モンテッソーリ教育とは？世界中に大きな影響を与えた教育法
モンテッソーリ教育をご存知でしょうか？イタリアで生まれたその教育は、子どもの自主性や知的好奇心を育むことを重視した教育！日本では1960年代頃から実施され、幼稚園入園やお受験を考えているママにとっては、早期教育としても気になるのではないでしょうか？
今回は、モンテッソーリ教育とはどのような教育か、モンテッソーリ教育を受けた有名人、日本の教育と違うモンテッソーリ教育の特徴、日本で受けられる期間や場所、ネットで購入できる教材、批判やデメリット、日本でモンテッソーリ教育を受けた子供達のその後の体験談をご紹介します！
モンテッソーリ教育とは？
モンテッソーリ教育とは、モンテッソーリ教育とは、20世紀初めにイタリアの医師マリア・モンテッソーリが生み出した教育法で、「子どもたちは、自主的に成長できる存在だ」という考えに基づいて、大人がコントロールするのではなく、子ども自身の「やってみたい」「できるようになりたい」という自発的な思いや行動を重視しています。
そのために、「子どもたちが自分のペースでやりたいことに集中できる自由な環境こそが、望ましい教育環境だ」と考え、集団行動を身に着けることが目的の一つである一般的な日本の幼稚園や小学校とは違い、個々の子どもの欲求に沿った活動が多くなります。
幼い子供は、自分のやりたいことに思う存分打ち込めることで、知的好奇心が満たされ、脳も活性化し、記憶力や自己肯定感がアップするというわけですね。モンテッソーリ教育では、そうした満足感こそが子どもの精神的な成長に大切だとされ、自分で自分を認められるようになって精神が安定し、新たな意欲が湧いてくると考えています。
モンテッソーリ教育と日本や世界への波及
モンテッソーリ教育は、マリア・モンテッソーリがローマの精神病院で働いていた時、感覚を重視した教育方法を実践して、知的障害児の知的水準を上げたことが始まりとなっています。その効果を、貧しい健常児でも得られるのではないかと考えたモンテッソーリは、「子どもの家」と呼ばれる保育施設で、その独特な教育法を実践し成果を上げていったのです。
その後、欧米を中心にモンテッソーリブームが起き、特にアメリカでは、公立の学校にも多く取り入れられていくほど定着していき、1960年代になってようやく日本にも、モンテッソーリ教育を行う幼稚園や「子どもの家」ができるようになったのです。
モンテッソーリ教育を受けた有名人
モンテッソーリ教育を受けたといわれている有名人をご存知でしょうか？世界中に影響力を持つそうそうたる顔ぶれに、驚いてしまいますよ。
- ウイリアム王子、ヘンリー王子（イギリス王室）
- ジミー・ウエールズ（アメリカ、Wikipedia創設者）
- ラリー・ページ（アメリカ、Google創業者）
- セルゲイ・ブリン（アメリカ、Google創業者）
- マーク・ザッカーバーグ（アメリカ、Facebook創業者）
- ビル・クリントン（第42代アメリカ大統領）
- バラク・オバマ（第44代アメリカ大統領）
- ピーター・ドラッカー（オーストリア、経営学者）
- ジョージ・クルーニー（アメリカ、映画俳優、監督）
その他、経済界や規制の概念を取っ払い、新しい価値を創造した有名人が、数多くモンテッソーリ教育を受けています。人を惹きつける魅力や、牽引していく確固たるビジョンがあるところに共通点を感じますね。自主創造を重んじるモンテッソーリ教育の賜物かもしれません。
モンテッソーリ教育5つの特徴
モンテッソーリ教育と一般的な日本の幼稚園や保育園はどこが違うのでしょう？子供達がモンテッソーリ教育を受けている間、どのようなことをするのか5つの特徴をご紹介します。
１子どもが主役、教師は援助者
日本の一般的な学校教育では、教師が指導要領に基づき、園や学校で学ぶ内容を決めますよね。ところが、モンテッソーリ教育では、教育の主役は子供達とされていて、一人一人が好奇心の向くままに活動します。その結果、みんな揃って同じことをする集団行動での活動ではなく、ほとんどが自分の興味に応じた個別活動となるのです。
そのため、教師は子どもたちに「次はこれをしなさい」「やり方はこうしなさい」などと言いません。子どもたちが自分の好奇心から、自発的に取り組むのを助けるのが教師の役割なのです。具体的には子どもの自発的な活動を引き出す環境や教具を準備したり、子どもたちの発達段階に合った活動を提案したりしています。
２知的好奇心をくすぐる教具が充実
モンテッソーリ教育では、子どもの自発的な活動を促し、知的好奇心や思考力を伸ばせるような教具に、徹底的にこだわっています。子ども一人一人の発達段階に応じた教具を、最適なタイミングで提示できることも、教師に求められる大切な技量の1つというわけなのです。
子どもたちは夢中になって教具での活動に集中し、そこから得られる満足感こそが自信や意欲の獲得につながっていきます。モンテッソーリの教具は、持ち運びやすさや重さ、形状、材質まで細部にわたってこだわりぬかれています。子供達が興味を持って手に取り、夢中になるように考えられているのですね。
３異年齢の子と一緒に学ぶ縦割りクラス
モンテッソーリ教育の幼稚園のクラスは、異年齢の子どもで構成された縦割りのクラス！異年齢の子どもの間での関わりを通して、より精神的な成長が望めると考えられているのです。
年下の子は年上の子をお手本にしたり真似したりする光景が自然とみられ、年上の子も年下の子のお世話をすることから自分自身の学びが一層深まります。お互いにとってとても良い環境といえますよね。
４体系化された5つの「お仕事」
モンテッソーリ教育では、教育活動を「お仕事」と呼び、次の5つに体系化されています。
モンテッソーリ教育の5つの「お仕事」
- 日常生活の練習
- 感覚教育
- 言語教育
- 算数教育
- 文化教育
日常生活の練習とは、洗濯やアイロンがけなどの日常の行為をいい、子どもサイズにした本物の道具を使いながら練習して、生活面でも精神面でも自立できることを目指しています。また、感覚教育とは、平面の絵と同じ形をした立体の教具を探したり、適切な大きさの穴にパーツをはめ込んだりして、実際に触ることで幼児期の五感の発達を促進できる教具を活用して、比較や仲間分けなどを行います。
ほかにも「読む」「書く」「話す」「文法」の面から大切に育まれる言語教育や、算数を数字としてだけではなく量感として感じて学ぶ算数教育、芸術や生命体など様々な文化的側面から表現力を育む文化教育という5つのお仕事を通して、子供達の自主性に応じた分野を開発できるのです。
５敏感期を重視する
モンテッソーリ教育では、人間には成長の過程であることに非常に敏感になり、集中して取り組もうとする「敏感期」があると考えられています。たとえば、赤ちゃんに歯が生え始める頃、何でも口にいれたがる時期がありますよね。これは、大人がそうさせているわけではなく、赤ちゃんの本能からやっていることですよね。
モンテッソーリ教育では、このような幼児期の敏感期を重視しています。教師は子どもがちょうど敏感期にあたる時期にそれをやりたいと思うように、教育環境づくりを工夫します。敏感期に当たれば夢中になるし、その能力の飲み込みも早く、逆に敏感期を外せば、その能力が身につくのに苦労をしがちで、敏感期は0～6歳が一番はっきりと現れると考えられています。
日本のモンテッソーリ教育施設と受けられる期間
日本でのモンテッソーリ教育は、ブームになったアメリカなどの欧米に比べるとまだそれほど浸透してはいません。この記事を読むまで、ほとんど知らなかったという方も多いのではないでしょうか？
そのため、ほとんどは幼稚園やプレスクールなどで受けられる、0歳～6歳の幼児期までしか受けることができないでしょう。「モンテッソーリ教育＝幼児への早期教育」と捉えていることも多いようですね。
モンテッソーリ教育を受けられる小学校や塾
日本で学校法人として認可されているモンテッソーリ教育の小学校は、横浜にある「マリア・モンテッソーリ・エレメンタリースクール」のみです。
一部、小学生を対象にして実施している塾がありますので、幼稚園以降もモンテッソーリ教育を小学生に受けさせたい保護者の方は、問い合わせてみるとよいでしょう。
モンテッソーリ教育を受けられる幼稚園やプレスクール
モンテッソーリ教育を受けられる幼稚園やプレスクールの中には、付属小・中・高・大学がある園もあり、お受験を見据えて入園させる保護者もいます。
モンテッソーリ教育の教具はネットで購入できる
モンテッソーリ教育の特徴の一つとして、教具へのこだわりをご紹介しましたが、実はこのモンテッソーリ教育を取り入れた乳幼児用の教具は、ネットで購入することもできます。
モンテッソーリ教具 鈴入りガラガラ
学研
3,996円（税込）
0～3歳児向けの教具で、握る、振るという赤ちゃんや小さい幼児には難しい2つの動作を行い、キレイな音を鳴らす練習ができます。材質は木ですので、舐めても安心ですね。サイズは直径5cm、高さ8.5cmで、重さは150gです。
https://shop.gakken.co.jp/shop/order/k_ok/goodsdisp.asp?code=6078734011
はめこみパズル４枚セット
ネットショップ モンテママのたからもの
2,737円（税込）
丸（青）、三角（黄色）、四角（赤）の計4つのパーツを、同じ形の穴にはめ込む教具です。塗料の安全性テストもクリアしていますので、赤ちゃんに安心して与えられますよ。
http://www.montemama.com/?pid=26441186
感覚教育ベーシック（B）7点セット
モンテッヒッポー
54,411円（税込）
小学校のお受験を考えているというママにぜひおすすめしたいのが、この感覚教育ベーシック7点セットです。お受験で出やすい数学的イメージトレーニングが行え、遊び道具としても子供が夢中になってくれますよ。
http://montehippo.com/?pid=69526419
安心できる木製の素材は、小さい赤ちゃんに最初に与えるおもちゃとしても理想的ですよね。また遊んでいるうちに自然と数学的な思考力や色彩の感覚などが身につけられるところも魅力です。ぜひ試してみてくださいね。
モンテッソーリ教育への批判やデメリット
モンテッソーリ教育は日本国内では限られた場所と期間でしか行われていない教育のため、なかなかその理念が理解されにくいというデメリットがあります。
そのため在園児の保護者や一般幼稚園を卒園した保護者の間から、小学校入学後まで次のような批判の声が聞かれることもあるのが実情です。
１集団行動が身につかない
モンテッソーリ教育の良さは、子ども一人一人の自主性を重んじるところだとご紹介しましたが、裏を返せば集団行動の経験をほとんど積んでいない、ということになります。
そのためモンテッソーリ教育を受けてきた子供達は、小学校にあがると集団行動の多さに戸惑い、一般の幼稚園や保育園で集団行動を学んできた子供達は、集団行動が苦手なモンテッソーリ卒の子供達に戸惑い「クラスが乱れてしまう」と心配する声が双方の保護者の間から聞かれることもあります。
もしモンテッソーリ教育の幼稚園を卒園し、一般の小学校に入学した後に順調にいかなくても、周りと衝突して悩んだ経験が長い目で見てお子さんの成長に意味深いものとなるでしょう。
モンテッソーリ教育以外の幼稚園や保育園を卒園している子供同士でも、小学校入学後にトラブルはあります。モンテッソーリ教育を受けても入学後に目立ったトラブルがなく過ごす子もいます。
日本の教育では一般的に勉強がメインとなるのが中学校から。小学校では集団生活を通してルールや規則を守り、自分以外の仲間の気持ちを学びつつ、自主性を持って勉強や行事、学級活動や委員会活動、クラブ活動などに取り組むことが非常に重要な課題となっています。
多少のトラブルがあったとしても子供の人格をその段階で決めつけて非難せず、親として子供の心の成長過程をしっかりと見守ってあげましょう。
２指導者による差が大きい
モンテッソーリ教育では、教師は援助者だというお話をしましたが、全ての教師がモンテッソーリ教育に関する深い知識を持っている訳ではありません。日本ではモンテッソーリ教育の教師になるための通信教育がありますが、一般の幼稚園教諭も採用されますので、教員の技量に個人差が大きいと言われています。
モンテッソーリ教育は、目の前の子ども一人一人に合わせた的確な指導、複数の子どもに実現することが求められますが、残念ながら「教師がいつも同じ子どもばっかり注目していて、うちの子をちゃんと見てくれていない」という心配の声も時々聞かれます。
３家庭でのしつけが大変
「子どもの自主性を重んじることは素敵だけど、モンテッソーリ教育の園に入園させることで子どもを自由にさせ過ぎることになって、最終的にダメなことはダメだというしつけができないのでは？」という不安や疑問の声が保護者の間から聞かれることがあります。
「勉強よりもまずはしつけ」と考える保護者の目から見ると、ルールやマナーを覚えるべき時期に思いつくまま自由に過ごさせるモンテッソーリ教育。モンテッソーリ教育理念への深い理解がない保護者が不安を感じるのは当然でしょう。
「その分家庭で集団生活のルールを教えるとなると、プチ反抗期などもあり大変」という声も聞かれます。モンテッソーリ教育をさせる際は、お子さんやご家庭との相性も重要です。
周囲の保護者の中には「子どもを野放しにしてやりたい放題させているだけ」に見える人もいますので、そうした周囲の目を気にせずに我が子の成長をサポートする強さが保護者に求められます。
４小学校入学後友達が作りにくい
子供によっては、知的好奇心や今日あるものが同級生と違うため、小学校入学後に友達が作りにくいなどのデメリットも聞かれます。例えば、モンテッソーリの幼稚園で知育玩具の楽しさに目覚めた子が、友達はアニメやお笑い、ゲームの話をしているのに、ちっとも興味を持てず、他の子と話題が合わないなどということもあるそうですよ。
モンテッソーリ教育の幼稚園卒業！その後の体験談
モンテッソーリ教育の幼稚園や小学校を出たお子さんは、その後どんな道を歩むことが多いのか気になりますよね。モンテッソーリ教育の幼稚園に通わせる保護者には、お受験をさせて話題が合う子供達が多い私立の小学校に行かせる人も少なくありません。
お受験に失敗しました
うちの息子は小さい頃から知的好奇心が強く、歩けるようになると家に置いてあった公文の教材を持ってきて、一緒にやってくれとせがむような子でした。気持ちもとても優しく、どちらかというと大人しくて好きなことへの集中力が高かったため、モンテッソーリ教育を行っている幼稚園に通わせました。その園では、お受験を考えているママが多く、我が家でも自然にお受験する雰囲気になり、息子もお受験することを望みました。
ところがお受験当日の試験中、お行儀よくしなければならない空気を感じたようで、息子はお腹が痛くなってしまいました。結局、受験は失敗。仲良しのお友達と同じ小学校に行けず、小学校では型にはまるのがどうしても嫌だった息子。とても苦労しました。その反動か、中学校では有名私立中高一貫校に見事合格しましたよ。
自己主張のつよさは時として問題？
モンテッソーリ教育を取り入れた幼稚園に息子を通わせていました。赤ちゃんの頃から一つことに集中してもくもくと遊ぶタイプだったので、とても楽しそうに毎日通っていました。年齢の違う子ともフランクにお友達になれるところも楽しかったようです。小学校は近所の公立に行くことになったのですが、あまりお友達ができてないようで、気になって担任の先生に相談をしにいきました。先生が言うには、息子は自分の意見をはっきり言うところはとても良いところなのだけど、時々その言い方がほかのお友達にとっては強すぎるときがあるそうで、それがいやに感じるお友達もいるのではないかということでした。
その後、「自分の意見を言うときはお友達の意見もちゃんと聞こうね」と家庭で話し、少しずつ息子も柔和になってお友達も増えていった感じでした。自己主張がはっきりしていることは、モンテッソーリの幼稚園の影響もあるかなとは思います。でも、モンテッソーリの幼稚園じゃなかった子でも、自己主張が強い子はいますけどね。いずれにしても、度がすぎるとただの我儘になるし、状況によってはみんなの意見を聞くべきときも必要だということを小学校、中学校で学んでいけばそれでいいかなと今は思っています。
うちの子にモンテッソーリ教育は合ってました
独身時代、仕事で海外生活していたこともあり、息子はモンテッソーリ教育の幼稚園に入園させました。赤ちゃんの頃から知的好奇心が育つように、色々な体験をさせるように心掛け育ててきたため、入園後の生活で戸惑うこともなく楽しく通っていました。息子はどちらかというと大人しい性格で、一般の小学校に適応するのは難しいと思い、私立小学校をお受験させましたが、モンテッソーリ教育のお蔭もあり、無事合格することができました。
モンテッソーリ教育を受けた子供はしつけがなってなくてお受験に不利と聞きますが、うちの息子の場合は特に問題ありませんでした。モンテッソーリ教育で行うようなことは、近くの早期教育の塾でも行われていて、小学校でも話の合うお友達が多く、楽しく過ごしています。
ルールが決まっているほうが好きな子もいる
うちの娘はモンテッソーリ教育をうたう幼稚園に通っていました。当時、私の周りのママ友はみんなそこがいいと言っていて、半ば流されるように入りました。自主性や好奇心を大切にする校風はとても素敵に思いましたが、娘は私に似ていてどちらかというと流されるほうが楽というタイプだったので、モンテッソーリの幼稚園はあまり合わなかったみたいでした。幼稚園ではほかの子に圧倒されて大人しい感じで、家に帰ると元気にはしゃぐという
感じなので少し心配したりもしました。
公立の小学校に行くようになってからは、お友達もたくさんできて、娘らしく振舞えているみたいです。公立の学校のほうが合っている性格なのかな～と思います。教科書で勉強して宿題をしたりとか、みんなで協力して当番をしたりとか、そういうある程度決まりがある中で生活する方が安心できるタイプみたいで…。私もそうだったからなんかわかります。モンテッソーリも本当に合う・合わないがありますよ～。
モンテッソーリ教育は家庭内でかいつまんで学ばせてもOK！
自分の好奇心に素直で、自信や意欲に満ち溢れた子どもへと成長するのに役立つモンテッソーリ教育ですが、完全に実践しなくても素敵な面だけをご家庭で取り入れることも可能です。モンテッソーリ教育の教具に興味がある場合はご家庭で手軽に手作りすることもできます。
モンテッソーリ教育の良い点も心配な点もしっかりと理解した上で、お子さんにとって良い点だけをかいつまんで教育に取り入れることはできますので、親が熱望してもお子さんに合わない場合はご家庭でかいつまんで学ばせてあげ、幼稚園や保育園選びはお子さんに合う園を選んであげましょう。
お子さんの個性にピッタリだけれど近くにモンテッソーリ教育を受けさせられる園がないという場合も、ぜひモンテッソーリ教育の理念をご家庭に取り入れてあげてください。
