子供を育てられないと感じた時に、まず知ってほしいこと
子育ての悩みは本当に人それぞれで、さまざまな事情から「子供を育てられない」と深刻に考えてしまうことは、母親にとってとてもつらいことですよね。追い詰められると「私は独りぼっちだ」「誰にも相談できない」「誰も助けてくれない」と思ってしまいがちですが、実は「こんなことでも相談していいのかな」と思うようなお悩みでも、様々な場所で無料であなたを助けてくれる仕組みが整っています。
今回はさまざまな事情で追い詰められてしまったママのために、子供を育てられないと思った時に頼るべき場所、同じように悩む母親に多い原因、そして具体的な対処法について、公的支援の情報を中心にご紹介していきます。「育児ノイローゼで相談したい」「子育てに追い詰められている」と感じている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
子供を育てられないと思ったら頼れる相談窓口
どんなに子供が可愛くても、どれだけ子供を愛していても、「子供を育てられない」と追い詰められる経験をしたことがあるママは実はたくさんいます。同じ悩みで苦しむママはあなただけではありません。追い詰められたと感じるその感覚は、ご自身と子供を守るための大切なサインであり、全国のさまざまな機関でサポートが行われています。
頼るべき主な相談窓口
- 市町村の役所(福祉課、子育て支援課など):地域の子育て支援サービスや経済的な支援に関する相談を受け付けています。
- 児童相談所相談専用ダイヤル「0120-189-783」(いちはやくおなやみを):子育ての悩みを気軽に相談できる、通話料無料の専用窓口です。
- 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」(いちはやく):虐待かもと感じたときや、緊急の対応が必要なときに、お近くの児童相談所へすぐつながる通話無料の窓口です。
- 保健センター:乳幼児の健康診査、育児相談、保健師による訪問指導などを行っています。
これらの公的機関のほかにも、NPOなどの支援団体や電話相談などで、母子を助ける手助けをしてくれる専門家がいます。「子供を育てられない」と感じることは、決して悪いことではありません。その母親のSOSこそが、母子を救う第一歩になるのです。
「母親なのに」と自分を責めてしまい、「もう、どうしようもない」と一人で思い込んで、助けを求められないママも少なくありません。でも、それは母子にとって望ましい結果にはつながりにくいものです。子供を育てられないと感じたら、勇気を出してこれらの窓口に連絡し、自分の気持ちを素直に話してみましょう。ママも子供も、前に進むためのヒントがきっと見つかるはずです。
子供を育てられないと感じる主な原因
人にはさまざまな事情があり、我が子の子育てを心から楽しめず、苦しく感じてしまうことがあっても、それは不思議なことではありません。ここでは、追い詰められる母親に多い悩みの原因を知り、ご自身の状況を理解するための参考にしてください。
1子供の発達上の特性
子供を育てられないと感じる原因の一つに、子供の育てにくさがあります。そういった気持ちを抱く背景には、子供に何らかの発達上の特性があり、母親がさまざまな育児の悩みや困難さに直面しやすいことが挙げられます。
- 子供に落ち着きがない、衝動性が高い
- 集団行動でのルールや約束事を守るのが難しい
- 学校や園生活への不適応、不登校
- お友達とのトラブルが多い、乱暴な言動がある
- 子供の特性のことが頭から離れずつらい
- 周囲から理解や協力を得られず、責められているように感じる
子供の発達上の特性は、親子関係だけでなく、家族関係全体に影響することも多いものです。児童発達支援センターや医療機関など専門の窓口で相談し、その子の特性について家族で正しく理解を深めていくことが、育児の負担を軽くする第一歩になります。専門的なサポートを受けながら、特性があっても穏やかに暮らしている家庭はたくさんあります。
家族や園、学校からの協力が得にくいと、「この状態がずっと続くのだろうか」と将来を悲観し、心身の負担が積み重なってしまうこともあります。一人で抱え込まず、まずは児童相談所や保健センターに相談してみましょう。
国や自治体の専門機関は、発達上の特性を持つ子供への支援だけでなく、家族全体へのサポートにも力を入れています。育てにくさに追い詰められたら、専門的な視点を持つ相談員に話を聞いてもらうことが、解決への近道です。
2経済的な困窮
収入が少なく生活が立ち行かない家庭は、決して珍しくありません。子供を育てるには食費、被服費、教育費などさまざまなお金がかかるため、経済的な事情から「十分な生活環境を提供できない」と考え込んでしまう母親も多いものです。「お金がない、子育てのことで相談したい」というのは、多くの方が抱える切実な悩みです。
日本には、家族が生活していくだけの収入を得られない場合に、市町村を通じて生活保護や児童扶養手当、就学援助などの公的支援を受けられる制度が整っています。まずは市町村の福祉課や社会福祉協議会に相談し、利用できる制度をひとつずつ確認していきましょう。ひとり親家庭向けの就業支援や住まいの相談窓口が用意されている自治体もあります。
3配偶者からの暴力や家庭環境の悪さ
配偶者からの暴力(DV)や、日常化したモラルハラスメントに悩む家庭も増えています。こうした家庭環境の悪さは子供の安全や心の健康にとって望ましくなく、子供を守るために母子で避難する決断をする方もいます。再婚後のステップファミリーで、再婚相手と子供の関係に悩み、一人で抱え込んでしまうケースも見られます。
配偶者からの暴力や子供の安全に不安がある場合は、迷わず警察や児童相談所に相談してください。内閣府が実施する「DV相談+(プラス)」(電話0120-279-889)では、24時間365日、専門の相談員に無料で相談できます。
4母親自身の心身の不調
子育ての負担が母親に集中しやすい状況の中で、精神的・肉体的なストレスや疲労から体調を崩し、育児そのものが難しくなって「子供を育てられない」と追い詰められてしまうケースが増えています。
育児中に増えやすい心身の不調の例
- 気分の落ち込みや不安感が続く
- 慢性的な寝不足や疲労感
- 自律神経の乱れによる体調不良
夫や家族に育児を代わってもらえたり、実家に頼れたりすれば良いのですが、それが難しい状況が続くと孤独感が強まってしまいます。心身の不調を感じたら、無理をせず医療機関を受診するとともに、保健センターに相談し、一時預かりや家事援助といった公的支援の利用を検討してみてください。
5核家族化による孤立
核家族化が進み、身近に育児の相談ができる人がいないまま、一人で子供と向き合い続けているママも増えています。周囲に頼れる人がいない状態で24時間子供と向き合うストレスは大きく、育児の楽しさよりつらさが勝ってしまうことも珍しくありません。
そんなときこそ、地域の子育て支援センターやNPOの子育てサロンなど、孤立を防ぐための居場所を頼ってみましょう。後ほどご紹介する「一時保育」や「ファミリー・サポート・センター」のような制度を使えば、少しの間だけでも育児から離れる時間をつくることができます。
「子供を育てられない」=「里子」ではありません
「子供を育てられない」と思ったとき、「児童相談所に行くと子供を里子に出されてしまうのでは」と不安になり、相談をためらってしまうママも多いですよね。しかし、児童相談所がまず大切にしているのは「親子が一緒に暮らせるよう支援すること」です。
日本には児童福祉法に基づく里親制度があり、家庭で育てられない子供を受け入れる仕組みが整っています。里親に委託されるのは、さまざまな支援を受けてもなお家庭での養育が難しい場合や、子供の安全を守るために緊急の保護が必要な場合に限られます。
日本の里親制度の主な種類
- 養育里親:実の親が子供を引き取れるようになるまで、一定期間家庭で子供を養育します。
- 専門里親:虐待などによって心に傷を負った子供や、発達上の特性を持つ子供など、専門的なケアが必要な子供を養育します。
- 養子縁組里親:将来的な養子縁組を前提に、家庭で子供を養育します。
- 親族里親:両親が亡くなったり行方不明になったりした場合に、三親等以内の親族が子供を養育します。
里親は家庭的にも経済的にも一定の基準を満たした、安心して子供を託せる存在です。ただし、いきなり里子に出すのではなく、まずは行政に相談して一時的に子供を預かってもらい、体調や状況が整ったら再び一緒に暮らす、という選択肢も残されています。里親委託や施設入所はあくまで最終的な手段のひとつであり、その前に使える支援がいくつもあります。
里子に出す前に検討したい「一時的な支援サービス」
「施設に預ける」というと大ごとに聞こえるかもしれませんが、その前段階として、数時間から数日だけ子供を預けられる公的な支援サービスもあります。ひとりで抱え込む前に、こうした制度の存在を知っておくだけでも気持ちが軽くなるはずです。
気軽に使える一時的な支援の例
- 子育て短期支援事業(ショートステイ・トワイライトステイ):保護者が一時的に子供を育てられない事情があるとき、児童養護施設などで数日間子供を預かってもらえる制度です。
- ファミリー・サポート・センター事業:地域の会員同士で、子供の送迎や一時的な預かりを助け合う仕組みです。
- 一時預かり事業(一時保育):保育所などで、数時間から利用できる預かりサービスです。
利用条件やサービス内容は自治体によって異なりますので、詳しくは市町村の子育て支援課や地域の子育て支援センターに問い合わせてみてください。「少し休みたい」というだけの理由でも利用できる制度がほとんどですので、遠慮せずに聞いてみましょう。
子供を育てられない時に頼れる児童福祉施設
里親以外にも、子供を受け入れてくれる公的な児童福祉施設があります。いずれも子供の福祉を目的とした施設で、必要に応じて相談・利用ができます。
1乳児院
乳児院は児童福祉法に基づく施設で、事情があって家庭で育てられない、主に1歳未満の乳児を養育してくれます。安定した生活環境の確保など特別な理由がある場合には、1歳を超えて利用できることもあります。親の病気や経済的な事情、育児疲れなど、さまざまな理由で利用されています。
のちに親が子供を引き取ることを希望すれば、子供を家庭に戻してもらえますし、その後の生活に関する相談にも継続して応じてもらえます。乳飲み子を抱えて追い詰められた方にとって、心強い相談先のひとつです。
2児童養護施設
児童養護施設は、乳児院と同じ役割を持つ児童福祉施設で、1歳から18歳未満の子供を中心に受け入れています。児童指導員や保育士などの資格を持つ職員が、子供たちの生活を支えています。
これまでは原則18歳で施設を退所する必要があり、その後の自立の難しさが課題とされてきました。しかし2024年4月に施行された改正児童福祉法により、年齢による一律の期限が見直され、本人の自立の状況に応じて必要な支援を継続して受けられる仕組みへと変わってきています。退所後の生活を心配しすぎず、まずは相談してみることをおすすめします。
3こどものためのシェルター
こどものためのシェルターは、児童福祉の専門家が運営する子供の一時避難施設です。家庭内の暴力や不適切な養育などによって、生活や安全が脅かされている子供を一時的に保護し、支援してくれます。
シェルターの利用につながることが多い状況
- 身体的・精神的な虐待
- 経済的な搾取
- ネグレクト(食事や衣服が十分に与えられないなど)
年齢や状況に応じて、児童相談所や自治体の相談窓口を通じて利用につながります。発達上の特性のある子供とその家族が、一時的に距離を置きながら支援を受けるために活用されることもあります。地域によってはNPO法人が運営するシェルターや自立援助ホームもあり、児童相談所で紹介してもらうことができます。
子供を育てられないと思った時にすべきこと
母親として我が子を身近に感じ、愛情を注いできたからこそ、育児に行き詰まることはとてもつらく、切ない経験です。どうか自分を責めるのではなく、まずはご自身を労わってあげてください。心身の不調を感じたら、迷わず医療機関や専門機関を頼ることも、大切な選択肢のひとつです。
育児の悩みは人それぞれで、家族に話してもわかってもらえないことがあります。それでも、あきらめないでください。行政機関や専門家は、家族とは違う立場だからこそ冷静に話を聞き、状況に合った支援につないでくれます。
どこに相談すればよいか分からないときは、児童相談所相談専用ダイヤル「0120-189-783」(いちはやくおなやみを)など、身近な窓口に遠慮なく連絡してみてください。「子供を育てられない」と感じたその瞬間こそが、支援につながる大切な一歩です。


