マイナンバー制度施行で個人情報保護対策はこう変わる
マイナンバー制度が始まることで、多分野にわたる個人情報が結び付けられることになります。個人情報が結び付けられるごとにマイナンバー情報の価値も高まり、悪用される可能性も高まってしまいます。
つまり、マイナンバー制度において、個人がもっとも注意しなくてはならないことは『情報管理』ともいえるのです。個人情報が漏洩しないよう、また悪用されないように、国が行っている個人情報保護対策とはどのようなものなのかチェックしましょう。
特定個人情報とは?
マイナンバー制度の登場により、『特定個人情報』という言葉がよく聞かれるようになりました。この特定個人情報とは、普通の個人情報とは何が異なるのでしょうか?
マイナンバーが含まれている個人情報は『特定個人情報』
氏名や住所、生年月日などの個人を示す情報を『個人情報』といいます。この個人情報にマイナンバーが加わると『特定個人情報』と呼ばれる情報になります。
たとえば、同じ氏名の人は、日本国内に存在する可能性が十分あります。よくある苗字の方なら、同姓同名の人に出会った経験もあるのではないでしょうか?また、生年月日もそうです。1年は365日か366日しかありませんので、同じ学年の365分の1もしくは366分の1は同じ誕生日なのです。
このように個人情報だけで特定の個人を指すことは不可能ですが、マイナンバーの12桁は間違いなく異なるため特定の個人を特定することができます。70億人を超える国民の中から個人を特定することができるのが、マイナンバーとマイナンバーを含む特定個人情報なのです。
個人情報保護法とマイナンバー法の違い
2005年4月に施行された個人情報保護法は、個人情報を扱うすべての事業所に義務付けられた法律ではありません。6か月に5000件を超えない個人情報を扱う小規模企業は順守する必要がなく、また亡くなった人の個人情報に関しても保護する必要はないと規定されていました。
ですが、マイナンバーの施行と同時に制定される『行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律』(通称:マイナンバー法)では、マイナンバーを扱うすべての企業と個人が対象となり、亡くなった人の個人情報も適切に扱うことが規定されています。
マイナンバー法を使うとき
特定個人情報を含む情報を扱うときは、原則としてマイナンバー法に準じます。マイナンバーを含まない個人情報を扱うとき、該当する規模の事業所の場合は個人情報保護法に準じます。
個人情報も特定個人情報も、情報収集時に説明した目的以外で使用することは認められていません。ですが、個人情報を本人から得るのが困難な場合や法令に基づく場合、本人の同意を得ることで業務に不利益が生じると考えられる場合には、本人の同意を得ずとも情報を使用することや収集することが、個人情報保護法でもマイナンバー法でも認められています。
マイナンバーが読み取れない…
マイナンバーは『マイナンバー法』に基づいて扱われることが求められますが、書類に記されたマイナンバーが読みづらい場合には『個人情報保護法』に基づいて扱うことができます。
マイナンバーは適切に扱わない場合は最長4年の懲役、最大200万円の罰金の対象になります。マイナンバーの記載状態が悪い等でどう扱ってよいかわからないときは、マイナンバー法は個人情報保護法に準じますので個人情報保護法に基づいた使用を行うようにしましょう。
特定個人情報を求められたら
会社で税処理を行う場合や社会保障にかかわる手続き、災害対策などにおける事務処理に特定個人情報が求められます。会社などで求められたときは何に使用されるかをよく確かめ、特定個人情報を求める人がどのような権限で求めているのかを確認し、マイナンバーの提出に同意したことを示す同意書にサインをして提示しましょう。
個人情報流出と個人情報漏洩を防ぐマイナンバーシステム
1人に1つずつのマイナンバー。様々な分野の個人情報を紐づけた個人番号が流出することで氏名や住所、金融資産などの個人情報が芋づる式に漏洩してしまうのではないかと不安を感じる人も多いでしょう。個人情報漏洩を防ぐために、どのようなシステムが構築されているのでしょうか?
基本は分散管理
マイナンバーで管理される個人情報は、基本的には他の場所では閲覧することができません。例えば、市町村役場の税務課では地方税の管理をマイナンバーで利用して行いますが、税務課で国民年金や金融資産などの情報を知ることは不可能です。
また、職場でマイナンバーを収集して地方税や所得税の申告に使用しますが、マイナンバーを使ってその個人の他の情報を引き出すことは不可能になっています。個人情報がマイナンバーで紐付けされることは、すべての情報が一元管理されることを意味しているわけではありません。
どんなシステムも盲点はある
分散管理によって、個人情報が簡単に流出することは抑えられます。ですが、どんなシステムでも使用していくうちに欠陥が見つかることや、保護システムを打ち破るハッカーが出てくることはありえます。あらゆる分野の個人情報がひとつになったとき、マイナンバーの取り扱いはさらに慎重にするように各自が心がけることが大切だと言えます。