にも相手方の著名や捺印は不要です)
方法3.協議でも調停でも和解が無理!なら最終兵器・裁判離婚
離婚を望んでいる人の多くが夫婦で話し合って決める協議離婚と、双方の意見を第三者と一緒に共有する調停離婚のステップを踏みます。しかしそれでも和解案が出されない時には、裁判離婚へと流れます。
裁判離婚は、調停&審判離婚と違いそこで出された判決は相手の意思とは関係なく強制的に執行されます。
裁判離婚をする前に知っておくべき注意点
離婚をする際の最終兵器でもある裁判離婚は、協議離婚や調停離婚とはガラッと事情が変わります。「バシッと裁判所で離婚判決を出して欲しい!」と意気込む前には、離婚裁判をする際に頭に入れておきたい注意点をご紹介します。
調停による話合いが必要
裁判離婚をする場合は、調停や審判離婚を経験している必要があります。その時に下された家庭裁判所の決定に異議を申し立てる先に離婚裁判があるのです。
法的な原因がなければ訴訟を起こせない
離婚裁判を起こすに当たって、法(民法770条)が定める「離婚原因」が必要です。
- 配偶者の生死が3年以上不明
- 配偶者からの“悪意の遺棄”
- 配偶者が不貞行為をしている
- 配偶者が重い精神病を持っている
- 結婚生活を続けることができない重大理由がある
この場合は相手の出頭が不可能なため、調停を踏まずに裁判離婚に持ち込むことができます。
配偶者が夫婦の義務である同居・扶助・協力を行わない場合です。勝手に別居をして家に帰ってこない、生活費を支払わない、など。
夫婦の間には貞操義務があるため、第三者と不貞行為を結ぶことは法的に許されることではありません。
共同生活を送ることが困難なほどの精神病を配偶者が患わっている場合です。
DV・性格の不一致・浪費・性格異常なども、夫婦関係を続けていくことが不可能な理由として挙げられます。
離婚訴訟費用がかかる
離婚裁判をする際には、弁護士費用や相手に請求する内容によって金額が変わる印紙代など離婚訴訟のためのお金がかなり高くついてしまいます。したがって多くの人が裁判離婚になる前に、決着をつけるケースがほとんどです。裁判所&弁護士への費用の総額が100万円くらいかかることも!
もちろん明らかに相手が悪い状況の場合においては、弁護士なしでも勝訴することができるパターンもあります。しかし逆に「離婚したくない」や「子供の親権を絶対に取りたい」「財産分与や慰謝料の請求を相手に求めたい!」などの場合は、やはり専門的な知識が深い弁護士のサポートが必要になるでしょう。
精神的にキツイ
裁判離婚は調停離婚のように双方の意思を尊重してくれるようなプライバシー保護ケアはありません。また実際の裁判は公の場で行われるため、精神的な重圧を乗り越えなくてはいけないのです。
離婚裁判の流れ
裁判離婚は決着をつけるまでトータル2年ほどの長期戦になります。ここでは離婚裁判をする際の簡単な流れを見ていきましょう。
1必要書類を準備する
裁判は戦いです。離婚を勝ち取るために必要な武器となる必要書類を弁護士と一緒に準備していきましょう。
- 訴状
- 夫婦各自の戸籍謄本
- 離婚調停不成立調書
2裁判所に訴訟を提起する
夫婦が同居している場合は住所地の管轄裁判所、別居している場合はどちらかの住所地の管轄裁判所に訴訟を提起します。その後、裁判所は第一回目の出廷日「第一回口頭弁論期日」を指定、相手方の被告に訴状を送付します。
3被告が答弁書を提出
裁判を起こす原告からの訴状を受け取った被告は、原告が出した主張に対する反論を記した答弁書を提出。訴状には「裁判の期日」「出頭場所」「答弁書の提出期限」が記されています。
4第一回口頭弁論
裁判所で原告と被告がそれぞれの主張・証拠などを提出し、反論・本人尋問・証人尋問・双方の弁護士からの質問、などを繰りひろげます。
相手方の弁護士から本人尋問を受ける際には、自分の弁護士に頼ることができないため、自分自身の意見をしっかりとまとめて言えるようにしておく万全の準備が必要です。裁判官への心象も本人尋問の頑張りによってアピールすることができます。
5判決
裁判所からの和解案や判決によって離婚が成立した場合、10日以内に離婚届を提出します。判決に不服・納得がいかない場合は高等裁判所にて同様に争うことになります。
それでも離婚するには、「冷静さ」と「予備知識」を武器に戦う!
離婚をするのはかなり心身ともにかなりハードな道のりを歩かなくてはなりません。しかしそれでも「離婚する!」という意思が強い人は、できる限り離婚後の問題を回避するために「冷静に」そして「予備知識」を身に着けて万全な体制で、離婚という戦いに挑みましょう!